0247
下界にも様々な技が使える奴は居る。誰かが使い方を発見し、それを継いでいる一族や、かつて神様から伝えられた技を占有して使ってる奴等など、技が使える奴等は世界中に存在する。
とはいえ、使い熟すのは簡単な事ではなく、大半が使えるだけで大した事はない。と言うのも、使い熟せた奴が他の奴に教えなかったからだ。結果、使い熟せた奴が居ても、そいつだけ。
そんな事を千年以上続けているのが、この世界となる。これではいつまで経っても、世界全体が”使う”のレベルから”使い熟す”のレベルに上がるのは無理だ。仕方がないんだけどさ。
こんな時代だからこそ、自分の優位を手放す奴は居ない。奪われて殺される事も普通にあり得る以上は、コツも含めて占有するのはしょうがない。自分の努力で得たものだから当然ではある。
当たり前の事だが、神様から与えられたものを占有しているクズに対しては、死ねとしか思っていない。まずは自分のやり方でその辺りを変えようと思う。その為のジャンとミレイアだからな。
「それって、思っているより大変だよ? まぁ、アタシ達は不老長寿だからゆっくりやっていけば良いんだけどさ。何百年もやってれば少しは変わるか……」
「私達が鍛えてやった者達が世界的な有名人になるかもしれませんね。それはそれで楽しみと言えるでしょうか」
「ジャンもミレイアも才能はあるから、有名になる可能性は十分にあると思うわ。でも、そうなると私達も有名になってしまわないかしら?」
「それは今さらと言えるんじゃないかな? 主様は既に帝国に目をつけられてるし、王国の方も帝国に対する切り札として考えてる気がするけどね」
「あれだけ斥候を殺し、王太子の命も助け、敵の大将を討ち取った者を放置する事は無いだろう。アルドが名を売りたくないから、そっとしているだけだと思う」
「そうなると手を出してきそうなのは、帝国と神殿ですかね? 帝国はともかく神殿は未だ手を出してはきませんが、内部で争っているのでしょう」
「その可能性が1番高いと私も思うよ。浄神様を激怒させている奴等なんて、勝手に内部から崩れれば良いのさ。こちらの手を煩わせないでほしいね」
あー……。ダリアとカエデと一緒に遊んでいたんだが、電池が切れてしまった様だ。途端に気配が怪しくなるのはいつも通りなんだが、最近2匹が眠った気配が分かるようになってる?。
こっちを向いてなくても気配が怪しくなるんだよ。エロを原動力にレベルアップしていくって……。まぁ、欲に塗れている訳じゃないから、まだ良いんだけどさ。それにしても……なぁ。
ベッドに連行されたので【房中術】のみで優しくしておいた。浄化して綺麗にしながら、明日魔鉄で何を作ろうか考えるも、眠くなってきたので寝よう。今日も1日お疲れ様でした。
<異世界114日目>
おはようございます。今日は気温が上がっているのを感じます。それでも日本のような蒸し暑さでは無い分、そこまで強い暑さを感じない。あの内側に篭る暑さは洒落にならない。
それに比べれば、この程度は何の問題も無い。とはいえ、まだ暑さのピークは来ていないんだ。これから暑くなっていくので、甘く考える事は絶対にしない。水分を小まめに補給しよう。
アイテムバッグに入れて使ってなかった送風機を出して、部屋の隅に設置したら魔石を入れて起動する。風が出てきて涼しくなってきたので、椅子に座り浄水を飲んで一息吐く。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャー」 「グルゥ」
2匹は早速送風機の前に行き涼んでいる。仕方なく2匹の前に水皿を出し浄水を入れてやると、美味しそうに飲み始めた。それを横目に、俺はもう1つの送風機を別の隅に設置しに行く。
設置して魔石を入れたら起動するのだが、早速ダリアがこっちに来た。そのまま2匹は送風機の前を陣取り、動かなくなってしまった。そんなに暑そうにしていた訳じゃないのにな。
そういえば、第三王女に聞いたところ、ムルーガは夏場と冬場に毛が生え変わるらしい。ツインホワイトに関しては知らないそうだが、カエデはいつ生え変わるんだろうか?。
「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー……」 「ガウッ……」
「2匹はあの魔道具の前を陣取ってるんだね……。暑いのは分かるけど、そこまでかい? まだ火の季節の本番には早いよ。これからどんどん暑くなっていくんだから、大丈夫かね」
「ニャ……」 「グル……」
「風を浴びて涼しそうですけど、殆ど聞いてませんね。あの子も言ってましたが、そろそろカエデの毛は生え変わると思うのですが、ムルーガとも言い難いですし……どうなんでしょう」
「難しいね。元ムルーガなのは間違い無いんだろうけど、もう違う種だろう? そうなるとムルーガとは違う理で生きてるんだから、簡単には分からないよ」
「そうね。それに恐らくカエデだけなのよ、真っ白な毛を持つ虎型の魔物って。そうなってくると、新しい種族名を考えなければ駄目なのかしら?」
「邪生の心臓を食べていくと、新しい種族になってしまうのか……。カエデしか居ないならば、わざわざ新しい名前を考える必要は無いのではないか? カエデ1代だけだろうし……」
「まぁ、そうだろうな。ダリアだって1代で終わりだろう。名前をつけて残すのも、何かちょっと違うと思う。2匹と一緒に居てやるのが1番じゃないか?」
ちょっとしんみりしてしまったので、気を取り直して1階に下りると丁度ジャンが部屋から出てきた。ついでに、ジャンにも送風機と昨日手に入れたアイテムバッグを渡しておく。
ジャンは遠慮していたが、小型のアイテムバッグでも狙われる可能性がある事を教えておいた。場合によっては殺してでも奪いにくる奴が居るので、そういう事に慣れさせる為だ。
流石に若干顔を青くしていたが、「気合いを入れろ!」と言ったら直ぐに立ち直った。どのみち傭兵として上のランクに行くには、荒事も越えていく必要がある。
食堂で大銅貨9枚を支払って朝食を食べる。朝食後、宿で第三王女と近衛の3人と合流したら、皆で食料店に買出しに行く。硬パンや野菜、青豆などを大銀貨1枚分購入する。
その後、雑貨屋に行きジャンは必要な物を買っていく。俺達はウィンドウショッピングだったので、店員からは結構睨まれていた。ジャンの買い物が終わったらダンジョンへと出発だ。
「それにしても、ダンジョン攻略に名乗りを挙げる奴はいないみたいだね。昔は挑戦する奴は多かったんだけど、今は生活の為が主流か……。時代の流れは残酷だよ」
「まぁ、昔も多くの者が生活の為だったよ。ディアーナが言っているのは、とりあえずの名乗りの事だろう? どうせ無理だと、最初から諦める者が増えたというところか」
「でも、挑戦するという事は、命を危険に晒すという事だもの。とりあえずの名乗りでも、1度名乗ると引っ込みはつかないものよ? 無理に進んで死なれるのも違うでしょう?」
「まぁ、そうなんだけどさ。昔が良いと言う気は無いんだ。ただ、昔より環境や状況は恵まれてるのに、挑戦しないのはどうなのかと思うんだよ」
「昔の方が環境も悪く、状況も厳しかったのだろう。だからこそ、攻略に挑戦する者が多かったんじゃないか? もし攻略できたら、億万長者になれただろうからな」
「兵どもが夢の跡ってところかな。皆が夢の跡を見て、我に返るんだろうな。迷宮攻略は結局夢でしかなかったんだと、そう思うんじゃないか? 昔の挑戦者の話を聞いてさ」
「アルドさんの言う夢の跡って、つまり多くの人が死んだ跡って事ですよね? それを見たら、挑戦する気にはならないんじゃないでしょうか」
「まあ……無理にやれって言うもんでもないけど、多くの奴等が死んでいった跡を見ると仕方ないのか……。あの挑戦する奴等の熱気は、嫌いじゃなかったんだけどねぇ……」
祭りの前日みたいなものか。分からなくはないけど、それに命かけるのは本人次第だしなぁ……。
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0247終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨68枚
大銀貨103枚
銀貨56枚
大銅貨274枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ