0277
これから仲間になるんだし皆に質問をさせたら、フォルの身包みを剥がしてしまった。何やってんだ……と思ったら何か変だぞ? お前さん男の筈だろう? 両方ついてないか?。
「うわぁ……本当に両方ついてるね。伝説にある通りだよ。伝説には<その美しき姿は、男であり女である>と言われてるけど、本当にその通りなんだね!」
「本当ですね! 始祖エルフなんて生まれて初めて見ましたよ。本当に男のモノも女のモノもついてます。始祖のエルフって、800年ほど前に亡くなっているらしいですからね」
「元々そうだったからなのか、体の小ささも相まって凄く可愛いわね。あるモノが小さいから、そう思うのかしら?」
「確かにね。とはいえ、男性の機能も女性の機能も持つなんて凄いとしか言い様が無いよ。どうやったらこんな……アレ? 袋がついてないんだけど……うーん、触っても無いね?」
「アルメアは堂々と触ったな。まあ、悪い訳ではないがフォルが困っているぞ。感覚があるのだから、その辺りを触られるのは辛いだろう」
「【空間把握】で確認したら男性の機能の一部が無いんだが、どういう事なんだろう。正確にはモノは有るが、女性を妊娠させる事は出来ない。そういう体の作りになっている」
「あの! ……夢の中で森神様にどちらが良いかと問われたので、子供を産んでみたいとお願いしました。元々女性として生まれたかったので……その……」
俯いて真っ赤になってモジモジしている。男だったら「何やってんだ!」で終わるんだが、女性の機能しか無いとなると女性だよな? 男のモノはついてるが精子を作る機能が無いんだ。
……コレって女性って言って良いんじゃないかな? 一応、区分としては両性具有となるんだろうけど、男性の機能が無いしな。しかし、どちらが良いか聞かれて女性の体を取るとは……。
ずっと、そういう願望があったんだろうな。とはいえ、女性の体って色々大変だと聞くけど大丈夫なのかね? まあ皆が教えるだろうから、分からなかったら聞くだろう。
フォルは、さっきキンキンに冷やした浄水を飲んで悶絶している。皆も悪戯が好きだなぁ。ああやって歓迎しているんだろうけど……皆も思うところがあるんだろう。
フォル自身も色々酷い目に遭ってきている。その事に対する同情も含めて、色々な感情があるのは当然だな。
普通は神官長のようなクズになるのは無理だ。どこかが捻じ曲がってない限りは。
「今日と明日は休みにして、その間に必要な物を買い揃えよう。金貨を1枚渡しておくから、誰か雑貨屋とかに連れていって傭兵としての準備を頼むよ」
そう言ってテーブルの上に金貨を1枚置いたら、俺は宿を出て雑貨屋へと行く。雑貨屋で麻布と綿を大銀貨1枚で購入したら、宿の部屋へと戻って麻布と綿で布団を作る。
完成したら部屋の隅に置いておき、布団で寝る。本当に長かった……1日以上起きっぱなしだからな、さっさと寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。
「アルド、アルド! もう夕方前だよ、そろそろ起きな。昨日からずっと起きてたから仕方ないけど、これ以上寝ると夜眠れなくなるよ」
「あ、ああ……。すまない、直ぐ起きる。ふわぁ~あ……ふぅっ。さっさと浄化して綺麗にするか。ところで、メルとアルメアとフォルが居ないようだけど、何かあったのか?」
「フォルが所属していた娼館以外から誘いが随分来ててね。1つずつ断ってくるってさ。フォルは体が変わったからね、アルド以外に抱かれる気は無いって言ってたよ」
そんな話をしながら、椅子に座り浄水を冷やして飲む。ゆっくりしながら、フォルの武器を作らないといけない事を思い出す。身長が低いからなぁ……軽めの武器が良いかな?。
ナイフと十手は当然として、後はなんだろう? まあ、フォルと相談して決めればいいか。まだ夕食には早いようなので、涼しい部屋でゆっくりしていよう。急ぐ事なんて何も無いしな。
「ただいま戻りました。……それにしても、娼館主達にも困ったものね。最後なんてフォルを個人的に引き取りたいなんて言い出すし。何を考えているのかしら、まったく!」
「ただいま。まあまあ、落ち着きなよメル。それだけ人気があったって事さ。男娼としては1、2を争う人気だったんだから仕方がないよ」
「ただいま。申し訳ありません、僕の所為でご迷惑をお掛けしてしまって……。あの娼館主から、あんな事を言われたのは初めてです」
「おかえり。メルが怒ってるって事は、娼館主達はかなり駄々を捏ねたんだな。人気の男娼が急に辞めるとなったら仕方がないんだろうけど、元の店はすんなり辞めたんだろ?」
「ええ、すんなりと辞めました。と言っても、実はあの店<黒蛇>の者が娼館主をしているので辞めるのは簡単なんです。娼婦や男娼が酷い目に合わないようにと作った店なので……」
「ああ、成る程な。……<黒蛇>はそういう事もやっていたのか。色々言うバカは居るだろうが、やり方としては正しい。中に入って待遇を良くしないと、助ける事は出来ない」
地球でも、売春業って最後のセーフティネットという一面はあるんだよ。売春という仕事を取り上げたら、待っているのは自殺する未来だけ。そういう人も世の中には居るんだよな。
そういうところは忘れちゃいけない。俺はそう思う。現実を無視して理想論をブチ上げるバカにはなりたくない。そういうバカの言う理想論が、一番”人を死なせる”んだよ。
さて、嫌な事を考えていてもしょうがないので食堂に行くか。部屋を出て食堂のカウンター席に座り、大銅貨10枚を支払って夕食を注文する。そういえば、ジャンとミレイアは?。
「ジャンとミレイアはどうしたんだ? まだジャンの実家に居るのか、それとも宿に戻ってきてるのか。誰か知ってる?」
「ジャンとミレイアなら、アルドが眠った直後に帰ってきたよ。今日は休みだって言っておいたから、盛ってるか寝てるかのどっちかじゃないかい?」
「あの2人は私達と比べても盛りすぎな気がしますけどね。若いからしょうがないとはいえ、あそこまで盛りますか?」
「ジャンは15歳よ? その歳の男の子なら仕方がないんじゃないかしら。それにミレイアも止めないで、むしろ喜んで受け入れていると思うわ」
「あの2人はそういう部分でも相性が良さそうだから、余計に止まらないのかもしれないね。若い男に、止めない女。そんな2人なんだから仕方がないさ」
「まあ、生活が乱れて溺れているなら叩き直せばいいが、2人はそこまでじゃない。少しぐらいなら、見てみぬ振りをしてやればいい」
「休日をどう過ごすかは2人の自由なんだが、ヤり過ぎで戦闘を含めた色々な感覚を忘れてなければ良いが……」
「流石にそこまでじゃありませんよ。昨日はすみませんでした、実家で母に泊まっていけと言われまして。昨日渡したお金で、実家はかなり楽になりました」
「私も将来の事があるので、少しお渡ししておいたしな。ジャンの弟や妹は、こう……小さくて、凄く可愛かったんだ! 私も将来はああいう子を……」
「ミレイアは帰ってきてからは、ずっとあんな感じだね。獣人の子は小さい頃は可愛いから気持ちは分かるんだけど、あそこまで喜ぶのはどうなんだい?」
「まあ、後ろ向きよりは前向きな方が良いでしょう。前向きというより、前のめりな気がしますけど……」
2人が来たので大銅貨2枚を渡し、追加で夕食の注文をしておく。俺達の夕食は一足先に来たので、皆で先に食べる。今の間に、食事後に俺達の部屋に集まるように言っておく。
2人の夕食も直ぐにきたので、そこまで遅れる事はないだろう。食事後ゆっくりしてから、皆で部屋に戻る。俺は床に座り、皆も好きなところに座るように言って浄水の樽を出す。
凍る寸前まで冷やしたら、好きに飲むように言っておく。部屋に居る全員を浄化したら、話し合いを始めようか。新人3人は気合いが入った真剣な表情になったが、そこまでの話じゃない。
もうちょっと落ちつけ。
▽▽▽▽▽
0277終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨66枚
大銀貨120枚
銀貨53枚
大銅貨127枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ