0323
スラムの浄化をしていると、何やら袋叩きにされている場面にでくわした。どうも女性の集団が、金を持ってない男をボッコボコにしているらしい。どういう理由でやってるんだろう?。
漏れ聞こえる言葉を拾うと、「金も持ってない癖にヤりやがって!」という事らしい。金を払う気も無かったのか、そりゃ殺されても文句は言えないぞ。スラムなのに豪気な奴だな。
いや、ただのバカか……。まあ、あれは気にせず浄化を続けよう。子供達が身を寄せ合って寝ている場所があったので、丹念に浄化してやる。当たり前の事だが助ける気は一切無い。
正しくは助ける事が出来ない……だな。俺が持ってるお金では全員を救うのは無理だ。かと言って命の選別をするのか? と言われれば、絶対にしない。だから自然に任せる以外には無いんだ。
生き残るも死ぬも子供達に任せるしかない。誰も彼もを助けるなんて不可能で、命の選別をするのは俺的に論外。となると、子供達に任せる以外は無い。無理なものは無理だ。
ここで助けようとするのは偽善でさえなく、ただの自己満足に過ぎない。全てを救って初めて善であり、一部を救うだけでは偽善だ。そして一度や二度だけ助けるのは、ただの自己満足でしかない。
助けられる側からすれば、一度や二度では現状を凌ぐ助けにすらならず、救われないんだ。スラムの者からすれば、救われない自分を再確認するだけになってしまう。
見方によっては、悪魔の所業とさえ言えるような事だ。だからこそ、善でも無ければ偽善でも無い、ただの自己満足だという事が良く分かる。本当に碌でもない奴って居るからな。
自己満足を善だと言い張る奴や、偽善だと言う奴は地球に沢山居た。本当は偽善にすらなっていない事を、全く理解していない。何故あんなに頭が悪いのかと、何度思ったか……。
嫌な事は忘れよう。仲間と助け合って生きているみたいだし、無関係な奴が介入しても良い事は無い。浄化を終えたらさっさと立ち去り、更に浄化を進めていく。本当に広いなー。
もうすぐ終わりだと思った矢先に、変な連中が屯している場所を発見した。どう見ても怪しさ満点の、周りをキョロキョロと警戒している連中が全部で8人居る。何だコイツ等は?。
「本国からの連絡はまだ無いのか? 一体どうなってるんだ。ただでさえ、ガイアルムに負けて余計な事になってるっていうのに……。ここの領主も盛り返してきてるんだぞ!」
「そんな事は私達も分かってる! 娼婦として潜入して、ここまでの組織にしてきたのは私達なのよ! アンタ達は武力でだって負けてるじゃないの!」
「何だと!? 誰の御蔭で命が助かってると思ってやがる! 俺達が守ってやらなきゃ、とっくに潰されてるか娼婦として生きるしかないんだぞ!」
「止めなさい。今は味方同士で争っている場合じゃないの。私達は、必要ならば普通の娼婦として地下に潜り息をひそめる。それは皇帝陛下からの勅命。決して忘れないように」
「「「「「「「隊長……」」」」」」」
「残念ながら戦争で王国に負けてしまい、本国はかなり揺れている。軍部からの助けが期待できない以上、私も含め娼婦として潜るしかない。皆も覚悟を決めなさい!」
「「「「「「「ハッ!」」」」」」」
帝国の潜入部隊か……。娼婦なんかになって潜入するのは、漫画やアニメでよく見る設定だが現実にもあるんだな。こいつ等は追い詰められてるみたいだし、放っておいても大丈夫そうだ。
それにしても、何処まで入り込んでるんだろうなぁ。伯爵領や王都では暗殺組織。東の侯爵領では側近。ここでは娼婦。どこからでも入り込んでくる奴等だが、排除するのは大変だ。
地下に潜られると追うのが難しいうえに、裏稼業の奴等と違って後ろからの支援が非常に大きい。その為、別の所で直ぐに新しい組織を作られてしまう。完全なイタチゴッコだ。
国家の後ろ盾がある以上は、一地方領主では簡単には勝てないだろう。それでも盛り返しているみたいだし、潜入部隊に支援は無い。つまり、娼婦として生きていくしかない訳だ。
ならば放っておいても、侯爵が何とかするだろう。話を聞きながらも、スラムの全ての浄化は終えてある。後は宿の部屋に帰って寝るだけだ。俺はスラムを脱出し宿へと戻る。
宿の近くまで帰ってきたんだが、7人の薄汚い男が一塊になって何かを話しているぞ? ……またか、この傭兵どもは俺達の寝込みを襲うつもりらしく、こんな所で打ち合わせをしているようだ。
俺は姿を隠したまま、戦斧と小太刀で皆殺しにした後、スラムへと戻り穴を掘って死体を捨てる。【浄炎】で焼いた後に【粉砕】して埋めたら、子供達の所に持ち物を全て置いてきた。
武器や鎧などもあったので、傭兵になって金を稼ぐ事も出来るだろう。金も含めて全て置いてきたので、あの子達の頑張り次第で生活は良くなる筈だ。さっさと部屋に戻って寝よう。
<異世界139日目>
おはようございます。今日は侯爵領を更に南下して商業国家マールに入ります。実はガイアルム王国と商業国家マールの間には、500メートルほどの幅の川が流れている。
東西に長いこの川は両国を綺麗に分けていて、昔から2国間の戦争を無くしている。もっと幅の狭い場所もあるのだが、そこは深い森の中であり危険過ぎて使えない。よって川を渡る。
どうも1日に十数回出ている渡し舟に乗る事で、両国間の移動をするらしい。俺達もそれに乗って行くのだが、香辛料などは商人が持つ自前の船で運ばれるそうだ。船か……楽しみだな。
「おはよう、ダリア、カエデ、マートル」
「ニャ」 「グル」 「ワン」
俺は色々と考え事をしながらも、テーブルの上で【水魔法】を書き記していた。3匹が起きてきたので一旦中断し、水皿に冷やした聖水を入れてやったら書き物を再開する。
3匹は水を飲み終わったのか、昨日と同じく3匹で遊び始めた。今日は俺の邪魔をしようとはしなかったので、スムーズに書き進めていく。皆が起きるまでに、全体の3分の1を書き記せたな。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「ガォ」 「ウォフ」
「今度は水魔法を書き記してるんだね……。あれ? アタシの知らない魔法が既に書かれてる? うーん……知らない事って結構多いのかもしれない」
「仕方ありませんよ。そもそも全ての魔法を網羅している者なんて居ないでしょうし、居たとしてもアルドくらいでしょう。私達の知識は、残念ですがその程度でしかありません」
「そうなるのも仕方がないわ。有用な魔法や強力な魔法の魔法陣はダンジョンなどで見つかるけれど、それを秘匿している者も多いのよ。祖母もそうだったからよく分かるの」
「アルドが言ってた事だね。世の中に情報や知識が出回らないから、いつまで経っても強くもならないし豊かにもならない。魔物を退けるには強さが無ければ無理だよ」
「魔物を退けないと田畑が荒らされて作物が育たないし、作物を沢山育てるには色々な魔法が使えた方が良い。確かに、秘匿すると皆が貧しいままだな」
「でも、自分達が命を掛けて苦労して手に入れた物なんだから、秘匿するのは仕方がないんじゃないかな? 僕だって多分秘匿すると思うよ?」
「別に秘匿しても良いんだよ。ただ、俺は秘匿しないで伝えていくだけだって事さ。その結果、秘匿している情報や知識に価値が無くなっても仕方ないよな? って事なんだ」
「それは……苦労して手に入れた物だろうから、物凄く恨まれるんじゃないかな?」
「恨まれても、憎まれても、俺の知った事じゃないさ。何故なら、俺は誰がどんな情報や知識を持っているか”知らない”んだよ。だから秘匿している物かどうかが分からない」
「分からないから文句を言われても困るって事か。確かにそうさ、秘匿してる奴にはハッキリそう言ってやるべきだね」
俺はこの世界に必要な情報や知識は、なるべく発信していこうと思う。世の中に伝えた知識が、”偶然”秘匿されていた事だってだけだ。
▽▽▽▽▽
0323終了時点
大白金貨3枚
白金貨3枚
大金貨19枚
金貨68枚
大銀貨143枚
銀貨49枚
大銅貨554枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
大海竜の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




