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 「あの! ……もしかして、そこに居られるのは始祖の方ですか? もしそうでしたら……握手して下さい!」



 思わずズッコケそうになった。物凄く真剣だからいつでも動けるように構えていたんだが、緊張して損した。エルはキャーキャー言いながらフォルと握手して喜んでいる。


 フォルの方は苦笑いだ。何と言うか、ここだけ見ていると、崇拝と言うよりアイドルのファンみたいだな。目の前に追いかけているアイドルが居る。大体、そんな感じだろうか。


 で、アイドルであるフォルは、ファンであるエルの熱意に若干引いていると……。うん、分かりやすいくらいに、アイドルとファンの関係だな。これが、崇拝ねぇ……?。



 「えっ、他のエルフですか? 始祖の方にお会いすれば皆こうなりますよ! なって当たり前です! 喜ばない者はエルフじゃありません!!」


 「お、おう……。そうか……」



 興奮し過ぎだろ! 他の4人もドン引きしてるじゃないか。……うん? もしかしてララは気付いたか? ああ、あの表情は完全に気付いたな。まあ、スルーしてあげるけども。



 「あれ? もしかして、宿の部屋でお仕事をしていた方じゃありませんか? なんと言いますか……精神の形が良く似てるというか、そっくりなんです」


 「そうだよ。昨日娼館を辞めて、旦那様と共に生きる事になったんだ。森神様から名と祝福を賜って、始祖のエルフに変わったのさ。その際に体は女性に変わっているよ」


 「えっ!? 男性だったんですか!? ……そうは見えないんですが、今は女性だから見ても分かりませんね。でも、性別が変わるなんて、神様って凄いんですね」


 「えっと、その、あの……。アタイ気が回らなくてゴメンなさい。サリーに怒られちゃって、本当にゴメンなさい!!」


 「えーっと……僕もお仕事だったから、キチンとお相手をしたんだよ。でも、恋人相手にはちゃんとしなきゃ駄目だから、そこは覚えておいた方が良いよ」


 「申し訳ありませんでした。妙にお金を使い込んでいたので問い詰めたら、白状しまして。現在、私が1から叩き込んでいます」


 「あー……。サキュバスの君が教える事になったのか。まあ、それが1番良いだろうな。お金を使って何も学びませんでした。じゃ、何の為に大金使ったんだって話になるし……」



 そんな話をしながら食事を終えた。ジャンとミレイアとリンデには、明日からは大森林に行く事を伝えて部屋に戻る。アダマンタイトで武器を作る以上は、どうしても時間が掛かる。


 だから、早めに部屋に戻りたかったんだ。部屋はとても涼しく冷房が効いてるのが良く分かる。ただ、ビックリするほど酒臭い! 直ぐに浄化をして酒の臭いを完全に消してしまう。


 どんだけ飲んだんだよ。よく俺達に文句を言ったな? そう言う目で見ると、途端にディル以外が目を逸らした。まあ、ディルは酒を飲まないから目を逸らすことはないだろう。


 ……はーっ、ここで問い詰めてもしょうがないか。俺は椅子に座り、鉄のインゴットとアダマンタイトを取り出す。アダマンタイト1と鉄9で【合成】しインゴットにしていく。


 全部で2キロのインゴットが13本できた。これでフォルの武器を作って行くのだが、ダナとシュラは”マジかー”って顔をしてる。他のメンバーもようやく何なのか気付いた様だ。



 「今日は山に行ってたんだろ? 山にアダマンタイトがあったのかい? コレって前回の量より、明らかに多いよね」


 「そうですね。前回見つけたアダマンタイトの倍はあるんじゃないですか? 流石にここまでとは……。コレ、フォルの武器を作っても余りますよ」



 まずは、アダマンタイトでサバイバルナイフと十手を作る。フォルが持っていた魔鉄製の武器は素材に戻しておこう。その後、どんな武器が使いたいのか聞くと、迷う事なく矛を選んだ。


 ただし、選んだのは帰りの雑談で言っていた木の葉型の刃を持つ矛だ。それと打刀が欲しいらしい。なので魔鉄は全て素材に戻しておき、まずは矛作りから始める。


 穂先の形は木の葉っぱの形をしていて、長さは俺のと同じ65センチ。穂全体の長さは140センチで、矛全体の長さは2メートルにする。鉤は着けないので簡単だ。


 刀の方は、刃長70センチの物にした。ちょうどその辺りが、フォルにとって1番振り回しやすい長さらしい。鍔などの小物もアダマンタイトで作り、木の鞘に納めて完成だ。


 矛も刀も随分と気に入ったらしく、ウズウズしているように見える。面倒なんで【心静】を使い落ち着かせておいた。……アダマンタイトが半分以上余っているが、いつか使うだろう。


 今は収納しておいて、使う時に出せばいい。皆も武器が欲しいとは言ってこないしな。まあ、もしかしたら言いたいのを我慢しているだけかもしれないけど、俺は聞く気が無い。


 皆は十分に武器を持っているんだから、これ以上は要らないだろう。誰かさんはそれでも言い出しかねないが、大量に持っていても使わなくなるんだよな。だから作らない。



 「それで、本当のところは何があったんだい? 流石にフォルの身長が伸び過ぎてるよ。無理矢理に誤魔化してたけど、全員で正しい情報を共有しておかないと危ないと思う」



 ダナの言う事は最もだし、隠す事も何も無いので、今日あった事を順番に話して行く。邪生の心臓を食べた後に激痛に襲われた事を聞くと、皆はフォルに同情していた。


 ビックリするほどの高身長になったけど、代わりにあまり胸が大きくならなかった事にも同情している。ただし、フォル本人はまったく気にしておらず、身長の事で喜んでいるだけだ。


 今日の事の中で1番皆が驚いたのは、魔力の直接操作が非常に上手い事だった。1度フォルにやらせてみると、全員がそのレベルの高さに唸っている。魔力だけとはいえ優秀だからな。


 皆も魔力と闘気の直接操作の練習はしているが、まだまだ荒いんだ。使える事と使い熟す事は同じじゃないと言っているんだが、なかなか使い熟す努力をしようとしない。


 大変なのは、俺も通ってきた道だからよく知っている。とはいえ、ちゃんと努力しないといつまで経っても使い熟すところまで到達しない。フォルを見てやる気になってほしいんだけど、どうなるやら。


 どうやら思うところがあるらしく、全員が綺麗に魔力や闘気を循環させる練習を始めた。綺麗にムラなく安定して循環出来て、やっと1人前だから頑張れよ。


 皆の練習風景を見て、指導しながら2匹と遊ぶ。2匹も極僅かな魔力と闘気を綺麗に纏いながら遊んでいる。皆には俺や2匹の魔力や闘気の動きを真似してほしいんだが……。


 そうそう、ダナは闘気だけだが出来てきている。綺麗にムラなく安定して循環させ続ける。皆の種族的な魔力と闘気に対する得意部分や苦手部分が出てきているが、上手くなったよ。


 最初に比べれば雲泥の差と言っていいんじゃないかな? 後は精密にコントロールするだけだし、そのレベルも高いところまで来ている。もう少しで、基礎段階はクリアだな。


 フォルは仕方がないが、皆はこの段階はクリア出来ていても良い頃だ。基本の基礎の部分だから地味で大変なんだが、ここをクリアしないと応用には進まない方がいい。


 皆には色々な技を教えているけど、本当はこれが終わってから教える予定だったんだよな。ずっと言ってるように、身体強化に関わる直接操作は基本中の基本なんだ。


 そんな事を教えていると2匹は眠ってしまった。……はぁーっ、短い修行時間だったな。一気に皆の雰囲気がいつも通り怪しくなってきて、俺はベッドに連れて行かれた。


 今日は【鋭覚】と【精気】で何度も撃沈させておく。布団が2つになったが部屋が広いので、寝るのに苦労する事も圧迫感を受ける事も無い。冷房の効きも大丈夫みたいだ。


 明日は大森林か……。いつも通りに跳び越えれば行けると思うんだが、何か方法を考えておいた方が良いのかなぁ……? 新人3人も跳び越える事は出来る筈だから、行けるだろう。


 分からない事で悩んでないで、さっさと寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。



 ▽▽▽▽▽


 0282終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨70枚

 大銀貨123枚

 銀貨52枚

 大銅貨391枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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