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 5人は足取りも重く北へと進んで行く。魔物との戦いも殆ど無く、ただ黙々と森の中を歩いて行くだけの状況に嫌気が差しているんだろう。ゾンビの集団が徘徊しているみたいだ。


 ついに北の突き当たりまで来てしまった。ここから西に行ったところで透明の壁に突き当たった所まで戻るだけだ。5人はどうするんだろうな。そろそろギブアップだと思うが……。


 ああ、ついに5人全員が頭を下げてギブアップ宣言をした。なので、この場所から南に歩いて行き、4キロほど進んだら西へと進んで行くと脱出紋があった。転移紋の場所は教えない。


 5人は泣きそうな顔をしているな。森で迷ったのが相当堪えたらしい。解放された喜びと共に、脱出紋から外へと出る。外は丁度夕方だったので、王都へと戻り解体所へ行く。


 ネイルラビット15、ビッグラット9、魔石が22個。全部で大銅貨70枚だった。5人で分けると、一人当たり大銅貨14枚。これが今日半日の儲けだ。3人はガッカリしてる。


 それでもアイテムバッグやアイテムポーチ含め、他の新人傭兵より遥かに恵まれているんだぞ? 他の新人なんて、1日大銅貨3枚ぐらいの儲けしかない奴が大半なんだと、ダナが説教をしている。


 周りの傭兵達もウンウン頷いてるんだが、何で他のチームの話を聞いてるんだろうな。もしかして暇なのか? 3人は説教を受けて反省したみたいだ。よかった、よかった。


 ディルとフォル? 受け取った時も普通だったよ。ディルは厳しい時なんて幾らでもあったと言ってるし、フォルは若い頃なんてお金が手に入るだけで嬉しかったと言ってる。


 あの3人は、厳しい状況や環境に置かれた事が無いから分からないんだろう。ジャンは弟子入りするまで苦しかった筈なんだが、短い間だったので忘れてるのか?。


 そう言うと、ジャンはビックリした後に愕然としていた。ミレイアの事を含めて色々あったので、初心をすっかり忘れていた様だ。思い出したのなら、しっかり反省しなさい。



 「溺れていたワケじゃないんだろうけど、初心を忘れるのは良くないよ? どんな奴でも慢心したり驕るようになったら終わりさ」


 「ですね。心の隙というものは、どれだけ強くなっても付き纏います。1番の敵は自分自身ですよ? その事は忘れないようにしなさい」


 「確かに1番の敵は自分自身ね。だからこそ、二人はもっと頑張らないといけないわよ?」


 「明らかに余計な一言だったね、シュライア? ディアーナもだけど、2人はもうちょっと真面目に鍛錬に励まないとね」


 「「は~い」」


 「今回の事は痛恨の極みだった。何度もソロや臨時でチームを組んでダンジョンに入っていたのに、基本の準備すら忘れていた。ちゃんと準備しておけば、あんな事には……」


 「仕方ないよ。僕も何回もダンジョンに入った事はあるけど、すっかり頭から抜け落ちてた。いつもアルドに甘えてたから、今回のような結果になったんだ。後悔より反省しないとね」


 「そもそも5人は矢草を知らないのか? 水に浮かべれば北は分かっただろうに、なぜ矢草を使わないのか不思議でしょうがなかったがな?」


 「「「あっ!?」」」


 「へぇー。知ってたのは、ジャンとディルとフォルかい。ディルとフォルはともかく、ジャンは知ってたんだね。知ってるのはディルとフォルぐらいだろうと思ってたよ」


 「子供の頃にサングの町で倉庫を整理する仕事をしていたんですが、その時に聞いた事があるんです。その後、遊びで水に浮かべた事があるんですよ。それを思い出しました」


 「そうなのか……。水に浮かべれば必ず北を向く草があるとは。そんな物があるなんて初めて聞いた。驚きだが、あの苦しい場所を突破する方法はあったんだな」



 そんな事を喋りながら食堂へと入り、大銅貨13枚を支払って夕食を注文する。直ぐに来たので食べていると、大きな音がして騒がしい奴が食堂に入ってきた。



 「皆、聞いてくれ! 王都の超有名クラン、<ゴールドフラッグ>が解散するんだってよ。何でも王様と王太子殿下が激怒される事があったらしく、解散命令が下ったそうだ!」



 その話で周りが一気に騒がしくなったが、俺達としてはどうでもいい事だ。普通に食事を再開して黙々と食べていると、横のテーブルに居た傭兵から話しかけられた。



 「お前さん達は気にならねぇのか? あの<ゴールドフラッグ>が解散したんだぞ!? 王国の民の為に頑張ってきたクランが解散するなんて、驚くべき事だろうが!!」


 「そうだぞ! 俺達傭兵は自由民なんだ。何で王様や王太子殿下が解散させるんだよ、オカシイだろう!! お前さん達もそう思わないのかよ!?」



 鬱陶しいので周りも含めて弱く威圧した後、<ゴールドフラッグ>が貴族のクソガキだらけだった事。<ゴールドフラッグ>の名を使って女性を手篭めにしていた事などを話してやった。


 静まり返っていた店内が爆発したような騒ぎになったが、俺達は無視して宿へと戻る。俺はラーファンさんにリンデの部屋を頼み、9日分大銅貨18枚を支払う。


 リンデに送風機と冷房を渡し、部屋へと行くのを見送ってから考える。貴族のクソガキどもはどうするんだろうな? おそらくだが、今まではクランと実家の名で相手を潰してきた筈。


 しかし、俺達には通用しない。それどころか、<ゴールドフラッグ>の息の根を止めたとすら言える。逆恨みしても良いが、死ぬ覚悟ぐらいしろよ? 宿の外で見張っている、諸君。


 今まで散々やってきた悪行の結果が、自分達に返ってきただけだぞ? こちらに対して恨みと憎しみを向けているが、【浄化】の権能を持つ俺に対しては……アレ? 邪生になった?。


 おいおい、マジか? アイツ等、俺達を恨みすぎて邪生になったぞ……。俺しーらないっと。こっちに何か言ってきたら助けてやるけど、言って来ないなら無視だ無視。関わる気は無い。


 宿とラ-ファンさんは浄化しておこう、ただし他の奴は知らん。外が騒がしくなったからか、皆は訝しげにしている。大声で話す訳にもいかないので、小声で説明する事にした。



 「外に解散した<ゴールドフラッグ>の残党が居たんだが、こっちを恨みながら見張っていた所為で邪生になったんだ。それで、外が騒がしくなってるんだよ」


 「あのバカども、逆恨みで何かしようとしてたのかい? その結果、邪生になったって……ただの笑い話じゃないか。本当に下らない連中だよ」


 「アルドは助けないのですか? 邪生が暴れているのでしょう? 下界の掃除の為にも……ああ、周りの者が邪魔なんですね」


 「そうね。でも、浄化魔法を使えば解決するでしょうに、それもしないという事は……」


 「いや、大した意味は無いぞ? こっちを便利屋扱いされても困るって事と、神殿の奴等が何とかしろって事だ」


 「成る程ね。王都で邪生が出たんだから、当然浄化するのは神殿の役目だろう。仮に主様が浄化するにしても神殿の連中が降参してからだろうね」


 「少しは神殿の連中も現実を直視すればいい。邪気を浄化するだけの自分達が実力不足である事を。散々高いお布施を取っておいて、フォル達にあんな事をさせていたのだからな」


 「神殿の中に居ても、神官が実力不足だなんて思った事も無かった。でもアルドから色々教えられると、修行不足なのは明らかだからね。流石に僕も擁護は出来ない」



 まあ、そもそも擁護する必要も無いほどに実力不足なんだがな。神殿の連中は話にもならない。金儲けしか考えていない組織に成り下がってる以上は、当然なんだろうけどな。


 浄化したのだから、お布施を貰うのは問題ない。だが、今の神殿はお布施が先になっている。つまり浄化をするという事と、生活の為に収入を得るという事が逆転してしまっているんだ。


 お金を得るのは生きていく手段であって目的じゃない。いつの間にか手段が目的になってるんだ、だから浄神は激怒してる。「ただの金儲けなら、神殿を出てやれ!」と言ってるのもその為だ。


 ちなみにだが、浄神は浄化魔法を使っての金儲けは否定していない。その金儲けで下界の浄化が進むなら「どんどんやれ」というスタンスだ。


 それを聞いた皆は驚いているが、神様はそんなもんだぞ?。



 ▽▽▽▽▽


 0296終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨71枚

 大銀貨153枚

 銀貨47枚

 大銅貨236枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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