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0033




 とりあえず、ギルドの職員とダナとシュラの3人を鉱床から離す。【風魔法】の【強風】を使って換気する振りをして、【浄化】の権能で鉱床の部屋内を浄化する。


 俺以外に1人はあの臭さを味わったので、臭いままにしておく必要は無い。綺麗に浄化した後、3人を呼ぶ。



 「風が流れてくるだけで臭かったよ」


 「本当に、鼻が壊れるかと思いました」


 「あの臭さは洒落にならん……」



 俺はそんな臭いのを掃除したんだけど? 【浄化】の権能の事は言えないから、しょうがないけどさ。そう思いながら3人が鉱床に入って来るのを待つ。



 「こりゃあ……、完全に魔銅の鉱床だねぇ」


 「質の良い鉱床ですね」


 「これは……。ギルドの手に余るんじゃ」


 「伯爵に報告するんだから、ギルド単独でどうこうは出来ないよ」


 「魔力金属の鉱床ですからね、権利関係はとても面倒で複雑ですよ? そこにギルドまで介入するんですか?」


 「いえ、それは無いです。新しいギルマスにも、面倒に首を突っ込むな。そう言われてます」


 「ま、当然だね。ヴェルもその程度の判断は出来るようで何よりだ」


 「ただ、人足などはこちらで用意する事になるので、その仕事を低ランクに回したいと」


 「あぁ、そういう事ですか。中々考えているようですね」


 「アタシが鍛えたからねぇ」



 そんな話の横で、俺は石斧をツルハシに変えて掘っていた。鉱石は見た感じ、魔銅の含有量が思ってるより多そうだ。

 

 確認するべき所は全て確認したので、石斧に戻して拠点に帰る。


 拠点まで護衛して案内は終了となった。お昼に近かったので、一旦村に戻って宿で昼食を食べる事にする。リヤカーを裏庭に置き、食堂で注文すると大銅貨3枚と銅貨3枚だった。



 「中途半端な値段……。今日は何の肉?」


 「今日はオークの肉だよ。沢山あるから安かったんだ」


 「オークの拠点を潰したからね」


 「オークの拠点……。大丈夫でしたか? 拠点潰しは相当の危険がある筈ですけど」


 「問題なかったよ。アルドの御蔭で死者も出てない」


 「拠点潰しで死者が出ないとは、流石です」



 どうやら普通は死者が出て当然らしい。死者が出なかったのは、こちらに拠点が有ったのと俺が囮をやったからの様だ。そんな話をしながら食事を取る。オーク肉は普通に美味い。


 ただ、猪の味という訳じゃなく、豚肉の味でもない。何の味だろうこれは? いや、これが”オーク”の味なんだろう。女将さんによると、村では干し肉などの保存食作りに忙しいらしい。


 食事を終えて、昼からの事を話し合う。その結果、山の調査をする事になった。ギルドへ行き、午前中の案内を完了した手続きをしてもらう。その後、準備を始める。


 二人が言うには野外で夜を明かす訓練はしておいた方が良いとの事なので、雑貨屋へ行き必要な物を購入する。


 昨日の薪や炭は余っているので部屋から持ってきてリヤカーに積む。雑貨屋では大きな布を銀貨1枚分、木の椀とコップを大銅貨1枚で買っていく。


 その後、近くの食料店へ行く。買うのは小麦粉と野菜とパンだ。麻の袋も込みで大銅貨8枚分購入してリヤカーに積む。


 準備が整ったので、初めての遠征に出発しよう。村を出て北に進み、分かれ道を西へ。西に10キロほど進むと、山の麓が見えてくる。



 「山の魔物は危険なのが多いから慎重に進まないとな」


 「まずは野営場所を決めてからだね」


 「山の麓の、森の近くがいいでしょう」



 山の麓に良さげな場所があったので、そこを拠点に決める。近くの森から木を伐って運び、【落穴】で穴を掘る。その辺りの石を取ってきて、【融合】と【変形】で円形の板状にした。


 直径と深さが20センチぐらいの穴の底に、直径20センチで厚さ10センチの板を敷き、その上に柱として木を立てて、柱の底を石の板と【融合】する。これで柱は立ったままだ。


 後は、柱の周りに4本の小さな柱を立て、【融合】した大きな布を上に被せれば、即席のテントの出来上がり。この世界、テントなんかは荷物になるため、よほど寒い所でない限り使わないそうだ。


 集めた石を【変形】と【融合】でレンガの形にして、竈を組み立てる。これでキャンプ地の完成となった。水は直ぐ近くに池があるので問題ない。



 「さて、調査を始めるとするかね」


 「3人で行動しますか? それとも単独で行動しますか?」


 「単独でいいんじゃないかな」


 「単独でいいけど、危なくなったら逃げる事! いいね?」


 「命は大事にする。傭兵にとって当たり前の事です」


 「前にも言ったけど、撤退の判断は絶対に間違えないよ」


 「じゃあ、調査開始!」



 山の北の方は森が切れている。リヤカーを牽く俺にとっては、そっちの方が楽なので北側に進む。夜に食べる肉、つまり魔物を探しながら歩いていると【探知】に反応があった。


 ネイルラビットだったので近くの石を投げさっさと始末したら、処理してリヤカーに載せて先に進む。更に2匹のネイルラビットを倒して処理し進んでいると、妙な魔物に出くわした。



 「「「「「ギチギギチ! ……ギチギチチ」」」」」



 ビッグアントか。こいつは魔物としてはマズイ魔物で、魔石以外に売れる物が無い。甲殻なども使える物でもない為、ただ面倒なだけという魔物だ。


 槍の穂先を蟻の首に差し込んで首を落とす。簡単に首が落ちるのは助かる。脇差で小さな魔石を取り出し、【浄化】して【浄炎】で燃やす。再び進もうと右足を出した、その時。



 「「「「「ギギチギチ! ……ギチチギギ」」」」」



 近くに巣でもあるのか? 面倒だが先程と同じように始末して処理する。武器を浄化して一息吐くと。



 「「「「「ギチギチギチ! ……ギチギ!」」」」」



 いい加減にしろ! ムカツいたので最速で始末して処理する。その後【探知】を全力で使い、ビッグアントの巣を探る。すると、北東100メートルほど行った所に巣を発見した。


 リヤカーを牽いて巣に接近する。ビッグアントは地面の下に巣を作るので、入り口の穴から【火弾】を大量に撃ち込んだ。巣から出てくるビッグアントを浄化しながら燃やし続ける。


 ある程度撃ち続けた後、少し様子を見る。出てこようとする者は居ないのだが、巣の奥に反応が残っている。【強風】で風を送り、奥に熱風を送ると反応が消えた。


 どうやら全滅した様だ。【空間把握】を使って巣の形を確認し纏めて全て浄化する。強力に浄化したのでビッグアントの巣から少し神聖な気配がするが、無視してさっさと立ち去ろう。


 蟻の巣の退治とか本当に面倒だ。狭くて入れない為、逃げ込まれると普通の傭兵では倒せなくなる。中途半端な大きさなんだよビッグアントって。


 体高20センチくらいの蟻と考えれば大きいのだが、巣に入れるかと言えばそんな大きさはない。奥まで距離があり、女王蟻を始末しないと増えてしまう。蟲って本当に面倒だ。


 普通なら天敵の魔物に始末される筈だが、近くに天敵が居なかったのか?。


 蟻の巣を退治していたら、もう夕方だ。何やってんだ俺。自分に呆れながらキャンプ地まで戻る。



 「二人はどうだった? 俺の方はウサギ3匹と、蟻の巣を潰したくらいだ」


 「何やってんだい!? 何で巣を潰す事になったのさ!?」


 「ずっと襲ってくるから、つい」


 「つい……で、潰すのですか?」


 「何度も襲われてさ、正直に言って頭にきたんだよ」


 「分かるよ。気持ちは分かるんだけどね……」



 そんな話をしながら、ネイルラビットを解体して肉にしていく。各部位に分けたら、【熟成】を使い肉を熟成する。塩はシュラが持っていたので貰い、塩を振っておく。


 小鍋に【破砕】したネイルラビットの骨と少しの肉を入れて煮込む。煮込みながら【抽出】を使って出汁になる旨味などを抽出し、その後ゴミは捨てる。終わったら肉を焼いていこう。


 【熟成】を使ったからか、ジューという音と共に良い匂いがしてきた。肉をフライパンから小鍋に移し、野菜と共に煮込んでいく。野菜に火が通ったら完成だ。


 【錬金術】と【練成術】を使った料理だが、美味ければ良いだろう。木の椀を2人とも持っていたので、スープを入れパンを渡す。やっと夕食だ。



 「ん! これ美味しいねぇ!」


 「本当ですね! 肉の臭みも無く、何か美味しい味がします」


 「どうやら上手く出来たみたいだ」



 こんなもんだろう。飽食の日本と同じ味なんて出せる訳がない。大自然の中で3人で食事をする……悪くないな。



 ▽▽▽▽▽


 0033終了時点


 金貨9枚

 大銀貨16枚

 銀貨22枚

 大銅貨15枚

 銅貨6枚


 鋼の脇差

 鋼の十手

 鋼の槍

 石斧

 オーク革の鎧

 革と鉄の肘防具

 革と鉄の膝防具

 革と鉄のブーツ


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