0284
大森林の中を歩いて進むものの、魔物が途切れた。正確にはこちらを襲ってくる魔物が途切れたんだ。周りに魔物は居るんだが近寄って来ない。どういうこ……ああ、そういう事か。
俺は隠れている邪生に対して、【浄化】の権能を使って完全に浄化しておいた。皆に邪生を始末した事を伝え、そちらの方へ歩いて行く。見つけた際には、皆ビックリしていた。
「カッパータートルが2匹も邪生になってるなんてね。普通に戦ったら大変だけど、アルドにとってはいつも通りのカモか……」
「それにしても大きいですね! 前に出てきたカッパータートルの邪生の甲羅より、1回りほど大きいですよ。こっちのも結構な大きさですが、番だったんでしょうね」
俺は血抜きをした後に【分離】を使って甲羅を剥ぎ取る。その後、心臓を取り出して5等分した。4つを新人とフォルに渡し、残りを8等分して食べる。俺は殆ど変化なしか……。
いつものメンバーも殆ど変化なしだが、4人は変化があったらしい。まず初めにジャンだが、魔力と闘気が増えて、若干だが背が伸びた。急激じゃないので痛みは無い様だ。
ミレイアとリンデとフォルは、それぞれ魔力と闘気が増えて、胸も大きくなっている。ミレイアとフォルはBの中間ほどに、リンデはCに近いところまで大きくなっている。
はしゃぐな! ここが大森林だという事を忘れるんじゃない。魔物が襲ってきたらどうするんだ、まったく。流石に我に返ったのか、2人は反省している。気を付けてくれよ?。
ん? 1人足りないって? 相変わらず、フォルは胸に関しては反応が淡白なんだよな。胸がどうなろうが特に気にしないって感じだ。だから騒いだのはミレイアとリンデだけ。
3人の鎧は昼までは大丈夫そうなので、昼に一気に手直しする。カッパータートルの肉は食べられないので、穴を掘って捨てていく。ダリアとカエデも近寄ろうとすらしない肉だから要らない。
穴を埋めて先へと進む。崖の方に近付いているんだが、魔物が襲ってこないな。先程のカッパータートルの所為で魔物が逃げていたり、怯えて出てこないんだろ……来たか。
「右前方からイエローボア2、左からダブルホーン2。イエローボアはジャンとミレイア、ダブルホーンはリンデとフォル。残りはサポート」
「「「「「「了解」」」」」」 「ニャオ」 「ガォ」
「「「了解」」」
この深くて濃い森の中だと、ダブルホーンは身動きが取りづらい為、そこまでの強敵ではない。代わりに、イエローボアは自在に動いてくるうえに特殊能力持ちだ。強敵だが頑張れよ。
リンデとフォルは思いっきりの良いコンビだ。即座にやるべき事を理解したのか、2人とも迷い無く前足を斬りに行った。斬れたのはフォルの方が早かったが、2人とも優秀だ。
足を斬ってしまえば、四つ足の獣は戦えなくなる。基本とも言える事だが、それを迷い無く素早くやったんだから、傭兵としては十分に1人前だと言える。まだランク2なんだけどな。
ジャンとミレイアはイエローボアのニョロニョロした動きに翻弄されていたが、最後には一気に接近してファルシオンで頭を落としていた。時間が掛かったが、無傷なので構わない。
初めて戦う相手というのは、どうしても時間が掛かるのは仕方がない。傭兵としては帰る事なども考えて、無駄な傷を負う事は避けるものだ。そういう事を4人に教えておく。
先へと進もうと腰を上げた直後、【探知】で邪生を発見した。発見したんだが……どうなってる? イエローボアの邪生が、小さい灰色っぽい狼に噛み付こうとしているのか?。
これってダリアの時と同じパターンか? まあいい、とにかく浄化しに行こう。俺は皆に一声掛けて、一気に走っていく。密集している木々の間に居るのを見つけ、即座に浄化をした。
小さい狼は噛まれる寸前だったが助ける事は出来た様だ。しかし体が随分弱っているのと、かなり痩せているな。意識はあるようなので、予備の水皿に浄水を入れてやり飲ませる。
その後、邪生のイエローボアの心臓を取り出して皿に乗せ、【破砕】して【粉砕】したらスプーンで少しずつ食べさせてやる。ペースト状になっているので食べられるだろう。
驚く事に1口食べる度に元気になっている。4分の1ほど食べた後は自力で食べているほどだ。自分のペースで食べさせてやりながら一息吐くと、皆は小さい狼をジッと見ていた。
「アルド、この狼は多分<聖銀>だと思う。いわゆる幻獣の1種で、非常に綺麗な銀色の毛と、ダリアと同じ浄化魔法が得意な筈なんだ」
「そういえば、チラっと見えた時には灰色っぽかったですよね? ……という事はダリアと同じく邪生になりかかっていたという事ですか」
「聖銀の大きさって、確かムルーガと同じくらいよね? ……となると、この子は生まれて間も無いのかしら。でも牙はあるみたいだし、自分で食べる事も出来ているし……」
「まあ、気にしなくていいと思うよ。どうせ、この子もウチの子になるさ。邪生の心臓を食べてしまったんだから、聖銀ではいられないだろう」
「確かにそうだな。ダリアはツインホワイトとは言えないし、カエデはムルーガとは言えないからな。この子はいったい、どう変わっていくのだろうか?」
「邪生の心臓を食べると変わっていくんだね。朝の会話の通りに、この子も魔物ではいられないほどに賢くなっていくのかぁ……」
「聖銀ねぇ……。銀……銀………銀梅花か? 名前としてはどうなんだろう。確か古代ギリシャではマートルとか言って神聖な木だったんだっけ? 知り合いの結婚式で聞いたなぁ……」
「マートルですか? なかなか良い名前みたいですね。神聖な木の名前というのは、聖銀であるこの子には丁度良いかもしれませんね」
「お前をマートルと呼んでいいか?」 「ウォン」
「アレ? ちゃんと鳴けてるね。……うーん、聖銀の育ち方なんて知らないからねぇ……途中から急に大きくなっていったりするなら、アタシ達じゃ分からないし……」
「考えなくてもいいんじゃないか? 分からないものは分からないし、同じ育ち方は絶対にしないだろうからな」
「この子も強くなるんだろうね。私達とは違って本能で魔力や闘気の使い方を学んでしまうだろうし、技の使い方も覚えていくようになる」
「僕も頑張ろう。置いていかれるのは御免だし、皆以上に頑張らないと追いつけない。流石に役立たずは嫌だから、必死に頑張らないと……」
「あんまり無理しないようにな。体を壊すほど練習しても上手くなるとは限らない。適度な休みを取りながらやっていくのが、上手くなるコツだ」
そう言って邪生の心臓を食べて浄水を飲み、ゆっくりしているマートルを抱き上げて確認する。……この子も女の子かぁ。名前としては男でも女でも問題の無い名前だから良いか。
先に確認してから名前を決めるべきだったな。マートルの大きさはダリアとほぼ同じ、つまり標準的な猫の大きさと同じだ。ここにはマートル1頭しかいない。1人立ちしてるのか?。
分からないが連れて行っても大丈夫そうだな。俺はマートルを地面に下ろし歩いて行く。近くからスマッシュボーアが出てきたので、小太刀で首を刎ねた後に処理をして収納しておく。昼飯ゲット。
そのまま崖まで歩いたものの、魔物は現れなかった。崖上まで登り昼食にしよう。スマッシュボーアを解体し、内臓類を3匹に渡す。鍋に浄水と骨を入れて旨味を【抽出】したら、骨を捨てる。
鍋に野菜を入れたら、ゆっくり煮込む。その間に小麦粉を使って細めのうどんを作り寝かせておく。焼き場と焼き網を作ったら肉を焼いていくのだが、マートルが騒がしい。
どうやらマートルもお転婆らしいな。仕方なく3匹の餌皿に生肉を入れてやると、嬉しそうに貪っている。肉の下準備が終わったら、魔鉄のフォークを取り出し、勝手に焼くように言う。
予備の鍋でうどんを茹でたら、直ぐに【冷却】を使い冷やしてしまう。その後、鍋のスープも冷やして完成だ。炎天下のざるうどんの出来上がりだ。冷えているので食べやすいと思う。
さて、そろそろ食べるか。
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0284終了時点
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銀貨52枚
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銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ