0327
8層に到着した。周囲の景色は当然ながら変わらない。北へ向かって進み転移紋で9層へ。9層も北へと進んで行き、転移紋で10層へと進む。相変わらず高値で売れる魔物が居ない。
光が止み10層を見渡すと、完全に森だった。周囲は見通せないものの、そこまで深い森と言う訳じゃない。【空間把握】で調べると、近くで戦ったり木を伐っている者達は居る。
だが、転移紋へと移動している者達が見当たらない。ここは10層だし、10層からは広くなっている。なので、ここから先に行く傭兵は殆ど居ないのかもしれない。とりあえず探索を始めよう。
「つまり、ここからが本番って訳かい? 腕が鳴るって言いたいところだけど、森ばっかりとなると勝手が違うから難しいね。とにかく慎重に進んで行くしかないか……」
「それが1番良いですよ。焦ったところで早く進める訳ではありませんし、ただでさえ見通しが悪いんですから、慎重に進むぐらいで丁度良いでしょう」
「何処から奇襲されるか分からないわ……普通はね。慎重に調べて、大胆に進む。そういう感じで進んで行くのが、1番良いんじゃないかしら?」
「まあ、気配は分かるからね。森の中でも不意打ちは受けないと思う。戦争の時よりも範囲は広くなってるし、詳細に分かるようになったよ」
俺達は円を描く様に動きながら、転移紋の位置を探っていく。ウロウロしながらも、魔物を倒しては魔石を取って【浄炎】で燃やす。この層でさえジャンプスネークが出てくるくらいだ。
倒しながら進み、南に転移紋を見つけたので11層へと進む。11層へと到着したら、直ぐに南へと進んで行く。南の転移紋から12層へ。12層も再び南へと進み、転移紋近くへ来た。
「東にちょっとした反応があるんで、皆は先に進んで待機しててくれ。俺はちょっと行ってくる!」
俺は皆の返事を聞かずに東へと進んで行く。それなりに進んだ先には、木の上に小型のアイテムバッグが引っ掛かっていた。木によじ登ってゲットしたが、更に東に反応がある。
流石に行った方が良いと判断して進んで行くと、ジャンプスネークを殺して遊んでいる真っ黒なゴブリンが居た。手には大きな鉈のような物を持っており、それを魔物に叩き付けている。
黒ゴブリンは俺に気付いたが、気にせず【浄化】の権能をフルに使って浄化していく。神界の空間を作り出した頃には完全に浄化を終えていた。近付いて血抜き等の処理を始めよう。
処理が終わったので鉈とアイテムバッグを収納したら転移紋へと戻る。そう、黒ゴブリンは何故か中型のアイテムバッグも持っていたんだよ。2つ持ってる奴は初めて見たな……。
鉈は何故か魔金製だった。ある意味1番使えない金属だ。オリハルコンに使うなら通常の金じゃなきゃいけないし、金貨に使われてるのも通常の金だ。魔金であるメリットが無いんだよ。
実際には魔力や闘気の通りは凄く良く、魔力でも闘気でも劣化し難い素材ではあるんだ。だが決定的に使えない点が1つ、それは柔らかい事だ。そこは金と一緒なんで、武具に使い辛い。
柔らかい金属で武具を作っても、役に立たないのは当たり前の事だ。よって、魔道具ぐらいしか使い道が無いんだが、わざわざ魔金で作る意味があるのか? って事になる。
おっと転移紋まで戻ってきたな、さっさと13層へと進む。光が止むと皆が居たが、周りは海だった。……何で急に海になるんだよ。ここは木ダンジョンだろうに。……海産物採るか。
「おっ! やっと来たね。随分遅かったけど、何かあったのかい? アタシ達の方は特に何もなかったし、皆で纏まって休憩をとってたくらいだよ」
「そうか。フォル! リンデ! ちょっとこっちに来てくれ。……そう、小型と中型のアイテムバッグだ。小型はリンデで中型がフォルな。これでリンデは楽になる筈だ」
「「ありがとう!!」」
「アイテムバッグがあったんですか……。相変わらずですが、良く見つけてきますね。普通はなかなか見つからない物ですし、1つでも見つければ幸運だと言われるんですけど……」
「そう言われてもな。木に引っ掛かってた物を取ってきただけだし、中型の方は黒いゴブリンが持ってただけなんだよ。鉈も持ってたんだが、魔金製で物凄く微妙だった」
「あの黒い魔物と呪われた武器があったの!? どこのダンジョンにも必ず1体か2体は居るのかしら? あんなのが居るとなると、怖くてしょうがないわ……」
そんな話をしながらも、近くの海から【空間把握】で調べた獲物を【念動】で引き上げている。十分に手に入れたら、焼き場を作って魔鉄の焼き網をセットする。さきに心臓を出すか。
黒いゴブリンの死体を出して心臓を取り出したら、5等分にして食べさせる。ジャンは相変わらず嫌そうに食べ、ミレイアとリンデとフォルは普通に食べて、マートルは貪っている。
5人の見た目は変わらなかったが、体の中が相当頑強になったのと魔力と闘気が増大している。邪生の心臓よりも、黒い魔物の心臓の方が効果が高い様だ。当然と言えば当然の結果か。
そもそも、あの黒い魔物は【浄化】の権能でなければ、多分浄化できないだろう。それほどまでの”何か”だ。アレの正体自体よく分かってないし、遭った奴は殺されている可能性が高い。
だから黒い魔物に関する情報は全く無いんだと思う。アレが相手だと生き残るのさえ難しい……というより、普通の傭兵では無理だ。体が硬直している間に殺されるのは間違いない。
そんな事を話しながら、焼き網で黒いゴブリンの肉や海産物を焼いている。食べられる内臓は3匹に食べてもらったが、肉は皆で食べている。魚醤かけても、かけなくても美味しいな。
香辛料は出しているが、あまり残ってはいない。今回で使い切りそうだ。魚醤は薄めて使うのでそれなりに残っているのだが……。カレーがあるぐらいだから香辛料は売ってるよな?。
ダンジョンから出たら買って帰るか。皆もどうやら食べ終わった様だ。ゴブリン肉とはいえ、浄化をすれば問題なく食べられるし、黒ゴブリンの肉は予想以上に美味かった。
焼き場を壊して更地にし、聖水を飲んでゆっくりしたら出発する。現在13層だが、【空間把握】で調べても周りに傭兵の反応は一切無い。ここまで来れる者が居ないんだろうなぁ。
俺達は円を描く様に調べていき、南西に転移紋を発見した。転移紋から14層へ。14層も南西へと進み、転移紋から15層へ。15層も同じく南西の転移紋から16層へと進む。
光が止むと、そこは碌に先を見通せない深い森だった。……これは移動する事さえ大変だな。木々が密集して生えていて、動きが相当制限される。ここで魔物と戦うのはかなり難しいぞ。
「流石にここまでの森は初めてだね……。明らかに普通じゃないよ。大森林でさえ、木がここまで密集して生える事は無いんだ。ダンジョンによって作られた森と考えるべきだね」
「ここまで緑が濃いと動きが相当制限されますね。戦うだけの空間がありません。場合によっては魔法を主体にして戦うしかないでしょう。普通の傭兵では攻略出来ませんよ、コレは」
「よくもまあ、こんな層を作るわね。先へと進ませる気が無いというか、攻略出来ないように作ったとしか思えないわ……」
「言いたい事はよく分かるよ。流石にこれは滅茶苦茶だ。進むだけでも骨が折れるだろうし、迷ったらどうにもならない。何より、進む事も逃げる事も難しいなんてね……」
「木を乗り越え、密集している木々の間を抜けて進んで行くしかないな。それにしても、メルの言った通り攻略させる気が無いとしか思えない。確実に殺しに来ていると思う」
「移動するの自体、面倒臭そうだよね? ここまで密集して生えるのは明らかにおかしいって僕でも分かるよ。ダンジョンって妙な所と言うか、不思議な所だね」
「まあ、自然界だと絶対にありえない環境だと思う。流石にここまで密集していると、栄養の奪い合いになって大きくなれない筈だ。ここまで大きい木に成長しているのはおかしい」
密度が高すぎるんだよな。木の横に木が生えている。360度見回しても、そんな景色しかないんだ。
▽▽▽▽▽
0327終了時点
大白金貨3枚
白金貨3枚
大金貨19枚
金貨68枚
大銀貨142枚
銀貨49枚
大銅貨412枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
大海竜の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




