0265
ソードグリズリーを収納した後、キャンプ地に戻ってから防具を作る事を伝えて先へと進んで行く。何度も来た場所だが今までと違い、俺以外のメンバーは【気配察知】で警戒してくれている。
俺が今までやっていたかどうかでは無く、皆が自分で警戒出来るようになっている事が大事だ。とはいえ、何百年も生きている不老長寿でも、知らない事は知らないんだとは思う。
あれだけ長い時間を生きているんだから、【気配察知】ぐらい使えても良いと思うんだが……。この世界に【気配察知】を使える奴は居るんだから、知ってても良さそうなのにな。
「【気配察知】を知らなかった理由ねぇ……。アルドは理解してないみたいだけど、そういう技は一子相伝だったり、組織が秘匿する技だったりするんだよ?」
「もし盗もうとすれば、地の果てまで追い駆けられて殺されますよ。私達は不老長寿であって不老不死ではありません。流石に何処かの時点で殺されてしまいます」
ダナとシュラが呆れたような顔で俺を見てる。……アレか? 昔の鍛冶師と言うか刀匠の技術みたいなもんか? 少しでも盗もうとしたら腕を落とされたり、場合によっては殺される。
そういう秘匿された技術って事か……。【気配察知】が? いやいや【探知】や【空間把握】ならまだしも、【気配察知】程度で? なんだかこの世界のレベルが低いのも頷けるな。
しかし、地球の技術だって、長い間ゆっくりしか進まなかったんだよな。それを考えると、仕方がないと言えば仕方がないのか。古い時代では技術は秘匿されるのが当然だし。
地球で言うところの3世紀~5世紀辺りだから、技術は当然秘匿されるか。日本では江戸時代でも秘匿されてた技術は沢山あったんだし、この時代じゃ仕方がないんだろう。
「アルドぐらいじゃないかな、簡単に教えたりするのは。ジャンの弟子入りだって普通は認めないし、技術を盗もうものなら殺されるよ?」
「うぇっ!? そ、そんな事をやってたんですか僕!? あ、危なかったー。アルドさんじゃなければ殺されてた」
「いやいや、落ち着くんだジャン。普通は認めないとアルメアさんは仰っているんだ。殺される前に認められない」
「そういう意味では、私達はとても幸運と言えるのですね。ここまでの知識と技術を教えて頂いていますし、見返りを求められてはいません」
「別に要らないな。ジャンは実験と盾だし、ミレイアはジャンのやる気を出させる為だし、リンデは俺達より目立たせて風除けにする。それぞれ理由がちゃんとあるからなぁ……」
「「「………」」」
「扱いが酷いと思ったかもしれないが、それでも他の連中が望んでも手に入らない知識と技術だ。そもそも神様から学ばないと手に入らない知識と技術なんだから、当たり前だがな」
「そういえば、そうでしたね。私達が教えて頂いているのは、魔神様や闘神様の知識や技術です。例え王族であろうが、手に入れようとして手に入るものではありません」
「国々に名が轟いている人達の技以上なんですよね……。古の英雄デフィル以上だと考えると、何だか凄い事を教わっているような気分になります」
「古の英雄デフィルって誰だ? 聞いた事が無いんでよく分からないんだが、凄い事をやった人物なのか? それとも単身で竜を倒したりでもしたのか?」
「……古の英雄デフィルとは、女性として最も古くに活躍した英雄の事だ。体の一部しか隠してない鎧と棍棒で竜を殴り殺したと言われる、実在した伝説の英雄だ」
「何だビキニアーマーの英雄かよ。女版ヘーラクレースだろ? 聞いた時に驚いた記憶がある。棍棒で戦うところなんて、よく似てると思うよ」
皆が聞きたがったので、ヘーラクレースの物語を省略して教える。魔物が近付いて来ないから良いものの、何をやってるんだろうという気持ちになってくる。周囲を警戒しながら話すか。
話しを終えるまで周りには安値の魔物は居ても、ソードグリズリーやウィンドディアーやレッドパンサーは居なかった。話は長くないし、皆が聞きながらなので大して進めてないが、それにしても変だな……?。
「成る程。そんな神話があったんですね。それにしても、似ていますね。十二の試練であったり、実は権力者の不義の子であったりと。似ている箇所が所々あって驚きです」
「古の英雄デフィルは不義の子であり、少々のお金と共に捨てられたのだ。全く同じでは無いものの、似ている箇所はあるな。別々の世界で似る事なんてあるのだろうか?」
「下らない話は終わりだ! 右前方からソードグリズリー2。これはミレイアとリンデで当たれ。残りはサポート」
「「「「「了解」」」」」 「ニャー」 「ガゥ」
「「「了解」」」
ミレイアは先ほどの戦闘で慣れたのか、自分から飛び出して行った。上手く自分の方に1頭を誘導したようで、間にメルが入ってもう1頭を誘導している。
リンデも飛び出して行き、メルが相手をしている方の気を引けた様だ。後は1対1の戦いだけだな。ミレイアは2度目なので、さっきの戦いのように苦戦したりはしないだろう。
さっきのが苦戦? と思うかもしれないが現実の戦いなんてこんなものだ。正直に言って漫画やアニメのようにダラダラ続いたりなんてしない。一瞬で生死が分かれる、それが戦いだ。
おっ、今回は素早く踏み込んで首に刺し込んだか、あの傷は致命傷だな。今回は早かったが、それと同じ速度のリンデは本当に才能があると思うよ。
やった事は簡単で、槍で牽制してたらソードグリズリーは立ち上がって威圧した。その隙を見て、前足を地面に下ろす瞬間に身体強化と武器強化を使い、首から上を唐竹割りにしただけだ。
ここで褒めるべきところは思い切りの良さだろう。見ていたとはいえ初めてのソードグリズリーとの戦闘で、隙と見るや一気に近付いて正面から攻撃した。出来そうでなかなか出来ない事なんだよ。
戦闘後、獲物を処理していると皆がリンデを褒めている。ミレイアに思うところは無いようで何よりだ。まぁ、ミレイアのフォローはジャンがしているから大丈夫だろう。
ジャンがミレイアのフォローを、ミレイアがジャンのフォローをしている。あの2人はこっちの予想を越えて上手くいっているな。正直言って驚くほどに相性が良かったみたいだ。
この調子で2人一緒に頑張ってもらおう。先へ進むほど修行はキツイものになっていくから、2人で支え合ってもらいたい。特に浄化魔法の修行がなぁ……時間が掛かるんだよ。
「獲物の処理も終わったんだが、どうする? 既に装備が作れるだけの量は確保してるんで、戻ったところで問題は無い。防具を作るにも時間が掛かるんで、俺としては戻りたいんだが」
「じゃあ戻ろうか。別に急いでやる事がある訳でも無いし、明日もまた来れば済む話だからね。邪生はまだ居るかもしれないから、もうちょっと探す必要はあるけど」
「明日は身体強化を使って一気にこの地点まで来ればいいだけですよ。ですから今日はこの辺りで帰りましょう。目的は達成してるんですから」
皆も反論は無いようなので帰る事にする。どのみち帰り道でまた遭遇する羽目になるんだろうしな。そう思って帰り道を身体強化で進んで行くも、魔物が出る事は無かった。
無事にキャンプ地まで戻ってきたので、早速ソードグリズリーの解体を始める。新人3人には解体の仕方はともかく、ソードグリズリーの体の構造を見せて学ばせておく。
流石に3人とも吐いたりしなかった。こういう時代の人は強いなと改めて思う。血の臭い等は既に無く、【浄化】の権能で綺麗にした事を差し引いても強いよ。
解体して個々の部位に分けたら、内臓類は2匹の餌皿へ。真横でお座りして待ってる以上は、与えない選択は無い。食べさせても問題ないので好きに食べさせる。
三匹分の内臓の全てをあげている訳では無いし、2匹も内臓ばかり食べる訳でもない。食べ過ぎれば飽きるのは、人間でも変わらない事だ。だから適当にあげて、後は穴の中に捨てる。
さーて、そろそろ2人の防具作りを始めようか!。
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0265終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨62枚
大銀貨103枚
銀貨54枚
大銅貨168枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




