0283
<異世界123日目>
おはようございます。今日は大森林に行く日ですが、あの濃い森で新人は戦えるんでしょうか? フォルもだけど、森は難しいからちゃんと見ていてやらないと危ないな。
武器や防具に関しては何の問題も無いけど、経験が足りていない。とはいえ、経験する為に大森林に行くんだから、そこは考えてもしょうがないか。守ってやりながら経験を積ませよう。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャオ!」 「ガォ!」
今日は初めて「よっ!」って感じの挨拶をされた。何か心境の変化でもあったのかね? 暑い事に変わりは無いし、暑さはこれからが本番だし、単に違う事をやってみただけかな。
2匹の前に水皿を出して、冷えた浄水を入れてやる。2匹とも落ち着いてゆっくり飲んでいる。最近は随分落ち着いた気がするな。どうやら、2匹ともお転婆は卒業した様だ。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャオ!」 「ガォ!」
「何か2匹の挨拶が軽い気がするのは、気の所為……じゃないね。何があったのか知らないけど、挨拶はちゃんとしなきゃ駄目だよ」
「ニャー!」 「グルッ!」
「分かってるのか、分かってないのか。それとも、意図的に聞き流しているのか。微妙に判断に困る声ですね。たぶん分かっているとは思いますが……」
「間違いなく分かってるわよ。2匹とも思っているより賢いわ。おそらく邪生の心臓を食べているからでしょうけど、こっちの言っている事は殆ど理解しているでしょうね」
「アルドが戦闘前に命じるだけで理解してるしね。どう考えても、普通の魔物とは比較にならない賢さを持ってるよ。まあ、この2匹を魔物と呼んでいいのかすら分からないけど」
「確かに。よく考えると、動物や魔物としては賢すぎるとも言えるか……。全部を含めてダリアとカエデだと言えば、それまでなんだが……」
「僕は知らないけど、可愛いから何でも良いんじゃないかな?」
「ニャオン」 「グルゥ」
「ちょっと照れてるな。2匹とも可愛いのは元からだけど、甘えたがりではあるんだよ。今が何歳かも分からないから、女の子なのか大人の女性なのかも分からないけどね」
2匹は急に顔を押し付けてきた。どうも照れていて顔を見られたくないらしい。こういう仕草は、むしろ人間っぽいんだよな。賢くなっていると言うのは、多分間違いないだろう。
そろそろお腹が空いてきたので、食堂へと行こう。部屋を出て1階の食堂に行くと、既にリンデが居た。どうやら水を飲んでゆっくりしているらしいが、妙に早いな。
俺は女性従業員に大銅貨12枚を支払って朝食を注文してから、リンデの居るテーブル席の椅子に座った。皆も椅子に座っていくが、気になったのかダナがリンデに聞いている。
「おはよう。それにしても、アンタが朝から寝惚けてもいないって、随分不思議な事もあるもんだね? ……何かあったのかい?」
「おはようございます。何かあったとすれば、昨夜はとても快適に眠れたという事ぐらいでしょうか? 火の季節の後半なのにとても涼しかったので、よく眠れました」
「ああ。昨日冷房を渡しておいたから、それが理由だったのか。少し小さめにしたとはいえ、冷えすぎてなかったか? 寒いなら使うのを止めるようにな」
「仮に肌寒くても、布を被ればいいだけです。体の芯から体力を奪う暑さに比べれば、大した事ではありません。あの冷房の御蔭で、昨夜は本当に快適でした」
まあ、役に立ったのなら作った甲斐があったってもんだ。リンデを浄化しておき、朝食が来るまで待つ。朝食が来たので食べていると、ジャンとミレイアが慌てて部屋から出てきた。
カウンター席に座ると、直ぐに運ばれてきた朝食を急いで食べている。そんなに急ぐと喉に詰まらせ「ゴホッ、ゴホッ」……言わんこっちゃない。とりあえず、2人を浄化しておくか。
朝食後、2人にゆっくり食べるように伝えて部屋に戻る。装備を整えたら送風機と冷房から魔石を抜き、食堂へと下りていく。リンデは居たが、ジャンとミレイアは居なかった。
あの2人、昨日も1日中盛っていた様だ。本当に飽きない奴等だな。ミレイアはともかくジャンはいつから猿になったんだ? お前さん猫人族だろうに……。
2人は急いで部屋から出てきたが、無駄に疲れてるうえ汗まで掻いている。……何やってんだか。俺は2人を浄化してやった後、冷気を浴びせて汗を引かせる。えっ、寒い? 気にすんな。
村を出て川沿いを進み、森の拠点への道を通り過ぎジャンプ地点までやってきた。模範として、ウチのメンバーがどんどん跳んで行く。その後、助走を付けてリンデも跳び越えた。
ジャンとミレイアもギリギリで跳び越える事に成功した。最後はフォルだが、流石にまだ無理だろう。そう思っていたら、挑戦する気満々だった。……何か嫌な予感がするが大丈夫か?。
どうやら、フォルはフラグを圧し折ったらしい。本当にギリギリだったが、跳び越える事に成功した。昨日身長が伸びてなければ無理だっただろう。それぐらいギリギリだった。
俺も最後に跳び、大森林の探索を開始する。まずは崖の方に進んで行こうと思うのだが、さっそく魔物が現れた。こっちの方も魔物が他所から来て増えているみたいだ。
「前方からゴブリン3、右からオーク2、左からコボルト4。前はリンデ、右がジャン、左がミレイア。他はサポートだ」
「「「「「「了解」」」」」」 「ニャ」 「ガゥ」
「「「了解」」」
まあ、今さら特に難しい魔物でもないし簡単に始末していってる。ソードグリズリーが倒せるなら、この辺の魔物は雑魚でしかないだろう。だからこ「危ない!」そ、こういう油断をするんだ。
1番数が多いミレイアだが、少し余裕を持ちすぎたな。程よい緊張感から、半歩後退した。その半歩で心に隙が生まれてしまったんだろう。こういう失敗もしなきゃ分からない。
怪我もしていないが、緊張感は一気に高まった。それぐらいの緊張感を最初から持っていれば良かったんだが、これで反省するべき点も理解できただろう。ちゃんと反省すればいい。
処理と収納をしたら、再び進んで行く。新人3人とフォルは緊張した面持ちでキョロキョロしているが、ウチのメンバーは【気配察知】で周囲の確認をしている。
大森林のような非常に濃い植生の森では、目は殆ど役に立たない。むしろ耳の方が役に立つぐらいだ。それは横に置いといて、とりあえず4人に【気配察知】を教える。
このままだと、ストレスで大きなダメージを受けそうだ。使える使えないは別にして、教えておけば安心するだろう。自分が使えなくても、周りが使ってくれてると安心だろうからな。
驚くべき事に、教えてすぐ使えた者が2人居た。ジャンとリンデだ。2人とも朧気ながら、何となく気配は掴めている様だ。ジャンは種族的なものだろうが、リンデは何故だ……?。
「木の上にジャンプスネーク6、右からイエローコボルト4。ジャンプスネークは新人3人、イエローコボルトはフォル。他はサポート」
「「「「「「了解」」」」」」 「ニャ」 「グル」
「「「了解」」」
流石はアダマンタイトと言うべきか、それともフォルの才能と言うべきだろうか。上手く矛を使って、イエローコボルトを次々と倒していっている。それにしても器用に使ってるな。
短く持って斬り裂いたり、一気に長く持って突き刺したり。矛は斬撃がメインとはいえ刺突が出来ないわけじゃない。それを理解して、本当に上手く使ってる。
何でもそうだが固定観念があると、それ以外の事を思いつかなくなるものだが、フォルはその辺が柔軟なんだろうな。あれも1つの才能と言えるのかもしれない。
新人3人は何とかジャンプスネークを倒したらしい。随分苦戦していたが、頭上から攻撃されるのが初めてだったから、あんなものだろう。処理と回収を済ませて先へと進む。
そろそろ昼食用の魔物とか出てきてくれると助かるんですけど……どうですかね?。
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0283終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨70枚
大銀貨123枚
銀貨52枚
大銅貨379枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ