0241
下らない話をしている間にも、アルメアやディルは【気配察知】で敵を索敵していて不意打ちなどは受けていない。二人の索敵と皆の連携で、敵をどんどん倒していっている。
なかなか良い形になっているんじゃないかな。ジャンも危なげなく狩りが出来ているし、第三王女も狩りが出来ている。第二の女騎士は、王女を守る必要が今のところは無い。
不意打ちを受けないので、第三王女の実力なら放っておいても問題が無い。やる事が無く手持ち無沙汰になっているな。まあ、俺はミレイアの指導があるので放っておこう。
そのミレイアだが、子供の頃から剣を振っていただけあって才能はある。正確に言うと体を扱うセンスがあるんだ。つまり、第三王女と同じ才能と言ってもいい。なかなか優秀だ。
そんな話をしていると、第三王女が驚いていた。優秀な才能を持っていても環境によって潰される事もある。それを理解したからだろうが、誰が才能の有無を見極めるんだ?。
才能を見極める奴がポンコツなら結局潰される。才能を見極めるって簡単な事じゃないからな。第三王女は色々考えたんだろうが、ここはバッサリ切り捨てておく。
俺がこっちに呼ばれるまでの現代日本でさえ、誰が子供の才能の有無を見極めるんだ? となれば誰も正解なんて言えないだろう。誰にどんな才能があるか分からないんだ。
そのうえ、歳をとってから才能が開花する場合もある。一概にこうすれば良いと言えるものでもないので、とても難しい事だ。この世界だと、なおさら難しいと言わざるを得ない。
「誰がどんな才能を持ってるかはともかく、1人前にしてやりゃいいのさ。後は自己責任で終わる話だよ。1人前以上になりたきゃ努力しな! ……としか言えないからねぇ」
「それよりも、魔物が減ってきましたね。このまま狩りを続けますか? それとも次の層に進みますか? 私としては進んだ方が良いと思うのですが……」
「進むのなら南だ、つまりこっち。転移紋は北が3層続いた後、東に3層。その次は南に3層らしい。方角は簡単だから助かるが、実際に進むのは大変だな」
南に進んで行き、転移紋から9層へ。9層目に着いた後、再び魔物を探して狩りを始める。狩っている魔物は魔石を取り出しているだけで、死体は【浄炎】で処理をしていく。
ちなみに【浄炎】はシュラとアルメアが交互に使っている。1回1回集中して、自分なりに上手く使い熟そうとしているようだ。魔力や闘気は十分すぎる程に持っているからな。
その為、魔力切れなんかは心配しなくても良いのだが、上手くなるには努力し続けるしかない。皆頑張っていて何よりだ。俺は修正しなきゃいけない場合のみ、口を出している。
後はミレイアへの指導だけだ。しっかし、コイツ思っていたより優秀だぞ。何と言うか、指導内容に疑問を持ってない。洗脳されやすいタイプと言えるが、その反面伸ばしやすいタイプでもある。
集中力が高く、指導を素直に受け入れるので、思っている以上に伸びていく。コイツくれないかなぁ……。ジャンのライバルになってくれると助かるんだけどなー、と思ってしまう。
やっぱりライバルが居る方が張り合いも出るし、やる気も変わってくるんだよ。近衛に未練が無いなら、傭兵になってくれないものか……。じっくりと教えて、こっち側に持って来よう。
洗脳されやすいタイプだし、案外いけるかもしれない。そうと決まれば、もう少し気合入れて教えてやるか。次は身体強化だな。ここで詰まるかどうかで、変わってくるが大丈夫だろう。
「あれ? 身体強化を教えるのかい? さっきから見てた感じじゃ、剣の振り方は合格みたいだね。それにしても、ちゃんとした指導者に会えないと、人生自体が変わりそうだ」
「そういう部分はありそうですね。私達のように不老長寿ならいつでもやり直せますが、寿命があると手遅れになる事も多いでしょう。諦める事をしなくてはいけないのでしょうね」
「アタシ達不老長寿といえども、諦めざるを得ない事はあるんだよね。長く生きても良い事ばっかりじゃないし、見たくも無いものを見なきゃいけなかったりするんだよ」
技を使いながら、戦いながら愚痴を言ってる。それが出来るようになったという事は、ある程度は使い熟せるようになったって事だ。ここから先も長いが、及第点ってところかな。
ジャンは、まだ必死に身体強化をしながら戦っている。戦闘中に喋る余裕なんて無い。ディルは感覚強化が完全に出来ているな。【念話】で【念動】の修行をするように言っておく。
ダナの【気配察知】がここにきて急激に伸びている。元々【神眼族】は闘気寄りの種族だ。だから使い熟せて当然なんだが、今までは俺に任せて適当にしてたみたいなんだよな。
自分の力でやり始めたら、急激に伸びてるんだよ。なら最初からやれと言いたいが、俺が邪魔してたんだろうなぁ……。ちょっと反省して、もっと皆に任せて俺はサポートに徹しよう。
誰かがやってくれるとなったら、自分でやろうとしなくなるのは当然か。不老長寿とはいえ、精神は普通の人と変わらない訳だしな。後ろで見ているくらいで丁度良いのかもしれない。
「つ、疲れた……。済まないが、これ以上は無理だ。魔力や闘気が無くて厳しい」
「おう、お疲れさん。今日1日でそこまで出来れば十分じゃないか? 精神的にも限界っぽいしな。集中し続けるとそれだけ精神的に疲れるから、少し休憩するといい」
「少し休憩という事は、まだ何かやらせるのかい? 流石に厳しそうだけどねぇ……。出来るとしたら、普通に戦闘をさせるくらいしか無理だろうさ」
「その普通の戦闘をさせる気なんだよ。今日1日……というか半日程の練習で、自分がどうなったかは知っておいた方が良いからさ」
その後、多少回復したミレイアに戦闘をさせたが、あっさりとコボルト3匹に危なげなく勝利していた。第二の女騎士と第三王女が驚いていたが、ミレイア本人が1番驚いていた。
近衛の剣もあまり良い物じゃないから、変えてやった方が良いんだが、どうしようかな? 石と木で作った武器か、森エリアに出てくるフォレストベアの素材で作ってやれば良いだろう。
ミレイアの戦闘を最後にして、俺達はダンジョンから脱出した。外に出ると既に夕方だったので、急いで第三王女を王城へと帰す事になった。王族のスケジュールは大変だ。
貴族街の門の所で第三王女と騎士二人と別れて、俺達は解体所へ行く。解体所では魔石を63個売り、大銅貨126枚になった。17個の魔石も売却し大銅貨34枚も受け取っておく。
こっちは王女の狩った分なので、分けて受け取っておく必要がある。大銅貨126枚の内、80枚はジャンの取り分だ。苦労をした分の実入りとしては少ないと言えるが嬉しそうだ。
宿の隣にある食堂へと行き、大銅貨9枚を支払い夕食にする。食後、疲労が蓄積していたのかジャンがウトウトし始めたので、宿へと帰る事にした。
宿の入り口でジャンと別れ、俺達は2階の部屋へと戻る。別れ際にジャンを浄化しておいたので、部屋に戻って爆睡していても臭くは無いだろう。俺達全員も浄化して一息吐く。
2匹と共に浄水を飲みながらダラダラしていると、皆からミレイアについて聞かれた。彼女をどうする気なのか聞いておきたいそうだ。もしかして嫉妬してるのか? ……マジか。
「ミレイアに関しては、ジャンのライバルになってほしいんだよ。どうもジャンが気にしてるっぽくてさ。上手くやる気に繋げられないかと思ってね」
「ジャンがあの女騎士を気にしてるのは知ってるけどさ。あれって女として意識してるんだよ? どうもジャンの好みのタイプらしいね」
「それも、大いに結構だよ。好みの女の前だとやる気にもなるもんさ。ジャンのモチベーションを維持するのに、役に立ってくれるだろう?」
「言いたい事は分かりますが、言い方としてはどうなんでしょうね?」
言い方を変えたって、内容は変わらないよ?。
▽▽▽▽▽
0241終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨68枚
大銀貨104枚
銀貨56枚
大銅貨300枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ