0292
食堂に行き大銅貨12枚を支払って朝食を注文する。朝も出てくるのが早かったので、直ぐに食べ始めた。朝食後、宿の方に戻り1階で雑談をしていると、宿の前に馬車が止まった。
馬車の中からリンデとライブルが出て来て、迎えに来た事を伝える。何か正式な作法に則ってるっぽいので俺達も合わせようか。とりあえずで合わせるものの、良く分からない。
ジャンはミレイアにサポートしてもらいながら、四苦八苦している。しっかし、俺達を笑い者にでもしたいのか? 何で正式な作法が必要な場に俺達を連れて行くんだよ。
報酬を渡すだけじゃないな、コレは。アホでも分かるぞ。幾つかシミュレートした中でも、かなり面倒な方の流れだ。とりあえず、今はこの流れに乗っかっておくしかない。
2台の馬車があり、先頭の馬車にはリンデ、ダナ、シュラ、メル、アルメアが乗っている。後ろの馬車はライブル、俺、ディル、フォル、ジャン、ミレイア、そして3匹だ。
馬車の中はすし詰め状態だが、仕方がない。俺達は少しの間我慢しながら、王城まで馬車に揺られていた。王城の入り口で馬車は止まり、やっとすし詰めから解放されたぞ。やれやれ……。
王城の玄関から中へと入る。総石製の城らしく、中世の城と言われたら直ぐに想像するようなタイプの城だ。案内されるままに連れて行かれた先は、いわゆる謁見の間だった。
数段高くなっている所に、王が座る椅子と王妃が座る椅子がある。まあ、間違いなく謁見の間だろうよ。これで違っていたら、この場で大笑いしてやってもいい。
横から王と王妃が出てきて玉座のような椅子に座る。ジャンとミレイアは片膝立ちで頭を下げているが、俺達は立ったままで頭も下げていない。当たり前と言えば当たり前の事だ。
そもそも傭兵は自由民だ。更に言えば、正式な作法を知らない者に作法も教えず呼びつけ、作法を知らない事を嘲笑しようなんて、殺されても仕方ないよな?。
「何をやっておるか貴様! 頭を下げよ! 礼儀も知らんのか、薄汚い傭兵め!」
「礼儀を知らんのは、お前等だろうが。人を勝手にこんな所へ引き摺り出した挙句に頭を下げろだと? 今すぐ殺してやろうか?」
俺はこの場で威圧系奥義の【幻死】を最弱の強さで使う。もちろん方向を制御なんてしていない。ジャンやミレイアでさえ、顔面蒼白で失禁しながらガタガタ震えている。
俺に文句を言ってきたバカは気絶したらしいので、近付いて蹴り飛ばして起こした。俺は、ガタガタ震えて声も出せないゴミに正しい認識をくれてやる。
「人を勝手に呼びつけて頭を下げろか……こっちの面目を潰し、俺達不老長寿の顔に泥を塗ってくれたんだ。簡単に死なせてもらえるなんて……思ってないよな?」
俺はそう言って、アイテムバッグから小太刀を取り出し四肢を斬り落とす。その後、【生命活性】と【黄泉帰り】を使いながら、傷口を【浄炎】で焼いて止血する。
ゴミは泡を噴いて気絶しているが、知った事じゃない。俺はこの場のゴミどもを見回しながら、言うべき事をハッキリと告げる。これで理解できなければ、今すぐ死ね。
「お前等貴族は散々面目がどうとか言うだろう。こちらにも当然面目がある。それを傷つけられた以上は戦争しかあるまい? まさか、こっちが黙って耐えるとでも思っていたのか?」
俺はそう言って【幻死】を解除する。今回は【幻死】で殺す気は無かったので、誰も死なせてはいない。こちらの手の内を明らかにしてやる必要も無いからな。
この場に居た、俺達を嘲笑ってやろうとしていたゴミどもは一切こっちを見なくなったな。王と王妃は一旦下がるらしい。まあ、派手に失禁していたからな。悪いが浄化してやらんぞ。
ちなみにこの場で失禁しなかったのは、不老長寿の皆と王太子とライブルとリンデだけだ。あの2人は前に威圧を喰らったからか、ちょっと耐性があるようなので何とか耐え切った。
それよりも王太子だ。ギリギリとはいえ漏らさずに踏ん張ったのは賞賛に値する事だぞ。幾ら最弱とはいえ、威圧系奥義を喰らって漏らさないのは本当に凄い。王より優秀だな。
その王太子がライブルとリンデを伴ってこっちに来た。王と王妃が居ないとはいえ、勝手に動いて良いのか? 正式な作法はどうしたんだ?。
「真に申し訳ない。貴殿の申される通りだ。相手の面目を潰した以上は、謝罪が無ければ戦争しかない。それは個人でも国でも変わらぬ事」
「申し訳御座いませぬ。元々は皆様の功績に報いる為の場だったのですが、一部の愚か者が騒ぎ出した所為でおかしな事になってしまいました」
「真に申し訳御座いません。昨日の使者は王太子殿下の使者でしたが、皆様が使者の面目を潰したとかでこのような事に。私はそんな事はあり得ないと言ったのですが……」
「昨日の使者? ……ああ、先触れも寄越さずに勝手に来て「ワシを待たせるとは何事だ」とかホザいた奴か。俺達は使者が来る前から昼食を食べてたんだがな?」
俺がそう言うと周りの貴族どもがザワザワし始めた。どうやらこのバカどもは昨日のアホが言ったことを真に受けて、俺達を凹まそうと画策していたらしい。裏取りぐらいしろよ!。
どうも昨日のアホが居たらしく、ライブルが無理矢理王太子の前に連れて来て尋問を始めた。いちいち面倒だったので、俺は【白痴】を使いアホに事実だけを喋らせる。
コイツは<ゴールドフラッグ>のメンバーの父親らしいので、詳しく話を聞く。すると、俺に対して「クランに入れてやる」と言ってきたアホの父親だった事が分かった。
どうも<ゴールドフラッグ>の奴等は、俺達を攻撃する為に魔鳥便を使って親連中に嘘の報告をしてるっぽいな。俺が王太子に説明し、それを知ったアホは愕然としている。
そもそも<ゴールドフラッグ>の名前と面目をつぶしているのは、クソ貴族どもの子供だしな。それを知った親連中はこの場を辞して行った。今ごろ裏取りか、それとも逃げたのか……。
王族の作ったクランなんだ。そのクランの面目を潰した以上は傭兵をしているクソガキはともかく、貴族である親連中はマズいよな? 王族に喧嘩売るようなもんだ。
ジャンとミレイアは、とばっちりを受けただけなので浄化して綺麗にしておく。立ち上がったミレイアは、四肢を斬り落とされたクソ貴族を見ながら何か考えているようだ。
「どうかしたの? ミレイア。その貴族を見て何か悩んでいるようだけれど……。もしかして知り合いか何かだった?」
「いえ、そういうわけでは……。あっ!? 思い出しました! この貴族は、私が近衛を辞める日に私の荷物を奪った男の父親です」
「ミレイアの荷物を奪って、ミレイアのパンツを頭から被っていた奴の父親か……。子が子なら親も親だな」
何故か周りからジト目を半分ほど喰らっている。もう半分はこのクソ貴族に対してだ。確かライブルが言うには小金持ちになった男爵だったよな。成金だから嫌われてるのかね?。
というか、女性の荷物を奪った挙句パンツを頭から被ってるなんて、まごうことなき変態だからな。俺がそう言うと、クソ男爵へのジト目が物凄く増えた。醜聞は本当に怖いね。
ちゃんとした跡取りは居るんだろうが、父親と変態の醜聞に晒されながら頑張るしかない。何故だろう? 可哀想という気持ちが欠片も湧かないな。クソ貴族が相手だとこんなもんか。
王と王妃が戻ってきたので、この場の俺達以外が再び整列した。宰相っぽい人が俺達の功績を朗読していて、終わったら王が認める。その後、この場の貴族どもが拍手を始めた。
木で作られていて彫刻などが施されている綺麗なお盆を持った人物が俺の所に来て、お盆の上に乗っている大白金貨2枚が渡された。その後、王と王妃が退出して終わり。
最初から普通の傭兵相手に報酬を渡す形で良かったのに、余計な事を画策するから馬鹿みたいな事になるんだ。慌てたように報酬渡して逃げるように去って行ったからな、王と王妃。
これで報酬も貰ったし、さっさと帰るか。昼からはダンジョンに行って5人の修行だ。俺達の助力無しにどこまで進めるか楽しみだな。いきなり駄目でした、は勘弁してくれよ?。
そんな事を話しながら王城を出る為に歩き始める。謁見の間を出る時、俺達を侮るような表情の奴は誰一人として居なかった。
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0292終了時点
大白金貨3枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨71枚
大銀貨153枚
銀貨47枚
大銅貨280枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ