0338
光が止むと目の前に見えたのは草原だった。……またか。草ダンジョンだから当然とはいえ、周りを見ると香辛料を集めている傭兵は殆ど居ない。まあ、当たり前と言えるか……16層だし。
ここまで来れる傭兵は多くはないって事だろう。それでも素材ダンジョンと言えるからか、この層でも少しは傭兵が居る。攻略ではなく、香辛料の収穫なのがちょっと悲しいが……。
傭兵達を横目に、俺達は北へと進む。道中スマッシュボーアが出てきたので、始末して処理したら解体しておく。体感では、そろそろ昼食の時間だと思う。肉をゲット出来て良かった。
北の転移紋から17層へと進む。17層になると傭兵が居るようには思えない、全く人が居ない状況だ。道中もう1頭スマッシュボーアを倒したので、これも処理して解体しておく。
北の転移紋の直ぐ傍で昼食にする。ここなら最悪、次の層へと逃げ込む事が出来からだ。焼き場を作ったら魔鉄の焼き網を取り出してセットする。皆には手分けして、肉を薄く切って貰う。
その間、俺は鍋に聖水を入れて骨から旨味を【抽出】する。皆が買っておいてくれた野菜と肉を放り込み、スープと共に煮込んでいく。3匹には既に浄化した内臓を出してある。
肉の厚さがバラバラなのはご愛嬌というところだな。皆が好きに肉を焼きながら食べる。香辛料は全て出してあるので好きに使ってくれて構わない。スープの味は……いつもより美味い?。
聖水の影響か、いつものスープよりも美味しくなっている。まあ、不味くなっていないなら何でも良いんだが。聖水を使うと良い影響があるのかもしれないので、今後とも使っていこう。
シャローは驚きながらも美味しそうに食べているみたいだ。薄い肉はどうしても貧乏人の食べ物というイメージがあったんだろう。貴族の令嬢なら当然の反応なのかもしれないな。
とはいえ美味しそうに食べている元子爵家令嬢とか、元王女とか居るけども……。今さら侯爵家とか言っても意味は無いか、1番上とも言える元王女が居る以上はさ。
それにしてもシャローもそうだが、家柄が良いほど手の平を返すように貪るなぁ……。本当に、自分に利があると簡単に建前とか捨てるよね。そこが物凄く貴族らしいんだけども。
さてと、色々悩んだが黒い魔物の心臓はここで食べさせよう。少し離れて黒い魔物を取り出したら、心臓を6分割にしてそれぞれに食べさせる。シャローが凄く嫌そうな表情をしてるな。
俺達はシャローを羽交い絞めにして無理矢理食べさせる。食べ終えると離したが、俺達を射殺さんばかりに睨みつけてきた。だが、体に変化があったんだろう、猛烈に慌て始める。
「痛い! 胸が……胸が痛いー!! イタタタタ、ほ……本当に胸が痛い。何でこんな事になってるの!? 胸が凄く痛い!!」
……ああ、そりゃ痛いだろうな。シャローは小さかったんだが、3カップぐらい大きくなっている。正確に言うと、AからDに変わってるんだ。そこまで大きくなったら痛くて当然だ。
魔力も闘気も増大してるが、メルと同じく闘気の増加量が魔力に比べて少ない。完全に種族特性だなコレは。仕方がないとはいえ、闘気も必要だから時間が掛かりそうだ。
シャローはミレイアに胸の布を緩めてもらったので、痛みは大分マシになったらしい。サラシで締め付けられて痛かった部分もあったんだろう。そういえば、シャローは幾つなんだ?。
聞いてみたら、年齢は47だそうだ。魔女族は300年ぐらい生きるので、人間に換算すると16歳ぐらいか。姉が2人居ると言っていたが、子供が3人だと魔女族としては優秀と言えるぞ?。
シャローは悪し様に罵っていたが、魔女族は寿命に比べて子供が少ない種族だ。姉2人の嫉妬や邪魔があったとしても、家から出してしまうだろうか? 何か理由がある気がする。
まあ、嘴突っ込んでも碌な事にならないから関わる気は無いが、意図的に外へ出してる可能性がある事は覚えておくか。完全に胸の痛みは治まった様だな。そろそろ出発するか。
他に胸が大きくなったのはフォルだけだ。そのフォルも少し大きくなってCになっただけ。何となくだが、エルフの始祖ってこれ以上大きくならない気がする。原典のエルフっぽいし。
他のメンバーは僅かな効果しかなかった様だ。既に効果が殆ど無いのか、それとも得た力が体に馴染んでないからなのかは分からない。今の所は効果が殆ど無いというだけかもしれない。
「そろそろ出発するが、準備の方は大丈夫か? 何があるかは分からないんだから、準備はキッチリしてくれ」
皆から「大丈夫!」という返事が返ってきたので、転移紋に乗り先へと進む。18層に着いたら北東へと進んで行く。予想通り北東に転移紋があったので、乗って19層へと進む。
19層も北東へと進んでいく。この辺りの魔物も高値で売れるものは殆ど居ない。スマッシュボーアはそれなりの値段で売れるが、それでも大銀貨4枚ほどの値でしかないし。
わざわざ、このダンジョンで狩らなければいけない魔物じゃない。結局、魔石だけ抜き取って【浄炎】で燃やして進んでいる。前と違うのは、シュラかアルメアが【浄炎】を使うところだろう。
2人とも浄化魔法の修行をしているが、特に【浄炎】には拘りがあるので使い熟そうとしている。2人とも母親を超えたいんだろう、【浄炎】を使う時は凄く真剣に使うんだよな。
他の浄化魔法の時もそれぐらい真剣に使ってほしいもんだ。下らない事を考えていたからか、北東の転移紋に到着していた。次の地形になるので、気を引き締めさせて20層へと進む。
光が止むと、そこは沼地だった。……20層だからエリアは広がってるんだよ。その状況で沼地とは、厄介な事になったな。足がとられて簡単には進めないぞ。面倒な地形にしやがって。
「皆! 身体強化を使ってなるべく早く進む。全員でシャローをフォローしてくれ、彼女がこの中で1番遅いからな。まずは東へ進むんだが、魔物は極力無視して進むぞ!」
シャローには大変だろうが、それでも頑張ってもらわないと困る。最悪ジャンが背負って移動だな。ジャンの修行にもなるし丁度良い。そんな事を考えながら東へと進んで行く。
身体強化モドキしか出来なかったので、早々にシャローはジャンに背負われている。満更でもなさそうだし、どうも大きくなった胸を押し付けているらしい。ジャンの走り方がおかしい。
ハッキリと言えば前屈みで走ってるんだ。……まあ、放っとくか。痛い目をみなきゃ、ここがダンジョンだって事を思い出せないんだろう。東の転移紋から21層へと進む。
21層も東へと進んで行き、転移紋に乗って22層へ。22層では南東へと進んで転移紋を発見したので、乗って23層に進む。23層も南東へと進み、転移紋の直ぐ近くまでやって来た。
転移紋から南に強烈な呪いを感じる。今まで感じた中で1番強い呪力だ。恐らく浄化出来るとは思うが、皆を連れて行かない方が良い気がする。それほどに危険だ。
「ここから南に非常に強力な呪いを感じる。今まで感じた事が無いほどに強い。だから皆はここで待っていてほしいんだ。流石に危険すぎるし、守れないかもしれない」
流石に洒落にならない事が分かったんだろう。皆は頷くだけで声を出そうとはしない。俺は黒い奴が来たら転移紋に乗って逃げるように言って、身体強化を使い南へと進んで行く。
南に行くと沼地に足が沈んでいる真っ黒なオーガが居て、そのオーガからしたら脇差に見えるような太刀を持っていた。間違いなく太刀が呪いの原因だが、あれって妖刀か何かなのか?。
ビックリするほど強い呪いと、近付いてやっと分かったが濃密な邪気も内包しているぞ。あんな強烈な物が、何で素材ダンジョンなんかにあるんだよ! 愚痴の1つや2つ言いたくなる程だ。
そんな事を考えながら様子を窺っていると、どうやら気付かれたらしい。仕方ない、浄化を始める!。
▽▽▽▽▽
0338終了時点
大白金貨3枚
白金貨3枚
大金貨19枚
金貨66枚
大銀貨141枚
銀貨49枚
大銅貨294枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
大海竜の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




