0335
醜態を晒して叱責された門番を横目に、俺達は王城へと入っていく。ジャンとミレイアは緊張しているらしいが、俺達には特に緊張なんてない。周りを気にする必要も無いしなぁ……。
粗相をしたらと思っているのかもしれないが、平民を呼んでいる以上そこは折り込み済みだろうよ。そこで揚げ足とって笑い者にする国なら、所詮その程度の情けない国って事だ。
そうジャンとミレイアに言うと、王妹と近衛の4人が何とも言えない表情になった。俺の言ってる事は間違ってないが、ハッキリ言い過ぎらしい。……間違ってないと認めるとはな。
王城内を進んで行き、豪華な扉の前で止まった。ノックをしてから声を掛けて、許可の返事があったので入室する。中には王と思われる若い青年と、歳をとった宰相らしき人物が居た。
「キューレか、如何した? 確か……そなたはダンジョンに行ったのではなかったか? 後ろの者達を見れば何かあったのだろうと分かるが、いったい何があった?」
王妹は、ダンジョンの中で近衛騎士団の1部隊に襲われた事、近衛の女魔法士4人が囮になってくれた事、王弟が黒幕であった事などを1つ1つ話していく。王と宰相がブチ切れそうだな。
その後は近衛の女が強姦されていた事や、部隊の隊長がバロッサの生まれであり、ずっと裏切っていた事などを話していく。王と宰相の額が青筋だらけで凄い事になっているぞ?。
王の命令で、宰相が近衛の騎士団長を呼びに行った。……普通メイドとかに命じないか? 何で宰相の地位にある者が直接呼びに行くんだ? ……クールダウンの為かもしれないな。
王も少し落ち着いてきたのか、王妹とゆっくりと雑談している。すると俺達の紹介になったので、一応自己紹介をしておいた。当然だがリンデには驚いたようで、丁寧な口調になっている。
これ幸いに、リンデは王太子から依頼されて調査に来た事を明かす。香辛料が少量しか輸入されないので調べて欲しい。そう依頼されたことを話すと、王は渋い顔をした。
何でも、香辛料の差配は王弟が先代の王より命じられた事らしく、今の王でも迂闊に口を出せないらしい。王弟の派閥もあり、力もあるので非常に面倒臭い事になっている様だ。
そこで、折角だからと王弟を殺した事を暴露してやった。知らずに殺してしまった事、王妹を人質にとっていた事を詳しく話す。最初は怒っていたが、事実を理解した今は微妙な表情だ。
弟が殺されたのだから納得は出来ない。だが、妹を脅そうとしたり人質にとったのは明確な事実であり、王としては罪に問わねばならない事。また、妹を助ける為には仕方がなかった事。
色々納得出来ないが、無理矢理にでも納得せざるを得ないので微妙な表情になっているらしい。王弟が居ない以上は、王の側近に香辛料の差配を命じれば終わる話なんだよな。
王弟だろうが何だろうが、罪人は罪人だ。王族だからと罪を減らせば、民がそっぽを向きかねないし国が揺れるぞ。そう言うと、王と王妹は押し黙ってしまった。頭では分かっているんだろう。
そうしていると、宰相が騎士団長を連れて執務室へと戻ってきた。近衛の4人から詳しい事情を聞いた騎士団長は、直ぐに内偵を始めると言って執務室を出て行った。……最初からやれよ。
それと騎士団長が居る間に、近衛の魔法士団の隊長が責任をとって辞めると言い、騎士団長は苦渋の顔で認めていた。騎士団内部の裏切り者の所為だから、誰か1人の責任じゃない。
とはいえ、現場の誰かが責任を負わねばならないのが現実だ。王族の命が脅かされた以上は、仕方がないでは済まされない。誰かが泥を被る必要があり、隊長が被ったという事だ。
他の女性魔法士3人も納得できない顔をしているが、仕方がないと諦めてもいる。俺達にとってはどうでもいい事なので、ハッキリと言えば暇だ。下らない話ばっかり聞いていたくない。
空気を読んだのか、王妹が俺達に休める部屋を宛がってくれるように頼んでくれた。宰相が鈴を鳴らすとメイドがやって来て、俺達は王城の1室に案内される。随分と広い部屋だな。
部屋は、俺達とジャン達とリンデで分けてもらった。ジャンはミレイアと一緒だが、多分大丈夫だと思う。王の執務室を出る前、ミレイアと2人で何やら話していたのを見ている。
その時、ジャンは俺達と話していたので知らない筈だ。つまり、ミレイアと魔法士団の隊長の間で話は出来ていると見ていいだろう。ミレイアの方が抵抗すると思ったんだがなぁ……。
まさかミレイアの方が積極的にジャンの女を増やそうとするとは……。俺達でさえ予想していなかった事だ。益々ミレイアが何を考えているのか分からなくなってきたな。
頼むから、あの馬人族みたいにならないでくれよ。本当に頼むぞ。俺は【空間把握】を使いながら、宛がわれた部屋に居て聖水を飲んでいる。3匹も皆もマッタリと休憩中だ。
……おっと、そろそろ【空間把握】を使うのは止めよう。魔法士団の隊長がジャン達の部屋に入ったので、その事を皆に伝える。皆はジャンの体力が持つのかで賭けを始めたらしい。
そんな皆を放っておいて、俺は【風魔法】を記していく。3匹が足元で遊んでいるんだが、俺の足を障害物にしての遊びらしくペシペシ叩いてくる。仕方がないので遊んでやる事にした。
「それにしても、ジャンは大変だね。最初は子爵家の娘で、次は侯爵家の娘かい? 次があったら伯爵家かね? それとも王族までいったりして」
「分かりませんよ? 本当に王族までいくかもしれません。既に候補は1人居ますし、これから先増えるかもしれませんからね。面倒なのはジャンに押し付けましょう」
「凄く言い方は悪いけれど、言っている事は良く分かるわ。こっちに来られても迷惑だけれど、アルドは不老長寿の女性にしか手を出さないみたいだから、大丈夫かしら?」
「大丈夫だとは思うし、面倒な事に関わりたく無いから今のままで良いと思うよ。私達不老長寿は貴族位よりも上だけど、面倒な連中は無理矢理にでも絡んでくるからね」
また貴族への愚痴祭りになってるので、大人しく3匹と遊んでいようっと。……えっ、喉が渇いた? 聖水の樽を出して、冷やしてっと……入れ終わったぞ。早速飲んでるな、俺も飲むか……。
冷やした聖水を3匹と飲みながらゆっくりしていると、王妹がノックして部屋に入ってきた。普通メイドとかが開けたりするんじゃないの? 自分で開けて普通に入ってきたな……。
「皆さん、少しお聞きしたい事があるのですが良いですか? 実は、ガイアルム王国に関してなのですが……帝国との戦争には勝ったと言われていますが、本当でしょうか?」
「うん? ……もしかして、バロッサとの戦争でガイアルムに協力を求めるのかい? まあ、いいか。帝国との戦争だったね、勝ったよ。それも相手の大将を討ち取ってね」
「……成る程。つまり、噂で聞こえてくる事柄は事実だという事ですか。今まで小競り合いはあれど本格的な戦争など無く、貴族が戦場で死ぬような事も殆ど無かったので疑っていたのです」
「私達も参加していましたからね。帝国は相当の打撃を受けた所為で、内部がかなり混乱しています。王国も帝国に随分浸透されていましたから、終わらない掃除の最中でしょう」
「実際、伝令ですら信用できなかったくらいだから、相当浸透されていた筈よ。戦争までに色々な事があったから勝ったようなものね」
「そうだね。主様が暗殺組織を潰したら、それが帝国の息が掛かった組織だったり。ダンジョンに行ったら暗躍している帝国の工作員を潰す事になったり。本当に色々あったね」
リンデがメンバーに居るし、要らなくて捨てた武功の話などは全員しない。それでも王妹には殆ど嘘を吐く事なく話していく。多分王国が信用出来るのか、確認したいんだろうな。
バロッサという国は敵なんだろうが、王国の事も半信半疑な感じか。とはいえ、国と国同士の関係なんてそんなものだけど。それよりも、香辛料の事はどうなったんだ?。
仮に他の国が助けてくれるにしたって、恐らく香辛料目当てだろう。そこをしっかりしておかないと、何処の国だって助けてくれないぞ?。
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0335終了時点
大白金貨3枚
白金貨3枚
大金貨19枚
金貨66枚
大銀貨141枚
銀貨49枚
大銅貨335枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
大海竜の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




