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0301




 「うむ! これは冷たくて美味しいな!」


 「そうですな。兄上の所で作られている物で作れる飲み物ですか……。まさか、このような飲み物に出来るとは思いませんでしたな。私が子供の頃からある物ですが……」


 「飲み物にしようと考えないと、ずっと飲み物にはならないだろうな。案外、色々な物が注目もされずに不遇な扱いを受けてるかもしれない」


 「水飴に水を加えるって発想をする奴が多くないだろうね。更に、そこに生姜を混ぜるって発想をする奴はもっと居ないだろうさ」



 何でもそうだけど、最初に作った奴や食べた奴や飲んだ奴は、ちょっとズレてると思う。ナマコだったりフグだったり蒟蒻だったり。何故それを食べようと思ったと聞きたくなる。


 目で見て食べられるとは思えない物や、誰かが食べて死んでるのに食べたり、無理矢理にでも食べてやろうという執念だったり。そういったものを感じるんだよなぁ……。


 王太子とライブルは伝えるべき事を伝えたからか直ぐに帰っていった。俺達も部屋へと戻り、ゆっくりする。浄水の樽を出して冷やすと、水飴と生姜が欲しいと言われた。


 水飴もそれなりの値段がするが、果物に比べれば安い。更に水で薄めるので値段は下がるだろう。ただ、<冷やしあめ>はルーデル村では無理だな。北の侯爵領は思ってるより遠い。


 おっと、考え事をしていて3匹の相手がおざなりになっていた。ちゃんと相手を致しますよっと……うん、ワシャワシャをしてやるとテンションが上がってるな。相変わらずか。


 マートルは尻尾を振り過ぎだろう。物凄く激しく振れてるぞ。そんなにワシャワシャが好みか? いや、本当にちょっと喜び過ぎ……あー、まあ気に病む事はないぞ。仕方がない事だ。


 2匹も大人になったな。ちゃんとスルーしてあげられるようになったか。そうそう、2匹も嬉ションしちゃったんだ。あ、痛っ! ……こらっ! 爪は止めなさい、爪は。


 マートルの失敗も恥ずかしい失敗じゃない、2匹も通ってきた道で……痛っ!? 噛むのも止めなさい。失敗をする事は恥じゃないぞ。失敗を繰り返すのが恥なんだ。だから気にすんな。


 部屋の中では、いつもの4人は酒を飲んで良い気分みたいだ。ディルとフォルは今日のダンジョンの事もあり修行中で、時折間違った部分を指摘して修正させている。


 ただ今までと違うのは、酔っ払いどもは酒を飲みながら微弱な身体強化をしているところだ。酔っていても身体強化は出来ているのだが、当然綺麗には出来ていない。


 変な感覚を覚えられても困るんだが……。後で修正するのは結構大変だから、大人しく酒を飲んでなさい。そう言うと身体強化を止め、酒を飲むのに集中し始めた。


 3匹が寝るまで遊んでやったら、4人は既に眠っていた。どうやら酒に呑まれたらしい。ディルとフォル相手に【鋭覚】と【精気】を使い、何度も何度も撃沈させる。


 2人は大満足で布団に寝ているが、俺は起きて【探知】と【空間把握】を使っている。解体所の帰りから、ずっとこっちを見張ってる奴等が居るんだよ。敵意も悪意も感じない相手は初めてだ。


 何故そんな奴がこっちを監視しているのか分からないが、監視され続けているのも気持ち悪い。さっさと調べて、必要なら始末する。それが1番手っ取り早いんだ。


 そう思い、【気配消失】【誤認】【幽体】を使い窓から外に出る。こっちを監視しているのは1人だけであり場所も分かっている為、そいつの背後に回り観察する。



 「あの妙な集団を監視しておけって、変な仕事だよな。仕事だからやるが、別に手を出す訳でもなければ買収する訳でもない。いったい雇い主は何を考えているんだか……」



 ん~? 雇われてる訳か……。これは困ったな。こいつを尋問しても雇い主に繋がるかどうか分からない。しょうがない、【忘我】も使って聞き出そう。使いたくない技なんだが……。


 【忘我】というのは、一時的に自我を失わせる技だ。ただ、制御に失敗すると一瞬で廃人になってしまう危険極まりない技でもある。自信はあるんだが、失敗するとなぁ……。


 とにかく【忘我】を使い自我を無くす。その後【白痴】を使って聞きだしていく。下らない事であれば良いんだが、碌でもない事に繋がってる恐れもあるし、しっかり聞いておこう。



 「お前はいったい何者で、何故あの部屋を監視している? お前の雇い主は何処の誰だ?」


 「俺はランク5の傭兵。監視しているのは仕事。雇い主は傭兵ギルドで、新しいギルドマスターから直接仕事を請けた」


 「そうか、分かった。御苦労様だ。少しゆっくりと休むと良い」



 俺はそう言って【昏睡】を使い、強制的に眠らせてその場に横たえる。その後、傭兵ギルドに移動して【空間把握】で調べると、ギルマスの部屋っぽい所に女が1人居る事が分かった。


 俺は傭兵ギルドに侵入し、【止音】を使いながらギルマスの部屋まで行く。どうやら熊人族らしく、特徴的な耳が見えている。夜遅くなのに、残って執務を続けているらしい。


 俺は【衝気】を使って気絶させた後、【忘我】と【白痴】を使って聞き出す。すると、大変面白い状況である事が分かった。どうも前ギルマスは、そもそも帝国の人間だったらしい。


 傭兵ギルドは現在帝国に対して厳しいスタンスをとっている。理由はギルドと傭兵への離間工作と戦争への強制参加、更には帝国に忠誠を誓う者を傭兵に仕立て上げた事。


 それら3つの大きな工作を傭兵ギルドへ行った為、帝国はギルドの本部からかなり敵視されている。その帝国の工作員だった前ギルマスを殺害したのが、俺ではないかと予想した。


 その為に監視させているみたいだ。ただし、俺が不老長寿だと知っているらしく、迂闊な事をする気もないらしい。ルーデル村に問い合わせたりしたらしいが、手応えは無いそうだ。


 暗殺組織を潰したりして相当派手な事をしているにも係わらず、何故か一切の証拠も無ければ目撃者も居ないという不自然さ。その事でかなり疑っている様だが、いかんせん証拠が無い。


 その所為で碌に進んでいないのが現状らしい。ちなみに傭兵ギルドの本部は「証拠が無い以上は不問とする」そうである。勝手に犯人扱いすると、これから先、困った事になるからな。


 証拠も無しに犯人扱いして処罰とか、絶対に暴動が起きる。流石に傭兵ギルドの本部も、それはマズいと分かっている様だ。全て纏めれば、この新しいギルマスの勇み足という事になる。


 ギルマスになって日が浅い為、功績が欲しかったんだろう。良かったな、無理矢理になんてやってたら始末していたぞ? 俺はギルマスに【昏睡】を使った後、全て直してギルドを出た。


 それにしても、実績作りと言うか点数稼ぎと言うか、どっちにしても下らん話だ。傭兵ギルドの本部に対してのものなのか、王都の傭兵達に対してのものなのかは知らないがな。


 それよりも、傭兵ギルドの本部はディルの故郷の事をしっかりやってんのかね? どのみちディルが戻らない以上は終わりだから、切り捨ててもなんら不思議じゃないが……。


 そもそもギルドの暗部なんてものが、ディルの故郷1つな訳が無い。ちゃんと責任持って後始末しないと、他の暗部の連中が傭兵ギルドを信用しなくなる。場合によっては見限るだろう。


 その辺りを考えれば、傭兵ギルドの本部と総長は失敗を認めないといけない。頭を下げるという事が出来るのか、ゆっくりと見ていようと思ってる。内心では「ざまぁ!」って思ってるし。


 部屋に戻って椅子に座り、ゆっくりと浄水を飲んでいるとダナが起きた。そのまま部屋を出て……どうやらトイレに行ったらしい。再びボーっとして、何も考えずにリラックスする。


 ダナはトイレに行っている間に覚醒したらしく、部屋に戻ってきておねだりしてきた。仕方なく【房中術】と【至天】でキメておき、ベッドに寝かせてやる。


 流石に眠たくなってきたので、逆らわずに寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。



 ▽▽▽▽▽


 0301終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨71枚

 大銀貨153枚

 銀貨49枚

 大銅貨216枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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