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「速攻!!」
「「「「了解」」」」
おぉー! ジャンは速攻を選んだか。なかなか面白い決断をする奴だな。敵の出方を見る事も無く、先に叩き潰してしまおうって気概は悪くない。ただ、一つ間違えると被害が出るぞ?。
ディルとフォルはタックルシープに近付き、突進してきたところを迎撃するように前足を斬った。そのまま放っておき、他の魔物の対処を優先する様だ。残りの1頭はフォルが倒した。
ジャン、ミレイア、リンデはブラウンゴートに苦戦中だ。1頭に襲い掛かると別の1頭から土や石が飛んでくるので、攻めあぐねている。膠着状態を作られてしまっているな。
その隙に、ディルとフォルが左右から大回りにブラウンゴートに接近している。それを嫌って2人に土や石を飛ばすと、前から3人が攻めていく。どうやら膠着状態は打破出来たみたいだ。
左右の2人が接近する振りをすると、ブラウンゴートは一斉に土や石を飛ばす。それをチャンスとして、前の3人は身体強化で一気に近づいて攻撃する。3人とも狙ったのは首だ。
ジャンは槍で突き刺し、ミレイアは戟の枝を振り下ろし、リンデは槍で斬り落とした。俺は観戦しながらタックルシープを処理して収納していたが、変な奴等が見ているな。
3人が倒したブラウンゴートを処理した後に収納しても、見ているだけで何もする気は無い様だ。近くにある鉱山を守っている奴等か? いちいち気にしても仕方がないか……。
5人は再び北西へと歩いて行く。こっちを見ていた奴等はついてくる気は無いようで、ずっと見ているだけだった。もしかしたら魔鉄でも掘っているのかね? それなら分かるんだが。
そのまま北西の転移紋までに、ブラウンゴート5頭とタックルシープを7頭倒した。転移紋に辿り着いた時にはそれなりに疲れていたので、休憩してから進むらしい。休憩後、13層へ。
光が止むと真っ暗だった。ジャン達は明かりの用意をしていなかったが、【光球】の魔法は教えてある。5人が【光球】を使って見た景色は洞窟だった。……最悪だな、これは厳しいぞ。
「アルドさん……。洞窟ですけど1層は進んでみたいと思います。最悪の場合、助けて頂けますか?」
「昨日と同じだ。もう無理だと降参したら助けてやる。ただし、限界までは自分達で頑張って進め。じゃないと、結局甘えてるのと変わらないからな」
遭難して死ぬ事は無いと分かったからだろう、今の内に出来得る限りの事を経験しておこうという気概が感じられる。良いぞ、その考えは正しい。助けて貰える間に、出来る事をやれ。
洞窟の中で出てくるのは、ブラックバットとポイズンバットだ。ポイズンバットは厳しいな。強い毒じゃないが、放っておくと命に係わる毒だ。準備不足が露呈した形だな。
俺はポイズンバットに傷を受けた事を教えてやり、シュラとアルメアに【聖潔】を使わせる。ダナには【暗視】や【天耳】の鍛錬を、メルには【光球】で鍛錬をさせている。
5人はなるべく傷付かないように戦っているものの、多勢に無勢の状況だ。20匹に一斉に襲われたら、流石に無傷ではいられない。5人とも洞窟の恐ろしさを痛感した様だ。
ブラックバットもポイズンバットも、魔石以外に価値が無い。魔石を抜き取ったら、4人に交代で【浄炎】を使わせて焼いている。ダナとメルも浄化魔法を覚えたいらしい。
まあ、使えた方が良いのは間違いないし、結構な毒も病気も浄化できる。自分で使えるのが1番安心なのは間違いない。メルは、【清潔】を5個同時に完全制御する練習に切り替えた。
俺は昨日から、5人の後ろを歩きながら【浄化】の権能で浄化している。自分で戦わなくてもいいので浄化しているのだが、思っている以上に邪気が多い。やっぱり流入しているな。
昨日浄化したにも係わらず、今日も大量に邪気があった。つまり、何処からか邪気が流入していないと説明がつかない訳だ。ダンジョン内の他の層か、それとも外からか……。
どちらにしても、俺が浄化するべき対象である事に変わりは無い。結構な広範囲を浄化出来るので、それだけの広範囲を浄化しながら歩いている。当然だが前方は浄化していない。
ダンジョンモンスターは浄化すると弱体化するので、手を出す訳にはいかない。そんな事を考えていると、5人が立ち止まってしまった。どうやらギブアップの様だ。
「申し訳ありません、もう無理です。明らかに準備不足ですし、ポイズンバットがどうにもなりません。魔法とか、色々修行しないと駄目な事が分かりました」
「それが分かれば良い。大事な事は、今の自分には何が足りないのかを知る事だ。足りないものを埋め、また足りないものを知る。これの繰り返しだ、強くなるって事はな」
俺は【空間把握】で把握している道を辿り、脱出紋に皆を連れて来た。ジャン、ミレイア、リンデは悔しさを抱えたまま脱出していく。今回の事は、きっと良い経験として残るだろう。
外に出た俺達は王都へと戻り、解体所へ向かう。途中、何人もの傭兵がジっとこちらを見ていたが、悪意や敵意は無かった。何だったんだろうな? 注目される事なんてあったか?。
解体所で、魔石96個、小狼12頭、茶蛇11匹、ブラウンゴート8頭、タックルシープ10頭を売る。大銀貨10枚と銀貨32枚と大銅貨224枚になった。
1人大銀貨2枚と銀貨6枚と大銅貨44枚にして、残りの銀貨2枚と大銅貨4枚は俺にくれるらしい。まあ、くれると言うなら貰っておこう。気持ちも含まれているだろうしな。
まだ夕食には早いので宿に戻った後、部屋でゆっくりと休む。まあ、お猿さん達は休む事もしないのだろう。ゆっくりイチャイチャしていると夕方になったので、1階に下りて食堂に行こう。
丁度リンデも部屋から出てきたので一緒に食堂に行き、大銅貨11枚を支払い注文する。夕食後、宿へ戻ると王太子とライブルが居た。……いったい何しに来たんだ? 忙しいだろうに。
「こんばんは。すまないな突然押し掛けて。君に作ってもらう武器なんだが、他にも幾つか頼みたいのだ。剣だけではなく、槍や斧やメイスなどの君が役に立つと思う物を教えてほしい」
「兵務卿も軍務卿も財務卿も認めましてな。膿を出すだけでは足りぬと。帝国を弾き返すだけの力が必要だと強く言われまして、陛下も了承されました」
「しかし、魔銅の事もあるし相当国庫に負担があるんじゃないのか? 軍の装備という事は鉄か鋼なんだろうけど、それでも負担は大きいだろう。……大丈夫なのか?」
「君が心配する事ではない……と言いたいところだが、帝国と繋がっていた家は随分と溜め込んでいたのだ。その御蔭と言うべきか、使い道を探さねばならん」
「そりゃまた……。国が使い道を探す金額って、ちょっと洒落にならないな。まあ、分かった。鉄と木を用意してもらいたいんだが……頼めるか?」
「その辺りの素材であれば、既に用意してありますぞ。それと……明日は王女殿下をお連れ頂けませぬか? 第二王妃様の御要望なのです」
「あら? お母様がですか……。陛下ではないという事は、侯爵家の事か、私と話したいだけのどちらかですね。明日、皆さんと一緒に向かいます」
「うむ、すまぬな。……先ほどから妙な物を作っているが、それはいったい何なのだ? いや、飲み物なのは分かるのだが……」
話してる横で俺が作っているのは<冷やしあめ>だ。水飴と水と生姜を混ぜて作る飲み物で、大阪で飲まれている物だったはず。詳しくは知らない。昔、缶に入っているのを飲んだだけだ。
配合とか分からないから、かなり適当に作っている。水飴に浄水を混ぜてから、【圧縮】した木を【変形】しておろし金? おろし木? を作って生姜をすりおろす。
すりおろした生姜を、水飴と浄水を混ぜた物に入れて混ぜる。これで完成だと思うんだが、とりあえず飲んでみるか。……こんなものかな? 昔飲んだのと違うけど、同じ物は無理だ。
商品として作られた物と、素人の手作りを比べてもなぁ……。
▽▽▽▽▽
0300終了時点
大白金貨3枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨71枚
大銀貨153枚
銀貨49枚
大銅貨216枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ