0260
アルメアから酒作りを頼まれたんだが、先に昼食を食べてからになった。村に帰ってきたのが朝早かったとはいえ、色々していたら昼になっていたので、2匹も連れて1階の食堂に行く。
カウンター席に座り、女性従業員に大銅貨4枚を支払って昼食を注文する。昼食を待っていると、ダナとシュラとリンデが帰ってきた。ついでに大銅貨3枚を払い、注文しておく。
「ただいま。アルドはアルメアと昼食かい? アタシ達の分もありがとう。ところで、お昼を食べたらお酒を作ってほしいんだけど良いかい?」
「ただいま。私もお酒をお願いします。随分と減っていて殆ど残ってないんですよ。作ってもらったのは随分前ですから、仕方がないのですが……」
「ただいま戻りました。私の分もお酒をお願いします。ディルさんからアイテムポーチを貸して頂けたので、多少持ち運びが出来るんです!」
「いや、それは良いんだが……。武具はどうした? ハッキリ言えば防具。俺なら何の問題も無いが、リンデは防具を着けないと駄目だろう。ディルの訓練じゃあるまいし」
「いや、シュラとも話してたんだけどね、狩りで得た獲物を防具にしてやった方が良いだろうって事になったのさ。ジャンだって出来た以上は、この子だって出来るよ」
「まあ、それはそうだろうが……。うーん……まあ、良いか。ところで、雑貨は買ってきたか? 食器なんかもそうだが、色々と要る物は多いぞ?」
「それは買ってきましたよ。……というより、それに長い時間付き合わされたんですよ。それなりの気分転換にはなりましたが、なかなか決めないので大変でした……」
昼食後、酒作りの為に部屋に戻ると、かなり部屋が冷えていた。体感で18度くらいだろうか、思っているよりも部屋が冷えている気がする。これは、困ったな。冷え過ぎてるぞ。
「何故か分かりませんが、お部屋が冷たいですね? ……涼しいような、冷たいような。風も吹いているので、少し肌寒いです」
「これはちょっと冷え過ぎか? うーん、でもなぁ……人が部屋の中に居る状態でどこまで冷えるか分からないしな。このままの状態で、実験は継続するしかないか」
「実験って……いったい何の実験をしてるんだい? 後ろで見てても何を作ってるかサッパリ分からなかったけど、部屋が冷えてる理由は作ってたアレだろう?」
アルメアがテーブルの上の乾燥機と凝集機を指差す。皆は気になるのか近寄って見ているが、何の魔道具か解らずに首を傾げている。仕方なく原理を説明するも、半信半疑の顔をしてる。
仕方がないとはいえ、気化熱という言葉で伝わらないのは大変だ。酒を作りながら1つずつ丁寧に教えていき、とりあえず納得したらしい。理解までいかないのは、もう諦めよう
酒を作りながら諦めていると、室温が少し上がった気がする。人が居る時と居ない時では違っていて当然なんだが、冷房なんて人が居る所で使うものだからな。
人が居ない時に幾ら冷えようとも、人が居る時に冷えないなら意味が無い。後は、人が居たらどこまで室温が下がるかと、魔力の消費量だな。3日使えれば合格だが……果たして。
「よしっ! 酒作りは終わり! 前回と違って少ないから、そこまで長い時間は掛からなかったな。この時期じゃ、酒の材料はあんまり出回ってないからか?」
「そうだね。エールやワインなんかはあるけど、アルダが無いんだよねぇ……。それにハチミツもこの時期は殆ど無いし、何か酒の材料になる物はないかい?」
「そう言われてもなー。アルコール、つまり酒精だけを抽出して果実でも漬け込むか? 果実酒くらいなら作れるだろうけど……後は焼酎とかぐらいか?」
「そんなに色々なお酒が作れるのですか? どれも聞いた事の無いお酒ですね、楽しみです! 私が飲めるのはいつになりますか?」
「いや、そもそも作るとは言って無いんだけどな。それに果実酒を作る為のホワイトリカーは度数の高い酒だから、結構な酒の量を必要とするんだけど?」
「なら、酒と果物を買ってくるから1度作ってみてくれないかい? どんな酒になるか分からないし、アタシ達も飲んでみないと分からないしね。ちょっと行ってくるよ」
そう言ってダナは部屋を出て行った。俺はダナが買ってくる間、中庭に行って残っていた麦の種子を全て焙煎しておく。焙煎が終わり部屋に戻ると、酔っ払いどもが部屋に居た。
もう酔っているらしく、良い気分な様だ。呆れてしまうが、どんな休日を過ごすかは本人次第だ。自由である以上は好きにしたら良い。俺は小樽を作り、その中へ浄水を入れる。
十分に入ったら、焙煎した大麦を布の袋を作ってその中に入れていく。あとは布の袋を小樽の中に入れて置いておくだけだ。水出しの麦茶だから香りが少ないが、別に良いだろう。
「ただいまー。果物も色々あるから結構悩んだよ……って、もう飲んでるのかい。流石に早過ぎると思うけどね。色々買ってきたから、この中から頼むよ」
「あいよ。……オレンジに似たのと、何か小さいスイカにそっくりな奴。後は見た事ないものか……。とりあえずオレンジっぽいのとスイカっぽいので作ろう」
俺はエールの樽からエールを【念動】で持ち上げ、【抽出】を使いアルコールだけを抜き出す。余った物は別の樽に入れておき、アルコールの抽出をひたすら繰り返す。
エールの樽1つ分のアルコールが抽出出来たので、5リットルの樽を自作して、アルコールを入れてから浄水で薄める。大体アルコール度数で30度ぐらいまで薄めておく。
その後、果物を浄化してから入れて、【熟成】を使っていく。大体こんなものだろうと思われるくらいで止めて、一旦ダナに味見をさせる。……美味しいのは良いが熟成は足りてるのか?。
人の話を聞いてない……。もう、あのまま放っとこう。俺は椅子に座ってゆっくりしながら、水出し麦茶に少し【熟成】を使ってから飲んでみる。少し濃いが、十分許容範囲内だな。
ゆっくりしていると、疲れた表情でメルとディルが帰ってきた。どうしたのか聞くと、妙な連中がしつこく声を掛けてきて面倒だったらしい。そんな奴等がまだ村に居るんだな。
メルとディルの事を知らないって事は余所者か? メルが酒作りを頼んできたので、酒を作りながら話を聞く。すると、声を掛けてきた奴等は<凄腕の傭兵>を探しているらしい。
おいおい、まだ探してるのかよ。帝国の連中か? 随分しつこい奴等だな。ただ、ここで始末するとルーデル村に居るのがバレてしまう。本当に面倒臭い連中だ!。
【念術】の【洗脳】を使って無理矢理追い返すか、もしくは奴等が居なくなるまで放置するかだな。どっちでも良いが、後腐れが無いのは放置する方だ。……何かあるまで放置するか。
「珍しいな、放置するなんて。さっさと動くんだと思っていたが今回は放置か……。とはいえ、ここまで来て調べている以上は、向こうはある程度の情報を掴んでいるのかもしれないな」
「掴んでいるとしたら、間違いなくアホ貴族どもの所為だろうね。帝国への内通者は、まだ王国に居るのかもしれないよ。奴等の鬱陶しさは、火の季節の暑さ以上さ」
唐突に始まるクソ貴族への愚痴祭り。問題はリンデの愚痴が結構激しいのと、国の内情を暴露してしまってる事だ。直ぐにダナが防音の魔道具を使ったから、漏れてはいない筈だが……。
やれやれ、余程溜まってたんだろうな。王城の中じゃ第三王女として居なければいけないし、愚痴一つ碌に零せなかったんだろう。ここでなら構わないが、他所ではやるなよ。
しかし、この場を見ていてふと思ったんだが、防音の魔道具をもう1つ作るべきだな。タジン鍋の形に木を【変形】させ内側に薄く魔銅を被覆する。うん、大丈夫だ。上手く出来てる。
後は【防音】の魔方陣を刻めば完成だ。これをジャンに渡しておこう。アイツ等、盛っては眠り、盛っては寝てる。猿か何かか? とツッコミたいぐらいだ。そろそろ落ち着けよ!。
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0260終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨62枚
大銀貨103枚
銀貨54枚
大銅貨190枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




