表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/1948

0030




 森の拠点に到着した。傭兵は10数人ぐらい居て、森に入る準備をしたり、木を伐ったりしている。どうやら櫓は完成したらしく、櫓の上部で監視している人が見える。


 俺は拠点の中央に行き、昨日と同じ責任者っぽいギルドの職員に話し掛けた。



 「おはよう。今日は洞窟の中を調べに行くが、何か情報はある?」


 「おはよう。特に変わった報告は入ってないな。洞窟に行くなら気を付けろよ」


 「ありがとう」



 何も無い様なので、リヤカーを置いて洞窟へ行く。木々の間を通り抜け、昨日の洞窟前に着いた。


 洞窟は静まり返っている。中に反応があるが、人型の反応は無い。


 俺は【探知】と【無音動作】を使いながら慎重に歩いて進む。洞窟の中は空気が冷えていて湿度が高い。その中を一つ一つ丁寧に確認していく。


 昨日の小部屋の中にはオークの生活雑貨の様な物がいくつかあった。それらを含め、大した収穫も無く進んで行く。



 「「「「「キィッ! キィッ!」」」」」



 移動中コウモリが襲ってくるのだが、脇差で斬り、十手で叩き落として始末している。弱く簡単に倒せるのだが、コウモリは動物で魔石を持っていない。


 つまり倒しても多少の儲けにしかならず、その多少も持って帰って売らないといけない。……と、面倒づくしなので【浄化】して【浄炎】で燃やして捨てている。


 そうやって進んでいると最奥まで辿り着いてしまった。昨日のボスオークとレッドオークが居た小部屋なのだが、中に入ると殺風景で何も見当たらない。ボスが居たのに、何も無い……?。


 余りにおかしいので辺りを詳しく調べる。右の壁の奥の隅、地面から2メートル程の高さの色が明らかに違っていた。土を盛った壁の様なので、【念動】で土を掻き出して中に入る。



 「これ、マジか………?」



 中には黄褐色で、ぼんやりと光る壁があった。これ魔銅じゃないか!? これは報告した方がいい。しかし、何でオークは隠していたんだ? 使う知恵があるのか?。


 オークに精錬や加工が出来るとは思えない。もしかしたら、綺麗だというだけで隠していたのかもしれないな。そんな風に考えていると……。



 「クッサ! ……うわっ、クッサ!!!!」



 驚くほどクサい臭いが、強烈に鼻に来た。悪臭を超えて激臭と言えるほどにクサい! その激臭に耐えられず慌てて外に出た。外に出て落ち着いてから、臭いの原因を考える。


 あの臭い……小部屋………。あそこはボスオークとレッドオークの”愛の巣”だったんだ。……マジか、色んな意味でマジかー。どうりでクッサい訳だよ。答えが分かっても微妙な気分だ。


 あー、証拠が要るなぁ……。マジか? またあの中に行くの? はぁ……行くしかない。気合いを入れて中に入り【土弾】を使って無理矢理に掘り出す。


 普通の魔法使いでは無理だが俺なら可能だ。掘り出した魔銅鉱石を手前の小部屋で精錬し、証拠として持ち帰る。


 ちなみに魔銅の鉱床を浄化しないのは、俺だけ臭い目に遭うのが腹立たしいからだ。


 もう、この洞窟さっさと出よう……。結局この洞窟の調査は、危険でもワクワクでもなく”クサい”で終了した。


 拠点に戻り、リヤカーを牽いて拠点を出る。今から村に戻れば、ちょうど昼ぐらいだろう。


 村に着き、ナンサンドを買ってからギルドへ行く。魔銅の報告なんだが、どう説明したものか。


 答えが出ないままギルドの扉を開けて中に入る。すると、中から大きな声が聞こえてきた。



 「ふ~ん。あの”剣の踊り子”が、男にうつつを抜かすんですね」


 「昔の名前を出すんじゃないよ! ”血狂い”!」


 「おやおや、私は昔の名前じゃなくて現役ですよ。年を取って鈍りましたか。男に構っているからでしょうね?」


 「うるさいよ! アタシがどんな男と一緒に居ようが、アタシの勝手さ!」


 「その男は貴女が入れ込むほどの”イイ男”なんですか? 本当に?」


 「そんな事アンタに関係ないだろ! さっさと帰りな!」



 何だ? 何やってるんだ? 何かダナが知らない女性と口喧嘩してるが……。相手の女性もダナと同じレベルの美女だ。凄く絵になる二人だな。


 その美女はダナや俺より身長が高く、190センチより少し上だと思う。黒髪のストレートで腰まであり、先の方をリボンで纏めていて紅い目をしている。


 中の喧騒を無視してミュウさんの所へ行き登録証を出す。何故なのか分からないが、さっき口喧嘩していた美女がこちらに来て、恭しく俺の手を取り言った。



 「私の主様……」


 「はぁ?」



 何言ってんだこの人、頭は大丈夫か? 病院……は無いな、薬師の所に行った方が良いんじゃないか? どっかのアニメかゲームかよ、この展開。


 そんな事を考えるほど現実逃避をしてしまった。なぜならダナは苦虫を噛み潰した顔をしており、周りは白い目で見てくるからだ。俺が何をやったって言うんだ、俺は無実だ!。


 どうしていいか分からず困っていると、溜息を吐いたダナがこっちへ来た。



 「おかえり、アルド。何かあったのかい?」


 「ただいま、ダナ。現在進行形で何かが起きてる」


 「それは放っときな。今日はオークの拠点に行くんじゃなかったのかい?」


 「行ってきたんだけど、一番奥に魔銅の鉱床があったんだよ」


 「何だって!? 本当かい!?」


 「あぁ……間違いない。コレが証拠だ」



 俺が精錬した魔銅を出すと、横から美女にひったくられた。ちなみに、何故か美女は俺の手を取ったままだ。どうしたものか……?。



 「これはまた……純度が高く綺麗な魔銅ですね。これは主様が?」


 「いい加減に手を離しな! シュラ!」


 「ダナ、なぜ貴女が怒るんです? 関係ないでしょう?」


 「アンタが手を握ってるアルドは、アタシの男さ!」


 「……今、何か戯言が聞こえた気がします」


 「気がするんじゃなくて、聞こえてるだろう! ”アタシの男”さ!!」


 「……これからは私の主様です」


 「何、勝手な事言ってんだい!?」



 面倒になってきたので【闘気術】の【気配消失】と【無音動作】、それと【念術】の【誤認】と【幽体】を使う。


 この場に居る全員の認識と意識を誤魔化し、椅子に座ってナンサンドを食べよう。


 【誤認】は名前の通りの技で、一定範囲の者が持つ使用者への認識を誤認させる。【幽体】は使用者の存在を意識し辛くさせる技だ。どちらも隠密系の悪用厳禁な技だ。



 「勝手な事ではな!?……主様!? 一体どこに!?」



 俺は美女の後ろにある椅子に座っているのだが、俺が認識し辛くなっているので見つからないのだろう、ダナもキョロキョロしている。仕方がないので、食事を終えた後に全て解除した。


 驚いている美女を尻目にダナがこっちに歩いて来る。俺は食事が終わり口内を浄化していたんだが、突然キスをしてきた。長めのキスを受け入れていると美女がこっちに来て、再びダナと喧嘩を始める。



 「ダナ! 何をやっているんです!!」


 「アタシの男だと言ってるだろう! アンタ!?」



 いつまで経っても終わらない気がするので、こちらからもキスをして見せておく。結局この美女は何がしたいんだろう?。



 「///チュッ……アルド」


 「な、なぜ……!?」


 「いや、なぜも何も。そもそも貴女は誰なんです?」


 「あっ!? そういえば名前も名乗っていませんでした。私の名はシュライア。盗賊や賞金首専門の傭兵で、ランクは11です」


 「ランク11!?」


 「はい、私の上には一人しか居ません。ですがアレは実力ではないので、私が実力では一番上となりますね」


 「なるほ!?」


 「///チュッ……アルド。//チュッ……」


 「貴女はいつまでキスしてるんですか!? 離れなさい!!」



 さっきと状況が真逆になってるなぁ……。何だこのカオスな空間は? 勘弁してくれ。周りの奴等はさっきまで白い目で見てきていた癖に、今はいつも通りのジト目で見てくる。


 いつまでもこんな事をしていられないので、【念力】を使って意思を放出する。意思だけならビックリさせる程度で済む。



 「はい、落ち着いて! まずは椅子に座って!」



 二人は少し硬直した後、落ち着いて椅子に座った。やれやれ、やっとまともに話が出来る。



 ▽▽▽▽▽


 0030終了時点


 金貨9枚

 大銀貨13枚

 銀貨26枚

 大銅貨11枚

 銅貨9枚


 鋼の脇差

 鋼の十手

 鋼の槍

 石斧

 オーク革の鎧

 革と鉄の肘防具

 革と鉄の膝防具

 革と鉄のブーツ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ