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 2頭の邪生を倒した後は、特に襲われる事も無くキャンプ地まで戻れた。皆はキャンプ地の椅子に座りゆっくりとしている。その横で俺は邪生の死体から心臓を抜き出した。


 ミレイアとリンデがギョッとして、ジャンが諦めたような顔をしている。3つの心臓を1つずつ4等分し、それぞれをジャンとミレイアとリンデに食べさせる。残りは7等分だ。


 ジャンは何も考えないようにして無表情で食べているが、ミレイアとリンデの抵抗が激しい。皆で羽交い絞めにして無理矢理食べさせる。物凄く睨まれたが全員スルーした。


 俺達も7等分したものを食べたが殆ど変化なし。新人3人は魔力と闘気が増えている。その事を伝え、魔力と闘気を循環させると直ぐに気付いた様だ。頻りに「凄い!」を連呼してる。


 肉体の方に関しては、筋肉や骨はともかく内臓などの強化はあった様だ。どちらかと言えば、病気に強くなったのかな? そんな感じの強化が3人の体の中で起きていた。


 ウチのメンバーが驚いたのは、2人の胸に変化が無かった事だ。ジャンは男だから除外するとして、2人は女性だが変化は無かった。あれほどの事は不老長寿じゃないと無理みたいだ。


 邪生の心臓で胸が大きくなる事もある。そういう風に伝えると、ミレイアとリンデの目の色が変わった。ジャンはその2人の目に若干怯えているが諦めろ。女性はそんなもんだ。


 肌が良くなる効果など様々な事を教える度にどんどん顔が恐くなっていき、どんどんジャンの怯えが強くなっていく。ミレイアは恋人に怯えられても良いのかね?。


 ちなみに、ミレイアはB寄りのAで、リンデはA寄りのBだ。それ以上は俺は何も言わず、黙々と邪生のフォレストベアを解体する。肉は今から焼き、内臓類は2匹に出して食べてもらう。


 その間に、皆はジャンも含めて邪生の心臓の効果のヤバさと、命を狙われる危険を伝えている。流石に効果が滅茶苦茶だと理解したからか、バレるとかなりマズい事も理解した様だ。


 自分達と同じ様な欲を持った奴が、大人しく黙っている筈がない。それを理解した以上は絶対に喋らないだろう。権力者相手だろうが牙を剥く。それが女性の美への欲望と業だ。


 さて、そうこうしている内に昼食は出来た。いつも通りの硬パンと、骨の出汁のスープとステーキだ。香辛料はまだあるので好きに使ってほしい。2匹は既に内臓類を貪っている。



 「お肉が凄く美味しいです! これって邪生のお肉だからですよね! こんなに美味しいお肉は王城でも食べられません!」


 「殿下が仰られた通り、凄く美味しい……。物凄く美味しい肉汁と、噛めば噛むほど味が染み出してくる肉が堪らない。邪生の肉はやっぱり美味しいな……」


 「これはアルドさんが、【浄化】の権能で綺麗にしてくれたから食べられるんだよ。邪生の心臓なんて食べられるように出来るのは、世界中でアルドさんしか居ないそうだし」



 その話が出たので、俺がどういう経緯でこの世界に来たのかも教えておく。迂闊に喋れない事が増えていく状況に、3人とも微妙な表情をしているな。ま、気持ちは分かるが諦めろ。



 「つまり、神様の御加護どころか、神様から直接権能を貸し与えられているという事ですか? 王族なんて、アルドさんの前では木っ端な存在なんですね……」


 「別にそこまで卑下しなくても良いさ。俺はあくまでも貸し与えられただけだ。とはいえ、この国の貴族はアホばっかりだとは思うけどな」


 「本当に酷かったからねぇ。アルドは少なくとも2、3人は貴族を殺してるし、邪魔者を排除しても帝国への内通者は居なくならない。戦争の時なんて、いい加減にしてほしかったよ」


 「アルドが殺した東の子爵も、王太子や貴女を監視する役目だったのでしょうね。アルドが早めに始末して正解でした。王太子も許可を出していたみたいですが、あの後の事を考えると……」


 「王太子を誘導して、襲わせる役目だったのでしょうね。リンデが連れて来て始末しなければ危なかったと思うわ。奇襲されるとは、誰も考えていなかったもの」


 「後で考えてみれば、相手の軍勢を縦に伸ばして手薄にしてから大将を奇襲するのは、昔からある戦法なんだよ。その戦法を、あの深い森でやるとは思わなかったけどね」


 「相手の軍を縦に伸ばして奇襲したが、結果は大惨敗だ。帝国としてはどう受け止めたのだろうな? 凄腕の斥候を探している以上は、相当頭にきたか、危機感を持ったのだと思うが」



 俺は一足早く食事を終えたので、魔鉄を取り出してリンデに確認をとる。どういう長柄の武器が良いのか1つ1つ丁寧に教えていく。その説明をしながらサバイバルナイフを作っている。


 リンデはジャンやミレイアが持つダガーより、俺達が持つサバイバルナイフを欲しがった。俺達が持っているサバイバルナイフは多目的ではなく、極めて頑丈に作ってある物だ。


 魔法のある世界で着火装置とか付けてもしょうがないしな。それなら、ただただ頑丈な方が使い勝手も良いし信頼も出来る。持ち手にフォレストベアの邪生の革を巻き、木の鞘に入れて完成だ。


 皆の意見も聞きながらリンデが選んだ長柄の武器は槍だった。ただし、注文としては斬る事も突く事もしやすい物が良いらしい。そうなると笹穂槍という事になるか……。


 笹穂槍というのは穂先の中ほどが膨らんだ形をしている槍の事で、有名な蜻蛉切がこの笹穂槍となる。魔鉄で作るんだが、大身槍としてキチンと作ろう。


 穂の長さは150センチ、穂先の長さは60センチとする。木で柄を作り【変形】して中に穂を通す。【変形】で隙間を無くしたら【融合】で表面をくっつける。後は石突を作って完成。


 リンデは振ったり突いたりしているが、多少体が持っていかれるみたいだ。これから邪生の心臓を食べ、鍛錬していけば直ぐに体に合うだろう。


 それに、身体強化をすれば今でも十分に使う事は出来る。体重が軽くても、身体強化があれば片手で振り回す事もできるのだから、この世界はある意味恐ろしいと思う。


 皆の昼食も終わっているので、そろそろ山の方に向かうとしよう。キャンプ地を出発したら魔物が多く居る山道へと行き、山を登っていく。昼食後だからか、3人の気が緩んでるな。


 こういう時に怪我をする事が多いのだが、怪我をしなきゃ自覚しないからなぁ……。大怪我にならないようにして、後は放っておくか。ウチのメンバーも何も言うつもりはないらしい。



 「右前方からソードグリズリー1。ミレイアが戦って、残りはサポート」


 「「「「「了解」」」」」 「ニャー」 「グルゥ」


 「「「了解」」」



 ミレイアが前に出てソードグリズリーと対峙する。流石に怖いらしく怯えている様だ。ダンジョンでは1人で対峙させたりはしなかったし、相手は天然のソードグリズリーだから仕方がないか。


 ダンジョンの魔物は、魔物同士で争いはしない。ダンジョンに生かされているからだ。ただ、天然の魔物は生存競争を生き抜いている為、ダンジョンの魔物とは覇気が違う。


 凶暴さという意味では天然の魔物の方が遥かに上だ。ただし、個体としての強さはダンジョンの方が若干上ではあるのだが……。それでも発する圧が全く違うので、呑まれたら終わる。


 ……おっ! 流石にジャンの声だと我に返ったか。それでも何回か呼びかけてやっとだが、我に返れば動く事も出来る。周りもようやく安心して見ていられるようになった。


 ミレイアが動けないので牽制してくれてたんだ。ちなみに牽制していたのはディルなんだが、微妙に【念動】も使いながら牽制してて、むしろそっちに驚いたよ。



 「でやーーっ!!」



 穂先が上手く目に入ったし、そのまま脳までいった様だ。今回はちゃんと身体強化を使って、一気に体重も乗せて突いたからな。あそこまで深く入ったら致命傷だ。


 獲物の血抜きと浄化をするが、キャンプ地に戻ってから鎧を作ってやろう。ミレイアの分は確保出来たが、リンデの分まで出て来てくれるかね? こればっかりは分からないしな。


 出てくる事を期待しておくか……。



 ▽▽▽▽▽


 0264終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨62枚

 大銀貨103枚

 銀貨54枚

 大銅貨168枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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