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0294




 謁見の間を出て、王城の中を歩いている。元々は小さな式典の予定だったので、帰りも馬車に乗らなきゃけないらしい。まあ、後は帰りだけなんで良いけど。


 そういえば、リンデはこのまま俺達と居て良いのか? 別れの挨拶とかしなくて大丈夫? ……ああ、特に必要ないと母親から言われたのか。そこで父親が出てこない辺り流石だな。



 「陛下はどうも謎の王妃様の大ファンなんだそうです。王城にある肖像画を初めて見た時に一目惚れしたと聞きました。私は謎の王妃様に似ているらしく、それで……」


 「成る程。そんな理由でアンタの一人立ちを拒んでいたのかい。何とも言い辛い理由だねぇ……」


 「ふむ。……確かに顔の幾つかの部分と雰囲気は似てるね。全体的に見ると似てないけど、肖像画しか見た事が無いなら似てると思うのかもしれない。それにしても、あの子にねぇ……」


 「ウェディさんに似てるって……喜んでいいのか悲しんでいいのか、よく分からないわね? とてもお転婆な方で、大変だったのよね?」


 「ああ、前に言った通りさ。そんなあの子に惚れるって、どうなんだろうね。正直、二代目の王にも何を考えてるんだって思ったよ。普通は長女であるシャンティだろうに……」



 そんな話をしながら王城の玄関に止まっていた馬車に乗り込む。すし詰めの馬車に揺られながら宿の前まで我慢した。宿の前に馬車が止まり、やっと解放された。


 馬車の外に出て背伸びをしていると、隣の食堂が賑わっている。どうやらもう昼らしいので、俺達も食事をとるべく食堂に入った。大銅貨13枚を支払い、昼食を注文して一息吐く。


 テーブルに浄水の小樽を出して冷やした後、3匹の水皿に入れてやる。美味しそうに3匹が浄水を飲む横で、小樽の浄水をキンキンに冷やして皆に好きに飲むように言った。


 俺もコップに浄水を入れてゆっくり飲む。暑い時期に冷たい飲み物はいいね! そうやって涼んでいると昼食がやってきたので、ゆっくりと食べていく。色々あったので少し落ちつきたい。


 特に狂信者の事で疲れた。アレはもう思い出したくもないから、ゆっくり食事をして英気を養おう。昼食後、ゆったりとしながら雑談をし、気分が軽くなってきたところで宿に戻る。


 部屋で装備を整えて出発し、王都の入り口で手続きをしていると大声が聞こえてきた。その声を挙げたのは<ゴールドフラッグ>のアホどもだ。今ごろ王都に帰ってきたのかよ。


 大声で俺達に文句を言っているので「お前達の悪行は当主に全部バレたぞ?」と言ってやったら、顔面蒼白になって足早に去って行った。結局はただのアホどもでしかないな。


 奴等の行動を見て、どうやら奴等の言っている事の方が嘘だと周りの傭兵は理解したらしい。さっきまで睨んでいた奴等が、こっちを睨むのを止めたからな。


 <ゴールドフラッグ>というクランは、やはり王都では有名なクランなんだろう。奴等が<ゴールドフラッグ>だというだけで、奴等の言い分を信じた奴等は多かった様だ。


 まあ、奴等の態度を見て嘘だと分かってからは、こっちを睨んでくる奴は居ない。ただし、こっちに悪意と敵意を向けてきている奴等は居る。何が理由かは知らないが鬱陶しい事だ。


 俺達はさっさとダンジョンに行き、<迷宮紋>からダンジョン内へと入っていく。光が止んだ後、最初に見えたのは草原だった。またダンジョンが変化してるぞ!? ……転移紋を探すところからだな。



 「またダンジョンの構造が変わったらしい。今回も1から次の層への<転移紋>を探さなきゃならない。今回は事前に言っていた通り5人に任せるから、頑張れよ!」



 5人は固まって相談し始めたので、俺達は見守る事にした。マートルが暇なのか俺の足に体を擦り付けて来るので、俺はマートルの目の前に木のボールを持って行き見せる。


 その後、適当に放り投げたら3匹が走って取りに行った。……マートルの遊びだったんだけど? カエデが取ってきてどうすんの? ……え? ああ、分かった。これがボールな。


 ダナも投げたがったので、持っているボールを渡した。受け取ったダナが投げると3匹は走って取りに行く。3匹が戻ってきてボールを置いたら、今度は俺が投げる。


 交互に投げて遊んでいると、5人は三角形の陣形を敷いた様だ。まずは北に行ってみるらしく、5人が出発したのでついて行く。ボールを投げて3匹と遊びながら後ろをついて行く形だ。


 周りに居る傭兵達から白い目で見られているが、俺達は全く動じない。5人がネイルラビットを3匹倒したので近づくと、近くに居た傭兵が俺に剣を向けてきた。



 「お前達! 幾らなんでも恥ずかしくないのか!? 他の者が倒した獲物を横取りしようなど、傭兵にあるまじき奴等め! さっさと失せろ! でなければ私が斬る!」


 「お前はいったい何を言ってるんだ? 5人が戦ってるのは練習の為で、俺達がついて行ってるのは、万が一の時は助ける為だぞ? そもそも全員チームメンバーだ」


 「お前達のような薄汚い者の言う事なぞ信用できるか!! 我等の前から今すぐ失せろ!!」


 「「「「「そうだ、そうだ!!」」」」」


 「見ろ! 誰もが同じこボォッ!!」



 俺は身体強化を行い目の前のアホの腹部に掌底を叩き込んでやった。その後、周りに【魔力】と【闘気】を込めた威圧を撒き散らす。案の定、雑魚どもは顔面蒼白と失禁のコンボだった。



 「何も知らんゴミどもが、下らん事をよく喚くもんだ。お前等そんなに死にたいのか? 死にたいなら今すぐ殺してやるが、どうする?」



 周囲の連中は必死に顔を横に振るだけで、動く事も出来ていない。ガタガタと震える事しか出来ずに、怯えているだけだ。なんなんだ? このアホみたいな正義ゴッコの連中は?。


 ちなみに、ウチのメンバーは誰も失禁していないし、怯えてもいなければ、全員普通に動いている。俺は剣を向けたバカを蹴り飛ばし【白痴】を使って聞き出す。


 すると、こいつは<ゴールドフラッグ>のメンバーだったらしい。なので、「貴族の家柄を笠にきる奴等か?」と言ってやったら、「そんな事はあり得ない!」と喚きやがった。


 なので、謁見の間で<ゴールドフラッグ>のメンバーがクランの名を貶めている事を、王と王太子に説明しておいたぞ。そう言ってリンデがここに居る事も教えてやる。


 コイツはリンデの顔を知っていたらしく、慌てたように逃げて行った。周りの傭兵もさっきのバカを見て、俺の言ってる事の方が正しいと理解したのか、逃げるように去って行く。


 遠くから見ていた複数の女傭兵が近付いて来たので何事かと思ったら、さっきのクズの説明をしてくれた。


 あのクズは美人が居るチームに難癖を付けては、<ゴールドフラッグ>の名で女性を無理矢理連れて行くという事を、よくやっている奴だったらしい。どうやら本物のクズだった様だ。


 俺が叩き潰してくれたんで感謝しているらしい。笑いながらそう話した後、女傭兵は笑顔で去って行った。横でリンデが怒りに震えているが、クズ貴族なんて大体そんなもんだろうに。


 そう言いながら3匹のネイルラビットを処理し、先へと進む。その後ネイルラビットを5匹倒したものの、北側に転移紋は無かったので脱出紋近くまで戻る事になった。


 今度は東に進みネイルラビットを5匹倒したが転移紋は無かった。再び脱出紋まで戻り、今度は西に行く。ネイルラビットを2匹と、ビッグラットを3匹倒すも転移紋は見つからず。


 再び脱出紋へと戻ると、5人は溜息を吐きながら南へと進んで行く。ビッグラットを6匹倒すも、南の行き止まりまで進んでしまった。これで東西南北では無い事が分かったな。


 5人は泣きそうな表情で俺の方を見てくる。早くもギブアップか? 少なくとも、ディルはソロでダンジョンアタックはしてただろうに。仕方がないな。



 「1層の転移紋は北東にある。近くに人が多く居るんだから、北か東に行った時に【気配察知】で把握するべきだったな?」



 俺がそう言うと、ディルは”しまった!”という表情をしている。



 ▽▽▽▽▽


 0294終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨71枚

 大銀貨153枚

 銀貨47枚

 大銅貨267枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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