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 小狼の処理を終えたので収納して出発する。真っ直ぐ歩いて進んでいるが、未だに突き当たりには到達していない。戦闘をしながら進んで行っているが、魔物が襲ってくる頻度が多いんだ。


 その所為か段々と5人の集中力が無くなってきた。細かく少数が襲ってくるので、その度に足を止めて戦わなければならない。それが結構なストレスになっている様だ。



 「こういう経験も、あの子達には必要だからね。ディルは経験してるからマシだけど、他の子達は明らかにイラついてるよ」


 「弱い魔物が細かく何度も襲ってくるので、思っている以上に進めないんです。ここでイライラしてチーム内で喧嘩になったりしたら最悪ですが、我慢できますかね?」


 「大丈夫……と言いたいところだけれど難しいわね。こういうイライラって何故か我慢出来なかったりするから、慣れるしかないわ」


 「何度もこういう経験があれば、イライラが溜まっていてマズいって分かるんだけど……。ディル以外は経験が無いだろうからね。王族だったリンデでさえ、我慢出来てないよ」


 「ムカつく貴族と関わってきたリンデでさえ我慢出来ないか……。まあ、アレは嫌がらせをされ続けている気分になるしな。仕方がないとは思うが……ジャンはしっかりしろよ」



 一応5人のリーダーはジャンという事になっている。これはジャンにリーダーの経験をさせる為だ。だけど経験が無いからか、ストレスを溜めながら進もうとしている。


 こういう時は一度立ち止まって休憩し、ストレスを減らして気分転換をさせなきゃいけない。集中力が無くなってるから、余計にストレスが増えるという悪循環に陥っている。


 イライラしながら戦闘して歩いているので、ストレスが増大する一方だ。流石にこれは駄目だな。そう思っていると、突き当たりに辿りついた。この方角は間違いらしい。



 「5人とも、ここで昼食だ! もう昼だし、5人の状況を考えると限界に近い。このままだと諍いを起こす可能性が高いんで、無理矢理にでも昼食にする!」



 そう言って、焼き場と焼き網を作る。串肉を皿に出したら、自由に焼かせる。3匹には小狼の内臓を出した。5人はストレスから解放されたからか、深々と溜息を吐いている。


 俺は自分の串肉に、浄水で薄めた魚醤を塗って焼く。魚醤が焦げる良い匂いを嗅ぎながら、反省点を5人に教えていこう。流石に諍いを起こされても困るうえに、仲裁も面倒だ。



 「つまり、ああいったイライラからチームが上手くいかなくなって、諍いや喧嘩になってしまうんですね。リーダーは上手に休憩を取らなきゃいけないんだ……」


 「あまり悩む必要は無いけどな。軽く見なければいいんだよ。自分がイライラしてたら仲間の顔を見て、仲間もイライラしてたら”マズい休憩しよう”。そう考えればいいんだ」


 「それにしても、嫌がらせのような襲われ方だった。今思い出しても腹が立つ! 苦戦したのは最初の5頭だけで、後は1頭や2頭が出てくるだけだ。しかも倒し終わった後に!」


 「どう考えても、こちらを怒らせる為にワザとやっている気がします。ダンジョンの魔物はダンジョンに支配されているそうですから、あれがダンジョンのやり方なんでしょう」


 「厭らしい攻撃だよね、僕達をイライラさせて内部から潰そうなんて。ダンジョンがこんな搦め手を使ってくるなんて驚きだけど、やられる方は厄介極まりないよ」


 「何か分からないが焦げた良い匂いがするな。アルド、私もそれを使っても良いか? 成る程、こうやって塗ってから焼くのか。……焼いては塗って、また焼くと」


 「「「「………」」」」


 「ん? ああ、私がイライラしていない理由か? 単に慣れているだけだ。ダンジョンには100回以上潜っているからな。今まで沢山の事があったので、それだけ経験してきている」


 「まあ、だからこそアルドはディルをリーダーにはしなかったんだよ。経験のある奴がリーダーをしたら疑わないだろ? それはチームにとっては良くないのさ」


 「リーダーが1人で何でも出来る訳ではありません。だからこそ、リーダーには見えていない部分を見る事も、チームメンバーには必要なんですよ。つまり補助ですね」


 「確かにリーダー1人で何でも出来るなんてあり得ないな。ここは私が支えねばならないだろう! ジャンも私ならば安心して任せられる筈だ!」


 「誰も何も言っていないのですから、お好きにしなさい。ただし、ちゃんと補助をするんですよ。貴女の場合は妙な補助をしそうで、イマイチ信用できませんからね」


 「うん? 焦げた時も思っていたが、海の物というか魚の匂いがするのだが……。これはなかなか美味しいな。何度も塗って焼いたからか、味が染みていて香ばしい」


 「「「………」」」


 「ディルの言う通り美味しいね。僕も貰って焼いてみたけど、塩味以外にも不思議な味と匂いがする。好みの分かれそうな味と匂いだけど僕は好きだよ」


 「昔だったら食べなかっただろうけど、今は問題ないね。ちょっと海の香りがするけど、この程度なら生臭いとは思わないよ」


 「ダナは海の臭いが嫌いでしたからね。あの頃、海の近くで半季節ぐらい過ごしたので慣れたようですが……。恩人からの依頼でなければ、さっさと帰っていたでしょう」


 「私は海の匂い結構好きよ。それはともかく、恩人の依頼で海にまで行ったの? この国からだとかなり遠いのに。それほどの恩がある相手だったのかしら」


 「海の香りは好きでも嫌いでもないけど、この魚醤と言うのは美味しいね。シュライアが一緒に居たという事は結構前なのかな?」


 「恩があると言うより、口添えをしてもらっただけさ。アタシの二つ名である<剣の踊り子>。そう呼ばれる原因となった貴族との諍いで、助けてくれた女だよ」


 「ダナを手篭めにしようとした貴族も、ダナを助けてくれた貴族も、どちらも帝国の者なんです。助けてくれたのは、エルダ海洋国と接している辺境伯でした」


 「隣の子爵がアタシに手を出してきたけど、「帝国の貴族が恥を晒すな!」と激怒したんだよ。それで、当時の皇帝に直談判までしに行ってくれたのさ。その後、大変だったけどね」


 「あの辺境伯は半季節もの間、私達にかなりの仕事を依頼してきましたからね。アレが狙いだったとしても、恩がある以上は仕方がありませんので、かなり頑張りましたよ」



 そんな話を聞きながら、俺は用の無くなった焼き場と焼き網を壊す。5人は十分に休息がとれたからか、顔色はかなり良くなっている。流石にこれなら揉め事は起きないだろう。


 現在地は突き当たりだ。正しくは東の突き当たりとなる。ここからどっちに行くんだろうな? ……左か、つまり北に行く様だ。5人は周囲の警戒をしながら歩いて行く。


 端に居るからか魔物はそこまで襲ってこない。適度に倒しながらも突き当たりまで進んだ。次も左に進んで行く、つまり西だ。どんどんと進んで行くと突き当たり近くで人が消えた。


 慌てたように5人が確認に行くと、そこには転移紋があった。つまり山フロアは北西に転移紋があるらしい。安堵したように転移紋に乗って11層へと進む。


 11層に到着して直ぐに北西に向かって歩いて行く。小狼や茶蛇が出てくるも、さっさと始末して先へと進む。北西に転移紋があったので、乗って12層へと進んだ。


 12層に到着後、直ぐに北西へと向かう。しかし、その途中で初めての魔物と遭遇した。ブラウンゴートとタックルシープだ。それぞれ3頭ずつ居て、5人より数が多い。


 初めての相手なのでジャンも迂闊に指示出来ない。かといって、このままバラバラに戦うのは絶対に良くない。ここは迎撃しかないと思うが、ジャンは何を選択するのかな?。


 皆と【念話】で色々予想しているが、結構な盛り上がりを見せている。ダナは攻めると見ていて、シュラは防御、メルは指示が出せない、アルメアは迎撃と見ている。


 リーダーとしての真価が問われる……とまでは言わないが、重要な決断だぞ?。



 ▽▽▽▽▽


 0299終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨71枚

 大銀貨153枚

 銀貨47枚

 大銅貨223枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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