0245
人が集まっている場所を調べるのだが、いちいち近付かなくても【空間把握】で調べた方が手っ取り早い。とはいえ、ここには第三王女と近衛の2人も居るのでバレる訳にはいかないんだよな。
近付いて話を聞くしかないのだが、近付く毎に向こうの警戒度が上がっていく。……いったい何を採掘してるんだ? 流石にちょっと警戒し過ぎな気がする。もしかして、魔力金属か?。
「おーい。そんな所で集まっていったい何をやってるんだ? 何かの採掘でもしてるのか? それとも、硬木でも見つかったのかー」
「お前達はなんだ!? ここは俺達が鉄を掘ってる所だ!! 鉄が欲しけりゃ、別の所へ行け!!」
【空間把握】で調べた限りでは、本当に鉄を掘ってるだけらしいな。掘り出してる鉄鉱石はなかなか質の良い物で、鉄の含有量が多い物の様だ。どうりで警戒する筈だ。他所へ行くか。
「どうやら本当に鉄を掘ってるだけの様だ。俺達に掘らせる気は無い様だし、揉め事になる前にさっさと別の所に行こう。この層はどうやら別の場所でも鉄が掘れるみたいだし」
「鉄を掘ってたのかい。あれだけ警戒してるって事は、結構質の良い鉄鉱石が出るんだろうさ。昔からダンジョンの中で金属が掘れる場所は、奪い合いが基本だからねぇ……」
「まぁ……そこまでするのですか? ダンジョンの中が変化してしまえば掘れなくなってしまうのですから、国としては大人数で沢山掘ってほしいのですが……」
「ダンジョン内の鉱脈を探すのも簡単な事ではないのですよ。ダンジョン専門の山師が居るぐらいですし、山師の取り合いも昔からしている事ですからね」
そんな話をしながら転移紋を探すも、魔物がちょくちょく襲ってくる。大半の魔物はジャンとミレイアに戦わせているが、2人の訓練になっていて順調に魔物を倒していく。
そろそろ緊張感が無くなりそうな感じだ。この辺りで小さな失敗をして、痛い目に遭って反省かな? 俺達が居れば死なせる事は無いから、これも良い経験と思ってもらおう。
「ふっ! ……うん。私もそれなりには戦えるようになった様だ。まさか自分が1人で魔物と戦って、勝てるようになるとは思わなかっ……!?」
「でやぁっ!! ……危ないですよ! ちゃんと止めを刺さないと、いつ反撃されるか分かりません。相手は魔物です、気を引き締めて頑張りましょう!!」
「あ、ああ///。あの、その……。あ、ありがとう///。ジャンが居てくれなければ、死んでいたかもしれない。だから、その……これからも宜しくお願いする///」
なんだかんだ言って、皆が微笑ましいものを見る目になってる。……ただ若干1名、オルニアだけがジト目で見ているな。仕事中に何やってんだってトコかね? 放っておけばいいか。
別に嫉妬だの何だのという感情じゃないみたいだし、妙な揉め事に発展しないなら放っておくのが1番だ。……どうやらこの層は再び北らしい。時計回りに転移紋があるようだ。
北の転移紋から14層へ。14層でも同じように人が固まっている場所があるが、鉄か何かだと分かっているのでスルーしていく。北に行って転移紋に乗り15層へと進む。
15層も変わらず人が固まっている場所があるのだが……人の気配が消えた!? これは争ってるのか……ダナが言っていた、鉱脈の奪い合いをやっているのかもしれない。
「皆、ここから北東の方角で争いあってる奴等が居る。さっき1つの気配が消えたんだが、恐らく殺されたんだと思う。場合によってはこちらに逃げてくるかもしれない」
「了解だよ。久々だね、バカどもとの殺し合いは。どうせ負けた方は直ぐにこっちに逃げてくるだろうし、それをバカどもが追っかけて来るよ」
「鉱脈の奪い合いという建前でしかありませんからね、結局は盗賊と何も変わりません。ですから一切の容赦なく皆殺しにすればいいだけです」
「ジャンとミレイアは前に出ろ。皆は後ろで2人のサポート。第三王女とオルニアは後方で待機。2匹と俺は第三王女の護衛だ。逃げてきた奴が下らない事をするかもしれないからな」
「「「「「「了解」」」」」」 「ニャ!」 「ガウッ!」
「分かりました」 「「了解!」」
俺達は脱出紋を開ける為に、少し北へと進みそこで陣形を整える。前衛中央にメル、その後ろの左右にジャンとミレイア、ジャンの後ろにダナとシュラ、ミレイアの後ろにアルメアとディル。
後方にオルニアが居て、その後ろに第三王女、そして王女の後ろに俺と2匹。こんな陣形になっている。完全に迎撃の為の陣形であり、見れば直ぐに分かるものにした。
見て逃げるなら良し、逃げなければ容赦なく殲滅する。そんな事を考えながら待っていると、北東から走ってくる奴等が見えた。逃げている奴等は、一目散に脱出紋に入り逃げて行く。
追い駆けてきた奴等はこちらを怪訝な表情で見ていたが、女性が多いのが分かったのか下卑た表情と共に襲い掛かってきた。相手は9人だが、鉱脈の所にまだ5人残っている。
襲い掛かってきた9人は、ウチのメンバーに上手く捌かれてジャンとミレイアに斬られていく。身体強化は上手く使えていないが、敵の持っているボロい武器とは違うので余裕がある。
ジャンは敵の突き出してきた槍を避けて、グラディウスで槍の柄を斬り飛ばしている。ミレイアも負けじと武器強化をして、敵の剣を斬り落とした。2人は順調に敵を始末していく。
……ん? 鉱脈の所の人数が5人から12人に増えている。どうやら中で掘っていたか、中の奴等を襲っていた連中が戻ってきた様だ。確認している間に戦闘は終わっていた。
「「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」」
「2人ともお疲れさん。どうやら2人とも、人間種を殺す事に問題は無さそうだな。こればっかりは実際にやらせてみないと分からないから、スマンが謝罪はしないぞ」
「魔物を殺す事は問題なくても、人を殺すのは駄目だって奴も居るから、こればっかりはしょうがないさ。人を殺して心が駄目になった奴は、今までに何人も見てきたよ」
「さて、気付いてるかもしれないが、鉱脈の所に居た奴等が増えている。今は12人だ。どうやら洞窟の中から出てきたらしい。こいつらを殲滅して戦闘終了とする」
俺達は先程の陣形のまま鉱脈に近付いていく。鉱脈の所に居る奴等はこっちに気付いたのか、体制を整え陣形を敷こうとしている。小山が邪魔でこちらが見えていない筈なんだが……。
【空間把握】で確認すると、奴等の1人がバランスボール型の魔道具を使っていた。……ちょっと待て、コイツ等は帝国の連中かよ! あの魔道具は量産できたのか。面倒な……。
小山を超えると直ぐ近くに居た奴等が、一斉に襲い掛かってきた。実はジャンとミレイアは既に後方に下げているので、前に居るのはウチのメンバーだけだ。
だから、【念話】で相手が不意打ちをしてくるのを教えてある。知っている以上は不意打ちが成功する事は無い。当然のように殺害されていく帝国の工作員。
それを横目に、俺は奥の洞窟内に居る1人を捕らえるべく【気配消失】【誤認】【幽体】を使い一気に近付く。目の前に居ても気付いて居ないバカに、【衝気】を使い気絶させる。
アイテムバッグから手枷と足枷を取り出して嵌めたら、肩に担いで洞窟の外に居る皆の下に行く。コイツは自決用の毒を持っていたが、奥歯に用意はしていなかった。ちょっと残念。
「急に居られなくなったので、どうしたのかと思いました。ところで肩に担いでいる者はいったい……」
「コイツは奥の洞窟というか鉱脈の所に居た奴で、例の魔道具をアイテムバッグに入れて逃げようとしていた。洞窟にはもう1つ出入り口があるみたいだ」
「例の魔道具っていったい何だい? 主様がそういう言い方をするって事は、私達も知っている物なんだろうけど……」
流石アルメア、鋭いなぁ……。もしかしたら、俺が分かりやすいだけなのかもしれないが……。
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0245終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨68枚
大銀貨104枚
銀貨56枚
大銅貨292枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ