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0261




 部屋の中が愚痴祭りなのは、放っておくしかない。それよりも、現在の室温だが、それなりに人が居るというのに快適な温度に保たれている。体感で21度くらいだろうか?。


 気化熱と言っても、なかなか優秀らしい。夏場は使える魔道具だろう。ただ、人の数が少ないと部屋が冷たくなり過ぎるという欠点は抱えたままだが……。それでも冷えるだけマシだな。



 「うん? ……ああ、部屋が涼しくなったから、構って欲しくなったのか。皆は酒を飲んでるからこっちに来なさい。ブラシを掛けてやろう……ってそんなに喜ぶ事か?」



 2匹は嬉しそうに飛び跳ねるので、宥めた後ゆっくりとブラシを掛けていく。ディルもブラシを掛けたい様だったので、カエデの方を頼んだ。ダリアもカエデも、うっとりし始めているな。


 2匹には魔鉄のブラシの感触が丁度気持ちいいものだったんだろう。とはいえ、他にもブラシを作ってみないと本当のところは分からない。2匹が納得してるなら魔鉄のブラシで良いか。


 2匹が気持ちよくなって、うっとりしている横にリンデは座り、2匹をじっくり観察してる。……何をやってるんだ? そうしていると、俺からブラシを奪い梳き始めた。


 リンデが急にブラシを奪ったので困惑していると、横に来たダナが教えてくれた。どうもリンデは前後不覚になるまで酔った事が無いらしく、初めて深く酔っているらしい。


 絡み酒って訳でもないし、泣き上戸でも笑い上戸でもないし……何なのかね、アレは? 何か黙々とダリアをブラシで梳いている。ダリアとしても力加減は良いらしく、大人しくしてる。


 結局よく分からないが、暴れたりしなければいい。暴れたりすれば取り押さえるか、気絶させなきゃならなくなるからな。それはいちいち面倒臭いし、そうなると酒を飲ませない方がいい。


 まあ、ブラシを奪ったのはアレだが、大人しいなら放っておこう。部屋を見渡すと皆が酔っ払っていて、収拾がつきそうにない。俺は諦めて、食堂に行く事にした。



 「アレ? お客さん下りて来たんだね。夕食には少し早いけど、何かあったのかい?」


 「部屋の中が酔っ払いだらけでね。収拾もつかないし、もういいやと思って下りて来たんだ。夕食までここでゆっくりさせてもらうよ。部屋に戻る気にもならない」


 「あー……。酔っ払いの相手は大変だからねぇ……。気持ちはよく分かるよ。自分が酔う分には構わないんだけど、酔っ払いの相手は本当に面倒臭いからね」



 そんな話をしながらカウンター席でゆっくりする。麦茶を取り出しコップに入れて【冷却】を使い、キンキンに冷やして飲む。やっぱり暑い時には冷たい飲み物だよな。


 そんな風に冷たい麦茶を飲んでいると、女将さんがジッとこっちを見ていた。……もしかして麦茶の事か? 別に教えても良いんだが、どうしようか……。聞かれたら、答えよう。



 「お客さん、さっきのアレは魔法かい? それと、その飲み物はどこで売ってたんだい? 私はそんな茶色の飲み物なんて、1度も見た事が無いんだけど」


 「さっきのは水魔法の一種で【冷却】の魔法だよ。後、飲んでるのは麦茶と言って、大麦の種子を焙煎したものなんだけど……飲んだ方が早いかもしれないな。コップ持ってきてくれる?」



 俺は女将さんが持ってきたコップに麦茶を入れ、【冷却】の魔法で冷やして出した。女将さんは冷たさで驚いた後に、味でも驚いたらしい。女将さんも嫌いな味ではない様だ。


 人によっては焙煎した香りが好きじゃない人も居るので、駄目ならしょうがないんだが問題なかったらしい。俺はハーブティーとか飲まなかったんで、ハーブが分からないんだよなぁ。


 分かれば作れるんだろうけど、ミントティーぐらいしか知らないから、どうにもならない。女将さんは飲み終わった後、麦茶の作り方を聞いてきたので無料で教えておいた。


 女将さんはお金を払うと言っていたが、無料にした代わりに他の人にも教えてほしいと言っておく。正直こんなものは秘匿する気にもならないし、俺以外が作ってくれれば楽が出来る。


 正直に言うと、わざわざ自分で作るのが面倒臭いんだ。お茶なんて買ってくる物という認識の日本人に、お茶作りは面倒臭すぎる。それなら無料で教えて買う方が、よっぽど楽だ。


 そういえばナンサンドの時もそうだったと思い出す。誰かに教えるというのは変な争いに巻き込まれたりしそうだが、今はそこまで大きな問題にはならないだろう。


 結構な事をやってきたし、名前も知られている。それに貴族ですらブッ殺してきた。そう簡単に手を出してきたりはしないと思うので、色々解禁してもいいのかもしれないな。


 とはいえ、この時代で出来る事なんて限られているが……。まず、砂糖が無くて酢も無いんだ。普通は酒があれば酢は生まれる筈なんだが、王都でも見なかったんだよな。


 料理のさしすせそ。その5つの中であるのは塩だけ。少なくとも砂糖も酢も、この国では一度も見た事が無い。それも東の方の国に行けばあるんだろうか?。


 向こうにはチャノキがあるらしいので、もしかしたら米もあるのかもしれない。期待はしないでおこう。無かった時にショックだからな……。チャノキはあるんだから、十分だろう。


 そんな事を考えていたら、皆が下りてきたので大銅貨9枚を支払って夕食を注文する。皆がカウンター席についたタイミングで、ジャンとミレイアが部屋から出てきた。


 更に大銅貨2枚を追加して、2人の分の夕食も注文する。アイツ等、今日1日乳繰り合って寝てただけだぞ。何て休日の過ごし方しやがるんだ。気持ちは分かるんだが溺れるなよ?。



 「申し訳ありません、ちょっと遅れました。さっきまで寝てたもので……」


 「まあ、それはいいが……。後で防音の魔道具を渡すから、今後はそれを使え。宿の人達にまで、ナニをしていたかバレてるからな?」



 テーブル席に座っている2人は顔を真っ赤にして俯いてしまった。コイツ等、前もこうやってやらかしてるんだよなー。今回も反省しなさそうな気がするが、落ちつくまで放っとこう。


 恋人同士なうえに、まだ日が浅いんだから仕方がない。何か言ってもおそらく聞き流すだろうし、適当に苦言を言うぐらいしか無理だろう。何より真摯に受け止めないんだよ。


 2人とも舞い上がってる感じだから、簡単には落ちつかないのも仕方ない。訓練や鍛錬は真面目にさせるが、生活に関しては諦めよう。これ以上考えても、意味なんて無い。



 「皆は今日お休みだったみたいだけど、明日からは狩りに行くのかい?」


 「そのつもりですけど、何かあったんですか?」


 「いや、女の子5人組が言うには、山の方で邪生が増えてて近づけないらしくてね。お客さんは凄い【浄化魔法】が使えるんだろ? 少し邪生を減らしてほしくて……」


 「成る程、ココ山ですか……。しかし、俺達が王都に行く前にかなりの掃除をした筈なんですが、まだ邪生が多くいるんですか? ……あの山はどうなってるんだろう」


 「それがね。ギルドの人達が言うには、魔銅の鉱床が原因じゃないかって……。何でも魔物が全体的に山の方に行った所為で、そこで縄張り争いをしてるらしいんだよ」


 「そういう事かい。それで邪気が溜まって邪生が増えてる訳だ。山の方の掃除は、ある程度アタシ達でするしかないね。山に行って狩りが出来る奴は多くない」


 「出てくる魔物は、レッドパンサーやソードグリズリーなんですから仕方がありません。それに、あそこは色んな山が連なってますから、他所から来てるんでしょうね」


 「あの山はこの辺りで1番豊かな山だから、魔物が居なくなっても何処からかやってくるのよ。そして豊かな縄張りを巡って争うのよね。昔から変わらないわ」


 「しょうがないさ。魔物だって生きる為には食事をしなきゃいけない。豊かな場所があれば奪いに行くのも当たり前の事だ。魔物だって戦争を繰り返してると思えばいい」


 「豊かな地を奪う……。私達地上に生きる者は、皆同じ事をしているのですね。私達も魔物も、やっている事は大して変わらないなんて……」



 俺達だって自然の一部なんだから、その程度としか言えない存在だ。



 ▽▽▽▽▽


 0261終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨62枚

 大銀貨103枚

 銀貨54枚

 大銅貨179枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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