表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
244/1948

0243




 皆のアイテムバッグの中身を聞くと、硬パンは十分にあったので昼はそれとダンジョンの魔物に決まった。第三王女はともかく、ミレイアとオルニアは心底嫌そうな顔をしていたが……。


 そのままダンジョンに進み、昨日と同じ7層まで一気に進む。再び森の中で戦闘をさせながら、各々の修行を行わせ俺は指導に徹する。そうこうしていると、フォレストベアが出てきてくれた。



 「フォレストベアが来てるぞ! ミレイア一人で戦え、他は手を出さずサポート!」


 「「「「「了解」」」」」 「ニャー」 「ガウッ」


 「分かりました」 「「了解!」」



 ミレイアはフォレストベアの前に出るものの、結構ビビってるみたいで動きが硬い。皆がアドバイスをしているが、緊張と恐怖で聞こえていないらしい。仕方がないので【心静】を使う。


 落ち着いてくると、アドバイス通りに回避する事を優先し始めた。ジャンが大きな声で、自分も受けたアドバイスを言っているのは微笑ましい。皆も似た様な気持ちらしいな。


 おっと、回避しての一撃が入ったのは良いが、大きな傷にはなっていない。力不足ではなく、武器の質が悪い所為だろう。弱点の場所を狙えと、皆のアドバイスが飛ぶ。


 既に【心静】は使ってないが、冷静に対処できている。後は大きな傷を与えて弱めたいとこ……いったか、上手く目に突き込んだな。とはいえ、手負いの獣は怖いぞ?。


 片目だけだからか、怒り狂ったフォレストベアが手当たり次第に攻撃してくる。どこまで我慢できるかの勝負になったが、ジャンが的確にアドバイスしてるのが驚きだ。


 確かにジャンにも似た経験はさせたが、直ぐに前の自分と同じ状況だと認識したか。戦いの勘というかセンスは本当に高い奴だ。そう、後は我慢できれば勝てる状況だ、踏ん張れよ?。


 ……よしよし、フォレストベアの動きが明らかに悪くなってきた。ずっと全力で動き続けられる生命体なんて居ないんだ。暴れ回るって事は、体力を大幅に消費するって事だからな。


 ダンジョンの魔物は浄化すれば弱くなるが、修行の為に倒した後でしか浄化していない。だからこそ、強さは通常のフォレストベアと変わらないか若干強いくらいだ。頑張ったと言えるだろう。


 もう片方の目にも剣を突き入れ、最後は首に何度も振り下ろして倒した。剣の質が悪過ぎるし、最後の攻撃で剣身が曲がってるじゃないか。……どんだけ質が悪いんだよ。


 フォレストベアとの戦い如きで曲がる剣が、近衛の装備なのか? 流石にこれは無いだろうよ。第五騎士団だからなのか、それとも近衛騎士団全てに共通しているのか。とりあえず、直してみるか。



 「ミレイア、その曲がった剣を修理するんで貸してくれ。もし、修理しても役立たずなら、コレは変えた方が良いな。幸い、倒したての新鮮な素材もあるし、先に解体しておくか……」



 俺はフォレストベアを解体して収納した後、ミレイアから剣を受け取り詳細に調べる。予想出来ていた事だが、前に品評の時に借りた近衛の剣と同じだった。やっぱり質が悪くて、話にならない。


 俺は剣を分解し、フォレストベアの骨を芯にして牙を被覆したグラディウスを作り組み立てる。今までの剣より若干短くなるので振って感触を確かめさせる。ついでに骨で鞘も作っておいた。


 オルニアの剣も調べさせてもらったが、こちらも変わらなかったので分解し2つの剣身を【融合】する。そして鉄だけを【抽出】し、半分を炭を使って鋼に変える。


 後は鉄を芯にして鋼でサンドすれば完成だ。剣の形自体は元のままなので使いやすいだろう。作り終わった剣をオルニアに返し、穴を掘ってゴミを【粉砕】して埋める。



 「あの、このような剣を頂いても良いのだろうか? それに幾らぐらい支払えば良いのか分からないのだが……」


 「別に金は要らないし、何かを要求する事も無い。あんな質の悪い剣じゃ、ハッキリ言って死にかねないからな。死なれたら寝覚めが悪いんで、俺の為に作ったってところだ」


 「それは横に置いといて、何でミレイアの剣はジャンのと同じ形なんだい? オルニアに渡したのは元のままの形なのに、何故ワザワザ変えたのか分からないんだけど」


 「俺としては、近衛に納品してる鍛冶師組合どもが、何を考えてこの形にしてるのか分からない。普通の剣と言えばそれまでだが、何も考えていない気がするんだよ」


 「こちらの剣には何か意味があるんですね? 私がアルドさんに作って頂いたのは、確か切れ味に特化した剣だと聞きました。これは……分厚くて、幅が広いですね?」


 「それはグラディウスと言う剣だ。どちらかと言うと、耐久性を重視しながらも誰にとっても使いやすい剣となる。ある意味スタンダードな剣と言えるだろう」


 「剣身が分厚くて幅広である為、耐久性が高いのです。だから、戦闘中に駄目になり難く信頼性の高い剣と言えるでしょう。先ほどの戦いのようには、なり難い剣ですね」


 「確かに。先ほどのフォレストベアとの戦いでは、最初に目に突き込んだ時に歪んでしまっていた。そのまま戦わざるを得ず、最後にはあんな情けない姿を晒す事になってしまった」


 「最後は首に叩きつけてたからねぇ……。切れ味の悪い鈍器みたいな剣を、何度も振り下ろさざるを得ないのは、ちょっとどうかと思うよ。流石に質が悪過ぎる」


 「ソードグリズリーやアーマーベアならともかく、ただのフォレストベア相手にアレでは……。アルドが武器の質が悪いと言うのも頷ける話だし、近衛の剣ですらその程度なのよね」


 「城に戻ったら、王太子殿下か陛下にお伝えした方が良いのかもしれません。私も近衛の武器がここまで悪いとは思いませんでした。これだと王軍の武器はもっと悪いかも……」


 「ルーデル村で魔銅を掘らせてる場合じゃなかったな。もしかしたら、帝国の青銅製の武器より質が悪いかもしれない。そういった事も考えておいた方が良いだろう」


 「話はここまでにして、そろそろ先へと進もうか。ミレイアもオルニアもそろそろ感触が掴めた筈だしな。陣形を敷き【気配察知】を密にして進むぞ。不意打ちに気をつけろ」



 そのまま7層で多少戦った後、8層へと進む。8層目でも進みながら魔物を倒し9層へ。9層目でも転移紋に進みながら魔物を倒していく。ジャンもミレイアも上手く戦えてる。


 9層の転移紋近くに行った時、東にある物を見つけてしまった。流石に無視する訳にもいかないし、丁度いいので皆には先に進ませて俺は取りに行く。


 転移紋から東に進み木の上を見ると、【空間把握】と【探知】の反応通りに有った。アイテムバッグ系って魔力の塊のように感知出来るんで、それなりに場所が分かりやすい。


 ただし、俺ほどの探知能力や技術が無いと見つけられないだろう。木の上にあったアイテムポーチをゲットして、直ぐに皆を追い駆けて10層へと進む。これはジャンにやるか。


 10層目は海だった。……まぁ、上手くやれば【水魔法】で海産物を手に入れられるか。今は体感で丁度昼ぐらいだと思うので、海産物を獲って昼食にしよう。皆と合流しその事を話す。


 【水魔法】の【流鎚】を使う際に魚や貝を巻き込むだけで獲れる。【流鎚】は大きな水の塊をハンマーのように敵に叩きつける魔法だ。上級魔法に分類されるが気にしてはいけない。


 地面に叩きつけてゲットし、焼き場と焼き網を作って昼食にしよう。薪をくべて火を着けて、浜焼きにする。いつも通り浄化した後で、塩を振って焼きあがったら好きな香辛料で食べる。


 浜焼きなんだから豪快で良いんだよ。オルニアだけは固まっているが、お前さん平民出身だろうに。第三王女もミレイアも気にせず豪快に食べてるぞ。……普通は逆じゃないか?。


 そう思ったのだが、ミレイアいわく貴族の方が食べる物に五月蝿く、美味い物に目がないそうだ。美味い物を美味く食べる為には、マナーも放り捨てるらしい。……うん、ある意味貴族だ。


 普段は面目だの何だの五月蝿い癖に、自分の利益になるなら面目をあっさり捨てる。その節操の無さは実に貴族だと思うよ。アレだ、昔の日本でいうところの、お公家様だ。


 ……何だろう、知らない筈なのにスゲー納得できた。



 ▽▽▽▽▽


 0243終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨68枚

 大銀貨104枚

 銀貨56枚

 大銅貨292枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ