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0027




 ギルド2階の執務室に入りソファーに座る。ダナは執務机の正面のソファーではなく俺の横に座った。



 「拠点の方は多少でも守れるようになったかい?」


 「現在拠点の四隅に櫓を建ててる最中だよ。明日には終わる」


 「そうかい。高い所から警戒出来るようになれば楽になるね」


 「俺が作った壁は、厚さが俺の身長より少し大きいぐらいにある。そこから攻撃する為の投げ槍も作っておいたよ」


 「使えそうなんだね?」


 「ああ、壁の高さは俺の身長2人分より高い。その前には深い堀だ」


 「うん……成る程。投石も使えそうだ。やっぱり迎撃がいいね」


 「明日、俺が囮役をやって迎撃しようと思う。いい訓練にもなるだろうし」


 「アルド!? 一体何を考えてるんだい!?」


 「誰かが囮をやるのが一番良い。そして俺なら最悪の場合、門をジャンプで越えられる」


 「でもアル!?」



 俺はダナの唇を塞ぎ、無理矢理黙らせる。ダナが心配する気持ちもよく分かるんだ。だからこそ安心させる。


 俺がやるのが一番安全なのは、どんな状況でも対処できるからだ。これは自惚れでもなんでもない。伊達に神様達に鍛えられた訳ではないからな。


 それに何度もやれば人は慣れる、囮役は慣れてから変えればいい。それに!?



 「アルド……チュッ! ……アルド」



 何かダナがおかしくなってる!? 正気に戻さないと!。



 「ダナ、そういう事だからあし!?」


 「チュッ! ……アルド」



 駄目だ! 全く聞いてない!? こうなったら【念術】の【衝気】で気絶させる!。


 ビクンッ!!


 ふぅ……何とかなったか……。一体何故スイッチが入ったんだ? それよりドコにスイッチがあったんだ? ……駄目だ、分からない。


 【衝気】は意識に衝撃を与えて気絶させる技だ。意識が逸れている相手なら簡単に気絶させられるが、気を強く持っている相手は難しい。使えるが、使い所が難しい技でもある。


 とにかく、話しの途中で疲れて寝てしまった。そういう風に起こそう。



 「おーいダナ。ダナ起きろ~」


 「ん?……ん、あれ? アルド?」


 「ダナ、起きたか?」


 「うん? アタシ、寝てたのかい?」


 「ああ。疲れてるんじゃないか? 今日はゆっくり寝た方がいい」


 「ああ……そうだね。そうするよ」


 「明日は囮役をやるけど、他の傭兵達と協力して安全にやるから心配しなくていいよ」


 「う~ん……分かった。でも気を付けてね」


 「俺だって死にたい訳じゃないから、安全にやるよ」



 そう言って執務室を出る。それにしてもビックリしたな……あんなダナ初めて見た。今後は注意しよう。


 ギルドを出て宿に戻り夕食を注文すると、女将さんに銀貨1枚か大銅貨1枚か聞かれた。



 「何でそんなに値段が違うんです?」


 「高い方はイエローボアの肉なんだよ。高級品でね、おまけに肉の質が凄くいい物なんだ! ウチの旦那の分はもうあるからね、後は宿のお客さんに出すだけさ」


 「あの肉を買ったんですか?」


 「ああ。やっぱりお客さんが狩ってきたんだね? 肉の質がいいから効果が高いって言われてねぇ……」


 「そ……そうなんですか。とりあえず大銅貨2枚で」


 「若いと必要ないんだね、羨ましい」



 羨ましいって言われても困るんですけどね! イエローボアを探した方がいいんだろうか? でも大森林の魔物だし、明日は拠点で囮だし……。


 そういえば漫画やラノベで定番の、精力剤の材料であるオークの睾丸だが、この世界では殆どゴミとして扱われる。強いて言えば肥料にする人が居るというぐらいだ。


 レッドパンサーの脳は、乾燥させて燃やして使うらしく口に入る訳じゃないそうだ。脳は色々危険だから大丈夫なのか心配していたが、1人胸を撫で下ろした。


 そんな話しをしているとダナが来た。



 「今日はイエローボアの肉が入ったんだって!?」


 「ダナ……注文してないよ。今日はゆっくり休んだ方がいい」


 「ダナさん、何かあったのかい!?」


 「ちょっとね……疲れてて、話してる最中に寝ちゃったみたいなんだ」


 「それはいけないね、今日はゆっくりした方がいいよ。明日の朝に食べればいいさ」


 「そうするかね……」



 ダナはちょっと残念そうだったが、普通の食事を一緒に取った。部屋に戻り全て浄化すると、ダナは直ぐにベッドに入り手招きをする。


 俺もベッドに入り、二人でずっとイチャイチャした。ダナはそれで満足したのか気付いたら寝ている。俺も浄化して寝ようっと。それじゃあ、おやすみなさい。



 <異世界12日目>



 ……うん? 唇に何か妙な……ってダナか。



 「チュッ! ……おはよう、アルド。今日はアタシの方が早かったね」


 「おはよう、ダナ。たしかに初めての事だな」


 「ふふ、アルドの寝顔を初めて見れたよ」


 「何か嬉しそうだね」


 「そりゃあね!」



 起きたので浄化を始める。浄化が終わると、急にダナが抱きついて来た。その後激しくキスをしてくるので、俺もお返しをしておく。昨日から、ちょっと甘えん坊になってる?。



 「ずっとこうしてたいけど、そろそろ朝食を食べに行こうか」


 「しょうがないね。じゃあ最後に」



 ダナが最後に長めのキスをしてきた。その後、浄化して食堂へ行く。ダナは腕を組んできて非常に御機嫌だ。女将さんに銀貨2枚を渡し、イエローボアの朝食を頼むと、



 「ゴメン! 2人とも。昨日イエローボアの肉は全部売れて、もう無いんだ」


 「あらら。まぁ……しょうがない。無い物は無いんだ」


 「んー……残念だけど、仕方ないね」


 「本当にゴメンね。イエローボアの肉があるって、村の人まで来ちゃって……」



 村の人まで来たら仕方がない。村だからな、出さないと何を言われるか分からない。食べ物の怨みは恐ろしいもんだ。


 女将さんに大銅貨2枚を払い朝食にする。ダナの機嫌は悪くはないようだ。


 朝食後に一緒に部屋に戻り、ダナが満足するまでイチャイチャするとスッキリした顔になった。どうやら機嫌は回復したみたいだ。


 宿の前でダナと別れ、ナンサンドを買って森の拠点へ行く。


 リヤカーを牽いて拠点に着くと、昨日より多くの傭兵が居た。ギルドの職員に話をしようと探していると、ベテランの傭兵も近くに居たので一緒に説明する。



 「おはよう。ギルマスから今日の囮の事は聞いてるかい?」


 「おはよう。聞いているが、大丈夫か?」


 「流石のお前さんでも、まだランク3だ。高ランクが煩いぞ?」


 「ふっ! ……よいしょっと。最悪、門をジャンプで越えられる。そんな奴は多くないだろ?」


 「……確かに。そんな奴は殆ど居ねぇな」



 俺が門を身体強化で飛び越えると、流石に理解してくれた様だ。囮は外で取り残されると高い確率で死ぬ。だが無理矢理にでも門を飛び越えられるなら、生存確率はぐっと上がる。


 囮自体が危険だが、俺がやるのが一番安全だと理解してくれたので実行に移す。櫓を建てる資材は揃っているらしいので、櫓の建設を進めながら囮の開始だ!。


 門を開け西北西へ行く。【探知】を使うと多く反応する場所は変わっていない。洞窟の前に居る門番のような奴に適当に【土弾】を当てて気付かせる。



 「「「「ブモッ! ……ブモゥーーッ!」」」」」



 見張りが全員こちらに向かって来るんだが、こいつら見張りの意味が分かってないのか? オークだから仕方ないにしても、まずは中の仲間に知らせろよ!。



 「「「「ブモブモッ! ブモブモッ!」」」」


 オークの攻撃を避けながら、中から出て来るのを待つ。回避を繰り返して3分ほど経ち、オークが疲れてきた頃にやっと出てきた。



 「ブルァーーーッ!」


 「「「「「「「ブルッ!! ブルゥーッ!!」」」」」」」



 中から身長2メートルを超えるデカいオークと、取り巻き連中が現れた。そいつらにも【土弾】を浴びせてから逃げる。森の中で木を盾にしたり、石を投げてぶつけたりして挑発しながらだ。


 少しずつ拠点の方へ挑発しながら連れて行っていると……。



 「ブルルルァァァーーーッ!!!!」



 どうやらブチギレたらしい。上手く行き過ぎたか? 流石に逃げに徹し、拠点へと急いだ。



 ▽▽▽▽▽


 0027終了時点


 金貨9枚

 大銀貨13枚

 銀貨15枚

 大銅貨20枚

 銅貨9枚


 鋼の脇差

 鋼の十手

 鋼の槍

 石斧

 オーク革の鎧

 革と鉄の肘防具

 革と鉄の膝防具

 革と鉄のブーツ


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