0266
ソードグリズリー3頭分の素材で2人の防具を作るのだが、まずは当たり前とも言える鎧からだ。傭兵の鎧は脱ぎ着がしやすい物が好まれる。騎士が着るような重くて脱ぎ難い物は好まれない。
第一に、動きが制限されればされる程、狩りにおいては不利になる。
第二に、動いた際に音が出る鎧では、魔物に襲ってくれと言っているのと変わらない。
第三に、魔物を求めて移動を続けたりするので、重いと直ぐに疲れてしまう。
第四に、鉄の鎧でも魔物によっては簡単に貫いてくるので意味が無い。
他にも細々とした理由はあるが、大きな理由としてはこの4つとなる。4つとも当然の理由であり、金属の鎧は狩りでは役に立たないというか、着けていると危険な物だ。
もし着けるなら、味方にフォローしてもらえる環境を作らなきゃいけない。メルが鎖帷子を着けていたのは、仲間のフォローがあったからだ。
ソロでは余程の実力が無ければ身に着けない方が良い。特に森の中などでは自殺行為に等しい程だ。命を守る防具で命を失うとか、冗談にもならないし誰も笑えない。
そんな事を3人に教えておく。もし、俺達と別れる事になっても教えた知識は無駄にはならない。死んでほしくはないので、教えられる事は教えておこうと思う。弟子なんだし。
「さて皮を革に出来たんで、まずはミレイアからか。こっちに来て真っ直ぐ立ってくれ。……そうそう、革を当てながら【変形】させるからビックリしないようにな」
「ああ、分かった……。うわっ!? ……す、済まない。急に革が勝手に動いたのでビックリしてしまった。見ていた筈なのだが、自分の近くで変わると違うんだな……」
「凄いですね……。白い綺麗な革がウニョウニョ動きながら体にピッタリ沿っていってます。……ミレイアは私より胸が小さかったんですね?」
「うぇっ!? ち、ちょっと待ってくれ! これ、胸の大きさが丸分かりじゃないか!! い、今すぐ止めてくれ! こんな辱めを受けたのは初めてだ!!!」
「はいはい、黙って黙って。それと動くんじゃない。どのみちジャンの好みであればそれで良いだろうに、何を恥ずかしがってるんだ」
「そ、それは///。だ、だがしかし、私の胸を知っていいのはジャンだけで……」
「胸を張れ! 合わない防具を着けても痛いだけだぞ。それに、隠すと余計に目立つんだ。胸を張って堂々としてろ。そもそも恥ずかしがる理由が無いだろう」
「う、うぅ……」
ジャンが横に来て宥めてくれた御蔭で胸を張るようになった。何を勘違いしてるのかは知らないが、命を守る防具を作っているんだという事を理解しろと言いたい。
恥ずかしいかどうかじゃなく、命の危険から身を守る物はキチンと作らなきゃいけないんだ。そこに下らない事を混ぜ込んでくるんじゃない。真面目に考えろよ、自分の命なんだぞ!。
防具作りをしながら、ミレイアに対して説教をする。流石に命の危険と言われて理解したのか、今はシュンとしている。終わったらジャンに盛大に慰めてもらいなさい。
一旦外させてベルト等を取り付けた後、最後に表面と背面にソードグリズリーの骨を被覆して完成だ。手渡して身に着ける練習をさせる。と言っても簡単な鎧なので、直ぐに着けられるようになった。
次はリンデの鎧だ。先ほどと同じく胸を張って立たせるのだが、流石王族と言える立ち姿だなー。ピシッとしていて綺麗に立っている。とりあえず革を当てて【変形】をさせていこう。
ミレイアよりは大きいので、何も言うつもりはない。一体成型のように【変形】させながら、肩のベルト部分も含めて作っていく。一旦外させてベルト等を付けた後、骨を被覆する。
完成したので、ミレイアと同じく着ける練習をさせる。まだまだ十分に素材が余っている為、指貫グローブ、半篭手、脛当と作った。だが、もう1つ革鎧が作れる量が余っている。
……折角だし、ジャンの鎧も変えるか。ジャンを呼び立たせて革鎧を作成する。男物は特に難しくもないのでさっさと作り、要らないものは穴の中に捨てる。これでソードグリズリーの革は無くなった。
レッドパンサーの邪生の死体があったのを思い出し、まずは解体をする。その後、皮を革にしたらディルの帽子を作ろうと思ったのだが、丁度4人分は作れそうだ。帽子はプレゼントしてやろう。
ディルから順番に1人1人の頭に合わせた帽子を作る。こんな帽子でも有るのと無いのでは防御力は違う。後、眩しさも緩和できるので、帽子というのは以外にバカに出来ない。
ディルの物は色を着けたが、3人の物は知らない。一応色石を買って来たら、好みの色を着けてやる事を話しておいた。皆の色も言っておくから、被らないようにしろよ。
まだ夕方前か……もう1つ2つは何か作れそうだな。よし、リンデの武器を変えてやろう。刀身をレッドパンサーの邪生の骨で作ったら牙で被覆する。鍔などの小物は骨で作り、鞘も骨で作る。
後はリンデに渡して振らせる。前はソードグリズリーの素材だったから重さはあったのだが、今回は邪生とはいえレッドパンサーだ。その所為で、小太刀の限度である60センチの刀身にしても軽かった。
その為、刀身75センチの太刀として作る事にする。リンデが気に入らなければ遊びで使っても良いなと思ったんだが、喜んで振り回していて楽しそうだ。リンデ、お前もか……。
こう……笑顔で振り回すのはどうかと思うぞ? えっ!? ダナもシュラもやってる? ……何でお前さんがそれを知ってるんだよ。とにかく、満足したら仕舞うようにな。
前に使ってた小太刀を穴に放り込み、全て【破砕】して【粉砕】し埋めてしまう。もう用事も無いので、ゆっくり村に帰ろう。わざわざ急ぐ必要もないので、会話をしながら歩いている。
分岐路を南に行き、村への一本道を進んでいると、村と分岐路の中間ぐらいに怪しい奴等を発見した。どう考えても狙いは俺達だ。慌てたように監視役が戻って行ったからな。
1人だけ監視役っぽい奴が居たのは気付いていたのだが、そいつがこっちを見た途端、急に集団の方へ走って行ったんだ。おそらく目の感覚強化をしてたんだろう、監視役は結構遠かった。
「皆、この先に怪しい奴等が居る。さっき監視役っぽい奴が慌てて本隊の方に戻って行った。ほぼ確実に狙いは俺達だろう。生け捕りにして尋問したいんで、なるべく殺さないでくれ」
「このままゆっくり歩いていけば良いんだね? うん、それなら3人は真ん中で、アタシが後ろに行くよ。なーに、1人も逃がしはしないさ」
「誰かは知りませんが、久しぶりに殴れそうですね。魔物との戦いは素手では難しいですから溜まってたんですよ。ちょっと発散させてもらいましょう」
皆、意気揚々と怪しい集団が待ち構えているところに歩いて行く。問題は新人3人だ。何故か新人3人も楽しそうなんだよ。そこはかとなく不安になってくるんだが、大丈夫か?。
「おーい、ちょっと聞きたい事があるんだが良いか?」
「俺達に話したい事は無いな。監視役を置いている奴等の言う事なんぞ信用ならないんだよ。当たり前の事だろ?」
その言葉を聞くやいなや即座に襲ってきた。割と手錬みたいだが、相手にならない程度の雑魚だ。手錬と言っても連携が出来ている程度で、個々の実力は低いのでハッキリ言って弱い。
あっさりとその場の13人は気絶させたので、枷をアイテムバッグから出して嵌める。1人ずつ聞くのだが、面倒なので拷問を飛ばし【白痴】を使って聞き出す。
すると、驚いた事にディルの故郷の連中だった。ディルの故郷では、現在ボケた長とその取り巻きが拘束されてギルドの調査が入っているらしい。
相当に大規模な調査の最中らしく既にクズどもは観念している様だが、逆恨みでディルを狙ってきたようだ。ディルがバレなきゃ今まで通りだったと語るバカどもには、全員が呆れた。
捕縛した全員が似た事しか言わなかったので、さっさと始末して穴に放り込んだ。その後【浄炎】で焼き、【粉砕】で粉にして埋める。
俺の手際の良さにジャンとミレイアが呆れていたが、気にしない事にした。
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0266終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨62枚
大銀貨103枚
銀貨54枚
大銅貨168枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




