0257
俺達は宿の隣にある食堂に行き、大銅貨10枚を支払って夕食を注文する。冷やした浄水を飲みながら待っていると、近くの席に座っている連中の話し声が聞こえた。随分大きな声だな。
「おい、知ってるか? 何でも<大森林の壁>って言われる村が、帝国の奴等に襲われたらしいぜ。大した事はなかったそうだが、魔銅の鉱床に手を出してきたって聞いた」
「ああ、その話なら俺もさっき聞いた。なんでも20人くらい居たらしいが、あの村のギルドマスターに真っ二つにされたらしいな。最初に聞いた時には笑っちまったよ」
「おいおい、人が真っ二つになる訳ねーだろ。流石にそりゃあ盛り過ぎってモンだ。誰が聞いたって信じねーよ、そんなバカ話。あり得ねーだろ。本当だったら滅茶苦茶だぞ?」
「それが事実らしいんだ。何でも自分の背丈の倍以上あるデカイ剣を使ってたうえ、滅茶苦茶な切れ味だったらしい。横に振ったら2、3人をいっぺんに切り裂いたって話だ」
<大森林の壁>ってルーデル村の事だし、ギルドマスターってヴェルの事だよな? 魔銅の鉱床が帝国に襲われて、ヴェルが真っ二つにしたと……。もしかして、その為に偽者が……?。
「アルド、さっきの話聞いてたね? 村が襲われたうえ、それは帝国の仕業だった……。あの偽者の近衛、アタシ達を村から引き離す為にやったと思うんだけど……どう思う?」
「俺も同じ事を考えてたんだが、それよりもヴェルは喜々として薙刀を振り回したんだろう。それを考えると、急にバカバカしい話になってくるんだよな」
「偽者の近衛を使ってまで私達を引き離したのに、結果は20人が皆殺しのうえ真っ二つですからね。王都のダンジョンもそうですが、帝国は恥しか掻いてませんね」
「でも心配ね。あの子は大丈夫かしら? 明日王女が来たら村に戻りたいのだけれど……アルドも同じみたいで良かったわ。それにしても、帝国は本当に色々やってくるわね」
「搦め手が得意といえば得意なのかな? ただ、総じてこういう国家は内部から崩壊するんだけどね。今までの歴史を振り返ると、往々にしてその道を辿っているよ」
「下らない者どもが余計な事をして、望まぬ対立を引き起こしては国が荒れる。確か、東の方にかつてあった巨大王朝が、そんな理由で滅びた筈だ。結局は同じなのだろうな」
「あ、それ僕も知ってます。今のエルダ海洋国ぐらいまで侵略してきてたっていう、巨大国家ですよね? 攻めた先で略奪を繰り返してたっていう、凄く危ない国だったと聞きました」
「ああ、蛮族国家の事か……。攻めた先のあらゆるものを奪って、自国に持って帰ったという話だ。とにかく周辺を蝕み続けた蛮族の国で、未だに爪痕が残っている所もあると聞く」
それって何処の国なんだろうなー。地球にかつて似たような帝国を築いた人物が居たような気がするが、どこの世界でもやらかす奴は居るらしい。結局、強固な地盤を作れないんだよね。
「話を戻すが、明日第三王女と合流したら直ぐに王都を出る。傭兵登録は村でやればいいだろう。いや、むしろ余計な揉め事を起こさない為に、村で登録した方が良い」
「そうだね。あの子には悪いけど、登録が2、3日遅れたところで大した問題でも無いしね。それに王都だと下らない事を考えるバカが居るから、あの子の為にも村の方が良いよ」
「そうですね。貴族という名のゴミどもは碌な事をしませんからね。自由になった途端、下らない事を考える愚か者は居るでしょう。明日は直ぐに出た方が良いですね」
明日の予定を確認した俺達はさっさと宿に戻り、ラーファンさんに話を通しておく。明日出て行く事を伝え、大銅貨36枚を返してもらう。1階でジャン達と別れて、部屋に戻った。
2匹は即座に送風機の前に行き涼んでいるので、水皿を出してやり少し冷やした浄水を入れてやる。最近考えているのだが、【乾燥】と【凝集】の魔道具も作った方が良いだろうか?。
【乾燥】の魔道具で気化熱を使って室温を落とし、【凝集】の魔道具で部屋の湿気を一箇所に集める。上手くやれば簡易クーラーみたいにならないかなぁ……? いけると思うんだがな。
あんまりやり過ぎると部屋が冷えすぎるかもしれないので、慎重に実験しよう。……ああ、はい。2匹は寝たんですね? そんなに引っ張らなくても自分で行くから! 強い、強い!。
強い力で引っ張り込まれたが、【精気】のみで相手をした。明日からは移動なので、出来る限り満足させておかないと溜め込まれても困る。だから、何度も何度も撃沈させておく。
全員が大満足した後、綺麗に丁寧に浄化して少し休む。明日からは急いで移動して村に戻らないと。村を留守にして襲撃されるなんてマヌケ過ぎる。力があってもこんなものだ。
とにかく余計な感情に引き摺られずに、その場で正しい判断をしなきゃいけない。でもなー、それが出来ないから人間だとも言えるしなぁ……頑張って生きるしかないか。
下らない事を考えていたら眠たくなってきたんで、そろそろ寝るか。今日も1日お疲れ様でした。
<異世界117日目>
おはようございます。今日は第三王女を連れて村へ戻ります。第三王女とミレイアがどれだけ身体強化を頑張れるか、それによって到着が遅くなるか早くなるか決まる。
流石に、そんなに遅くはならないだろうが、馬やセルネットに乗らない移動に慣れているとは思えない。なので、どこまで移動出来るかは未知数だ。村に戻るまでは頑張ってほしい
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャー」 「グルゥ」
2匹は元気いっぱいで、俺にワシャワシャされている。……うん、手触りで分かる。2匹とも生え変わってるな。毛が違うのが掌から伝わってくるぞ。この毛も凄く手触りが良い。
【浄化】の権能の御蔭で抜け毛が分からないが、2匹の毛……もしかしてブラシを作った方が良いのか? とりあえず、魔鉄を使って金属製の隙間の多いブラシを作る。
当然先端は丸くして危険は無いようにしてある。試しにカエデの体をブラシで梳いてやると、感触が良いのか大人しく受けている。少し毛が引っ掛かる感じがするな。
なので浄化しながら梳いてやると、段々うっとりし始めた。その表情は、例え虎そっくりのムルーガでも分かる。どうやらツボに入るほど気持ちいいらしく、されるがままだ。
横でダリアがジッと見てくるので、ダリアも浄化しながらブラシで梳いてやると、段々うっとりし始めてきた。今度はカエデが、体を擦り付けてアピールしてくる。
仕方なく、もう一つブラシを作って右手でダリア、左手でカエデを梳く。2匹ともうっとりしながら、目を閉じている。これ……大丈夫なんだろうか?。
「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」
「おはよう、皆」 「………」 「………」
「2匹は返事も出来ない程、気持ち良さそうにしてるね? それって金属製のブラシ……って魔鉄で作ったのかい!? またそんな物を魔鉄で作って……魔鉄が大暴落してるよ」
「まあまあ。アルドはきっと、とりあえずで作っただけですよ。それにしても2匹は気持ち良さそうですね。アルド、私にもやらせて下さい」
更にメルもやらせてほしいと言ってきたので、2人にブラシを渡す。2匹は俺でなくとも受け入れて気持ち良さそうにしている。動物ってああやって喜ぶけど、何が琴線に触れるんだろ。
最後なので部屋中を綺麗に浄化して、魔道具を回収してから部屋を出る。1階に行くと、丁度ジャンとミレイアも部屋を出てきたので、2人の泊まってた部屋に行き浄化をする。
2人は抗議してきたが、「汚いまま部屋を返すのも問題だろう?」と言うと黙った。2人とも部屋を汚した自覚はあるらしい。【神聖八重浄化】と【浄化】の権能を使い綺麗にする。
明らかに男女のアレの臭いがするが、直ぐに無くなり綺麗になった。……コイツ等、ギリギリまで乳繰り合ってたな? どうりで抗議してくる筈だ、恥ずかしかった訳か……。
俺も他人の事は言えないが、せめて換気とかはしておけよ?。
▽▽▽▽▽
0257終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨68枚
大銀貨103枚
銀貨54枚
大銅貨251枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ