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0303




 「まず説明しておくと、ここにあるのは精錬した鉄だ。限りなく純鉄に近く、99.9999……と続くほど純度の高い鉄だと思ってくれ」


 「純度……。つまりは、限りなく鉄そのものに近いという事か。しかし……さっき使っていたのは【錬金魔法】だろう? 相当劣化して使い物にならないんじゃないのか?」


 「俺は殆ど劣化させずに変化させられる。そういう風に教え込まれたからな。まあ、それはいい。純度の高い鉄の特徴としては、柔らかく粘り強いという特徴がある」


 「ふむ。柔らかく粘り強いか……。折れ難い反面、武具などには使い辛いのではないのかな? そこはどうするのだ?」


 「実は、鉄に炭素という物を混ぜると鋼になる。鋼は炭素が多いと硬く折れやすくなるという特徴を持つんだ。つまり鉄と鋼を上手く使えばいい」



 俺はそう説明してから、1つのインゴットに炭をくっ付けて炭素を【抽出】して【合成】する。【練成術】の【均質】を使い、3パーセントの炭素を均等に【合成】して良質の鋼にした。



 「これが3パーセントの炭素を含んだ鋼だ。これと柔らかい鉄を使いグラディウスを作っていく。まず初めに柔らかい鉄で芯になる部分を作る」


 「おおっ! 相変わらずウニョウニョ動きながら形になっていきますなぁ……。魔法陣が出ていなければ、目を疑う光景です」


 「確かにな。私も初めて見た時には、驚いて言葉も無かった。それにしても、錬金魔法や練成魔法では素材が劣化すると聞くが、君が作ると極めて優秀な物になっているが……?」


 「……ふぅっ。簡単に言うと、オドでは傷付くがマナでは傷付かないんだ。自然のマナで鉄は魔鉄になる。つまり、素材が傷付くのはオドであってマナじゃないとなる」


 「まあ、それは当然の事ですな。研究者の間では、確か魔力が薄く緩やかだから傷付かないのでは? ……そう言われていたと記憶しております」


 「分かってるじゃないか。もう1つは意思があるかどうかだ。オドとマナの違いは、そこに何者かの意思が介入しているかどうかだ。マナは無色であり、オドは色つきなんだよ」


 「色……? まさか、私達が取り込んだ魔力は”個人の意思”という色が付くのか!? つまり、魔力を緩やかにして意思を限りなく少なくすれば劣化しないと……」


 「大正解。ただし、それが出来る様になるまでには、長い時間の努力か天才という才能が要るけどね。さて、ゆっくりと作ったがグラディウスの芯が完成した。これの外側に鋼を使う」



 俺は柔らかい鉄で作った芯を、硬い鋼で覆っていく。ある程度の厚みで覆って【融合】したら、鋼だけを【変形】して刃を作る。完成したら、周りに居る鍛冶師にみせてやった。


 「おぉ~……」とか言ってる横で、気に入らないと言わんばかりの顔をしている連中が居るな。俺はそんな奴等を放っておいて、目釘と持ち手と鞘を木で作る。終わったら組み立てて完成だ。



 「うーむ。前に君が作った物と同じだな……非常に美しい刀身だ。おっと、藁束が来たな。ライブル、試し斬りを頼む」


 「ハッ! お任せ下さい!」



 ライブルは立てられた藁束をバッサリと切り捨てる。その後、質の悪い近衛の剣を持って来させ、地面に突き刺した後で切っていた。まあ、俺が作ったんだから当然の結果だろう。


 「おぉ~!」という声をあげる連中と、苦虫を噛み潰した顔の連中とに別れている。どうやら態度の悪い奴等は、帝国の間者と懇意にしていた連中みたいだな。


 自分達の作った物が、質の悪い役立たずだと証明されたようなものだから当然か。ただ、この場であからさまな態度をとっている時点で、こいつらの先行きは暗い。


 王太子や近衛騎士団長の居る場において、ここまであからさまに気に入らないという態度をしていては、王太子や近衛騎士団長の顔に泥を塗る事になる。


 そんな事も分からない連中らしいが、どうやら炙り出す為の場でもあるんだろう。自分の技術に自信があるのか知らないが、既に役立たずと証明されたしな。コイツ等どうするんだ?。



 「少々お聞き下さい! この者がやっているのは魔法での剣の作成であり、我等が使える訳ではありません! このような見世物に意味などあるのですか!?」


 「また随分な泣き言だな。俺は知識を教えてやっただけだ。後は鍛冶師が試行錯誤するのが当たり前の事だが、「自分達は頭が悪くて出来ません」とでも言うつもりか?」


 「ぐっ! キサマ……」


 「お前らさぁ……。さっきから何度も苦虫を噛み潰したような顔をしてたが、その態度が王太子殿下や近衛騎士団長の顔を潰してるって理解してないのか?」


 「はぁ?」


 「どうやら全く理解してなかったらしいな。周りの鍛冶師を見てみろよ。お前等のような者とは関わりたくないとさ。お前等アホどもから距離をとってるだろう?」



 実際、理解している奴等は一緒にされたくないと、このアホどもから離れて距離をとっている。そもそも王太子の顔を潰しておいて、今まで通りで済む筈がないんだがな……。


 今更ながらに自分達のしてきた事がマズいと理解したようだが、気付くのが余りに遅すぎた。大多数の鍛冶師達とアホどもの間に、明確な線が引かれたように分かれてるんだ。


 まるで生き残りと脱落者のように明確に別れてしまっている。それが何を意味するのかを理解したのか、近付こうとするアホどもと離れようとする他の鍛冶師が睨み合っている。



 「アレは放っておいて、次は何を作ればいいんだ?」


 「出来得るならば、前に作って頂いた戟と戦斧を作って頂きたい。……後は使い勝手の良い武器も合わせてお願いします」


 「分かった。まあ適当に作るかな?」



 俺は戟の枝と槍の穂を作る。枝と穂先を鉄と鋼をサンドして作り、穂先から下はただの鉄にする。当たり前の事だが、柄の中の部分は粘り強く折れ難い方が良いからだ。


 そんな事を語りながら、柄を作り差し込んで目釘で固定する。枝も穂先の根元に固定して石突を取り付けたら完成だ。王太子に渡すと、熱心に振ったり突いたりと感触を確かめている。


 それを横目に戦斧に取り掛かる。総鉄製の三日月刃を持つ戦斧……つまり俺達が持ってるのと同じ形の物だ。柄の長さは100センチで、刃の大きさは30センチのシンプルな戦斧だ。


 さっさと作り、これも王太子に渡す。戟を渡す時は近衛がザワっとしたが、2回目なのでスルーされた。それなりに重い戦斧も熱心に振って感触を確かめているな。王太子のする事か?。


 最後にメイスを作るのだが、フランジという刃が6枚付いたメイスを作成した。これも王太子に渡したが、妙な顔をされたので聞いてみると、この形のメイスは無いそうだ。


 俺はフランジの部分に威力が集中する為、普通のメイスより威力が高い事を説明した。王太子は直ぐに同じ形の兜を3つ用意するように言い、命じられた近衛は慌てて走って行った。


 少しの間、戟や戦斧について鍛冶師と話していると近衛が戻ってきた。……王太子自らメイスの威力を試すらしい。思いっきり振り下ろした結果、兜がひしゃげてし跳んでしまった。


 兜の頂点部分はパッカリ割れており、人だったら頭がカチ割られていた事が分かる。俺はメイスに関して質問責めにされたので、1人づつ丁寧に答えていく。



 「確かにメイスは優秀だ。されど、近衛などはどうしても蛮族の武器と見る者が多いだろう。そこについてはどう思う?」


 「そこを説得するのが偉い人物の仕事じゃないのか? ……まあ、いいけどさ。俺なら戦争の現実を言うだろう。見栄えで勝てるほど戦争は甘くないとな」


 「まあ、確かにそうです。華やかな舞台と思っておる者もおりますが、タダの殺し合いでしかありませぬ。見栄えを気にするより勝つ方が先なのは、当たり前の事ですな」


 「うむ。負ければ国土を奪われ、どれだけの民が苦しむか分からぬ。国家として、負けることなど許されてはおらぬからな。そう考えれば、勝つ事を最優先とせねば……」


 「皆さん、まだこちらにおられたのですね。帰ろうと思って馬車に乗ると、ここに連れて来られたので驚きました」



 リンデ達が近衛の訓練場に来たって事は、第二王妃との話は終わったみたいだな。



 ▽▽▽▽▽


 0303終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨71枚

 大銀貨153枚

 銀貨49枚

 大銅貨205枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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