0275
男の娘エルフと隊長っぽい奴の尋問というか拷問中なんだが、既に【白痴】を使っているので聞けば良いだけになっている。それで聞き出しているんだが……面倒な事になってきたぞ?。
「お願いします! あの男は生きていてはいけない奴なのです! 自分はどうなっても構いません。神官長を殺して下さい!」
「……さっきの一軒家でも話してたが、どういう事だ? 王太子からは大神殿長と神官長が対立している事は聞いているが、それ以上は特に何も聞いてないぞ?」
「お、王太子と関わりが……。神官長は魔人族の中でも長生きな一族で、代々神官長の家系なんだ。色んなところに伝手があるらしく、腕の立つ連中を近くに置いてるんだよ」
「さっき一軒家の中で、自分ならとっくに殺しているとか言ってなかったか? つまり、本当は出来ないがそれぐらいの憎しみを持っているという事か?」
「ああ。アイツは魔人族の中でも200年近く生きる種族だけど、僕達が子供の頃から好き勝手にしてきた奴だ。アイツの慰み者になって死んだ子だって、10人や20人じゃ足りない」
「あの男は父親を殺して神官長の立場を奪ったんです。その事を大神殿長に直訴しようとした者が、いきなり死んだという事も何度もあり……誰も逆らえなくなってしまいました」
「ふーん。まあ、よくある事と言ったらそれで終わる話だな。その神官長がやってる事もアレだが、お前等がやってる事も犯罪だしなぁ……。どっちも同じじゃね?」
「そ、それは……ですが! 我等が悪なら奴は巨悪なのです! 決して許してはならない奴ですし、生きているだけで誰かを不幸にする奴なのです! だかっ!?」
俺は男の娘エルフと隊長っぽい奴を、【衝気】を全力で使って気絶させる。2人を村に連れ戻って一軒家へ放り込んだら、全力の身体強化を使って王都までの道程を駆け抜ける。
本当の意味で全力を使った結果、あっさりと王都に到着した。まだ真夜中だが、俺ってここまで早かったんだなぁ……。よし、気合い入れて始末しに行くか。
今回何故やる気になったかと言うと、どっちにしても神官長という奴が邪魔である事。大神殿長だけを残せば、こっちに関わってくる可能性が減るだろうという予想。
この2点から、神官長という奴を始末する事にした。隠密の3つの技を駆使して、バレないように王都の神殿に近寄っていく。神殿と言っても石造りの神殿部分と居住部分は別である。
総石造りの神殿部分の後ろに、神官達の住む建物と孤児院がある。神官達の住む建物も6つほどあり、どれがどれか分からない。挙句、1つ1つが4階建てである。実に面倒臭い。
1つ1つの建物に近寄って、4階部分を【空間把握】で調べる。バカと何とかは高い所が好きだからな。そうしていると、1番奥の右の建物の4階にそれっぽい奴を発見した。
”お楽しみ”の後なのか裸で眠っているオッサンが居て、その横に小さな男の子が居た。一瞬で殺意が膨れ上がりそうになるが、必死に抑える。子供の体が痣だらけだ……。
その部屋の手前には、まだ起きているのか明かりが点いている部屋があった。2人の男が酒を飲んでいるらしい。詳しく聞く為に部屋の前まで行き、集中して振動を拾う。
「神官長サマも随分いい気なもんだ。我等帝国の手助けがあるからといって好き勝手しやがって。任務じゃなきゃ子供の悲鳴なんて聞きたくもねぇ」
「幾らガイアルムの王都を混乱させる為とはいえ、あんな異常者を使わなきゃならないなんてな。皇帝陛下の側近とも言われる、侯爵閣下がやる事かね?」
「知らねーよ。クソったれの異常者を、いったい何処で見つけてこられたんだか。神官長の家系に良く似た顔の奴なんて、本当に何処に居たんだろうな?」
「さぁ? もしかしたら、血の繋がりはあるのかもしれないぜ? 家を乗っ取る時、父親だった男を異常なまでに憎んでいたらしいしな」
「早く応援が来てほしいぜ。戦争に使うって言って3人も引き抜いていきやがって……おかげで俺達2人だけで任務を続ける羽目になったんだ。そのうえ、戦争は負けたらしいし……」
「仕方がないさ。上のお偉方が、現場の大変さなんて知ってる訳が無いだろ。いつもいつもお偉方は命令するだけ。苦労するのは俺達現場のもんだけだ」
そういう背景事情があったのか……さて、どうするかな? ここは秘密裏に処理した方が良いか……。ただ、全てを闇に葬るとライブル達が困るだろうしな。とはいえ、物的証拠が無い。
仕方ないな。帝国の間者どもを近衛の本部に放り込み、神官長とやらは始末するか。俺は【衝気】を使い間者2人を気絶させて部屋に侵入し、手枷と足枷を嵌める。
奥の部屋に侵入して神官長とやらに【昏睡】を使い、強制的に深い眠りに落とす。殺し方を考えながらも、ふと思う。こいつも殺さずにライブルに渡した方が良いか?。
いや、神殿が関わってきて逃げられかねないな。予定通り神殿内で殺すか。しかし、どういう風に殺せば良いのか……うん、アレでいこう。丁度良く祭壇もあったしな。
俺は神官長を担いで部屋を出て、神殿に向かい中に入る。奥に進むと、神に供物を奉げる為の祭壇があった。
祭壇に近付いた俺は、神官長の首を斬り落として祭壇に奉げ、体は祭壇の下で【粉砕】する。
こんな事をして神罰を受けないのか? と思われるかもしれないが、浄神なら「良くやりました!」と言ってくるぐらいだろう。つまり、何の問題も無い。
ついでに神界一歩手前まで浄化しておき、その場を立ち去ろうとすると、また頭の中に直接声が響いた。……これで3回目なんだが、今度は何なんだよ? また面倒事ですかね、神様?。
『アルドゥラム、聞こえますね? 浄神が「良くやった!」と伝えろとしつこいので、伝えておきます』
『ああ……。ワザワザ念神に頼むくらい喜んだんですね。小躍りしてそうですね、今までの鬱憤を考えると……』
『ええ、実際にしてますね。それと森神が言うには、貴方が捕まえたエルフを始祖のエルフと同じにしておいたそうで、連れて行けと言っていました。じゃあ、頼みましたよ』
『へ!? あ、いや、あの、ちょっ……ちょっとーーーっ!!』
また押し付けられたぞ!? 今度は森神? いや、会った事とか無いんですけど? それを言うと血神も会った事が無いんだけどさぁ……。って言うか、あのエルフ男の娘なんだけど?。
俺はそっちの趣味なんてないんだから、勘弁してくれ。……考えても仕方がないんで、とっとと帝国の間者をライブルの所へ持って行くか。あっ! その前に、あの男の子を回復しておこう。
俺は間者の部屋に戻り、間者2人に【昏睡】を使っておく。次に神官長の部屋に入り、男の子に【昏睡】を使った後【生命活性】と【黄泉帰り】を使い、傷や痣を治癒しておく。
その後、神官長の部屋を探し回ったら、帝国とのつながりを示す文書を幾つも発見した。壁の隙間とか椅子の裏とか、色んな場所に隠してあったのを全て回収し部屋を出る。
間者の部屋に戻り、帝国の間者を担ぐと近衛の本部を目指して走る。近衛の本部に入り、奥のライブルの部屋の前まで行き【空間把握】で中を窺うと、普通に眠っている様だ。
俺はライブルの部屋に侵入して間者2人を床に置いたら、証拠物を部屋のテーブルの上に置く。その後、部屋の中にあった紙とペンを借り、帝国の間者である事を書いておく。
俺は手枷と足枷を外し、間者の部屋から拝借してきたロープで縛り直して部屋を出た。これで朝になったらライブルが気付くだろう。また俺がやった事もバレるだろうが、諦めてほしい。
俺は行きと同じく、全速力でルーデル村へと帰る。村に戻れた時には、もう朝日が顔を出していた。随分長い1日だったなぁ……。今日は休みにして、ゆっくり寝ようっと。
男の娘エルフと隊長っぽい奴の居る一軒家へ行き、2人の手枷と足枷を外す。良く寝ているようなので、隊長っぽい奴の右足の怪我だけ治したら放置して、さっさと宿の部屋に戻ろう。
宿の部屋に戻り椅子に座って、ようやく一息吐く。まさか夜の間に村と王都を往復する事になるなんて、考えもしなかったな。ただ、やれば出来てしまうところが、何とも言えない。
元の世界とはあまりに違う、そんな事を本当の意味で痛感した。
▽▽▽▽▽
0275終了時点
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銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ