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 「例の魔道具っていうのは大きなボールの形をした魔道具の事だよ。戦争中に帝国の工作員が持ってて、王太子に渡したヤツだ。覚えてないか? 気配が見える魔道具」


 「ああ! アレ!! ……アレを持ってたって事は、コイツ等は帝国の工作員かい!? 戦争が終わっても暗躍するのが好きな連中だよ、全く!」


 「とにかく、俺はコイツを拷問して話を聞きだす。何か有用な情報を持ってるかもしれないしな。それに、何でわざわざ王国のダンジョンでこんな事をしていたのか気になる」



 俺は捕まえた男の腹を蹴り飛ばし、無理矢理起こす。起こしたら状況を説明してやり、ナイフで切り刻んでいく。傷はどれも浅く血は多めに出ているが、痛みが強く出るだけのものだ。


 散々に痛めつけた後で【白痴】を使い情報を得ていく。第三王女や近衛の2人にバレる訳にはいかない。コレは本当にバレるとマズい技だから、慎重に使わないと……。


 工作員から聞き出したところによると、帝国の辺境伯の失敗が明るみに出た所為で、傭兵ギルドから睨まれて報復を受けたそうだ。辺境伯の領地からは傭兵が殆ど居なくなってしまった。


 その所為で辺境伯の領地に兵士を動員せざるを得ず、余計に金が掛かってるらしい。それで、王国のダンジョン等から資金源を手に入れ、それを売り捌いて儲けようと画策した。


 ここで掘っていたのは魔鉄らしく、帝国としては占領して掘り続けたかったみたいだ。帝国が有効活用するにも資金源としても魅力的で、それ故に20人以上の工作員での襲撃となった。


 諜報関係の長が戦争で亡くなっていて、後継争いが激化しているらしく、この手柄で諜報関係のトップを狙っていたらしい。俺が捕縛した奴が原因かよ……つくづく妙な関わりがあるな。



 「聞ける事はこれで全部だな。俺はコイツを処理したら魔鉄を掘ってくるから、皆は適当に魔物を討伐するなり鍛錬するなりして過ごしててくれ」


 「分かったわ。さて、どうしましょう……折角だから7個同時展開の練習でもしようかしら。まだまだ制御が安定しないのよね」


 「私は【念動】の練習だ。才能があると言われたが、【念術】の才能は無いのかもしれない。そう思えるぐらい【念術】が上手くいかないんだ」


 「仕方ありませんよ。私みたいに、何をやっても絶対に失敗するよりはマシでしょう。それに、一朝一夕で上手くなったりはしないものです」


 「結局シュライアは料理が出来るようにはならなかったんだね? 父も母もシュライアの料理だけは不思議がっていたのを、今でも覚えているよ」


 「シュラは料理をしない事さ。それが誰にとっても1番良いんだ。余計な事をしないっていうのも大事な事だよ。流石に料理の失敗じゃなくて、意味不明な物が出来るからね」



 面倒臭いので、目を閉じて【空間把握】を使い魔鉄を掘っている。この場には俺1人で2匹もいない。大量に土や石が出るので、2匹は残念ながら邪魔になる。


 ちなみに、鉱山につきものの塵や埃、あるいは粉状の土や石は【浄化】の権能で綺麗に出来る。その為、塵肺などとは無縁の環境を作り出せるので、ある意味反則だとは思う


 【魔術】で魔鉄鉱石を掘り出して、【錬金術】と【練成術】で限りなく純粋な魔鉄を【抽出】する。【変形】で5キロのインゴットにしたら、どんどん収納していく。


 最終的に87キロの魔鉄が手に入った。多いか少ないかで言えば、少ないと言わざるを得ない。しかし個人で使う分には多い。さーて、いったい何を作ろうかな? ちょっと悩むな……。


 まずは外に出るのが先か。俺は洞窟の外に出て皆に話しかける。体感で2時間ほど魔鉄を掘っていたので、ダンジョンの外は夕方前ぐらいだろう。そろそろ王都に戻るか。



 「ここにあった魔鉄は掘り尽くしたんで、そろそろ王都に帰ろうか? おそらくダンジョンの外は夕方前くらいだろう。今日は早めに王女を帰さないと、何を言われるか分からないしな」


 「昨日と同じ時間であれば、ギリギリ問題ないぐらいです。ですので、少し余裕を持って頂けると私も助かります」


 「それじゃあ、戻るとしようか。それで、アルドは掘り出した魔鉄をどうする気なんだい? 何か作るのか、それともどこかに売るのか……」


 「作ると言っても、私達の装備している物より悪いんですから、仮に作ってもジャンかミレイアの物では? この子の物を作ってあげる事も、無い訳ではないでしょうが……」


 「とは言っても、魔鉄の鎖帷子とか兜とかぐらいかしら? 思い切って魔鉄の盾とか胸甲もあり得るわね。何を作るのか、ちょっと楽しみだわ」


 「主様なら、案外作って高値で売ったりして。装飾はともかく武器そのものや刀身に関しては、主様以上の物を作る鍛冶師は居ないからね」


 「確かに希少金属製の武器を持つ私達からすれば、魔鉄はもう質の悪い金属でしかないのか。何時の間にか、そうなったのだな……」



 話をしながらも警戒はキッチリ行い、俺達は脱出紋に乗り脱出する。ダンジョンから王都へと向かい、無事に門を抜けて戻ってきた。まずは解体所に行き、獲物を売却しよう。


 大半は魔石であり、ジャンとミレイアの倒したものだ。一部ウチのメンバーが倒したものもあるが、俺が受け取るものは無いので2匹と遊んでいる。ジャンは結構儲かった様だな。


 ミレイアは自分で魔石を取り出していたものの、獲物を持って帰ってきていないので少なかった。それでもジャンと共に喜んでいて、次はもっと頑張ると言っている。


 丁度夕日が辺りを染め始めたので、ここで解散とした。第三王女は別れ際に「また明日」と言っていたので、明日もダンジョンに行くらしい。明日は武具作りでも良かったんだが……。


 俺達は食堂に行き、大銅貨9枚を支払って夕食にする。ジャンは腹が減ってたのか、追加で注文をしていた。自分の金で食うなら、好きにして構わないと言っておく。


 俺が殆どを支払ってやっているが、自分で稼いだ金を自分で使う事も覚えさせないといけない。ジャンはまだ15歳の少年だ。家のために働いているが、少年である事に変わりはない。


 色んな事を体験して覚えていく年齢だ。この世界では成人だが、元の世界の感覚では中学生でしかない。高校生ですらないんだから、多少過保護でも構わないだろう。


 どのみち2、3年なんて直ぐだしな。そうしたら、元の世界でも成人年齢だ。流石にそれ以降は自分の金で何とかしろと言うが、今はまだ言う必要は無い。色々経験するのに金も掛かる。


 宿に戻り、別れ際にジャンを浄化してやる。第三王女と近衛の2人も別れ際に浄化しているので、邪気に関しては特に問題ない。部屋に戻り装備を外すと、やっと一息吐ける。


 分捕ったアイテムバッグからボール型の魔道具を出して確認すると、前回の物とは違う事が分かった。今回の物は前回の物と比べて、明らかに範囲が狭いのと、魔力の消費が多い。


 何か真似て作ってみて、上手くいかなかったと言えば分かるだろうか。なんと言うか、量産化に成功してるとは言い辛い。根本的な部分を間違えているので、幾ら頑張っても駄目だろう。


 どうやら気配というものを正しく理解できていないらしい。その御蔭と言うべきか、弱点がある事が分かった。簡単に言うと多少でも気配を消せると、魔道具に映らなくなる。


 元々【気配消失】を使い熟せれば映らないが、今回のは多少でも使えれば映らないくらいだ。前回のはオリジナルだったんだろうなぁ……なんで戦争に持ってくるんだろう?。


 魔道具も詳細が分かれば対処の方法は幾らでもある。そこまで恐れる必要も無い。そんな事を皆に話して聞かせる。安心したのか、皆は対処方法を話し始めた。そうそう前向きにな。



 「相手の気配や動きを見て、魔道具を持っているかどうかを判断するしかないよ。こっちに的確に対処してきたら、間違いなく持ってると考えた方が良いね」


 「結局のところ厄介な道具である事に変わりはありませんが、道具なら壊したり奪えば済みますからね。相手が普通に【気配察知】を使うよりマシです」



 【気配察知】程度なら、下界に使える奴は居るだろうからな。気を付けた方が良いか……。



 ▽▽▽▽▽


 0246終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨68枚

 大銀貨104枚

 銀貨56枚

 大銅貨283枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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