0242
「まあ、アルドがあの女をどう考えてるのかは分かったよ。確かにジャンのやる気を出させるには丁度良いだろうし、あの二人がくっつくとそれはそれで面白そうだ」
「あのミレイアは人間族で18でしたか? ジャンは猫人族で15ですから丁度面白い年齢ですね。他人の色恋は見ている分には面白いですから、ちょっと楽しみです」
「それ以前に、ミレイアは第五騎士団の騎士だからな? そこから引っこ抜くか辞めさせないと、どうにもならないんだよ。まあ、無理に辞めさせる気も無いんだけど……」
「とはいえ、父親に利用されていただけの様だし、このまま強くなっていくと自然と辞めるのではないかしら? アルドも言っていたけれど、あの子は才能があるわ」
「今日1日、主様から指導を受けていたけど、それだけで洗脳が解けている気がする。最後の戦闘後なんて、純粋な顔をしていたしね。洗脳と言える程は強くなかったんだろうさ」
「自分が強くなっている事が分かると、嬉しいものだからな。それを繰り返すと、止められなくなっていく。私も覚え始めの頃は特にそうだったな、あの頃は楽しかった」
「……話は変わるんだが、ミレイアが言っていた姫騎士っていったい何なんだ? 生憎聞いた事が無くて俺は知らないんだが、皆は知ってるのか?」
「姫騎士の話は結構有名な話さ。今はもう無いんだけど、古い国の姫が戦争に出陣して、敵国の王子の首を取った話だね。姫の国は小国で、王子の国は大国だと言われてるよ」
「ただ、あの話の真実は非道なんですよ。最後は激怒した敵国に滅ぼされてしまうという話でしてね。現実的に考えれば当然なんですけど、ハッキリ言って好きではありません」
「あれは実際にあった話なんだよ。母が言っていたけど、姫騎士の方は攻められて敗れた後、散々に犯されてから首を刎ねられたらしい。余りに悲惨だった為に、母は怒ってたよ」
「真実は、そんな最後だったのね……。あの物語はあまり好きじゃなかったけど、さっきので完全に嫌いになったわ。とはいえ大国としては、そこまでせざるを得ないのかしら?」
「まあ、小国に王子が殺されている訳だからな。根本的な部分を言えば、小国だと侮って攻め入った王子が1番悪いのだが、国と国の問題だと仕方がないのだろう」
「現実には遣る瀬ない話って多いからな。せめて処刑するだけにしておけよ、とは思うんだが、王子の弔いだと言い張って、欲望の限りを尽くしたんだろうなぁ……」
「そうだろうね。国の事なんてどうでもよく、興味も無かった母が怒っていたくらいだ。恐らく、子供の私には言えない残虐な事もあったんだろうさ」
現実なんてそんなものと言えばそれまでだが、そこまでするのか? と思う程に非道な事をするのが人間だしなぁ。地球でも似たような事は山ほどあるし、日本でも沢山あった。
武田信玄の信濃での悪逆非道とか、上杉謙信の七尺返しとか。冗談でも何でも無く、本当にただのヒャッハーな事をやってるんだよなぁ……。あれが戦国時代の有名人なんだぜ?。
義将とか言われてる人物のやる事じゃねーよ。マジでそう思うぐらいに酷いからな。乱世の人達って言ったらそれまで何だろうけどさー、始めて知った時は唖然としたよ。幾らなんでも滅茶苦茶過ぎる。
そんな嫌な話を思い出していたら、ベッドに連行された。気付いたら2匹は眠っていたらしく、皆は我慢の限界だったらしい。【鋭覚】と【精気】で何度も何度も満足させておいた。
これで少しはスッキリしただろう。全部浄化して綺麗にしたら、おやすみなさい。
<異世界113日目>
おはようございます。今日もダンジョンですが、当初の目的と変わっています。最初は報酬を支払うから王都に来いと言われて来たんだよな。そしたら偽者だったと分かったんだ。
で、気付いたら近衛の女騎士を鍛える事になったと。何か二転三転している気がするが、近衛の偽者に関してはどうにもならない。アレは流石にライブルや王太子に任せる。
正規の手段で調べるのは俺には無理だ。何の権限も無い傭兵なうえに裏で無理矢理なんてすると、流石にライブルも王太子も今以上に警戒するだろう。それは損するだけだ。
任せるのが1番良い結果になるだろう。それに、調べるにしても取っ掛かりも無いんだよなぁ。何の為に俺を騙そうとしたのか、まるで分からない。いったい誰が得をするんだろうか。
案外、誰も得をしない意趣返しだったりして……。まあ、バカな事を考えてないで、さっさと起き上がろう。椅子に座り浄水を飲みながら一息吐くと、早速起きてきた。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャー」 「グルッ」
2匹の下に水皿を置き、浄水を入れてやる。ゆっくりと水を飲み始めた2匹と共にマッタリしていると、ダナが起きた様だ。俺を見つけて笑顔で……どうやら全員起きたらしい。
「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ」 「ガウ」
「今日もジャンの修行だろうけど、あの子はどうするんだろうね? あの子自身は傭兵になりたそうだけど、王は許可するのかねぇ……。あの王太子なら許可しそうな気がするけど」
「十分な実力を持つと、それはそれで王族としての使い道が変わりますからね。案外近衛か王軍を任せるなんて事も、無いとは言い切れませんよ?」
「それが無くても、少なくとも教官ぐらいには成れるでしょうね。そうなると、王族の顔というのは大きな意味を持ってくるわ。でも、あの王女がそれを望むかしら?」
「さてね。あの王女は王族としての責務を忘れる様には見えなかったけど、自分のやりたい事を優先させる可能性はあるよ」
「その話は横に置いておくとして、そろそろ朝食にしないか? 流石にお腹が空いてきた」
ディルの一言に皆も同意し、まずは1階へと下りる。1階にはジャンが居なかったので【空間把握】で調べると、部屋の中には居らず隣の食堂で朝食を食べているらしい。
皆にその事を伝え、俺達も食堂へと入る。俺達の方を見たジャンは気まずいのか、俯いたが気にしなくてもいいぞ。自分の金で飯食ってるだけなんだから、気にする必要は無い。
ジャンに「気にするな!」と伝えて、大銅貨8枚を支払い俺達も朝食にする。俺達が食べ始めた時点でジャンは朝食が終わったのか、ゆっくりしているようなので待たせておく。
俺達もそれほど時間は掛からず食べ終わった。ジャンと一緒にどうするか考えていると、宿の方に第三王女と近衛2人がやってきたので慌てて戻る。……流石に王族を待たせるのもな。
「今日もよろしくお願いします。昨日と同じくダンジョンに行くのだと思いますが、私にも戦い方や身体強化の修行をつけて下さい!」
「別に良いけどさ、そういうのは王族ともなれば近衛か何かから教えてもらうんじゃないの? 流石にハッキリ間違いと言える程、酷いものじゃないと思うんだが……」
「とはいえ、ライブルもそこまで強くないし、身体強化もアルドが教える程には出来ないみたいだしねぇ……。近衛と言っても、そこまでじゃあ無いんじゃないかい?」
「それよりも、そろそろ出発しましょう。話ならば歩きながらでも出来ます。ここで喋っていても、宿の者の邪魔になるだけですからね」
シュラの一言で皆が一斉にゾロゾロと歩き始める。実際ここに居るのは9人と2匹だ。傭兵としては結構な大所帯だと言えるだろうし、宿の入り口に居たら確かに邪魔だろうな。
「それにしても、第五騎士団のミレイアだったかな? 君はともかく、第二騎士団の子は良いのかい? 昨日もそうだったが特にする事も無く、王女の強さを考えれば暇だろうに」
「申し訳ありません、名乗るのを忘れておりました。私はオルニアと申します。騎士団長からは、皆さんのやり方を良く学んでくるようにと命じられています」
「成る程。ライブルはこちらから学ばせる気ですか……。アルド、どうするんですか? まあ、特に問題なしとして教えるのでしょうが……」
まあね。そう簡単じゃないし、マニュアル化するのは難しいんだよ。迂闊にやると失敗するだけになるんだが、ライブルは分かってるのかね?。
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0242終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨68枚
大銀貨104枚
銀貨56枚
大銅貨292枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ