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0310




 シュラは普通にジャブを打っている。俺が漫画の知識として語った通り、相手を中心にして左に回りながらのジャブだ。こういった戦い方というのは、当然ながらこの世界には無い。


 魔物や人相手に殺し合いをしているのが当たり前なので、スポーツとしての殴り合いなど存在していないんだ。あるのは武器を使っての殺し合いであり、拳で戦う意味は極めて薄い。


 そもそも怪我をする可能性が高く威力も低いうえ、接近しなければ攻撃出来ない為に、危険度はその分上がる。勇気などの意味では褒められるだろうが、言ってみればそれだけだ。


 シュラと対戦相手は、そんな褒められもしない殴り合いをしている。……いや、正確にはシュラが一方的に殴っている。途中から相手も反撃に出てきたんだが、単発の大振りだった。


 それを見たシュラは、普通のジャブからフリッカージャブに切り替えて殴っている。相手がガードしながら強引に前に出てきたら、右フックでテンプルを打ってから距離をとった。


 そして、再びフリッカージャブを打ち始める。段々ダメージが蓄積されてきた相手は、ガードしながら強引に近付いて腕を広げた。どうやら抱きついての攻撃をする気らしく、強引に迫ってきている。


 広げた腕を閉じる前に、シュラは前に出て股間を蹴り上げた。その瞬間、ここに居る多くの近衛が「ヒェッ!」と言葉を発して、直ぐに足を閉じた。対戦相手は泡を噴いて気絶している。


 ライブルがシュラの勝利宣言をした後、シュラは面白くなさそうに帰ってきた。あのまま殴り合いを続けたかったそうだが、相手が耐えられなくなって戦いを切り替えてしまったからな。不完全燃焼で腹立たしいらしい。


 まあ、やっていた事は相手を一方的に殴り続ける事だ。殴っている側は気持ちよかったに違いないが、殴られ続ける方はキツ過ぎる……。


 次の試合はダナか。ダナは右手に大脇差、左手に脇差を持っている。相手は両手に短めの剣を1本ずつ持っていて、互いに同じ様なスタイルらしい。こいつも防具無しか……。



 「私も両手に武器を持つのですが、そろそろ古臭い<剣の踊り子>とやらは退場してもらいましょうか?」


 「へぇ? どうやら、出来うる限り苦しんでから死にたいらしいね。成る程、成る程。なら、お望み通りに殺してやるよ」



 ライブルが試合開始を宣言した直後、いきなり相手が走り込んでくる。それを見たダナは笑顔で待ち構えるが、相手は右手の剣をダナに向かって投げ、袖に手を突っ込んで何かを取り出した。


 それは、魔眼族の里で見た吹き矢の筒にそっくりの物だ。俺は即座に【浄化】の権能を使い、吹き矢の毒を完全に浄化した。吹き矢から放たれた毒矢は、ダナの右足に刺さってしまう。



 「アハハハハっ!! その吹き矢に塗られているのはワイヌーの毒だ!! お前はもう死ぬしかない!! これでやっと邪魔な<剣の踊り子>が居なくなる。私が双剣で1番強いんどぇっ」



 笑っているバカの首を一瞬で刎ねたダナは膝をつく。俺は即座にダナに近付いて、そのまま演技を続けるように言う。実は、【念話】で毒にやられたフリをするように頼んでいたんだ。


 俺は【神聖八重浄化】と【聖潔】を使って毒を浄化するフリをする。実際には、ワイヌーの毒など浄化されていて既に無い。【浄化】の権能を隠したいので演技をしてもらっているだけだ。


 しっかし、ワイヌーの毒という事は、魔眼族の里のアホどもを唆したのはコイツか? ワイヌーの毒だけで決め付けるのはアレだが、作るのに面倒な毒をワザワザ用意するか?。


 それも、今回の公開処刑はアホどもにとっては突発的に起こった事だ。勿論、吹き矢を用意する時間は十分にあった。出番が無い間にトイレに行った奴も居たが……結局分からないな。


 俺が治したフリをしてもらい、お姫様抱っこで皆の下に連れて行く。既にジャンとミレイアとリンデ以外には【念話】で教えているからか、ジト目で見られている。どうも羨ましい様だ。


 それは横に置いといて、やっと俺の番が来たな。随分長かった。このアホを殺せば、今回の依頼は終わりだろう。……ん? ライブルは兵士の稽古って言ってなかったか……?。



 「クソがっ! オマエラの仇は必ずオレがとってやるぞ!! 女の陰にコソコソ隠れている情けないゴミは、このオレの手で殺してやる!!」


 「何を言ってるんだアイツは? ……そもそもあんな奴、戦争の時に居たか? 俺は見てないんだが、誰か見た?」



 オレの質問に当時のメンバーとリンデは首を横に振る。……だよな、オレもこんな奴は見た記憶が無い。大した実績も無いカスが、いったい何をホザいているんだろうな。意味が分からない。



 「コイツが挙げたと言われてる武功だって全部嘘だ!! 女にやらせて自分は陰でコソコソしてただけだろうが!! 卑しいクソが!! オレがブッ殺してやる!」


 「何だ。ようするに武功も何も無い恥ずかしい奴の醜い嫉妬かよ。実に下らんな。もうちょっとマシな理由は無いのか? それともお前のようなゴミには無理か?」


 「テメェーーーーッ!!!」



 いやいや、周りを見てみろよ。お前に白い目を向けてるのが分からないのか? どうやら自分に都合の良いものしか見えないクソガキらしい。……予想通り過ぎて、捻りも何も無い。


 俺はアイテムバッグから王角竜のハサミを取り出して、ジャケットの胸ポケットに入れておく。ちなみにジャンとミレイアとリンデ以外、俺達の誰も防具を着けていない。狩りに行く訳でも無いし。


 当然だが、俺も防具を着ける気はない。ただ、着ているのが海蛇竜の革で出来たジャケットだというだけだ。十二分の防御力を持つが、これはあくまでもジャケットであり服である。


 ライブルが試合開始を宣言した直後、奴は持っている両手剣で斬り込んできた。俺は様子見で両手をダランと下ろしたままだ。ちなみに武器は持っておらず、両手ともに素手のまま。


 奴が両手剣を振り下ろそうとしてきた時、俺は身体強化を使って一気に接近する。剣よりも遥かに速く踏み込み、一本背負いのように投げた。地面に叩き付けた後は、腹を蹴り飛ばし悶絶させる。


 奴は四つん這いで呻いているので上に乗り、ポケットからハサミを取り出す。後は、親指や小指をハサミで切っていくだけだ。王角竜の素材で作っているので良く切れる。


 指を一本切る毎に【浄炎】で焼いて止血していく。なお、【浄化】の権能で浄化しているので邪生には”なれない”。俺はそんな逃げを許すほど甘くはない。


 指をどんどん落とし、両手の小指と両足の親指と小指が無くなった。泡を噴いて気絶しているので、アイテムバッグから木材を取り出して皆を呼ぶ。


 皆がこちらに来る間に、【変形】で大き過ぎない張り型を作って、最初はフォルに渡す。


 フォルは即座に理解したのかバカの身包みを剥いだ後、アイテムバッグから液体を取り出して塗り、ケツに張り型をブチ込んだ。訓練場に悲鳴が響き渡る。


 王太子とライブルの顔が盛大に引き攣っている。バカはケツが大惨事なので逃げる事も出来ない。武門の家の者がケツに張り型入れられて悶絶してるとか、恥にしかならないな。


 バカは皆に押さえ込まれて無理矢……おい。何か声が変わってきたぞ? この場の男連中は思いっきり目を逸らしているが、女性の多くはむしろ近付いて行って観察している。


 ああ、成る程。どうやら皆は、【房中術】を使って無理矢理に快楽を与えているらしい。本当に恥を晒させて、バカに止めを刺す気みたいだ。そして女性達に周りを囲まれていると……。


 完全に逃げ場が無いな。盛大に恥を晒した挙句、殺された奴等の家族の恨みや憎しみの的になればいい。俺達の方にも来るだろうが、そもそもの元凶はあそこで悶絶しているバカだ。


 あいつ等が妙な噂を流したりしなければ、こんな事にはなっていない。その辺りは王太子やライブルが言い含めるだろう。不老長寿に喧嘩売ってるんだし、これぐらいの報復は普通だ。


 そんな事を考えていると絶叫が響き渡った。遂にと言うべきか、盛大に恥を晒したな。どうやら耐えられなかったらしい。しかもフォルは追撃の手を緩めず、更に激しさを増している。


 どこまでヤる気だよ?。



 ▽▽▽▽▽


 0310終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨2枚

 大金貨19枚

 金貨72枚

 大銀貨152枚

 銀貨56枚

 大銅貨151枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 大海竜の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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