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 <異世界1日目>



 光が止み目を開けると、目の前は川と森だった。足元には砂利や石、後ろには鬱蒼とした森が広がっている。


 神様から事前に何処に転移させられるかは聞いていたが、手付かずの自然に圧倒されてしまった。


 目の前の川で自分を水面に写して確認してみると、驚きのあまり叫ぶところだった。


 顔が違う!? 誰だこのイケメン!? と思ったが、神様に与えられた肉体であり本来の肉体じゃない事を思い出す。


 身長は元の自分と同じ187センチ。髪の色は青銀色で目の色は金色という、実にファンタジーな色彩だ。


 神様は18歳ぐらいの肉体になると言っていたが、見た感じそれぐらいの歳に見える。もうツッコミを入れる気も起きず、頭を切り替えて現状把握を始めよう。


 神様から与えられると聞いていた物は、どうやら身に着けている様だ。装備を見ると、自分が居るのはこういう世界であり、そういう時代なんだなと妙な納得をしてしまう。


 麻の長袖シャツ

 麻のパンツ

 麻のズボン

 革のサンダル

 革のベルト

 麻のリュック

 青銅の短剣


 これらを身に着けていた。


 この惑星の文明は地球で例えると、3世紀~5世紀の辺りにファンタジーを足した感じらしい。ただ、進んでいる部分もある。理由は魔道具が有るからだ。


 鉄製の物は貰えなかったが、魔神は【錬金術】と【練成術】で武具を作ればいいと言っていた。


 石や木で作っても相当の物が作れると思うが、実際に作ってみないとわからない。錬金と練成は、魔力で物質に様々な変化をさせるという技術だ。


 ちなみに体内魔力を【オド】、体外魔力を【マナ】と言うと教わった。ただ”漫画やラノベでよく聞く言葉だ”という感想しか持てなかったが。


 【魔術】を使える者は下界に居ないらしいので、人がいる所では【魔法陣】を使用する【魔法】を使うしかない。教わった意味はあったんだろうか?。


 闘神との修行で、特に使い方を叩き込まれた長柄の武器を作ろう。……と考えたものの、よくよく考えれば木を伐る斧が必要だと気づく。


 まずは石斧を作るのだが、なんかクラフトゲームみたいだなと笑ってしまった。


 足元の石をたくさん拾い【錬金術】の【融合】で一つにまとめ【練成術】の【圧縮】で硬く圧縮する。


 柄は木の枝をへし折り【錬金術】の【乾燥】で乾燥させ【練成術】の【分離】で枝の皮を剥ぎ【融合】し【圧縮】。さらに【練成術】の【変形】で形を整える。


 【変形】で石に斧刃部分を作り、石を整えながら柄の入る穴を開けて柄を通す。通した柄の表面と、そこに接する石の面を【融合】しておけば耐久力は高くなる。


 その後、木を伐り枝を落とし【乾燥】【分離】【圧縮】をして硬い丸太を作る。この丸太と足元の石で作るのは鉈と槍だ。


 鉈は刀身20センチ程の使い勝手のいい物にする。槍の柄は直径5センチ程度で長さは160センチ、穂先は長さ40センチで断面が菱形の素槍にした。


 鉈も槍も木で作り、刀身や穂先を石で被覆する形になるのだが、それでも圧縮しているため重量はそれなりにある。


 魔神に散々に叩き込まれた為、この程度なら簡単に作成可能だ。革のベルトは、ベルト兼剣帯という物なので左腰に鉈と短剣を差す。


 短剣は後ろに持ち手が来る様に差し、奪われない様にする。


 石斧と余った物は【練成術】の【破砕】で砕き【練金術】の【粉砕】で粉にして捨てていく。


 神様に聞いた村は川を2キロぐらい下って行けば見えてくるらしいので、そろそろ出発しよう。森の中で夜を明かすのはゴメンだ。


 この惑星は一日が28時間ぐらいで、一年は320日あると神様は言っていた。俺を下ろす場所は1年を通して暖かい場所だと聞いている。この惑星は地球よりも大きいらしい。


 【念術】の【探知】を使いながら進む。【探知】は自分の周囲の生命や精神や魂を探知して発見する技だ。集中すると距離は結構伸びるが、その場合は動かずに集中する必要がある。


 歩いていると左前方の森の中から妙な声が聞こえてきた。



 「グゲゲッ」



 どこからどう見てもゴブリンだ。身長120センチくらいの緑の肌で、ゴブリンと言わんばかりの生物が一匹いる。


 そいつは声を上げながら、持ってる棒を振り回して近づいてきた。せめて何か履くか巻けよ、素っ裸はやめろ。


 俺は走り出し、仮称ゴブリンの喉元に槍を回転させながら抉り込む。闘気と魔力を使い身体強化を全力でしている為か、ゴブリンは反応もできなかった様だ。


 ドパァン!!


 首が千切れて飛んでいくのを、唖然としながら見送る事しか出来なかった。



 「なんだアレ!? ……あんな威力があんのかよ!? 今の内に気づけてよかったけど、爺さん……聞いてたのと違い過ぎるぞ!?」



 マッシブな赤髪の爺さんがイイ笑顔でサムズアップしている姿を幻視し、思わず拳を握りそうになって止めた。ここには居ない。


 思わず腹を立て、神様に愚痴を言ってしまうくらいには衝撃映像だ。ただ、命を奪っても何も感じないのは聞いていた通りだった。


 命を奪う事に罪悪感を感じないのは、この肉体による影響だと神様は言っていた。


 悪行ではなく、生き残る為の殺しや狩りには、罪悪感や忌避感を感じない様に創られている。そういう肉体を与えられたということを実感した。


 ついでに不老だし。……これから俺はどうなっていくんだろうか?。


 ゴブリンの死体も売れるはずだが、今は村に行く事を優先する。【浄化】の権能を使用して、仮称ゴブリンの肉体や精神に魂を浄化したら後は置いていこう。


 この世界にはアイテムボックスやストレージの様なスキルは存在しないが、アイテムバッグの様なたくさん入る鞄や袋はある。


 ダンジョンで手に入るものの、結構な金額を出さないと買えない高価なものだ。持っているとバレると命を狙われる事もあるらしく、神様はくれなかった。


 ……何故か作り方は徹底して教え込まれたけど。


 そんな事を考えながら歩いていると、2キロ歩いたのか森が無くなり遠くの方に村っぽいものが見える。


 <馬車に乗る貴族の令嬢が襲われる>。そういったテンプレは無い様だ。助かった……。


 人助けと考えれば分からなくもないのだが、その後のデメリットが大きすぎると思うんだよな。貴族令嬢救出。


 俺ならどうするんだろう? 無視できるのか? ……できたらいいなぁ。


 結局テンプレも起きずに村の近くまでやってきた。近づくと予想していた以上に、この村が大きいというのがよく分かる。村というより町といった方がいいと思う大きさだ。


 村には大きな柵と堀があり門番が居る。柵と堀ぐらいは村にないと命を守れないのだろう。魔物や邪生がいる以上は当然かもしれない。建物は木造が多い様だ。


 近づいて、入り口の門番に声を掛けようとした時に気づいた。門番は犬の獣人だ!。


 神様から獣人やエルフやドワーフ、さらには魔人族や吸血鬼族など。様々な種族がいる事は聞いていたが、実際に見るとやはり衝撃は大きい。


 一旦深呼吸をして、落ち着いてから声を掛ける。



 「こんにちは、村に入りたいんだが金額は?」


 「こんにちは、入村税は大銅貨1枚だよ」


 「銀貨しかないんだがいいか?」


 「大丈夫さ、お釣りの大銅貨19枚だ。ルーデル村にようこそ」



 お金を入れる袋はリュックの中にお金と共に入っていた。しっかし貨幣は紙幣と比べて重いな……。


 門番の脇を通って村に入るとようやく一息吐くが、早々に宿を取らないと寝る場所に困る。近くの人に宿の場所を聞くと、真っ直ぐ行った所にあると教えてくれた。


 宿は直ぐに見つかり中に入る。一階の半分近くは食堂になっていて、カウンターに受付の人が居るな。額に角がある35歳ぐらいに見える人が俺に声をかけてきた。



 「いらっしゃい。泊まりかい? それとも食事かい?」


 「泊まりだけど、部屋は空いてるかな?」


 「空いてるよ。ウチの1人部屋は一泊大銅貨3枚。夜の食事込みなら大銅貨4枚で、朝も食事込みなら大銅貨5枚だよ」


 「なら10泊食事なしで。銀貨1枚と大銅貨10枚ね」


 「まいど。部屋は一階の突き当たりで鍵はコレ。ところでお客さんの名前は?」


 「俺の名前はアルドゥラム。アルドと呼んでくれ」


 「アルドさんね。部屋は綺麗に使っておくれよ」


 「了解」



 この世界の貨幣価値は何処の国でも殆ど変わらない。


 銅貨5枚で大銅貨1枚

 銅貨100枚または大銅貨20枚で銀貨1枚

 

 銀貨5枚で大銀貨1枚

 銀貨100枚または大銀貨20枚で金貨1枚

 

 金貨5枚で大金貨1枚

 金貨100枚または大金貨20枚で白金貨1枚

 

 白金貨5枚で大白金貨1枚

 白金貨100枚または大白金貨20枚で星貨1枚となる


 星貨は国家間の取り引きぐらいでしか使われないらしい。


 今持っているのは金貨3枚に大銀貨5枚と銀貨8枚、それに大銅貨9枚だ。神様はそれなりにお金をくれたみたいだな。


 部屋に入り本当の意味で一息吐く。やっと休める場所を確保できた……。



 ▽▽▽▽▽


 0002終了時点


 金貨3枚

 大銀貨5枚

 銀貨8枚

 大銅貨9枚

 銅貨0枚


 青銅の短剣

 石の鉈

 石の槍


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