0331
皆と話しながらも森の中の蛇行した道を進んで行く。身体強化をしているので、多くの人を追い抜きながら進んで行き、途中で皆に保存食を渡す。ヴェゴの村で買ったのは干し肉だ。
色々な種類の干し肉が在ったので、全種類買ってきたんだ。この干し肉は塩が少なくて長期保存が出来ない代わりに美味しい奴だ。3匹にも、小さくしたのを口に入れてやる。
3匹は器用に走りながらも干し肉を味わって食べている。やはり普通の魔物じゃないなと改めて思う。魔物の肉の干し肉もあったが香辛料が多く使われているからか凄く美味い。
噛むほどに旨味がじんわりと出てきて、何だかスルメみたいだ。ゆっくり味わいながらも猛烈な速度で走っていく俺達。傍から見たら意味不明な集団かもしれない。
そんな下らない事を考えていたら、森を抜けたのか平地が広がっていた。更に走っていくと、高い城壁に囲まれた大きな街が見えてくる。あれが王都マルドーか……。デカいなー!。
香辛料で儲かってるからか、矢鱈にデカい街っていうか都市だな。王国の王都の1.5倍ぐらいあるんじゃないか? 相当に大きい都市だが、内部に入り込まれると大変そうだな。
大きすぎて目が届かなそうな気がする。王弟が裏切ってる話もあったが、事実なら相当に国の中に入り込まれてないか? 嫌な予感がするな。本当に俺達の滞在中に戦争が始まりそうだ。
こういう時の嫌な予感って、大抵の場合当たるんだよ。嫌なときに嫌な事をされるんだが、する側からすれば最高のタイミングって事だから仕方ない。逃げる方法を考えておくか。
王都に入る列に並び、順番がきたので登録証を出す。王都の中に入ると、猛烈なぐらいにスパイスの香りがする。色んなスパイスの匂いが混ざっていて、むしろ臭くなっていて鼻が痛い
「これは……キツイね! 猛烈に香辛料の匂いがするよ。まさか王都全体がこんな匂いだとは思わなかった。確かに香辛料が沢山取れるんだろうけど、昔と比べても酷くなってる気がするよ」
「思わず鼻を塞ぎたくなるほど、香辛料の香りが強いですね。しかも沢山の種類の匂いが混ざっていて、むしろ臭いんですが……。どうして周りの者達は普通に歩いてるんでしょうか?」
「長い間住んでいて、鼻がバカになってるんじゃないかしら? それにしても、強烈な匂いね。良い匂いでも、ここまで濃くて種類が多いと臭いとしか言えないわ」
「私達は慣れてないから、仕方がないよ。とはいえ、昔来た時と何ら変わらない匂いだ。懐かしくもなるけど、やっぱり臭いと言わざるを得ないね」
「私達はまだマシだと言えるが、マートルは厳しそうだ。先程から鼻をアルドのズボンに押し付けている。ただでさえ狼は鼻が良いのに、そのうえこの香辛料の匂いだからな」
「とにかく、3匹の鼻は常に浄化しておけば耐えられるだろう。代わりに匂いを感じ取れなくなるだろうが、そこは我慢してほしい。臭いよりはマシだろう?」
「ニャ!」 「ガウ!」 「ワン!」
3匹は何度も頷く。相当香辛料の匂いがつらいらしく、匂いが感じられない方がまだマシみたいだ。本来なら匂いで多くの事を判断するマートルでさえ、耐えられずにギブアップした。
まあ、俺達でさえ臭いんだから、マートルが耐えられないのは仕方がない。王都をウロウロしながら【浄化】の権能で浄化していく。周りから匂いが少しずつ減っていくのが分かる。
王都の全てを浄化したら、この匂いは消えるかもしれないな。ちょっと気合い入れて浄化しようか。俺は遠隔浄化も広範囲に使って浄化していくが、入れない場所も結構あった。
途中、食料店に寄って香辛料を金貨2枚分購入する。種類も豊富で値段も安く、王国の王都よりも値段は半分で量は倍だった。その所為でついつい大量に買ってしまった。
マルドーの南門付近に幾つか宿があったので、良さ気な宿に入り6人部屋と2人部屋と1人部屋をとっておく。全部で大銅貨12枚だったので普通の値段だ。王都だし良心的かな?。
折角なので、大銅貨13枚を支払い昼食を注文した。聖水を飲んで待っていると、出てきたのは何とカレーピザだ。……ちょっと待て、何故に? ピザは方向が違う気がするんだが……?。
皆は美味しそうに食べているので何も言えない。でも、何か違う気がするぞ! 物凄くモヤモヤするんだけど……。山羊肉のカレーが乗ったピザは普通に美味しいんだが、素直に納得できない。
「美味しくない……訳じゃないみたいだね。何か納得できないって顔をしてるけど、この料理に何かあるのかい? アタシ達は何も思うところは無いけどねぇ……?」
「実はな。このカレーと下地のピザは、元の世界だと別々の国を代表する料理なんだよ。別に悪くは無いんだ、悪くは無いんだが……。何と言うか、素直に納得できない」
「別々の国を代表する料理ですか……。よく分かりませんが、納得できないものを無理に納得しなくても良いと思いますよ」
まあ、そうなんだけどね。昼食後、6人部屋に集まって、まずは部屋を綺麗に浄化していく。次に、送風機と冷房を設置して魔石をセットしたら、起動して冷房にキンキンに冷えた聖水を入れる。
俺は浄化を続けるが、皆には魔法を書き記した紙を渡して修行しておくように言う。3匹は置いていき、俺1人だけで王都内をウロウロする。浄化をしながら地理を頭に叩き込む。
深夜に浄化しに行くしかない場所を覚えておくのだが、流石に王都だからかスラムが大きい。この国は王都にスラムが集中しているらしく、かなり治安が悪いのが【空間把握】で分かる。
途中で【気配消失】【誤認】【幽体】【霧我】を使い、ほぼ完全に誰にも認識されなくする。【霧我】は認識希薄系の奥義だと思えば分かりやすいだろう。【念術】の奥義の1つだ。
スラムの中に入り浄化をしていく。見たくもないものは見たくないので、さっさと終わらせる。次は神殿だが、ここも腐っているらしく、ジジイと若い女が乳繰り合っている。
それ等をスルーしながら浄化して、さっさと去って行く。夕方頃には、王城も含めて浄化は完全に終了だ。夕暮れの中、宿に向かって歩いているが、香辛料の匂いがしなくなっていた。
俺の浄化も範囲は広くなったし、随分強力になったなぁ……。この世界に来て直ぐの頃なら、多分2日か3日掛けないと浄化が終わらなかったと思う。本当に早くなったもんだ。
宿に帰り部屋のドアを開けると、雑談していたり、真面目に修行をしていたり、寝てたりする皆が居た。声を掛けようと思った瞬間、ダリアが足元に来て甘え始めたので相手をしてやるか。
カエデとマートルも近くに来たので2匹の相手もする。皆に帰ってきた事と、この街の浄化が全て終わった事を伝えておいた。皆は聞いているのか分からない返事だが、まぁいいや。
「今日で浄化が終わったって事は、明日からはダンジョン攻略かい? それとも明日は休みにして、明後日からダンジョン攻略にするかい? アタシはどっちでもいいよ」
「私もどっちでもいいですよ。今日の移動も然して疲れてもいませんし、昼前には到着していますからね。その後は涼しい部屋の中です。明日からでも特に問題ありません」
「私も問題ないわ。今日やっていたのは魔法の勉強ぐらいだし、魔法を覚えるっていう子供の頃と同じ事をしてたぐらいよ。久しぶり過ぎて、懐かしい気持ちになったわね」
「私もどちらでもいいよ。それよりも、浄化魔法のコツを書いていてくれたから本当に勉強になってね。初級の【小浄】にもコツがあって、上手くなるとは思ってもいなかったよ」
「私は明日からで良いと思う。今日は昼から【念術】の修行をしていたが、なかなか上手くなっている実感がない。できれば後で少し見てほしい」
「僕も明日からで良いと思う、特に疲れてないし。今日は紙に書いてある魔法の内、初級魔法だけを繰り返し練習したよ。上手く使えるようになると、魔法って楽しいね」
不老長寿のメンバーは、明日からでも大丈夫か。問題は残りの3人だな。
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0331終了時点
大白金貨3枚
白金貨3枚
大金貨19枚
金貨66枚
大銀貨141枚
銀貨49枚
大銅貨361枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
大海竜の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




