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0034




 夕食を食べながら3人で今日の報告をする。二人とも何だか食べ辛そうにしているな、後で椅子とテーブルを作ろう。そう考えていると、ダナがパンを千切りながら話し始める。



 「アタシは麓の森に入ったり、周りを調べたりしてたんだ。特に変わった所はなかったねぇ」


 「私も森に入って色々探っていましたが、特に何も」


 「俺も報告した事以外、特に何も無いよ」


 「うーん、明日は北から山に登ってみるかい?」


 「多少なら構いません。ですが、本気で登るなら拠点の場所を変えた方が良いでしょう」


 「そこまで登らないよ」



 食事も終わって手持ち無沙汰になった為、【光球】を使って木を伐る。3本ほど伐ったら拠点に持って帰り、椅子とテーブルを作っていく。作り終わるとダナとシュラが来て、呆れた様子で椅子に座った。



 「突然、何かを始めたと思ったら……」


 「確かに。でも、椅子とテーブルがあると助かります」


 「そうだろ? 食事がし辛くてさ」


 「それはそうなんだけど、普通は諦めるもんだよ?」


 「【錬金術】と【練成術】が使えるのに、諦めるのもなぁ……」


 「まぁ……、そうだろうね。話しは変わるけど、浄化を頼めるかい?」


 「了解」



 俺も含めて3人を浄化していると、シュラが突然アイテムバッグを持って来た。



 「すみません、アルド。中の獲物を浄化してもらってもいいですか?」


 「そりゃ、構わないけど。どれくらいあるんだ?」


 「多くはありません。オーク2匹とコボルト2匹です」


 「アタシのも頼むよ。オーク1匹とゴブリン2匹だ」



 2人の獲物を見ると戦い方が良く分かる。ダナの方は首が斬り落とされていて、シュラの方は頭が陥没している。トンファーの跡とヌンチャクの跡がクッキリ残っている死体って、どうなの?。


 2人の獲物をいつもの様に処理していると、シュラが何やら驚いていた。



 「そこまで綺麗にするのですか?」


 「いつも通りだけど?」


 「普通は、そこまで綺麗に血を抜いて浄化しませんよ。浄化しないと面倒な盗賊や賞金首の死体でもしません」


 「盗賊や賞金首の死体って面倒なのか?」


 「犯罪者は邪気を溜め込みやすいのです」


 「元々、何かを恨んだり憎んだりしてる連中だからね」


 「成る程」


 「アイテムバッグに入れるのも何か嫌ですし。面倒なんですよ」


 「何で面倒なのを専門に狩るんだ?」


 「私が吸血鬼だからです。吸血鬼族は殆どの者が浄化魔法が使えて身体能力も高いのです」


 「盗賊や賞金首は傭兵崩れも多いのさ。だから貴族の領兵じゃ勝てない事も多いんだよ」


 「私は真祖ですので、他の吸血鬼族よりは邪気の耐性が高いのです。今はアルドの血の御蔭で、恐ろしいほど耐性が高くなっていますが」


 「やっぱり違うのかい?」


 「ありえない。そう思うぐらいに違います」


 「神の肉体だし、【浄化】の権能を使っているからか」


 「そうだと思います。後は夜の事でも///」



 そんな話をしていると夜も更けてきたので、夜番の順番を決める。俺は一番最後にした。


 神の肉体は睡眠をあまり必要としない。最後の夜番をして、そのまま起きていても問題は無いだろう。


 最初がダナで次がシュラ、そして最後が俺となる。俺は3人をもう1度浄化してからテントへと入った。寝る前にシュラがキスをせがんできたので、キスしてから寝る。


 それじゃあ、おやすみなさい。


 <異世界16日目>



 おはようございます。シュラに起こされたので、夜番の時間がきたようです。まだ辺りは真っ暗なので【光球】を使い辺りを照らした。


 ボーっとしながら椅子に座り、コップに水を入れて飲む。のんびりしていると、何かが近づいてきた。



 「シャーッ!」



 お久しぶりのイエローボアだ。一気に近づき、脇差で首を斬り落とす。血が噴出して胴体が暴れるので離れて待ち、止まったら処理をする。相変わらずデカイ蛇だな。


 2人は寝ているのでアイテムバッグに入れて貰えない。仕方なく自分のリヤカーに載せようとして、ふと思い出す。俺、この蛇食ってないな?。


 皮を剥いで骨と肉を【分離】し、肉を【熟成】したらフライパンで焼く。塩以外には何も掛けていないが、猛烈に良い匂いがしてきた。焼けた肉から食べていくが、物凄く美味い。


 程よい脂が良い味になっていて、ビックリする美味さだ。朝からラッキーだなー、イエローボアにとっては不運だろうが。そんな事を考えていたら、蛇の牙が目に付いた。


 何かに使えないか? とりあえず口から牙を全て【分離】し、【融合】で1つに纏める。更に【圧縮】すると打刀を1本作れる程度の大きさになった。


 何に使うか……思っているより硬いな……それに錆びない。思い付かないので、普通に打刀にしておく。刀身の内部を骨で作り、表面を牙で被覆する。


 刀身全てを骨と牙で作ったので、折れる時はポッキリいく物になってしまった。


 ただ、骨と牙という生体素材で作ったので武器強化は出来る。オドや闘気に対する耐性は結構あるはずで、普通の金属よりは劣化しない素材だ。気付けば朝日が昇っている。



 「折角だから、朝食を作るか」



 木を伐って、木のボウルと板と麺棒を作る。ボウルに小麦粉、塩、水を合わせて練ってゆく。ある程度纏まったら板に移し、身体強化を使い更に力を入れて練る。


 伸ばし、折り畳み、練る。これを何度も繰り返していく。


 充分に練れたら、伸ばして折り畳み麺状に【分離】する。出来た麺は【熟成】を使い休ませておく。イエローボアの肉と残った骨で出汁を【抽出】し【熟成】したら、ボウル等を浄化して少し休憩。


 ボウルの方にスープを移していると2人が起きてきた。こっちに来るダナもシュラも浄化し、ついでに自分も浄化する。



 「「チュッ! おはよう、アルド」」


 「おはよう、2人とも。朝食の支度をするから、ゆっくりしててくれ」



 小鍋に水を入れ【火魔法】の【加熱】で沸騰させる。麺を茹で終わると【念動】で麺を浮かせ、小鍋を浄化しスープを入れる。小鍋の中に麺と残りの野菜を入れて煮込んでいく。


 煮込み終わったら完成だ。木の椀に入れて、さっそく食べよう。



 「美味しい! 昨夜のより美味しいよコレ!」


 「凄い! 凄く美味しいです! 何ですかこの肉は!?」


 「それ? それは黄色い蛇」


 「黄色い蛇? イエロ……」


 「イエローボアかい!?」


 「そうだよ。夜番中に出て来たから倒したんだけど、2人とも寝てたからね。先に少しだけ焼いて味見したんだ」


 「イエローボアですか……美味しいのも分かります」


 「でも、アタシはここまで美味しいのは初めてだけどね」


 「そういえば、昨日のスープも美味しかったですね? 料理は得意なんですか?」


 「いーや、家庭料理くらいしか出来ないよ」


 「そうですか……?」


 「美味しいんだから、細かい事はどうでもいいさ」



 確かに細かい事はどうでもいいな。多分この世界の普通の料理人は、出汁のとり方とかが甘いんだろう。それで旨味の抽出が足りなくて味が薄い。そんなところだと思う。


 食事が終わったら全て浄化し、今日の予定の確認だ。昨夜話した通り、北側から山に行き登っていく。全ての準備を終えたら出発しよう。イエローボアの残りはダナのアイテムバッグに入れてもらった。


 北に進むと魔物の反応はあるが、何故か襲ってこない。朝早いからか、もしくは魔物から警戒されているのか。特に襲われる事も無く、山に登る為の登山口のような所に辿り着いた。



 「さて、ここからは山だ。二人とも気を引き締めなよ」


 「えぇ。山は恐ろしい場所ですからね」


 「とにかく【探知】は丁寧にしていくよ」



 ゆっくりと慎重に歩いて行く。警戒し過ぎは良くないが、警戒が足りないのも良くない。そんな適切なバランスの【探知】を行いながら進む。そうしていると3つの反応が来た。



 「3つの反応がこっちに来る。何かは分からない」


 「全員警戒!」


 「「「ギュッ!」」」



 額に角の生えた兎が3匹きた。あれが角兎か……見たまんまだな。角兎は特に強くもなく簡単に始末できた。処理を終わらせてリヤカーに載せると、先へと進む。



 「角兎は向かって来るのに、他のが来ないねぇ……」


 「どうも魔物もピリピリしてますね」


 「何か起きてるのか?」


 「どうだろうね?」



 嫌な予感がしなくもない状況だな。本当に気を引き締めた方が良さそうだ。



 ▽▽▽▽▽


 0034終了時点


 金貨9枚

 大銀貨16枚

 銀貨22枚

 大銅貨15枚

 銅貨6枚


 鋼の脇差

 鋼の十手

 鋼の槍

 石斧

 黄蛇の牙の打刀

 オーク革の鎧

 革と鉄の肘防具

 革と鉄の膝防具

 革と鉄のブーツ


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