表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/1948

0028




 拠点の近くまで来たが、微妙に上手くいっていない。デカいオークがブチギレて突出してしまっている。他のオークもついて来ているのが救いだ。


 俺は拠点に向かってある事を叫ぶ、



 「門を閉めろーっ!」


 「閉門! 閉門!!」



 上手くいかない時は門を閉めろと言っておいたのだが、ちゃんと覚えていてくれたらしい。俺は門の前まで行き、振り向いてデカいオークに石を投げた。


 石が顔に当たり、更に怒ったデカいオークは武器を振りかぶる。しかし振り下ろされる前に、俺は門を飛び越えていた。



 「攻撃! 攻撃しろ!!」


 「「「ウリャーッ!!」」」 「「「ヤーーッ!!!」」」



 派手に石と矢と魔法が飛んで行きオークを殺していく。……あ、誰か投げ槍を投げた奴が居る。下手くそな奴だな、しっかり狙え!。


 壁の上で状況を見守っていると、意外に早くオークは全滅した。


 傭兵達は喜んでいるが、囮は成功と失敗が半々といった所だ。デカいオークというイレギュラーの所為で失敗した部分が大きい。俺が反省していると、他の傭兵は事後処理を始めていた。



 「よし、オークを回収するぞ! 今回はギルドが一旦回収し、全員に売却金が分配される」



 こういう戦いでは誰が持ち逃げするか分からないからなぁ……。まぁ、当たり前の事だ。他の連中も当然の事だと言い回収に行く。そんな中、ギルドの職員と傭兵数人に話し掛けられた。



 「オークの拠点はどうだった?」


 「まだ中にオークは居る。ただ、どれだけの数かは分からない」


 「成る程。先は長そうだな」


 「少しずつ数を減らせばいいだけじゃん」


 「もう一度頼めるか?」


 「ああ、分かってる」


 オークを回収し終わったようなので、再び洞窟へ行く。洞窟前には見張りが居なかったので中に入ってみよう。


 暗くジメジメしているが、【探知】と【空間把握】を使えば特に問題は無い。


 【探知】では2種類のオークが感じられる。たぶんオークのオスとメスだろう。更に進んで行くと、オークが5体ほど居る小部屋がいくつかある場所に来た。


 奥の部屋から順番に、4つの小部屋の中に【火弾】を撃ち込んでいく。外に出ると結構な数が追い駆けて来たのが分かった。



 「「「「「「「「「ブルルルアアァアァーーッ!!!」」」」」」」」」



 オークのオスもメスもブチギレている。どうやら情事の邪魔をしてしまった様だ。そりゃ怒るわな、俺ならブチギレる。……さて、逃げよう。


 今回のオークは全部がキレているので、挑発しなくとも追って来る。拠点まで戻り、門を走り抜けてから門が閉じられる。やっと囮が正しく成功した。



 「撃て! 撃て! 撃てーっ!!」



 オークに石と矢と魔法が殺到する。投げ槍が飛んでいくが当たらない。もっとよく狙えよ! と思い見てみると5人組が投げていた。あの子達、ここへ来て大丈夫なのか?。


 先ほどよりも数が多いが、早く殲滅出来た様だ。傭兵達はオークを回収し、血抜きなどの処理を始める。再び職員と傭兵がこっちに来た。



 「オークの拠点はどうなった?」


 「拠点となっている洞窟の中に入ったが、奥の小部屋に居たオークも引っ張り出してきた」


 「さっきの滅茶苦茶に怒ってたオークどもか?」


 「何か分かんないけど、スッゲー怒ってたな」


 「情事の最中に【火弾】を撃ち込んだんだ」


 「ひ、酷い……」



 だろうね! 俺も非道だと思う! 周りの全員が顔を引き攣らせているが、そんな事よりも話をしておかないと。



 「オークの拠点の残りの小部屋は後3つだ。で、一つの小部屋にオークが5体ほど居る」


 「つまり、少なくとも後15体は居るのか」


 「さっきのが小部屋4つ分、つまり20体だ」


 「いけるんじゃないか?」


 「今日中に始末しておいた方がいいんじゃない?」


 「確かにな。倒せるうちに倒す。そうしないと足を掬われかねない」


 「昼食後にもう一度。最後を頼めるか?」


 「了解だ」



 俺はナンサンドを食べながら、拠点を見回るフリをして浄化しておく。特に門の前は結構なオークが死んでいる。釣ってきた奴が邪生になったら目も当てられない。


 皆の昼食も終わり洞窟への道を急ぐ。到着するとオークが20体ほど洞窟前に居たが、その中に身長3メートルを超えるデカいのが居た。アレってこの拠点のボスか?。


 丁度集まって居るので都合が良い。【土弾】と【火弾】を使って挑発する。



 「ブルルルッ!! ブルァーーーーーーッ!!」


 「「「「「「「「「「ブルァーッ! ブルアァーーーッ!!」」」」」」」」」」



 これがおそらく最後だ! しかしながらボスの動きがそれなりに速い。当たる事は絶対に無いが、俺だから大丈夫なんであって普通ランクの傭兵だと厳しいぞコレ。


 ボスオークの攻撃を回避しながら【土弾】で挑発しつつ拠点に引っ張っていく。なんかスマートなオークが居るな? そいつの顔に【土弾】を数発当てる。



 「ブルルァァアァァアアアァーーーーッ!!!!!!!」



 ドン引きするレベルで激怒したんですけどー? もしかしてオーククイーン的ポジションだったのか? 胸あるし。顔を傷付けられてブチギレるって、そういう事だと思うんだが……。


 っていうか、ボスオークもドン引きしてるんですがそれは……。オークでさえドン引きするのかー……。オーククイーン的な奴の猛攻を回避しながら拠点まで帰ってきた。



 「門を閉じろーーーっ!!!」


 「閉門! 閉門! 閉門!!」



 閉じられた門の前で振り向くと、そこには顔が赤黒く目が血走っているオークが居た。余程俺を殺したいらしい。俺は最後に【火弾】を5発顔に撃ち込み、門を飛び越えた。



 「ブルルルルアアァァァァァアアーーーーーッ!!!!!!!!」



 もう激怒を超えて憤怒まで行ったなーコレ。凄まじい叫びに低ランクが硬直している。俺は【念力】を乗せてやるべき事を伝える。



 「撃て撃て撃て撃て撃てーーっ!!!」



 ようやく再起動したのか攻撃が飛んでいく。本日3回目の石と矢と魔法がオークどもを襲う。しかし最後は一筋縄では行かなかった。


 ドゴンッ!! ドゴンッ!! ドゴンッ!!


 オーククイーン的な奴が門を壊そうと殴りつけている。よく見ると既にソイツ以外全滅しているにも関わらず、俺を殺す事を諦めていないらしい。


 仕方がないので門から飛び降りてソイツの前に出る。一気に近づき殴り殺そうとしてくるが、回避しながら脇差で首を斬り裂く。血が噴き出すも、それを無視して踏み込んできた。


 凄い執念だが届かない。身体強化を全力で使い、斬った方の反対側から斬る。


 ドシュッ!!


 首が飛んでいきソイツは絶命した。戦いの最中も浄化していた為、邪生が生まれる事は無い。……やれやれ、やっと終わった。



 「「「「「「「「「「ウオォォォォォーーーッ!!!!」」」」」」」」」」



 凄い喜びようだ。まぁ最後のオーククイーン的な奴は、ちょっとレベルが違ってたから気持ちは分かる。俺以外だと勝てたんだろうか?。



 「お前さん凄いな! 姉御が認めるはずだ!!」


 「最後のアレ、怖かったよマジで」


 「アレなー、何だったんだろうな?」


 「オークじゃないよアレ! あんなのオークじゃない!」


 「アレはオーククイーン的な奴で、顔を傷付けたり焼いたりしたから激怒しただけだ」


 「ナニやってんだオマエ!?」



 いやー返す言葉も無い。余計な事をやった自覚はある。反省はしているが後悔はしていない。普通のオークでも、ブチギレるとあそこまで強くなるって分かったのは収穫だ。


 各々オークを回収したり、浄化をしたり、血抜きをしたりと仕事をしている。俺も様々な仕事を手伝い、多くの傭兵と仲良くなった。今日だけで狩ったオークは53体に達したそうだ。


 低ランクの傭兵達が運んでくれていたそうだが、皆で最後のオークどもを持って帰る。今日は皆で酒場で騒ぐのだろう、楽しそうな顔をしている者が多い。


 多くの傭兵が居るので帰りに魔物に遭う事も無く、皆が良い気分で村に到着した時にはもう夕方だった。



 ▽▽▽▽▽


 0028終了時点


 金貨9枚

 大銀貨13枚

 銀貨15枚

 大銅貨20枚

 銅貨9枚


 鋼の脇差

 鋼の十手

 鋼の槍

 石斧

 オーク革の鎧

 革と鉄の肘防具

 革と鉄の膝防具

 革と鉄のブーツ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ