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0289




 「ニャ」 「ガゥ」 「ワン!!」



 あれ? 今、犬の鳴き声じゃなかったか? ……まあ、いいか。それより少し落ち着きなさい、皆はまだ寝てるからな。あーもう、こりゃ【心静】を使った方が早いな。


 俺はマートルに【心静】を使って落ち着けたが、布団で寝ていたフォルが起きてしまったらしい。フォルは起きた後に周りを見渡し、自分だけだと知ると笑顔でこっちに来た。



 「おはよう、アルド。それに、ダリア、カエデ、マートル」


 「おはよう、フォル」 「ニャ」 「グル」 「ワン」



 フォルを浄化しているとディープキスしてきたので、こちらからもディープキスを返す。3匹も含めてイチャイチャしていると、流石に音が大きかったのか皆が起きてきた。



 「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」


 「「おはよう、皆」」 「ニャー」 「グルゥ」 「ウォフ」


 「今日から王都に出発だね。また王都に行くのは構わないんだけど、あの子を連れて来いとか……。ただの親バカなのか、それとも何か理由があるのか」


 「有るような無いような……。とはいえ、一国の王ですから流石に愚かな事はしないと思いますよ? 王が愚かなら、既に帝国の領土になっているでしょう」


 「それもアルドが居てくれた御蔭で助かっている部分はあるのだから、何とも言えないわよ? 王国の力で帝国を撥ね返したとは言い切れないもの」


 「その辺りは政治でどうこうすればいい部分ではあるんだけど、ちょっと失点が多いんだよね。上手くやらないと真相を知る者達が勝手に噂を広めかねない」


 「勝手な噂の責任をこちらに持ってこられても困るからな。そもそも国の連中が対処するべき事を、傭兵であるこちらに回してきたのが悪い」


 「僕も聞いたけど、相当の功をアルドが得てしまったんでしょ? それに対する反発とか嫉妬とか多そうだよね」


 「全ては王都に着いてからだな。手を出してくるアホは始末すればいいし、嫌がらせの類だったら無視するか馬鹿にしてやればいい」



 そんな話をしながら送風機と冷房から魔石を抜き、送風機と冷房をアイテムバッグに入れる。皆が部屋から出た後に、最後の浄化をして1階の食堂へと下りる。


 女将さんが居たので、今の内に部屋の事を片付けておく。面倒だったので、ジャン達とリンデの部屋の宿泊代を銀貨1枚ずつ返してもらう。本当はもうちょっと多いのだが面倒臭い。


 俺達が泊まってる2階の部屋は、10日分延長し銀貨3枚を支払っておく。これで、今日から16日間は俺達の予約で埋まってる事になる。大銅貨13枚を支払って朝食を注文しておこう。


 テーブル席に座りダラダラしていると、女将さんが麦茶を出してきた。前に聞かれたので作り方を教えておいたんだが、どうやらお客に出せるようになったらしい。


 試しに飲んでほしいと言われたので飲むと、普通に麦茶だった。ちゃんと麦茶になっている事を伝えると、女将さんは凄く喜んでいる。あまりの喜び様に、ダナが訝しげに理由を聞いた。



 「実はね、お客さんから教えてもらったこの麦茶。大量に煮出せば安上がりなんだよ! コップ一杯の値段が銅貨1枚でも、十分に儲かるぐらいさ」


 「へー……。そりゃ良かったね。売れれば売れるほど儲かるってワケかい? 井戸水なんかで冷やしておけば、今のような暑い日は売れそうだね」


 「新しい飲み物として定着するんじゃないですか? そこまで高いものではないですし、食堂のコップは結構大きいですからね。これで銅貨1枚なら安いと思うでしょう」


 「果実水はそれなりの値段がするものね。それに季節限定の物も多いし、大麦のように1年中ある訳ではないわ。麦茶は1年中いつでも出せるというのが強みかしら?」


 「小麦も大麦も、風の季節に撒くのと土の季節に撒くのがあるからね。麦茶を作っても無くなる事は無いんじゃないかな?」


 「確かに。焙煎された多少の大麦を入れて、大量の湯で煮出している訳だしな。元の焙煎した大麦はそこまで多くない。十分に儲かるだろう」


 「美味しいね、コレ。水じゃなくて味が付いてるだけで十分贅沢だよ。あの仕事だったからそれなりにお金持ってたけど、それでも味付きの飲み物なんて贅沢品だったしね」



 麦茶の品評をしている間にジャンとミレイアとリンデが起きてきた。3人も麦茶を出されて飲んでいる。その間にジャンとミレイアの部屋に行き、魔道具を回収して浄化をしておく。


 次にリンデの部屋に行き魔道具を回収して浄化をする。テーブル席に戻ると、既に朝食が来ていたので慌てて食べた。何だろうね、この居ない間に事態が動いてしまうのは……。


 朝食後、女将さんに挨拶をして出発する。女将さんには王都に何をしに行くのかは言ってあるので、特に心配もされなかった。宿を出て村の入り口へと歩いて行く。


 いつもの犬人族の門番に手続きをしてもらっていると、昨日のバカどもがやってきた。全員の顔に青痣があったり赤く腫れたりしているが、随分ヴェルからボコられたらしいな。



 「ちょっと待ってくれ、君達。私達は君達を案内しろと言われている。昨日の事は申し訳なかった、不老長寿の方々だったとは知らなかったのだ。それ……」


 「言い訳なんぞは聞く気も無い。お前達のような奴等と一緒に行くワケがないだろう。いつ寝首を掻くか分からない連中なんぞ、信用に値しない」


 「しかし! 我々が居なければ!」


 「王太子殿下の手紙にはここにいる第三王女殿下を連れてくるように書かれていたが、お前等の事なんぞ一切書かれていなかった。つまり、お前達は要らんという事だ」


 「「「「「「「………」」」」」」」


 「手続き終わったよ。君達も大変だな、こんな奴等の相手をしなきゃならないなんて」


 「本当にそうさ。クソ貴族どもはいつの時代も碌な事をしない。いったい何百回、頭をカチ割ってやろうかと思った事か……。今すぐカチ割ってやりたい気分さ!」


 「気持ちは良く分かるが出発するぞ。今日は急いで行くからな。皆の体力がどこまであるかも計るから、気合い入れて頑張れよ」



 俺達は身体強化をして一気に進んで行く。後ろでバカどもが何か喚いているが、村を出る時にチェックは必ず受けなきゃいけない。受けないと犯罪者として扱われる事もあるので、無視するのは無理だ。


 バカどもがチェックを受けている僅かな時間で、俺達は一気に差をつける。そのままサングの町、シグ村、ゴードの町と進み、大銅貨13枚を支払って昼食を食べる。


 昼食後、ロワ村、ナイダ村、領都ディムアストまで進んだ時点で夕方だった。小さな宿屋に行ったら偶々客が居なかったので、大銀貨2枚を支払い貸し切った。


 大銅貨13枚を支払い夕食を頼むと、前回と変わらず美味しそうな料理が出てくる。この宿は相変わらずルーデル村の旦那さんと、料理の腕前が殆ど変わらないな。本当に美味い。


 この宿の料理を食べた事がないメンバーは驚いている。リンデが言うには、ルーデル村の旦那さんは”王城の料理長より少し落ちる程の腕前”なんだそうだ。


 ルーデル村の旦那さんはリンデも認めるほど優秀な料理人なんだが、この宿の料理人も殆ど変わらない。その事実に、リンデとミレイアは本当に驚いている。


 この腕前の人が埋もれているって事は、貴族なんかとは関わりたくない人なんだろう。……そうだ、ここの事は内緒でな。せっかく美味い料理が食べられるのに、バカに荒らされたくない。


 夕食後、部屋に戻ってゆっくりする。別れる前にジャンとリンデに送風機と冷房を渡しておいたので、今頃は涼んでいるだろう。3匹と一緒に浄水を飲みながら落ち着いた時間を過ごす。


 先に飲み終わったのか、マートルが甘えてきたので撫でてやる。マートルは頬から顎のラインを撫でられるとうっとりして目を瞑っている。狼だからこの反応なんだろうか?。


 猫科の2匹には無かった反応なのでちょっと面白い。ただ、マートルを撫でていると、ダリアとカエデが「私にも!」と頭突きをしてくる。嫉妬じゃないんだろうが、平等にしろって事か。


 右手でマートル、左手でカエデ、ダリアは胡坐の中に無理矢理収まっている。凄い絵面なのか、皆にクスクスと笑われた。



 ▽▽▽▽▽


 0289終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨71枚

 大銀貨156枚

 銀貨51枚

 大銅貨327枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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