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 謁見の間を出た後、少し歩いた辺りでメイドに呼び止められた。立ち止まって振り向くと、物凄く怯えている。俺はクソ貴族と同じ事をしなければ怒ったりしないと言い、落ち着かせた。


 実際には【浄化】の権能を使ったうえに、【心静】まで使ってやっと落ち着いたんだが。メイドから話を聞いたところ、王太子とライブルが俺に話があるらしい。


 メイドの案内で王太子とライブルが待つ部屋に行く。【空間把握】で確認しているが俺達の命を狙うような奴等は居ない。そのまま、王太子とライブルが待つ部屋に案内された。



 「部屋まで来てもらって済まない。誰かに聞かれる場所で話すような内容でも無い為、この部屋まで来てもらわねばならなかったのだ」


 「近くに他の部屋が無い所だからか……。防音の魔道具を使っておけば、話し合いの内容が内側から漏れる以外は無いだろうな」



 この部屋の近くには人が潜めるような空間も無い。天井側にも床側にも無いので、秘密の会談などに使われている部屋だという事が分かる。わざわざこんな部屋でする話ねぇ……。



 「ゴホンッ……実は、王都の神殿の神官長が何者かに殺されたようなのだ。そして、ライブルの部屋には神官長に従っていた帝国の間者が2人放り込まれていた」


 「神官長の悪行と帝国の工作活動の証拠もテーブルの上に置かれていましてな。誰が置いたとかは聞きませぬ。それよりも、神殿の内部に<黒蛇>なる裏の組織があるようなのです」



 俺達は顔を見合わせてしまう。何故ここで<黒蛇>が出てくるんだ? 前に予想した通り、目的を達成したから単なる暴力集団に成り下がったのか? それとも分裂でもしたのか?。



 「……その<黒蛇>とやらなのだが、こちらが調べる前に解散してしまっていて実態が分からないのだ。責任を取るという遺書と共に、<黒蛇>のトップは自殺していてな……」


 「ボスが自殺した!? そうか、あの子は自殺したのか……。やっぱり、あの子が<黒蛇>を継いだ理由は復讐の為だったんだね。つまり、この世に未練が無くなったって事か……」


 「……えーっと、もしかして関係者の方ですかな? 話だけでも詳しく聞かせて頂きたいのですが……エルフ? その割には何やら違うような感じが……」



 俺はフォルを落ち着かせる。すると、フォルはゆっくりとだが思い出と共に語り始めた。子供の頃に性奴隷にされていた事、自殺したボスも初代も同じだった事。


 何とかその状況を打破する為に、仲間を少しでも助けようと<黒蛇>を設立した事。食べる物が無いから性奴隷にされてしまう、だから外に出てお金を儲けようとした事。


 長い間、寄付をしながら男娼を続けた事。必死に頑張ってきたにも関わらず、神官長の所為で多くの子供が無残に殺されてしまった事。今までにあった様々な事をフォルは語っていく。


 この場の多くの者が完全にブチギレている。特に王太子とライブルだ。額に青筋が幾つも立ち、憤怒の表情をしている。こんな王太子やライブルを見るのは初めてだな。


 というか、ウチの皆は一度聞いた癖に何でまたキレてるんだ? 二度目は冷静でいてくれよ。また俺が【心静】を使わなきゃならないのか? 今回は面倒なんで放っとこう。



 「そこまで酷かったとは……。証拠物には書かれていなかった、本当の実態か。よしっ! フォルディアルデ殿、今一度その話を皆の前でして頂けぬだろうか?」


 「クソ貴族どもがどんな目を向けてくるかなんて、分かりきってるだろうに! 晒し者になれって言うのかい!?」


 「ダナ、落ち着け! 王太子はおそらく、始祖のエルフである事を利用する気だ。貴族の中にエルフも居たし、フォルの方をチラチラ見てたからな」


 「申し訳ない、しかしアルド殿の言われる通りだ。我が国ではエルフ族はそこまで多くない。だが、文官の要職は殆どがエルフ族なのだ」


 「文官の要職は完全に実力で選ばれます。つまり、エルフ族は実力で要職に在り続けているのです。その要職の方々を敵に回す事は、愚かな貴族であっても出来ません」


 「フォルは始祖のエルフです。その始祖のエルフが神殿内で虐げられた日々を送っていた。エルフ族からすれば激怒して当然の事でしょうね」


 「王国のエルフ族が全ての神殿を敵視しかねないんで、注意が必要だけどな。ただ、神殿のケツに火を着けてやるには良い方法だと思う」



 俺が後押しした事もあって、王太子は直ぐに王に言伝を頼んだ。その後も俺達は雑談をしていたが、直ぐに許可する返事がきた。再び俺達は謁見の間へと行く。


 謁見の間に着くと貴族は既に勢揃いしていた。朝からもそうだが、この場に居る貴族は領地の無い王都の貴族だ。特に王国の政治を動かしている文官が多く居る。


 ちなみに、俺に四肢を斬られたアホなんかは地方との連絡役らしい。そんな話をして待っていると、玉座の横から王と王妃が出てきた。……アレ? 王妃が違うぞ?。


 ダナとシュラが小声で「第二王妃」だと教えてくれた。あれがリンデの母親で第二王妃か。リンデと似ておらず温和で優しそうな顔をしてるな。リンデはお転婆だから似てないのか?。


 王太子が「重大な事が判明した」と言い、フォルが前に出た。周りの貴族は訝しがる者と、アイドルを見る者に分かれている。本当に始祖のエルフって”崇拝”されているんだなぁ……。


 フォルが語る過去に、普通の貴族どもは怒り心頭に発している。分かりやすく言うとブチギレている。流石にクソ貴族といえども多少の良心はあるらしい。


 そう思っていたら、実は過去に王都の貴族の一部が一斉に居なくなった事件があったそうだ。正確には、事件では無く粛清だったようだけど。この場に居る貴族の多くは知っている。


 だが、それは紙の上であり、現実に何が行われていたかは正しく理解していなかった。今回、ようやく正しく理解できたのでブチギレているらしい。現場を知らないのは、よくある事だ。


 それよりも、フォルの話を聞いたエルフ族が凄く怖い。何て言えばいいんだろう? 感情が抜け落ちて能面みたいな顔をしてるんだよ。しかもエルフ族の全員がその表情をしてる。


 あの能面軍団は滅茶苦茶怖い。力が有るとか無いとか関係なく、狂人を見ている気持ちになってくる。フォルが始祖のエルフである事は話の前に説明した。


 森神から名と祝福を賜った事。その後、始祖のエルフの容姿へと体が変化した事などは先に話してある。だから信じていると思うんだが、なぜ感情が抜け落ちているんだろうか?。


 えっ!? いや、フォル。ちょっと待って!? この状態で、浄神が神殿に対してブチギレてるって話をブッ込むのは止めようよ。能面軍団のオーラが凄く怖いんだけど!?。


 アレッ!? 出て行く? 一応は王に断りを入れたけど、能面軍団は謁見の間を出て行ったぞ? 出て行っていったい何をするつもりなんだ? ……うん、関わるのは止めよう。


 何と言うか、アレは関わっちゃいけないナニカだ。嫌な予感しかしない。この場の全員の顔が引き攣っているのがその証拠だ。あれって普通は”崇拝”じゃなくて”狂信”って言わない?。



 「……。此度判明した事は以上で御座います、陛下」


 「う、うむ……。あの者達が何をするかは分からぬが、皆も後始末には協力してやってほしい」


 「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」



 誰も文句なんて言えないよね。あの能面軍団を敵に回す根性のある奴なんて、誰も居ないだろう。なんたって俺ですら嫌なんだからな。狂信者の相手なんて御免被る。


 アイツ等を止めるには、根切り以外に無いんだよ。どんな場所でも、どんな時代でも、暴走する狂信者なんて殺す以外に止める方法は無い。話し合いなんて言ってたら狂信者に殺される。


 だからこの場の誰も関わりたくないし、狂信者を止める事もしない。どうせ被害を受けるのは神殿のアホどもだ。浄神を激怒させてる連中なんだから、少しは被害を受けて反省しろ。


 それはそれとして、狂信者のネットワークって意味不明なほど広かったりするんだよなー……。もしかして、この国だけじゃ収まらない?。



 ▽▽▽▽▽


 0293終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨71枚

 大銀貨153枚

 銀貨47枚

 大銅貨280枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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