0298
<異世界127日目>
おはようございます。今日もダンジョンアタックの日です。昨日の事もあるし、今日は森エリアを突破できると思うんだがどうなる事やら。上手く進めると良いんだけどな。
「おはよう、ダナ。珍しいな」
「チュッ! おはよう、アルド」
ダナは周りをキョロキョロ見回しているが、誰も起きてない事を理解したんだろう、小悪魔のような表情を浮かべている。いきなりディープキスをされた後、イチャイチャが始まった。
ストレスが溜まってたんだろう、非常に激しくて濃いスキンシップがしたいらしい。仕方がないので、ある程度【房中術】を使いながら応えてあげた。……今は布団でダウンしてるよ。
「おはよう。ダリア、カエデ、マートル」
「ニャー」 「ガゥ」 「ワン!」
見ていたのか知らないが、3匹もスキンシップをご所望の様だ。俺は魔鉄でもう1つブラシを作り、右手と左手と【念動】でブラシを掛けてやる。絵面が悪い気がするが、気にすんな。
3匹はうっとりしながら身を任せている。しっかし普通の犬猫も好きなんだよな、確か。何が琴線に触れるんだろう? まあ、大人しくしててくれるなら、何でも良いか。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「……」 「……」 「……」
「3匹はうっとりしてるね。アタシには分からないけど、そこまでになる理由はあるんだろう。それにしても蕩けるような表情をしてるよ」
俺が左手に持っているブラシはディルに取られ、【念動】で動かしてるブラシはフォルに取られた。俺がダリア、ディルがカエデ、フォルがマートルを梳いている。
俺以外がやっても3匹は蕩けた表情のままだ。何かヤバい薬でもキメたんじゃないかと心配になってくるレベルだな。さてブラシも終わったし、そろそろ食堂へ行くか。
部屋を出て1階に下りると、スッキリした顔のジャンとミレイアが居た。それとは対照的に機嫌の悪そうなリンデが居る。……どういう事だ? 何があったのか聞いた方が良いな。
リンデに不機嫌の理由を聞くと、夜に宿の外が五月蝿くて眠れなかったそうだ。ある程度で騒音は止まったが、眠れるタイミングを逃してしまった為、寝るのに苦労をしたと。
少し寝不足なので機嫌が悪いらしい。……ジャンとミレイア? スッキリしてる理由なんて1つしかないだろ? いちいち聞く気なんて無いよ。聞いたって惚気が始まるだけだ。
食堂に行って大銅貨13枚を支払い、朝食を注文してテーブル席に座る。浄水を飲みながら待っていると、昨日の邪生に関して話している奴等の声が聞こえてきた。
「知ってるか? 昨日の夜、この辺りに邪生が出たらしい。しかも邪生になってたのは、あの<ゴールドフラッグ>の奴等だったんだってさ」
「知ってる、知ってる。元<ゴールドフラッグ>の奴等が邪生になって暴れてたうえ、神官どもは何もしないで逃げてったそうじゃねーか」
「俺も知ってるぞ! 高いお布施取って偉そうにしてる癖に、肝心な時には何の役にも立ちゃしねぇ!! まともな奴も居るけど、神殿を出て浄化してほしいぜ!」
「そうそう。そしたら俺達も気持ちよく金払ってやるのにな! 神殿のクソッタレどもの懐に金が入るなんて納得できねぇ!!」
「「「そうだ! そうだ!」」」
ん~? コレって神殿への工作か? エルフの狂信者達が指示したなら、コレが彼らのやり方か……。正直言ってエゲツないと言うしかないな。神殿がやる事を、そのままやり返している。
つまり神殿の土俵にあがって、神殿を真正面から叩き潰すと言っているようなものだ。真正面から堂々と宣戦布告したんだからな、ある意味トンデモない事をしている。
内部は腐っていても、一応は権威ある組織だ。そこを真正面から潰すと言ってるんだから凄い。エルフの狂信者がやらせてるなら、間違いなく本気だ。
……何だろう? この流れで、浄神がまた小躍りしている気がするな。たぶん気の『ええ、小躍りしてますね』せいだと……してるのかよ! まあ、散々煮え湯を飲まされて来たからなぁ……。
食事後、部屋へ戻って装備を整えたら出発だ。王都を出てダンジョンへと入る。1層から6層の魔物は、なるべく相手にせずにさっさと進む。昨日挫折した7層に無事到着した。
「どこに転移紋があるかは分からない。でも、持って来た水に矢草を浮かべて、方角を確認しながら調べよう。地道に調べれば必ず発見できる」
そう言うと、ジャンは近くに生えていた矢草を千切り、コップに水を入れて矢草を浮かべる。すると矢草は北の方角を指した。それを元にジャンは北へ進んで行く。
突き当たりに当たったら西へ。西に突き当たったら東へ。東に突き当たった時、脱出紋の位置を大まかに木の板に記した。そう、現在ジャンはマッパーをやっている。
食堂で色々聞かれたんで答えてやったんだ。その後、魔鉄で鉛筆のような形の物を作って渡しておいた。当然この世界に鉛筆はまだ無い。だから木を傷つけて書いている。
矢草で方角を確認して、マッパーが書き記す。そうすれば、昨日のような失敗はしないだろう。方角はミレイアが確認している。他のメンバーは周囲の警戒と戦闘だ。
戦闘はミレイアもやってるが、戦闘要員が減るのは仕方がない。永遠に彷徨い続けるかもしれない、それよりは大分マシだ。少しずつローラー作戦で調べていく。時間掛かるなぁ……。
途中にネイルラビットが居たので殺して解体する。串を作り、【熟成】した肉を刺して塩を振ったら収納する。それを繰り返し26本の串が出来た時点で止めた。1人2本でいいだろう。
昼食の準備をしていると、やっと南東で転移紋を発見した。発見するまでに集めた魔石は34個もある。随分ウロウロした証でもあるが、見つかって良かったな。転移紋で8層へ。
8層も南東へと進み、転移紋を無事発見した。9層へと進むと、同じ様に南東へと進んで行く。9層も南東に転移紋があったので10層へと進む。森にリベンジは出来た様だな。
光が止んだ後に見えた景色は、山だった。【探知】と【空間把握】で調べたら、鉄鉱石を掘り出してる奴等がそれなりに居る事が分かる。どうやら鉱山地帯らしい。
「鉄の取れる鉱山地帯か……。5人はどうするんだろうな? 一応調べるのか、それとも無視して進むのか。鉄を掘る事は無いだろうから、どのみち先に進む事になるが……」
「鉱山地帯か……。山だから山の魔物が出ると思うけど、10層目だからそれなりの魔物が出てくるだろうさ。あの子達は大丈夫かねぇ?」
「10層目……。少なくとも、ブラウンゴートは出てくるでしょう。他には……タックルシープ辺りですかね? どちらも色々面倒ですが……」
「タックルシープはダッシュボーアと同じ突進攻撃だけれど、毛で武器が滑るのよね。それに、山で出てくる魔物の中では冷静な魔物だから戦い難いわ」
「ブラウンゴートは土や石を飛ばしてくる能力持ちだし、5人はここからが大変なんだけど分かってるのかな? 未だキョロキョロしてるけど」
「次に進む方向を知りたいのかもしれないが、傭兵も減ってきているから難しいだろう。更に、10層からはダンジョンの広さが倍になる。調べるのも大変なんだが……」
どうやら5人は歩き始めた様だ。方角が分かっているのか知らないが、とにかく転移紋を探し出さないとな。歩いて進んでいると最初に現れたのは、5頭の小狼だった。
5頭の小狼に上手く連携されている為、分断出来ないみたいだ。また小狼の速さに対応出来ていないので苦戦している。このまま膠着す……ディルが強引に1頭倒したな。
飛び掛ってきた小狼が空中に居る時に、【念動】で無理矢理落とす。突如真下に下ろされた小狼の首から上を唐竹割りにして倒した。かなり強引だが、現状は打破出来ただろう。
4頭になった事で連携に綻びが出来たからだろう、5人が連携して次々倒している。結局、ディルが最初の1頭を倒した際に勝敗は決まっていた。
傷を負わなかったのは良かったが、対策は考えておくようにな。
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0298終了時点
大白金貨3枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨71枚
大銀貨153枚
銀貨47枚
大銅貨223枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ