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0252




 第三王女とオルニアが宿の1階に来たので、部屋に連れてくる事にした。外で出来るような話でもないので、どうしても連れて来ざるを得なかったとも言える。ジャンはまだ説教中か。



 「おはようございます。……何故ジャンは床に座らされて、お説教をされているのでしょうか? 何か悪い事をしたのでしょうけど……そういう事をする者には見えませんでしたが」



 第三王女にダナが詳細に説明すると、みるみる顔が真っ赤になり俯いてしまった。……オルニアが。ちなみに第三王女の表情は全く変わっていない。そういう教育でも受けてんのかね?。



 「城の者やお母様から一通り学んでいますので、私はどうこう思う事はありませんよ。痛い経験はとっくに終わらせていますので、彼女が今ごろ経験したと聞いて少し驚きました」


 「おや? ……もしかして、母親か誰かに張り型でされたのかい? 昔から地位の高い女性はそうして済ませていたよ。嫌な思いをして、閨が駄目になっても困るからね」


 「はい。私はお母様にして頂きました。何でも、お母様もお祖母様にして頂いたらしく、伝統なんだそうです。仰られた通り、嫌な思い出になってしまうと、双方の家が困りますので」


 「とりあえず、今日の予定は基本の復習となる。体の動かし方から始め、身体強化までをひたすら練習する。まあ、強くなっても基本が疎かになってたら意味が無いんでな」


 「それじゃあ、宿の中庭を借りての訓練だから中庭に行こうか。そこの説教組も、そろそろ行くよ! メルとミレイアは薬師の所と傭兵ギルドに行ってきな。……移動開始!」



 俺は断りを入れて、食料店に買出しに行く。2匹もついてくるみたいなので、一緒に行く事にした。食料店で大麦の種子を銀貨2枚分購入したら、雑貨屋へと足を運ぶ。


 雑貨屋に来た理由は大きい鍋が欲しかったからだ。鉄製の大きな鍋を大銀貨1枚で購入したら宿に帰る。王都だからか物価が高いなぁ。仕方がないとはいえ、何か納得出来ない。


 宿に帰って中庭に行くと、皆が魔力と闘気の循環をしていた。メルとミレイアも帰ってきていて、一緒に練習している。俺は鉄の大きな鍋と大麦を出し、綺麗に丹念に浄化する。


 終わったら、鉄の大鍋を【変形】して一塊にしたら、鉄のみ【抽出】して鍋の形に【変形】する。小さくはなったが、ほぼ純鉄の鍋の出来上がりだ。なかなか上手く出来たんじゃないかな?。


 【土魔法】で竈を作り、大麦の焙煎の始まりだ! ……と言っても、焙煎するだけなので特にどうもこうも無い。ゆっくりじっくりと焙煎し、美味い麦茶になるように頑張るだけだ。


 皆は俺の方を怪訝な表情で見ているが、俺はその視線を全てスルーしている。間違っている部分は指摘し、間違った感覚は修正させる。そんな事を焙煎しながらやっていた。


 体感で20分ほど焙煎したら一旦火から離して、小鍋に浄水を入れて【加熱】し、お湯を沸かす。お湯の中に焙煎した大麦を入れて煮出していく。煮出せたらコップに入れて飲んでみる。



 「ふーっ、ふーっ。……ズズッ、ゴクッ。……うん! ちゃんと出来てる。いやー、久しぶりに飲む麦茶は美味しいなぁ。後は【冷却】して冷えた麦茶にしよう、これから暑くなるし」


 「その茶色い水は飲み物なのかい? さっき鍋でグルグルかき混ぜてたのは大麦だと思うんだけど、急に変な儀式でも始めたのかと思ったよ」


 「大麦を煮出したのかい? ……でも何でわざわざ焼いてたんだろうね。大麦を焼くと美味しい飲み物にでも変わるのかな? 650年生きてきて初めて聞くんだけども……」



 俺は【冷却】して冷やした麦茶を、皆のコップに入れる。ミレイアはジャンの予備。第三王女やオルニアは、ダナやシュラの予備で飲んでいる。普通にゴクゴク飲んでいるな。



 「……何と言うか、可も無く不可も無くっていう味かな。水を飲むより遥かにマシである事は間違い無いけど、美味しい! とは言えないねぇ……」


 「これは麦茶と言って、そもそも日常的に飲む物だよ。美味い! って言える物だと直ぐに飽きるからな。そうじゃなくて、飽き難く飲み続けられる物と考えればいい」


 「確かに、少し香ばしいぐらいですからね。先ほど焼いていたのは、この香ばしさを出す為なんでしょう。悪くはないんじゃないですか? 私は嫌いじゃないですよ、この味」


 「さっきから焼くって言ってるが、あれは焙煎と言うんだよ。青豆って炒って食べるだろ? それと似た様なものだ。煮出した時の香り付けの為に、炒ってると思えばいい」


 「成る程、そういうものなのね。でも、大麦で飲み物が出来ると考えると、悪くはないんじゃないかしら? どうせ飲み物って、水か果実水かお酒くらいしか無いのだし」


 「やっぱりそうか……。どこを探しても茶葉が売ってないし、もしかしてチャノキが無いんじゃないかと思ってたんだ。こうなると、残るはドクダミ茶かなぁ……」


 「チャノキっていうのは分からないけれど、昔エルダ海洋国で東の方から来た船に茶葉っていうのがあったそうだよ。私も聞いただけだから、それが何かは知らないんだけどね」


 「茶葉が俺が思ってる物と同じなら、東の方にはチャノキがあるって事になるな。ちなみに茶葉っていうのは、チャノキの葉を蒸して揉んで乾燥させた物だよ」


 「広い世界にはそのような物もあるのだな。しかし……遠い所に住む人々は、水や果実水以外の物を飲んでいるかもしれないとは。そんな事、考えもしなかったな」


 「確かにそうですね。私も飲み物なんて水や果実水が当たり前で、それ以外があるなんて考えもしませんでした。その、ドクダミ茶というのも飲み物なんですよね?」


 「まあな。とはいえドクダミ茶は美味しい物じゃないぞ? 慣れれば悪くないんだがな、基本的に美味しくない。とはいえ、ドクダミ茶は体に良いんだよ。ドクダミ自体が薬だからな」


 「まさか、薬になるものを煮出して飲むんですか? それって飲み続けると病気も治ったりするのかな。物凄く贅沢な気がするんですが、僕だけでしょうか……?」


 「いや、私も贅沢だと思う。薬を飲み物にするのは貴族でも無理だ。そんな事をしていたら、幾らお金があっても足りない。どんな貴族家でも、まず無理だろう」


 「一応言っておくが、ドクダミは雑草だからな? 正確には、大体雑草扱いされているのと、独特の妙な臭いがする。さっきドクダミ茶は薬だと言ったが、飲み過ぎはむしろ体に悪い」


 「……雑草と言う事は、私の実家でも手に入るのでしょうか? 飲み物は横に置いて、せめて薬としてでも手に入るとありがたいんですが、どういう物なんです?」



 俺は聞いてきたオルニア含め、この場の全員にドクダミの特徴を教える。独特な臭いがある事、白い花びらと葉っぱがハート型である事など。思い出せる限りの事を説明する。


 花が咲いている時に、地上に出ている部分を取ってきて乾燥させたり、生の葉をすり潰して患部に塗ったりする。この辺りにはあるのかな? それ以前に、この世界にあるんだろうか?。


 乾燥させた物を十草と言い、それを煮出したのがドクダミ茶と言われる物だ。しかし、連続で飲むのは危険である事も伝える。成分的に、長期間飲み続けるのは体に良くない。


 何でもそうだが、やり過ぎとか食べ過ぎとか飲み過ぎは、結局体に良くないんだよ。散々言われても、やる奴って何処にでもいるから、ちゃんと注意しておかないといけない。



 「薬も飲み過ぎると、体に悪いんですね。知らなかったら、体に良いんだって沢山飲んでると思います」


 「そうだな。薬も摂り過ぎれば毒になるとは思わなかった……。知らずに薬を沢山飲み、死んでしまった者も今までに居たのかもしれない」


 「まあ、1つずつ学んでいけばいいさ。まだまだ若いんだしな。……さて! 話は止めて、そろそろ訓練に戻ろうか」



 薬は用法容量を守りましょう! ……そんな事は当たり前だと思っていたが、こういう時代だと違うんだなぁ。当たり前だと思ってる事が、当たり前じゃないのか……。



 ▽▽▽▽▽


 0252終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨68枚

 大銀貨103枚

 銀貨54枚

 大銅貨257枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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