0280
昼食後、傭兵ギルドへと歩いて行く。流石に中天に太陽があるだけあって暑いが、1日の中で1番暑いのはこれからだ。その事に少しウンザリしながら傭兵ギルドの扉を開ける。
中に入ると1番人が少ない時間だけあって、殆ど人が居ない。偶々ミュウさんが居たので銀貨1枚支払ってフォルの登録をお願いする。結構なジト目で見られたが気にしないぞ、俺は。
「また、新人を鍛えるんですか? あぶな……いえ、何でもありません。ゴホンッ、えーっと、フォルディアルデ……さん? ………始祖エルフ?」
「!!! 始祖エルフ!? 貴方は一体どこで始祖のエルフの方を見つけてきたんですか!? ダナさんやシュラさんは知ってるんですか!?」
「落ちつけ! ヴェル!! 彼女は昨日の朝か一昨日の夜かは知らないが、森神の名と祝福によって始祖エルフになったんだよ。それで、俺に連れて行けとさ」
「いや、ちょっと待って下さい。神様に連れて行けって言われるって、どういう事ですか?」
「そういう事だよ」
「「………」」
うん? 2人とも俺が話をはぐらかしたとでも思ったのかな。ただの事実なんだが……ああ、違う。ヴェルもミュウさんも、俺が神様連中と関わりがあると理解したみたいだ。
色々な表情をしていたが、最後に何とも言えない微妙な表情になった。神に関わりがあるという事実を、飲み込みたくないけど飲み込まざるを得ない。2人とも、そんな顔をしている。
「……はーっ。登録証の発行は終わりました。アルドさん! 知らないかもしれませんが、エルフの方は始祖エルフを崇拝しています。気を付けて下さい」
「ええ、本当に気を付けて下さい。始祖のエルフを誘拐されました……何て事になったら、村の名もギルドの名も地に落ちます。何としてでも守って下さいよ!」
ヴェルもミュウさんも必死だな。そこまで崇拝されてるのか、始祖エルフって。……まあいい、敵は始末するだけだ。俺は隣のフォルの肩を抱き寄せながら、この場でハッキリと言う。
「そもそも、俺が”俺の女”に手を出そうとする奴に対して、黙っているわけがないだろ。暗殺組織を殲滅したのを忘れたのか? 説明の時にヴェルは居たろ」
「”俺の女”……//////」
「「「「「………」」」」」
周りの全員から呆れられた気がするな。……ああ、うん。よく考えたら、俺ってハーレム野郎か。正確に言えば不老長寿が集まっているだけなんだが、誰もそうは見ないかー。
俺はフォルと一緒にそそくさとギルドを出て、そのまま村を出て歩いて行く。村から離れたらフォルをおぶって一気に走っていく。キャンプ地を横目に登山口まで進んでいった。
ある程度を登ったらフォルを下ろす。ここからは【探知】や【空間把握】を使って警戒しながら進む。フォルを前に置き、その前にダリアとカエデを置いて進んで行く。
最初に出てきたのは、まさかの邪生のソードグリズリーだった。流石にコイツは練習相手にならないので、【浄化】の権能で安らかに送ってやる。血抜き等の処理をした後に心臓を取り出す。
邪生のソードグリズリーの心臓を4分割にして、4分の3をフォルに食べさせる。フォルは少し嫌な顔をしたが、一口食べた後は美味しそうに食べている。残りの4分の一は半分にして2匹にあげた。
「あ、あれ? な、何かおかしいんだけど……。う、うぐぐ、い、痛い!! 痛い痛い痛い痛い!!!」
マジか? フォルの胸が大きくなるのは予想できていた。だが、急激に身長が伸びるなんて考えもしてなかった。痛いだろうが我慢してくれ、ビックリな人体改造が起きてるんだ。
本当にビックリするほど急激に身長が伸びていく。元々は145センチなのに、今は160センチぐらいまで伸びている。成長痛が一気に来たようなものだから、痛いに決まってる。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……。い、痛かった。いったい何が起きて、あんな事に……」
「あー、すまん! 流石に予想外だった。まさか身長が15センチほど伸びるなんて初めての事で、予想できなかったんだ。後、胸も大きくなってる」
「??? ……身長が伸びてる? ……アレ? 目線が高い? えっ!? 本当に身長が伸びてるの? す、凄い! 凄いよ! 身長が伸びてる!!」
胸が大きくなって喜ばないのは斬新だな。AAからAになったぐらいで、あんまり変わりはないんだけど……。大きさとしては、ほぼ平らな状態から、多少膨らんだかな? というぐらいだ。
身長が低い事がコンプレックスだったんだろうか? 喜びようが凄いな。喜んでるついでに邪生の心臓の効果を話しておこう。魔力や闘気や念力が増大する事などを伝えていく。
それと同時に、バレた時の危険性も教えると顔を真っ青にしてコクコクと頷いている。流石にフォルは、女性の美への執念をよく知っている様だ。他人を殺してでも奪うだろうからな。
アイテムバッグにソードグリズリーの邪生を回収して進んで行く。道中に出るゴブリンやコボルトと戦わせるも余裕で倒しているな。厳しい人生だったからか度胸も覚悟も十分にある。
フォルが倒した魔物を処理しながら回収して進んでいると、再び邪生が現れた。今度はゴブリンの邪生の様だ。さっさと浄化して心臓を取り出し、4分割して4分の3を食べさせる。
今回も痛みに絶叫する事になったが、身長は175センチまで伸びた。ちょっと尋常じゃないんですけど? コレ、本当にどうなってるの? 確かに古典的なエルフは身長高いけどさ。
……うん? そっち方面に寄せていってるのか? 誰が? ……ああ、これ考えちゃいけないヤツだ。何も考えてませんよ! 俺、何も考えてませんから!。
フォルの胸はまた少し大きくなってる。だけど物凄く微妙にしか大きくなってない。さっきのゲフンッ、ゲフンッ、から考えると、Bぐらいで大きさは止まる気がするな。
高身長、貧乳がエルフのイメージだからなぁ。弓……は別にいいか。エルフだからと言って、絶対に弓が使えなきゃいけない訳でもない。そもそも森で生きるなら、斧とか鉈の方が先だろ。
まあ、斧とか鉈のイメージが良くないから何だろうけどさ。幾らなんでも魔物相手に弓はなぁ……俺が使ってたような、馬鹿げた力でないと引けない弓が必要になってくる。
作れなくはないが、作る必要性を感じないな。フォルに聞いてみても弓は使った事が無いって言うし、無理に使わせてもしょうがない。後で大脇差を別の武器に変えておくか……。
途中でフォレストベアが出たものの、危なげなく勝利していた。この感じだとソードグリズリーにも十分勝てそうだな。そんな事を考えていると、矛を貸してほしいと頼まれたのでフォルに渡す。
フォルは2、3度振るとしっくりきたのか、妙に喜んでいる。そのまま進むと、ようやくソードグリズリーが現れた。フォルとソードグリズリーは睨み合っているものの、どちらも動かない。
動けないのかと思っていたら、両者ともにジリジリと動いていた。左足を前に出した半身で構えているフォルは、矛を少し引きながらジリジリとにじり寄って行く。
緊張が頂点に達したとき、ソードグリズリーが四肢に溜めた力を解放し一気に迫る。しかし、それよりも早くフォルは身体強化と武器強化を行い、風のような速さで突きを繰り出した。
引いていた分矛先は伸び、ソードグリズリーの眉間を貫いて脳に達した様だ。その一撃でフォルの勝利となった。それにしてもバトル漫画みたいな、手に汗握る一瞬の戦いだったな。
「やった! 勝ったよ! あのソードグリズリーに勝ったんだよ、僕が! まさか、こんな事が出来るようになるなんて……ありがとう、アルド!」
感動しているところ悪いが、俺は今日の朝から基本をちょっと教えただけだ。どちらかと言うと、今までフォルがやってきた鍛錬と、思い切りの良さが理由だろう。俺が理由じゃない。
そう言っているんだが、人の話を聞かないな。ちょっとは落ちつきなさい。血抜きなどの処理をしながら、落ちつくように何度も注意してやっと治まった。興奮し過ぎだろう。
▽▽▽▽▽
0280終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨66枚
大銀貨120枚
銀貨52枚
大銅貨103枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




