0250
ミレイアの実家である、ヴォラン子爵家の当主が処刑されたらしい。この場合どうなるんだ? ミレイアは連座で処刑か? ……処刑だったら王太子が近衛のままでも……何て話すかね?。
ジャンが立ち上がろうとしたので、無理矢理に椅子に座らせた。動きたい気持ちは分からなくもないが、迂闊に動いても何の意味も無い。とりあえず座ってろ……座ってろ!!。
「後でライブルに聞いてきてやる、だから落ち着け。お前が動いても何の意味も無いんだよ! お前にいったい何が出来るんだ? 言ってみろ!!」
「そ……それ、は………。でも、僕は……」
「ジャンが動いたところで何の解決にもならないよ。悪戯に状況を引っ掻き回すだけさ。むしろ悪化する可能性が高いね。落ち着いて考えてみな、アンタに出来る事は何も無い」
「出来る事と出来ない事の区別はつけておきなさい。出来ない事をやろうとしても出来ませんよ? 結局のところ、出来る事を精一杯やるしかないのです」
「そもそも、よく考えろ。ミレイアに何かあるなら、王太子が近衛に残ってもいい何て話す筈が無いだろう。少しは冷静になれ。慌てたところで何の解決にもならん」
流石に王太子の話を持ち出したら落ちついた様だ。というか、いきなり過ぎて俺達もよく分かっていない。
急にヴォラン子爵が処刑とか、訳が分からなさ過ぎる。いきなり出てくんな。もしくは小出しに出て来い。
しっかし、後でライブルの所に行って聞いてみないとな。今日中にミレイアの身柄をこっちに引き取った方がいいのかもしれない。
プライドだけの第五騎士団だし、針の筵になってる可能性もあれば、変な手出しをされるかもしれないからな。貴族じゃなくなった以上は、いきなり手篭めとかもあり得る。
胸糞悪い展開があるかもしれない以上は動かないとな。……やれやれ、ジャンは部屋に連れて行って皆に監視しておいてもらおう。部屋を抜け出して、勝手に動く可能性が高そうだ。
そもそもジャンでは、貴族街への門が抜けられないだろう。王城の東西南北のどこが第五騎士団か知らないが、貴族街に入らないと行く事は出来ないんだ。冷静になれば分かるだろうに。
食事後、部屋に戻る際にジャンも一緒に連れてきた。皆にジャンの監視を頼んだら、宿を抜けて外に出る。【気配消失】【誤認】【幽体】を使い、近衛の本部へと向かう。
途中の貴族街への門を素通りし、近衛の本部への門も素通りする。1番奥にあるライブルの部屋に近付くと、丁度ライブル1人しか居なかったので、ノックをしてから入った。
「聞きたい事があって来たんだけどさ、時間ある? 聞きたい事っていうのは、第五騎士団のミレイアの事なんだけど……」
「まあ、時間はありますが……。いきなり来るのは止めて頂きたいのですがな。それはともかく、聞きたい事とはヴォラン子爵家の事ですか……。簡単に申せば、連座で処刑というのはありません」
「そうか……。ウチに若干1名、暴走しそうな奴が居てな。その所為で俺が来る羽目になったんだよ。とはいえ、皆どうなるのか心配はしてたんだが、問題は無しか」
「そうですな。退団届も受け取りましたし、今ごろは部屋の片付けでもしておるのではないですかな。一応言っておくと、第五騎士団は王城の南の建物ですぞ」
「ありがとう。暴走少年の為にも様子を見に行ってくるか……。女性の宿舎に行くのは、かなりの問題行動なんだがなー。暴走されると鬱陶しいから、仕方がないか……」
「近衛の宿舎は全て男女で分けてはいませんぞ? 役職や役割で固めておりますからな。同じ者達が近くで共同生活を送る形なのです。結婚しておれば、家を買うのが普通です」
「成る程ねー。まあ、俺は行くよ。面倒なんで早く終わらせたいし、帰るのが遅くなると皆の機嫌が恐ろしく悪くなるかもしれん」
ライブルは苦笑しながら恐怖するという、不思議な表情をしていた。何とも言えなかったんだろう。俺はライブルの部屋を出た後、隠密の3つの技を使い第五騎士団の建物へと行く。
第五の建物も本部と似たようなものなので、【空間把握】を使い探すと直ぐにミレイアを見つけた。ただ、何か揉めてるみたいだが……。あっ、揉め事は終わったみたいだな。
部屋に戻るミレイアを追い駆け、開いたドアから侵入する。ミレイアは暗い表情でベッドに行き腰掛ける。……何があったんだ? 何か思いつめている感じだな。
「このままではバカに犯されかねんぞ。私は既に子爵家の娘ではないのだからな……。それにしても下種な奴め! 私の荷物を奪うなんて!」
「ほーん……。荷物を奪われたのか。それで片付いた部屋から出て行ってなかったんだな。荷物には大事な物も含まれているのか? それとも、捨てていっても大丈夫か?」
「ッ! ……。ふぅ、大声を挙げなかった私を褒めてほしいくらいだな。女性の部屋に勝手に入るとは、いったい何を考えているんだ!?」
「怒る前に俺の質問に答えろ。後、大声を挙げたところで外には聞こえない。【止音】という音を漏らさない技を使ってるんでな」
「………。奪われた荷物には、亡き祖母から頂いたペンダントが入っているのだ。奪ったのは、左に行った突き当りの部屋の男だ。男爵家のクズで、第五騎士団でも嫌われている」
俺はそれを聞き、再び隠密の3つの技を使い部屋を出た。ミレイアの部屋から左の突き当たりっと……ここか。【空間把握】で調べると、下着を被っている奴が居る。ド変態かよ!。
扉には鍵が掛かっていたが小さな閂だったので、【念動】と【止音】で音も無く開けた。中に侵入し、ド変態の首をナイフで刺して捻る。変態はもがき苦しんでいるが、どうでもいい。
変態が死ぬまで待つ間に、部屋の浄化と荷物を回収する。まだ死なないので部屋の中を確認すると、他にも多くの下着を隠し持っているのが分かった。唯の犯罪者だったのか……。
ミレイアの荷物は1つの鞄で済む程しか無かった様だ。それと変態の死体を回収し、ミレイアの部屋へと戻る。ドアを開ける前に3つの技を解除して、それから中へと入った。
「この鞄で荷物は全部か? それと中身を確認してくれ。もしかしたら、無くなっている物があるかもしれないしな」
「あ、ああ……。えーっと、大丈夫みたいだが………。んっ!? ……下着が1枚足りないのだが、どういう事だ?」
「ああ、それならコイツの所為だな」
俺はド変態の死体を部屋の中へと放り出す。イケメンのド変態は、ミレイアのパンツを被ったまま死んでいるのでシュールだな。ミレイアは微妙な顔をしているが、仕方がないだろう。
ド変態の死体が被ってるパンツを返されても、困るだけだろうしな。おっ、どうやら一応回収するらしい。その後、捨てるのかどうかは知らないが、使う事は無いだろうと思う。
そう言えば、アイテムポーチは持ったままなんだな。奪われなかったようで何よりだ。ここに居る必要は無いんでさっさと帰るか。ミレイア自身、もう宿舎を出た方がいいだろう。
「さて、俺はこのゴミを処理しなきゃならないんでもう行くが、ミレイアも俺達が泊まってた宿に行け。ジャンの泊まっている部屋で一緒に寝ればいい」
「あ、ああ。そうだな……。私は上官に言って、もう出る事にする。ここに、これ以上いても碌な目に合わないだろうからな。引き払ったら宿に行く」
「余計な寄り道とかせずにさっさと宿に行くようにな。何度も守ってやれるとは限らないんだ。今回は暴走少年の依頼で助けたようなものだからな」
「暴走か……ジャンは私をそこまで心配してくれたんだな。そう、か……」
俺はミレイアと別れて暗殺者のアジトがあった所に行き、穴を掘って変態を【浄炎】で焼く。その後、穴を埋めてから宿へと戻った。どうもアジトの跡を利用する者は居ない様だ。
帰り道でミレイアと会ったので、宿まで一緒に帰り部屋へ案内する。どうやらジャンは大人しく待ってた様だが、皆は酒を飲ませたのか酔ってるらしい。若いジャンが酒をなぁ……。
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0250終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨68枚
大銀貨103枚
銀貨56枚
大銅貨265枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ