0288
ミレイアが変な男に惚れなくて良かったという話をしながら、3匹の相手をする。特にマートルは部屋が涼しいからか矢鱈ハイテンションだ。宥めているが興奮が治まらない。
「シャアーッ!!」 「グルアーッ!!」 「……クゥン」
ダリアとカエデが怒ってくれて、やっと落ち着いたか。何もかもが目新しいから仕方がないんだろうけど、暴走されても困るんだよな。流石に注意したら落ち着いてくれないと……。
3匹に【浄化】の権能と【心静】を使い、心を安定させる。マートルはトラウマにはなってないだろうが、怒られた事で不安定になられても大変だからな。綺麗に浄化しておこう。
そうしていると部屋のドアがノックされて女将さんが入って来た。女将さんの話を聞くと、傭兵ギルドに王都からの手紙が届いたので受け取りに来てほしいとの事だった。
俺1人で行って直ぐに帰ってこようと思い、部屋を出る為にドアを開ける。3匹もついてくるらしくドアの隙間から部屋の外に出た。「直ぐに帰ってくる」と言って、3匹と一緒に1階に下りていく。
宿を出て、薄暗い中を傭兵ギルドに歩いて向かう。マートルは見え難いのかフラフラしているが、ダリアとカエデが【暗視】の使い方を教えてるっぽい。2匹が完全に【暗視】を使い熟してるぞ……。
傭兵ギルドの扉を開けて中に入り、ミュウさんの所の列に並ぶ。男1人だからか特に喧嘩を売られる事も無く順番が回ってきた。ミュウさんに手紙の事を伝えると、サインを頼まれる。
「お届け物の場合、それが荷物でも手紙でも受取証にサインをしてもらわないといけないんです。そうしないと、仕事の完了とはならないので……」
「そりゃ、そうだろうなぁ。相手が受け取ったのかも分からずに、勝手に仕事を終了したと言われたところでギルドも困るだろう。当たり前の事だ……っと、サイン終わったよ」
「すまない、ちょっといいかな? 我々は王都のクランである<ゴールドフラッグ>だが、王太子殿下の手紙を受け取るのは君か?」
何だか妙な連中が話しかけてきたぞ? 男が3人で女が4人の7人のチームか。<ゴールドフラッグ>ねぇ……聞いた事が無いな。まぁ、俺はクランなんて碌に知らないんだけど。
「……そうだが、それがどうかしたか? お前さん達には何も関係が無い筈だが、何か用でもあるのか? こっちには全く無いぞ」
俺はいちいち話しかけて来んなと言わんばかりの態度をとる。周りに居る村の傭兵達の気配が割りと剣呑なんだよ。どうもコイツ等、村の傭兵達を怒らせてるみたいで関わりたくない。
「君に用が無くとも我々にはある。君と君のチームメンバーを我々<ゴールドフラッグ>に入れてあげるよ。ああ、感謝は後で良い」
「……はぁーっ。今すぐ死ぬか、後で死ぬか。好きな方を選べ」
「……君は何を言っているのか分かっているのかい? 幾ら王太子殿下から手紙を受け取ったからと言って、調子に乗ってると死ぬよ? 我々のクランは貴族の子弟で……ゴブッ!」
「そうかそうか。クソ貴族どものクソガキどもか。良く分かった、今すぐ死ね!!」
俺は目の前の7人をボッコボコにしていくが、今はまだコイツ等の命は奪わない。ただし、いつでも命を奪えるという事を、コイツ等の体と心に徹底的に教え込んでいく。
実は殴ったすぐ後に、【魔力】と【闘気】と【念力】でかなり強力な威圧を行っている。バカどものトラウマになるように、徹底的に執拗に刷り込むように殴っていく。
さーて、そろそろ終わりかなー? 2階に行った受付嬢がドタドタと急いで戻ってきた。ヴェルは蛇人族だから足音はしないんだよな。床の木が”ミシミシッ”と鳴ったりはするが……。
「……またですか? さっき受付嬢から話は聞きましたから、概ね何故怒ったのかは分かっています。ですけど、一応話を聞かせて下さい」
俺は椅子に座り、最初から一切の嘘を吐く事も誇張する事も無くヴェルに伝えていく。周りの傭兵も頷いているだけで、口を挟んでこない。つまりは事実だと、周りの奴等が証明してくれている。
ヴェルは溜息を吐きながらバカどもの方を見た。……うん、完っ璧に見下してるな。哀れみとか同情とか一切無しに、完全にクズを見下す目だよ、アレは。
「王都のクランだからどうした? 貴族というクズどものガキだからどうした? いちいち仕事を増やすなクソどもがっ!! このバカどもを訓練場に連れて行け!!」
「「「「「ハッ!」」」」」
アレ? 意外にダナの時と似た様な形になってないか? ……どうやらヴェルはギルド内を完全に掌握したらしいな。色々あったが舐められる事は無いだろう。良い形に収まったか。
「あっ!? ヴェル!! 俺達のチームメンバーの内、7人が不老長寿だという事実は使って良いからなーっ! 上手く交渉に使えよーっ!」
「ありがとうございます!! 貴様らゴミどもの体と心に、傭兵とはどういうものか叩き込んでやる!!」
ヴェルの奴ブチギレてるなぁ……とはいえ当然か。傭兵登録した段階で自由民なんだ。その後に貴族がどうとか言い出すとか、完全に規約違反だからな。ボッコボコにされるのはしょうがない。
むしろボコられるだけで済んで良かったな。最悪は登録証を剥奪されての除名なんだから、ボコられるだけで済んだのは、まだマシな方だ。クズどもだから逆恨みしそうだが……。
まあ、気にせず部屋に戻るか。俺は部屋に戻り、浄水を飲みながらバカどもの話を皆にする。皆は呆れているだけだ。クズどもに期待もしてないし、反応はこんなものだろう。
王太子からの手紙を読むと、報酬の用意が出来たので王都に来てほしい事と、リンデに会いたいと王が五月蝿い事が書いてあった。王太子も周りも、相当辟易としているらしい。
「……という事で、明日からは再び王都に行く事になりそうだ。ついでだからダンジョンを利用して、新人3人とディルとフォルの訓練をさせようと思う」
「私もか。最近あまり戦えていないからな、腕は鈍ってないとは思うが……。アルドが言っていた、イメージトレーニングとやらをしておこう」
ディル以外は既に酒を飲んでいるので、そのまま飲み続ける様だ。俺は3匹と一緒にマッタリと過ごしながら、明日からの道程を考える。1日でロワ村辺りまで行ければ、2日で着く。
そこまで行けなければ、余裕をもって3日の日程にした方が良いだろう。急いで王都に行かなければいけない訳でも無いし。この国の王? 待たせればいいんだよ、そんな奴。
娘可愛さに連れて来いとか鬱陶し過ぎるだろう。自分が王だって自覚あんのか? それとも娘は隠れ蓑で、他に理由があるのか? ……まあ、行ってみないと分からないなー、この辺りは。
この国の王は優秀なのか、そうじゃないのか分かり難いんだよな。帝国に好き勝手にされているけど、間違った命令は下していないっぽいんだ。
更には、攻められた時に膿を出すという決断が出来ている。この時に一時的とはいえ、王都の守りを薄くする決断もしていた。……本当に、優秀なのか分からない人物だ。
うん。この国の王の考察をしてたんだよ。考え事の最中に急に連れて行くの止めてくれないかな? ……仕方がないな。
俺は【精気】のみを使い、優しく何度も撃沈させた。明日からは王都に行くんだが、場合によっては野宿だから不満は解消しておきたい。仲間の不満が1番怖いからな……。
綺麗に丁寧に浄化して、眠気に逆らわずに寝よう。今日も1日お疲れ様でした。
<異世界124日目>
おはようございます。今日から王都に向かって出発です。王都に着いたらリンデを王城に送って行けば良いらしいので、アポとかはいらないそうだ。流石王族、物凄く楽で助かる。
皆を浄化した後に、部屋を綺麗に浄化する。しっかしこの部屋、本当に荘厳で厳粛な空気が無くならないな。その中で普通に生活している俺達も、十分にオカシイのかもしれないが……。
この部屋で生活する限りにおいては、邪気が体に入る事は無いのかもしれない。そう思え……おっと3匹が起きたらしい。
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0288終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨71枚
大銀貨158枚
銀貨52枚
大銅貨366枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ