0315
<異世界134日目>
おはようございます。今日はルーデル村へと戻ります。俺1人なら今日中に戻れるんだが、皆と一緒だと明日になるだろう。依頼も含めて急ぐ必要も無いので、ゆっくりと帰れば良いか。
俺は布団から起き上がり、テーブル横の椅子に座り聖水の樽を出したら、冷やしてからコップに入れて飲む。冷たい飲み物で頭が覚醒したら、紙を取り出し【火魔法】を書いていく。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル」
「ニャー」 「ガゥ」 「ワン」
3匹の前に水皿を出して聖水を入れてやると、喉が渇いていたのか勢い良く飲んでいる。入れた分は直ぐに飲みきったので追加してやると、今度はゆっくりと飲み始めた。
そんな3匹を見ながら【火魔法】の魔法陣を書いていく。折角だから、長い時間が掛かっても俺が知る全ての魔法陣を書き記しておこうと思う。死ぬ可能性は低いものの万が一は在る。
死んで失われるなら、先に書き記して残しておくべきだ。誰かに焼かれたりでもしない限り、価値が理解できる者が残してくれるだろう。そういう奴に渡せば、きっと上手くやる。
まだ皆は起きてこないので、昨日と同じく身体強化をしながら書いていく。ガラスペンが壊れないように、音が五月蝿くならないように書いているので、そこまで速くはない。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ」 「グル」 「ウォフ」
「うーん……魔法陣を書いているのかい? これって火魔法の魔法陣だよね。という事は、浄化魔法と同じ様に本にするのかい? ……何の為に?」
「俺が知ってる火魔法と、世の中で知られてる火魔法が同じとは限らないんだ。それに1つ1つの魔法のコツも書いているから、読んで無駄にはならない筈だよ」
「何と言いますか、魔法の本としては世界最高の本になるような気がしますね。普通は秘匿されていたり、一部の者が貧しさから切り売りするぐらいです」
「もしくは一族の秘伝であったり、種族の秘伝であったりするのよ。それをあっさりと世の中に伝えたりすれば、妙な者達が逆恨みしてきたりするかもしれないわ」
「そういう奴は、どうせ始末されると思うけどね。下らない逆恨みなんて私達も許す気は無いし、私達が気付く前に主様が始末しているだろうさ」
「それに魔法だけだろう? 紙の製法や魔力薬や霊薬や仙丹では無いんだ。そこまで逆恨みをする輩も多くはあるまい。使えるかどうかは本人次第だ」
「種族の秘伝とは言うけど、僕は霊薬なんて作れないんだけどね。エルフと言っても、周りにエルフが居ない捨て子や孤児だと無理だよ。知ってる人しか、知らないものさ」
「何でもそうだけど、秘匿するから発展しないんだよな。神様が伝えた技術や知識は、それが全てじゃない。そこから新しい技術や知識が生まれる事もあるんだがなぁ……」
俺は送風機や冷房から魔石を抜いてから、送風機や冷房をアイテムバッグに収納する。まだ火の季節すら終わっていない為、今日も暑くなりそうだ。そんな事を考えながら1階へ下りていく。
1階にはリンデが居たので、自分のアイテムポシェットに送風機と冷房を収納するように言う。リンデは部屋に戻り、送風機と冷房を収納して戻ってきた。俺は遠隔で浄化しておく。
最近は遠隔浄化をする事が増えた。幾ら宿泊費を払っているからと言って、好き勝手に汚して良い訳でもない。なので、遠隔でジャンやリンデの部屋を浄化していたりする。
3人がそれを知っているかどうかは知らないが、3人が部屋に居ない間にしているから大丈夫だろう。皆と雑談しながら待っていると部屋からジャンとミレイアが出てきた。
ジャンに送風機と冷房を収納してくるように言うと、部屋に戻って収納してきた。全員揃ったのでラーファンさんに挨拶をした後、隣の食堂へと歩いて行く。朝早くだが客が多いな。
大銅貨13枚を支払って朝食を注文し、テーブル席に座って聖水の樽を出して勝手に飲むように言う。皆と雑談していると、近くの傭兵達が大きな声で話をしているのが聞こえてきた。
「なぁ、知ってるか? 帝国の皇帝、その信任厚いと言われてる侯爵が処刑されたらしいぞ。何でも神殿に対して妙な事をしていたらしくてな、帝国の神殿が怒ってるんだと」
「神殿にか!? 帝国の奴等は頭がおかしいのか? そんな事すりゃ、浄化してもらえなくなっちまうだろうに。まあ、だからこそ処刑したんだろうけどよ」
「それって、アレだろ? 確か神殿を牛耳ろうとして失敗したってヤツだろ? 俺も昨日聞いたよ。神殿を牛耳って自分の言いなりにしたら、皇帝を追い落とす気だったらしいぜ」
「「おいおい、マジかよ……」」
成る程なぁ。皇帝を引き摺り下ろす気だったのか。それがバレて処刑されたと。本当かどうかは分からないから、話半分くらいに聞いておけば良いか。帝国の事だし、何より遠いからな。
とはいえ、皇帝の側近と思われる侯爵が処刑されたのは事実だろう。神殿にあんなクズを送り込むような奴だ、帝国内の神殿に似たような事をやっていたとしても不思議じゃない。
朝食後、俺達は王都を出てルーデル村を目指す。サウスアルムを通り過ぎ、ディムアスト、ナイダの村、ロワの村で大銅貨13枚を支払って昼食をとる。結構な距離を移動出来そうだな。
昼食後、ゆっくりしてからロワの村を出発する。ゴードの町、シグの村、サングの町で夕日が出てきたが、突っ切ってルーデル村まで行った。夕日が沈みかけているが何とか到着できたな。
門番の犬人族に登録証を見せて、村の中へと入る。そのまま宿へと行き、中に入ると客が大勢いた。女将さんが居るカウンターへと行って挨拶すると、女将さんはビックリしている。
「皆、おかえり! まさか、こんな時間に帰ってくるなんて思わなくてビックリしたよ」
「ただいま、女将さん。2人部屋と1人部屋が空いていると助かるんだけど、空いてるかな?」
「ん~……。ごめんね。2人部屋は空いてるけど、1人部屋は空いてないね。今日はお客さんが多くて、2人部屋が1つしか空いてないんだよ」
「じゃあ、2人部屋を10日間借りるよ。銀貨1枚と大銅貨10枚だった筈だから、それと夕食分の大銅貨13枚も纏めてここに置いておくから」
「まいど。いつもの2階の部屋は空いてるから、そっちは問題ないよ。夕食の方は少し待ってて、すぐに厨房に言って用意させるよ」
俺達はテーブル席に座り、ジャンとミレイアはカウンター席に座る。少し待っていると夕食が運ばれてきたので食事を始めた。やっぱり村の宿の食事は美味いな。王都の食堂とは違う。
何と言うか美味い食事をとると、村に帰ってきたと思える。不思議な感じだが、それが事実なのでどうしようもない。夕食の後、ジャン達はいそいそと2人部屋に入っていった。
俺達は呆れた目でそれを見ながら、リンデを連れて2階の部屋へと行く。送風機と冷房を設置し魔石をセットして起動したら、俺はテーブルの上に聖水の樽を出して十分に冷やす。
部屋の中がそれなりに暑く、今日は熱帯夜になりそうだ。そんな中、椅子に座った俺はアイテムバッグから魔鉄と木を取り出す。この木は、王都のダンジョン内で伐って忘れていた物だ。
魔鉄を【変形】させて刃長50センチで、茎を含めた刃全体で120センチの薙刀の刃を作る。150センチの柄を作り石突を取り付けて組み立てたら、ヴェルに渡す薙刀の完成だ。
短めの物と言っていたので、2メートルぐらいの<静形薙刀>にした。最初に渡して折れた薙刀は、3メートルぐらいあったからな。あの長さは傭兵としては使い辛いだろう。
鞘も作って完成したんだが、何故にリンデが振ってるんだ? それはヴェルに渡す物であって、お前さんの為に作った物じゃない。だから返しなさい、室内で振らない! 迷惑だから!。
何でやる事が皆と同じなんだよ。とにかく振らなきゃ気が済まないのか?。
▽▽▽▽▽
0315終了時点
大白金貨3枚
白金貨3枚
大金貨19枚
金貨68枚
大銀貨148枚
銀貨51枚
大銅貨198枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
大海竜の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




