0290
浄化しながら撫でているとマートルもカエデも眠ってしまった。ダリアは2匹が眠る前から俺の胡坐の中で既に寝ていたので、優しく起こさないように移動させる。……上手くいった様だ。
「それにしても、朝のバカどもが<ゴールドフラッグ>とはねぇ。噂ほど当てにならないものは無いっていうのは事実か。王族が関わっていたクランも、あの程度とは……」
「確か、<ゴールドフラッグ>を設立したのは3代前の王の弟でしたね。自由民になった後も、傭兵として国を支え続けた人物だった筈です」
「ええ、私も知ってるわ。当時は色々言われたらしいけれど、魔物との最前線で戦い続けて信用を勝ち取った人物ね。その人物のクランが、今はアレでは……」
「まったくもって浮かばれないだろうね。王族から自由民になって信頼を勝ち取ったんだ、相当の目に何度も遭っている筈さ。それでも頑張った人物の功績を、完全に潰しているよ」
「それを報告されたくなくて、私達を案内するとか言い出したのだろうな。どうも姑息な連中の様だったし、アルドが拒否して正解だったと思う」
「<ゴールドフラッグ>は神殿では良い噂が多いよ。とはいえ、金払いが良いから当然ではあるんだけどね。孤児院の事もあるから、お金をくれる相手を悪く言うのは難しいかな」
「それは仕方がないさ。同情や哀れみじゃ飯は食えないんだ。食い物が無ければ生きていけないんだから、奇麗事を言う必要は無いよ」
しんみりした雰囲気になったが、それはそれでこれはこれらしい。この雰囲気の中でベッドに連れていかれるとは思わなかった。今日は素早く、【房中術】と【至天】を使う。
幸せにキマった皆を綺麗に丹念に浄化して、浄水を飲んで一息吐く。ボーッとしているとウトウトしてきたので、逆らわずに寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界125日目>
おはようございます。今日の昼までには王都に着くでしょうが、何かあれば着けないかもしれません。変な奴等が絡んできたりすると、足止めを喰う可能性があるんだよな。
まあ、そんな邪魔をする貴族も恐らく居ないとは思う。王太子の正式な招待の邪魔をするって事は、王太子の顔に泥を塗るって事だからな。……今日は珍しいな、全員一緒とは。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ!」 「グル!」 「ワン!」
「今日中に王都に着くだろうけど、着いたらあの子を王城に届けるのが先だね。その後はどうしようか?」
「暇なら訓練だな。ダンジョンに行く前に、もう1度集中して身体強化の訓練をさせたいんだ。場合によっては俺達は手を出さず、5人で頑張ってもらおうかと思ってね」
「5人? ……ああ。ディル、フォル、ジャン、ミレイア、そしてあの子ですか。ディルが【気配察知】を使えるので、案外上手くいくかもしれませんね」
送風機と冷房の魔石を抜いて回収する。部屋を出て食堂に行き、大銅貨13枚を支払って朝食を注文した。朝食を待っていると3人も起きてきたので、魔道具を回収してくる。
回収してから部屋を浄化して戻ると、丁度朝食が運ばれてくるところだった。朝食後、宿を出て門まで行き、領都の門の手続きを終えたら出発する。
領都から北に向かい、サウスアルムを横目に通り過ぎ、昼より大分早く王都に到着した。王都に入ったら、そのまま貴族街の門へ。リンデが居るのであっさり通り、王城への門へ行く。
少し待たされていると、オルニアがやってきた。ここからはオルニアが護衛をするらしい。ここで俺達は別れ、貴族街の門から出て食料店に行く。香辛料を王都で買っておきたい。
食料店で香辛料を金貨2枚分購入する。皆は驚いていたが、ルーデル村で香辛料不足だった事を言うと納得していた。他に何か無いかと見ていると、面白い物を3つ発見した。
それは生姜と水飴と魚醤だ。聞いてみると水飴は北の侯爵領で沢山作られているらしく、生姜も同様らしい。魚醤はエルダ海洋国から運ばれてきたそうだ。向こうでは普通なんだろう。
ただ、王都の者には受け入れられなかったんだろうな。俺は<しょっつる>が嫌いじゃないので問題ないが、嫌いな人は嫌いだろう。500ミリリットルの壺1つで大銀貨1枚か……。
結局、生姜と水飴と魚醤を大銀貨1枚分ずつ購入し、アイテムバッグに入れて宿へと向かう。ラーファンさんに話し、2階の大部屋と2人部屋を10日間の宿泊でとっておく。
大部屋で銀貨3枚、2人部屋で銀貨1枚と大銅貨10枚を支払う。ジャンに送風機と冷房を渡して、宿の庭で訓練を言い渡す。多少の不満顔を見せたのはミレイアだけだった。
やっぱり思った通り、ミレイアの暴走をジャンが止めている形らしい。最初の頃はジャンが暴走してたっていうのに、今は逆になってしまっているな。大丈夫そうだから良いが……。
庭に出て、ディル、フォル、ジャン、ミレイアを集め身体強化のおさらいをさせる。【心静】と【集中】を使っている為、4人とも真剣に練習をしているし上手くいっている。
訓練していると昼になったので、浄化で綺麗にしたら隣の食堂へ行く。大銅貨12枚を支払って皆で食事をとっていると、ラーファンさんが俺達の所まで来て話し掛けてきた。
「王太子殿下の使者が宿に来られましたが、如何いたしましょうか?」
「どうもこうも、待たせておく以外にあるかい? 今は食事中なんだ。そう言って、宿の1階で待たせておいてくれるかな」
「畏まりました」
なんかアルメアとラーファンさんって、主と使用人みたいな間柄だなぁ……。アレこそが正しく主従の関係なんだろうが、俺には絶対に無理だな。アレは慣れている者しか出来ない事だ。
自分とは縁遠いものを見ながら昼食を食べるって初めてだよ。皆もそうだが、特にシュラが何とも言えない顔をしている。貫禄があり過ぎて何も言えないんだろうなぁ……。
俺達はゆっくり昼食を食べているが、ジャンやミレイアは早く食べなくて良いのか? って顔をしながらチラチラこっちを見ている。気にせずゆっくり食べれば良いんだ。待たせとけ。
昼食後、宿に戻るとあからさまに不機嫌な使者が居た。ゴチャゴチャと喚いているが要約すると、「貴族であるワシを待たせるとは何事だ!」とホザいているだけだ。
なので「お前の仕事は喚く事か?」と言ってやったら、こちらを必死に睨んできやがった。【魔力】と【闘気】と【念力】を込めて威圧してやると、一瞬で気絶してしまう。
おい……弱すぎるだろ。更に強い威圧で無理矢理起こすと、顔面蒼白と失禁状態になった。まさか威圧して直ぐに気絶するとは……。それにしても、弱い奴ほどイキがるのは何故なんだ?。
無理矢理に喋らせた結果、「明日の朝に馬車が来るから、それに乗って王城に来るように」という事だった。ゴチャゴチャ喚かずさっさと話せば、恥を掻かずに済んだのにな?。
そう言ってやると、恥と恐怖で逃げ帰って行った。昼食を止めて話を聞けなんてホザく方がおかしい。そもそも奴は使者でしかない。待たされるのが嫌なら、アポぐらいとれよ。
いきなり来て「待たせるとは何事だ」とか筋が通らない。王城には、まだあんなアホ貴族が残ってるらしいな。掃除が済んでアレなのか、綺麗に掃除できなかったのか。
どちらにせよ、ああいうアホが残っていると仮定して動く事にしよう。俺は、昼からジャンに【房中術】の指導をする事を伝えておく。ジャンも十分に上達したから、もう使えるだろう。
そう言うとテンションが爆上がりになった。……うん? もちろんミレイアだよ。目の前で社交ダンスのようにクルクル踊って、全身で喜びをアピールしてる。ジャンは盛大に苦笑いだ。
俺はジャンだけを連れて部屋に戻り、【房中術】を丁寧に教えていく。ジャンは思っているより地味で普通の鍛錬である事に驚いている。
例え夜の技でも、技は技だ。地道に鍛錬を積むしかない。ミレイアの為にも頑張れよ。
▽▽▽▽▽
0290終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨71枚
大銀貨153枚
銀貨47枚
大銅貨305枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ