0344
「今日はどうなるかまだ分からないが、朝からか昼からかで城に行く時間が変わるだけだ。どのみち、それ以外の時間でシャローを筆頭に訓練をさせる。ダンジョンの事もあるしな」
「ダンジョンですか……。実力不足で洞窟タイプの層を突破出来ませんでしたから、そのリベンジの為にも訓練に励めという事ですね。他の魔法も覚えた方が良いんでしょうか?」
「ジャンは言われた通りに浄化魔法を覚える必要があるだろう。他の魔法はむしろ私やシャローの方が良いと思う。どの魔法を覚えれば良いのか分からないが……」
「魔法ですか……。汎用性が高いのが風魔法と土魔法ですね。怪我を負わせやすいのが火魔法で、便利なのが水魔法です。魔法士団では風魔法と土魔法を練習する事が多いんですよ」
「まあ、火魔法は火事の元になる可能性が高いからな。それと魔法を使う際、使う物が近くに無いと消費魔力が増大するんで注意が必要だし、場合によっては発動しない」
「??? ……それっていったいどういう事ですか? 消費魔力が増えるというのは分かりますけど、使う物っていう物が近くに要るんですか?」
「アルドさんが言う、使う物っていうのは火、水、風、土の事ですよ。魔法はそれらを利用する場合と作り出す場合で、消費魔力がビックリするほど変わるんです」
「簡単に言うと、水の無い所で水魔法を使う場合、大気中の水分を集めて水魔法を使う事になる。つまり、水分を集めるのに無駄な魔力を大量に消費する訳だ」
「ですから、水魔法を使う場合は川の近くで使うのが良いんです。そうすれば、近くに大量に水があるので無駄な魔力を使わなくて済みますからね」
「だから風魔法か土魔法なんですね。風や土ならどこにでもあるから、無駄な魔力を大量に使わなくても済むんだ。そういう事も考えなきゃいけないんですね……大変だなぁ」
確かに大変だが、消費魔力を考えなきゃ好き放題やっても良いんだけどな。俺みたいに大気中の水分を集めて真水を作ったり、熱を使って料理をしても魔力の事を無視すれば問題ない。
無駄にあり余ってる魔力を有効活用しているだけだしな。つまり、魔力が余ってるなら強引に魔法を使っても構わないって事だ。まあ、無駄を極力無くすのは基本中の基本なんだが……。
「それ以前に、浄化魔法が先だという事は忘れないように。まだ【清潔】しか教えてないが、そろそろ本格的に訓練を開始するからな。病気も相当治せるようになるから頑張れよ」
「はい、頑張ります! ……最初にお聞きしたのは、僕に浄化魔法を教えて神殿を牽制するって話だったと思うんですけど、浄化魔法を王太子様やお城の方に教えたんですよね?」
「そうなんだよな。ジャンを前面に出す事で俺達を見え難くするつもりだったんだが、王太子の方が前に出ているという状況に変わったんだよ。まあ、教える事に変わりは無いんだが……」
そんな話を朝食後まで続けていたら、宿の前に豪勢な馬車が3台止まった。どうやら朝からに決まったらしい。馬車からライブルが降りてきたので、俺達で確定だろう。
皆にその事を説明し、急いで宿の方へと帰る。宿の前でライブルに挨拶し馬車に乗り込む。いつも通りに分かれて乗車し、王城までの馬車内でライブルと雑談という名の情報収集をする。
ライブルが言うには、香辛料の問題はともかく商業国家マールで新しい王の戴冠式があったらしい。そういえば、あの王は戴冠式もまだしてなかったんだっけ……。すっかり忘れてたな。
それと、神殿が最近浄化魔法に対してかなり五月蝿いそうだ。何でも、王太子が何処かから浄化魔法の書物を入手したと噂になっているらしく、神殿が自分達の物だとかホザいてるらしい。
その話の時には流石のライブルも呆れた表情をしていた。ライブルは俺が書いた物だと知っているからな。どうも王太子は、近衛の魔法士隊1人1人に書き取りをさせた様だ。
原本を元に書き取りをさせ、自分で書き記した物を読みながら練習をさせているらしい。御蔭で近衛の魔法士隊は浄化魔法が上達したらしく、王都の浄化も練習としてさせている様だ。
その事もあり、王都は随分と綺麗になったんだと。邪気が多いと、それだけ思考もおかしくなりやすいからな。邪生にならなくても邪気の影響は受けてしまう。それはしょうがない。
綺麗になれば、それだけ邪気の影響は減るんだから国にとっては良い事だろう。汚物レベルに汚れていたから帝国に暗躍されたのかもしれないし、暗躍されていたから汚れたのかもしれない。
馬車は王城の敷地内に入り、入り口の前で止まった。俺達は馬車を降りて集まると、リンデを先頭にして歩いて行く。近衛の鎧を着た者達が入り口の扉を開けて俺達を迎え入れる。
何と言うか……儀式っぽい感じというか、俺達で予行演習している感じがする。別に悪くはないが何かあるのかと勘繰ってしまうな。ライブルに聞いたら、本来はやらなきゃいけないらしい。
どういう事? と思ったら、王城に客を迎える場合のマニュアルには書かれているみたいだ。今までは、俺達が仰々しいのを嫌がるのでやらなかったそうだが、練習させているんだそうな。
まあ、こういうのは日頃から練習しておかないと咄嗟には出来ないだろうし、咄嗟に出来ないと国として恥を掻くからなぁ。ああ、マールの戴冠式がここで繋がってくる訳か。
新しい王を招くかもしれないのに、練習不足で恥を掻いたら国家のメンツが潰れるからな。それで練習してるのか。そういう理由なら特に問題は無いし、皆も気にならない様だ。
「やあ。久しぶり……と言う程でもないね。意外に早かったと言うべきか、君達の足の早さからすれば時間が掛かったと言うべきか。とにかく御苦労様。座ってくれ、飲み物を運ばせる」
俺達は広い会議室のような所に案内されて、王太子と会っている。俺達の側の人数が多いので広い部屋になったんだろう。ライブルが王太子の後ろに立っているが、これが普通なのか。
ライブルは王太子の横に座っているイメージだが、本来なら王太子の横に座るって無礼なのかね? いまいちこういうのはよく分からないんだよな。まあ、俺達が知る必要も無いか。
「まずは、香辛料についての報告からか……。単純に言うと、マールは隣国のバロッサから狙われてる。少なくとも王弟が隣国の言う事を聞くぐらいには入り込まれていたよ」
「最初から凄い報告が来たのだが……。マールの王弟が隣国の言いなりだったと? いったい何故そんな事になっていたのだ。それと、その事が香辛料にどう関わってくる?」
俺は王弟が格安で香辛料をバロッサに売っていた事、バロッサが頭の悪い建前でマールを攻めようとしている事、香辛料が王弟の専権事項になっていた事などを話していく。
ついでに、俺が王妹を人質にとった王弟をブッ殺した事と、マールの近衛だったシャローの話をしておいた。シャローは王太子の前でカチカチだったが、あそこまで緊張するか?。
「バロッサな……確かマールでは”蛮族国家”と言われていた国だったかな?。かつて在ったという”蛮族国家”と同じ事をしている以上は、謗りは免れぬだろうに」
「左様ですな。かつての蛮族国家は帝国の近くまで攻めてきたと言われております。最後には内部崩壊を起こして滅んだと伝わっておりますが、言い換えれば倒せなかったとも言えます」
「そうだな、蛮族であるだけに強い。いや、容赦が無いと言うべきか……。自らの利益の為なら何でもする、ならず者の国。それが”蛮族国家”だったな。それがマールの隣にか……」
「”蛮族”という言葉に踊らされないようにな。バロッサという国は、マールに対して結構な搦め手を使っているぞ。頭が悪い建前を使っているが、本当に頭が悪い訳じゃない」
「成る程。意外と強かと言うか、かつての蛮族国家が頭も使えるようになったと見るべきか。と言っても、我等はマールから要請が無い限り動く事も出来ないのだが」
「それは仕方がありませぬ。国家の間の事は、気を利かせても疑われる元にしかなりませんからな。こちらは心構えと準備をしておく事で十分でございましょう」
「うむ、そうだな。それにしても……石を投げて王弟を殺害したのか。いや、王妹を救う為だったというのは分かるのだが、確認する前に殺害するとは思わなくてな」
そんなに気になるところか? 大した事じゃないと思うが……。
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0344終了時点
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