0336
香辛料の事を聞くと、言葉を濁したのでキッチリ追究しておいた。他国に助けを求める前に、自国から出せる物の用意ぐらいしておけよ。利も無く助ける国なんて、ある訳が無いだろうに。
その事を言うと、現在、後任人事で揉めている事を溜息を吐きながら話してくれた。何処の国でもある事だが、いわゆる権力闘争の真っ最中なんだそうだ。面倒臭い事になってるなぁ……。
国の内部に入り込まれているのに権力闘争の方が大事らしい。もしかしたら、そいつ等バロッサの内通者かもな? それを言うと押し黙ってしまった。どうやら心当たりがありそうだ。
俺達は国のゴタゴタなんかに介入する気は無いんで、香辛料の事を聞いたらさっさと帰るけどね。……あっ!? ダンジョン攻略してない! ダンジョン攻略だけは達成してから帰ろう。
その他にも色々な話しをしていたが、宰相が部屋を訪ねて来て王妹を連れて行ってしまった。どうやら無断で俺達の所に来たらしい。そりゃ1人で来たら怒られる。当たり前の事だ。
結婚もしていない王族が、1人で訪ねて良い訳がない。例え女性が多く居ると言ってもだ。ここは古い時代の世界だから、女性同士でもそういう噂になるんで気を付けなきゃいけない。
女性同士であろうが、醜聞として喚き立てれば十分効果があるって訳だ。そのうえ男の俺も居るんで、幾らでも好き勝手に話を創れる。醜聞なんて所詮、創るものでしかないからな。
元の世界でもマスメディアが散々やっていた事だ。火の無い所に煙は立たぬと騒ぐ癖に、実際には火の無い所に放火してるだけだと言う。実にバカバカしい話だ。頭がおかしいとさえ思う。
3匹と遊びながら、そんな事を考えているとドアがノックされた。入室を許可すると、ジャン達3人が部屋に入ってくる。どうやら先程まで3人で乳繰り合ってたらしい。
話があるらしく詳しいので聞くと、既に辞任は正式に認められているらしくジャン達について行くそうだ。実家には説明する気も無く、説明したとしても自分の人生が良くなる事は無い。
無いとキッパリ明言するのも凄いな。どうも本当に碌な家じゃないらしく、帰りたくなくて必死に頑張った結果が魔法士団の隊長なんだそうな。元々実家に帰りたくなかったのか……。
「侯爵家といえば聞こえは良いですが、何処までもプライドだけです。私が嫌われているのも、姉2人よりも魔力に対する才能があったからで、結局はただの嫉妬でしかありません」
「つまり、貴女は嫉妬の所為で魔力薬の作り方を教われなかったという事かしら? ……そういう事があるから正確な作り方が失われていくのね。……決めた! 私が教えてあげるわ!」
メルは相手の話も聞かず、早速色々と話をしている。隊長さん……いや、仲間だからシャローか。シャローもメルの話を聞きながら、色々質問をしている様だ。ジャン達は口を挟めない。
魔女族にとって魔力薬というのは特別なのかもしれないな。そろそろ宿に帰ろう。城に泊まっても良いかなと思っていたが、落ち着かないし面倒臭い事になりそうだ。特に王妹。
なので、”明日もダンジョンに行くから”という建前でさっさと宿に引き上げよう。部屋の外に居たメイドにその事を話し、城の入り口まで案内してもらい城門から街へ出る。
昨日と同じ宿に行き、6人部屋と3人部屋と1人部屋をとって大銅貨13枚を支払い部屋を確保した。そういえば、この場に居る全員が今日昼食を食べていなかったんだな。
ジャン達はシャローの準備の為に雑貨屋に行くらしく、宿を出て行った。シャローにはディルのアイテムポーチを貸しておいたから大丈夫だろう。まだ夕方前だし俺達は部屋に行こうか。
部屋に入り、送風機と冷房を設置したら魔石をセットして起動する。いつも通りキンキンに冷えた聖水をいれて準備完了、後は部屋が冷えるのを待つだけだ。今の内に水を補充するか。
俺は宿の共用スペースにある井戸に行き、空の樽に水を汲む。【浄化】の権能を使い聖水にしたらアイテムバッグに収納する。それを繰り返しながら聖水を作っていくと水が無くなった。
ヤバいと思った俺は、【凝水】を使い空気中の水分を集めて井戸に水を溜めていくが全然足りない。仕方なく、雲からも水分を集めていると気になる事ができた。雲を集められるのか?。
仮に雲を集められるなら、局地的に雨を降らせる事も出来るよな? ……やってみたものの、無理だった。正確には【空間把握】の範囲不足で、十分な雲を周りから集められなかったんだ。
逆に言えば、範囲が広がり十分な雲を集める事が出来るなら雨を降らせる事は可能だと思う。まあ、今はそれよりも水分を集めて井戸の水を回復させないと。……よし、溜まったな。
やれやれ、予想以上に大変だったな。空の樽全部に聖水を入れようとするんじゃなかった。御蔭で無駄に疲れる羽目になったが、後は井戸の水を【聖潔】で綺麗にして部屋に戻ろう。
「随分時間が掛かってたみたいだけど、何してたんだい? 水を汲んでくるって言ってた割には、かなり長い時間帰ってこなかったけど」
「空の樽全部に聖水を入れてたんだよ。御蔭で井戸の水が無くなって滅茶苦茶焦ってさ、必死に水を集めて何とか井戸の水を回復してきたんだ」
「何をやってるんですか……。最初から井戸を使わなかった方が良かったのでは? もしくは、ダンジョンの中で水を汲んでおいた方が良かったかもしれませんね」
そんな話をしていると部屋のドアがノックされて、ジャン達が入ってきた。どうやら雑貨屋に行っただけじゃなく、ギルドに行って傭兵登録もしてきたらしい。まあ、実力は問題ないか。
色石はオレンジにしたらしく、武器はこの色が良いそうだ。ただ、その事でちょっと困っているみたいで相談された。何でもシャローは純魔法使いらしく、武器を碌に使えないらしい。
武器を扱う訓練よりも魔法を使う訓練をしてきたので、武器自体何を使って良いのか分からない。そんな状況なので、どうしたら良いか相談されたんだが……正直、俺に言われてもね。
それこそ汎用性を求めて杖でも持たせておけば良いんじゃないか? そう言うと、それで良いと言われた。少しは自分で考えろよな。仕方がないので、残っていた硬木で杖を作ってやる。
地面からシャローの胸までの長さに硬木を【変形】する。次に外側を魔鉄で被覆したら完成なんだが、折角なので丸い石突を両端に取り付けた。気分は如意棒だ。中々良いのが出来たな。
杖の長さは120センチぐらいの円柱に仕上げた。その杖を渡すと、シャローはその場で振り回して感触を確かめている。武器を渡されたら、誰でもやる事って変わらないんだな。
「ありがとうございます。武器を持った事自体が数えるほどしか無いので、何だか新鮮な感じがしますね。魔法士団でも、純魔法士と魔法騎士では訓練内容が違っているんです」
「成る程ねぇ……。それで碌に武器を持った事が無かったのかい。傭兵でも偶に純魔法使いは居るんだけどさ、結構嫌われるからね。その事は覚えておいた方が良いよ?」
「純魔法使いは、魔力が無くなると役に立たなくなりますからね。嫌われると言うより、お荷物扱いをされるんですよ。逃げなければいけない時も、足が遅くて邪魔なうえ体力も無いですし……」
「そういえば5人組のサキュバスの子も最初はそうだったわね。エルフの子も微妙にそれっぽい感じだったけれど、2人とも逃げる時に足手纏いになってたらしいし」
「王国かルーデル村に帰ったら、主様からの特訓がありそうだ。魔女族だから魔力はそれなりに豊富だろうけど、闘気の扱いを覚えてもらわないと私達についてこれないからね」
「どのみち、ジャン達も未だ修行中なのだから一緒に修行をすれば良い。あの3人も洞窟の地形でギブアップしたのだから、修行しなければいけないのも分かっている筈だ」
あの3人と言われたジャン、ミレイア、リンデは目を逸らしている。コイツ等……自室で練習してなかったな。乳繰り合ってるか、酒飲んでるだけかよ!!。
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0336終了時点
大白金貨3枚
白金貨3枚
大金貨19枚
金貨66枚
大銀貨141枚
銀貨49枚
大銅貨322枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
大海竜の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




