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0354




 ジャン達は必死になって砂漠の魔物を倒していく。俺は血抜きなどの処理をしているが、斑蠍は毒を持っていないし毒水ラクダの毒水は売れないので捨てていく。他は普通に処理しているんだけど、要らない物は要らない。


 厄介なのは魔物よりも夜の砂漠という地形だ。とにかく風が強く吹いていて寒く、手がかじかんで震えてしまう為に戦い辛そうにしている。武器も強く握れないので力が篭められないらしい。


 それでも少しずつ倒して進んで行く。北にあった転移紋から20層へと進む。再び北へと進んで行くのだが、20層からは更に広くなっている為、そう簡単には転移紋まで辿り着けない。


 それでも魔物と戦いながら何とか進み、転移紋から21層へ。この層も北へと歩いて行くのだが、ジャン達もかなりの疲労を抱えているらしい。それでも頑張って北の転移紋へと進む。


 転移紋まで辿り着いた時には疲労困憊で、座り込んでしまった。ジャン達の疲労もピークに達してしまっているのか、殆ど喋りもせずに体を休めている。俺だけで行ってくるか。



 「ジャン達は精神的に疲労困憊みたいだから休んでてくれ。ここから東にかなりの呪力を感じるんで、ちょっと行って浄化してくる。戻ってくるまでは、ゆっくりしていると良い」



 俺は砂漠を軽快に走っていく。東に4キロほど進むと真っ黒な奴が見えてきた。アレは……ケンタウロスか。ん? アイツ背中にアイテムバッグを背負ってないか? しかも大刀かよ!。


 青龍偃月刀じゃないが掩月刀だなアレは。ちなみに掩月刀と偃月刀は字が違うだけで同じ物だったと思う。ちょっと驚いたけども、さっさと浄化してしまおう。白く浄化すれば良いか……。


 俺は前回と同じく自分に【集中】を使い、全力で浄化する。再び何をやっているか分からないほど集中していたが、気付いたらケンタウロスも空間も真っ白になっていた。


 掩月刀と大型のアイテムバッグを回収し、ケンタウロスの処理を終えたら収納する。大型のアイテムバッグには何が入っていたのか調べると、中にはショーテルが入っていた。……何で?。


 物凄く微妙な気分になってしまった。掩月刀とショーテルに繋がりが全く無いんだけど!? 何で一緒に持ってるんだよ! しかも両方ともオリハルコンだし。意味が分からない……。


 俺はショーテルを”白い”アイテムバッグに仕舞うと、元のアイテムバッグの荷物を新しいアイテムバッグに入れ替えていく。間違いなく白いアイテムバッグの方が容量が大きいからな。


 というより、このアイテムバッグは魔神が作った中で最大級の容量を誇る物だ。これを模倣しろと言われて、何度も作らされたんで覚えている。今は白くなってるが間違いない筈だ。


 元々持ってたアイテムバッグは、何の革が使われているかは知らないが、茶色の革製のアイテムバッグだ。色で判別出来るので、かなり分かりやすい。……よしっ、詰め替え終了!。


 後は皆の所に帰るだけだ。俺は西へと走り出して行く。5分も掛からずに皆の下へと戻ったが、ジャン達は大分回復したらしい。俺はケンタウロスを出して解体し、心臓を取り出す。


 6等分してそれぞれに食べさせたものの、シャロー以外のメンバーは殆ど効果が無く魔力や闘気が多少増えたくらいだった。シャローに関しても、肌が少し良くなった程度でしかない。


 ケンタウロスの皮を革にしてから収納し、俺が持っていたアイテムバッグをどうするか話し合う。相談の結果、メルに大型のアイテムバッグを渡し、メルのはシャローに渡す事になった。


 メルのアイテムバッグの中身を入れ替えてシャローに渡し、シャローが入れ替えたらアイテムポーチをディルに返す。ちなみにショーテルはディルが欲しがったのであげた。


 掩月刀は誰も欲しがらなかったので、俺が持ったままだ。威力は高いし、身体強化をすれば楽々振り回せるので特に問題なく使える。なので、竜を相手にした時などは役に立つだろう。


 転移紋に乗り22層へと進む。光が止むと、また真っ暗な環境だ。ジャン達が慌てたように【光球】を使うと、そこはまたしても洞窟だった。それを見たジャン達はギブアップを宣言する。



 「流石にもう無理です。これ以上は気力が持ちません……。挑戦するにしても時間を置いてからにして下さい。ただでさえ、一度目の洞窟で散々コウモリに悩まされたのに……」


 「私もジャンと同じだ……。流石に、もうこれ以上は進みたくない。と言うか、進む気力が湧かない。今回のダンジョンは長すぎないか? もう22層なのに、まだ終わらないなんて」


 「確かに22層なんて聞いた事が無いです。既に最高記録を超えているにも拘らず先があるなんて……。いったいこのダンジョンは何処まで続いているんでしょうか?」


 「先程も言っていましたけど、一度目の洞窟で精神を削られたのが痛かったと思います。アレが無ければ、まだ気力は湧いたかもしれませんが、もう振り絞る気力もありません」



 流石に今回のダンジョンアタックは相当堪えたらしく、声も弱弱しい。ただ前について行くだけなのと、自分たちの力で攻略するのと、どれほど違うのか身をもって理解できただろう。


 自分のきぐるみは自分のアイテムバッグに入れさせ、シャローには俺のきぐるみをあげた。俺の場合はまた作れば済むし、別の物を作っても良いと思っている。厚めのコートとか。


 ジャン達を後ろに回し、俺達が先頭で東へと進んで行く。【空間把握】で確認出来ているのでさほどの苦労も無いし、メルが中級魔法や上級魔法でコウモリを叩き潰して進んでいる。


 ただ、流石に20層を超えているだけあって、闇コウモリや猛毒コウモリに病魔ネズミが出てくるという非常に厄介な層だった。闇コウモリは光を吸収する毛で覆われているコウモリだ。


 猛毒コウモリは名前のままで、毒コウモリよりも危険な毒を持っている。病魔ネズミも名前のままで、引っ掻かれると病気に感染する。この洞窟の層、殺意が異常な程に高いんだが……。


 なるべく討ち漏らさずに全て倒していく。攻撃を受けたら即座に【聖潔】を使って浄化するか、俺が【浄化】の権能で完全に綺麗にしている。でないと、死ぬ可能性が高すぎるんだよ。


 東の転移紋まで来れたので、乗って23層へと進む。光が止むと、そこは平原だった。【空間把握】で調べても何も居らず、ただ脱出紋があるだけだった。……いったいどういう事だ?。



 「これは、いったいどういう事だろうね? 竜が居ないし脱出紋が最初から在るって事は、戦いは無しって事だと思うんだけど……。こんな事は初めてだから良く分からないねぇ……?」


 「まぁ、そもそもアルドが居なければ最奥まで突破する事は出来ないんですけどね。昔ダンジョンが出来たばかりの頃は、3層や4層しかなくて直ぐに攻略が終わる事はありましたが……」


 「今はそんな事ないからね。私も出来たばかりのダンジョンに入った事はあるけど、直ぐに終わるし魔物は弱いしで、碌に稼げなかったのを覚えているよ」


 「出来たばかりのダンジョンってそうなのね……。私が若い頃には、既にダンジョンは今と変わらなかったわ。だから最奥まで辿り着いたのは、アルドと一緒に来るようになってからね」


 「流石に20層以上のダンジョンを攻略するなんて事は、アルドが居ないと事実上不可能だろう。ジャン達も方角の分かる魔道具を作ってもらわなければ、洞窟の突破も怪しかった」


 「アレはね……。本来なら少しずつ地図を描きながら進んで行くしかないよ。それ以外に突破する方法なんて無いんじゃないかと思う。僕達でもそれしか無いんじゃないかなぁ……」



 ジャン達は疲労困憊なのでさっさとダンジョンを出よう。俺達がダンジョンを脱出すると、外はもう夕暮れだった。解体所へ行くのは明日にし、直ぐに食堂へと行き大銅貨14枚を払う。


 夕食を注文して、テーブル席の椅子に座る。ジャン達は深い溜息のように息を吐く。体力も気力もゴリゴリと削られ続けたからか、いつもの明るさは完全に失われてしまっている。


 こんなジャン達は見た事が無い。



 ▽▽▽▽▽


 0354終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨4枚

 大金貨19枚

 金貨68枚

 大銀貨138枚

 銀貨47枚

 大銅貨431枚

 銅貨2枚


 神鉄の太刀

 オリハルコンの掩月刀

 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 オリハルコンのピヌティ

 アダマンタイトの剣

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 大海竜の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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