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0023




 村に帰ってきた。ダナは急いでギルドに行ったが、俺はアイテムバッグを持って解体所へ行く。登録証を預けるとベグさんとジャロムさんが来た。



 「今日は手ぶらかい? 何も持ってない様だけど」


 「今日はアイテムバッグで持って来てます」


 「それはダナのアイテムバッグ。一体何故お前が持っている?」



 ジャロムさんは俺を睨みながら聞いてくる。昔好きだった人の物を勝手に持ってたら、そりゃ機嫌も悪くなるか。



 「ダナさんから、村の入り口で解体所へ持って行けと言われたんですよ。風の季節の調査です」



 そう説明しながら、コボルト4匹とソードグリズリーを出す。アイテムバッグは手を入れて念じれば出せる。手を入れた時に入っている物が脳内に浮かぶので、それを出す様に強く念じるだけだ。



 「コボルトと、コレは!? 成る程、ダナがここに居らん理由はコレか……」


 「コレはソードグリズリー!! こんなヤツが一体どこで!?」


 「落ち着けベグ。騒いだ所で不安を煽るだけだ」


 「!! ……申し訳御座いません」


 「それより、コボルトは1匹大銅貨6枚。ソードグリズリーは金貨4枚だ」


 「その金額でお願いします」



 ソードグリズリーは金貨4枚か……。一人で倒せるが運ぶのが大変だし、荷車の大きいので2匹が限度かなぁ……。仕方ないな、自分用のリヤカーを作るか。大きな物でも大した時間は掛からない。


 態々ボールベアリングとかを作る必要はない。何より技術革新になるだろうし、念神に何を言われるか分かったもんじゃないからな。


 登録証を返して貰い、木札と売却金を受け取って解体所を後にする。ギルドへ行く前に屋台でナンサンドを買っていく。大銅貨2枚で2つ買ったが、結構繁盛していて忙しそうだった。


 ギルドに着き中に入ると、全員が一斉にこっちを向く。その視線を無視してミュウさんの所へ行き、登録証と木札を渡すと何故か変な表情をされた。



 「何かあったんですか?」


 「何かって……」


 「アルド、ちょっとこっちに来てくれるかい?」



 有無を言わさず無理矢理連れて行かれたが、腕に幸せな感触が当たってるので許そう。我ながら単純だが、男なんてそんなもんだ。



 「この時期は数年に一度、レッドパンサーを見るぐらいだったのに」


 「しかし嘆いていても始まらん」


 「対策って言った所で、気を付ける以外あんのか?」


 「それ以外どうしようもねぇな」



 まあ、そうだろうな。気を付ける以外ないよなぁ……。ナンサンドを食べながら話しを聞く。ナンで挟んでるからかタレが多めだな、思ってるよりも味が染みてて美味い。


 何でか周りから白い目で見られてる……。どういう事だ?。



 「アルド、皆お腹空いてるんだけど?」


 「ダナの分はバッグの中に入ってる。あと売却金も」


 「ありがとう。そうじゃなくてね……」


 「俺の故郷には、”腹が減っては戦は出来ぬ”と言う言葉がある。腹減ってると碌な考えが浮かばないもんだ」


 「……そうだね、一旦休憩にする! 食事の後にもう一度集合!」


 「「「「「了解」」」」」



 ダナもアイテムバッグからナンサンドを取り出して食べ始める。とにかく腹が減ってると上手くいかない、そういう事って世の中多いんだよな。だから太るんだが……。


 水筒の水を飲みつつマッタリする。ダナは厳しい顔で食事を終えて、考えがまとまったのか話し始めた。



 「アルド。今日見てたけど、アルドの戦闘能力と索敵能力は信じられない程に高い。だから、危険だけど間引きをして欲しい」


 「それはいいんだけど、明日からでいいかな?」


 「今日からじゃダメかい?」


 「今日は大丈夫そうだし、午後から頑丈な荷車を作りたい」


 「それはいいけど……。なんで荷車を作るんだい?」


 「獲物を多く持ち帰れる様に、自分に合わせた荷車を作りたいんだ」


 「アタシのアイテムバッグ借そうか?」


 「言うと思ったけど、それは駄目だ。格好が付かない」


 「それなら仕方ないね」



 登録証を受け取りギルドを出ようとすると、ダナが浄化を頼んできた。自分とダナの体と服、それに口内を浄化する。すると突然キスをしてきた。予想は出来ていたので受け止める。


 結構長くディープだったキスが終わると、ダナはスッキリした顔で執務室へと行った。


 それを見送り俺もギルドを出る。ガルドルさんの所へ行き鉄を売って貰おうとしたら、また鉄の精錬を頼まれたので請け負う。


 前と同じ5キロのインゴット4本を、大銀貨1枚で購入出来た。


 前回タダで貰ったが、後で奥さんから滅茶苦茶怒られたらしい。大銀貨1枚なら損はしていないそうなので支払う。その後、雑貨屋へ行き炭を購入した。


 全て持って森へと行く。川の近くの道を遡り、ある程度進んだら錬金を始めるのだが、槍の穂で木を切ってまた石斧を作る。もう石斧は持っておこう。石斧で木を切り、リヤカーを作る。


 本来は鋼やステンレスだけで作るのだろうが、この世界では駄目だ。見た目でバレてしまう。その為どうしても必要な所以外は木で被覆する事になる。


 まずは鋼を作り【変形】で細い鋼管を作成し、【変形】と【融合】を使いフレーム全体を鋼管で作る。更に【変形】と【融合】を使い、フレーム表面に薄く木を被覆する。


 タイヤも同じ様に作り、【融合】と【変形】を使って組み立てる。これで見た目は木のリヤカーの完成だ。出来る限り軽くしたので使い勝手は良い。


 ただし、ボールベアリング等は使ってないので性能が良くない。でもここは異世界だ、身体強化すれば済んでしまう。


 リヤカー作りは終わったが残った鋼をどうするか……。中途半端に残ってるんだよな。鉈を作るには足りないし、どうしたものかね。


 仕方ない十手にしよう、あれなら作れる。時代劇なんかで持ってる物と同じぐらいの長さにした。あれぐらいが一番使いやすいと思う。持ち手の部分は薄く木を被覆する。


 十手を左手に持つ、そして右手に短刀を持つ。……意外に良いかもしれない、左で受けて右で斬る。こうなると短刀はちょっと短いな。もう少し長い方が……脇差ぐらいの長さが欲しい。


 帰ったらガルドルさんの所へ行って鉄を買おう。リヤカーを牽きながら帰路に着く。村に到着後、一路ガルドルさんの所へ。また5キロのインゴット4本を大銀貨1枚で購入する。


 宿に帰り、女将さんにリヤカーを置く場所を相談すると、裏庭に置く許可を貰えたので置かせて貰う。


 部屋に戻りようやく一息吐く。まだ夕食には早く暇だったので、武器を作り変える事にしよう。と言っても直ぐに終わるんだが。


 先ずは鉄の純度を上げて、必要な分だけ鋼にする。短刀の刃の心鉄と皮鉄を【分離】して、脇差の長さ45センチに作り変える。持って帰ってきた木で持ち手と鞘を作れば完成だ。


 相変わらずの白木拵えだが、必要な部品は純度の高い鉄で作っている。丁度終わったタイミングで女将さんに呼ばれたので、十手だけ差して行く。



 「今日も大銅貨1枚ね」


 「ここに2人分、大銅貨2枚置くよ」


 「まいど。お客さん、今日の調査は良くなかったのかい?」


 「なんで?」


 「慌てている人が居てね、話は漏れて来るもんさ」


 「山の魔物が近くの森に居てね、それで対策を話し合ってるんだよ」


 「山の魔物が………怖いね」


 「ソイツは倒したんだけど、他に居ないのかの確認をする為に明日から調査するらしい」


 「アタシはギルドに詰める事になったよ」



 ダナは宿に来て直ぐ俺の横に来た。何か悪い情報でも入って来たのか?。



 「大丈夫なのかい? ダナさん」


 「大丈夫さ、状況は悪くないんだよ。ただ、低ランクが危険な目に遭うかもしれない」


 「つまり、山の魔物の所為で森の魔物が混乱してるのかい?」


 「その通りさ。村に危険は無いよ」



 食事を済ませ一緒に部屋へ戻り、お互いに椅子に座ると本音で話す。



 「本当の所はどうなんだ?」


 「本当に大丈夫なんだよ。どうやらアタシ達が遭ったソードグリズリーは、はぐれみたいなんだ」


 「つまり、はぐれが森を荒らしていた?」


 「そういう事。ただし雨の影響がどう出るかは分からないね」


 「とりあえず、間引きか……」


 「そうだね、他の傭兵達も間引きだよ。ベテランも新人も協力しての大規模なヤツさ」


 「俺はいつも通りの狩りをするか」


 「危険な所だから気を付けてね」



 ダナは俺が心配なのか、いつもより甘えてくる。こういうダナも良いもんだ。ただ、いつもよりも激しかったが。


 ……ダナが大満足したので浄化して寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。



 ▽▽▽▽▽


 0023終了時点


 金貨8枚

 大銀貨4枚

 銀貨13枚

 大銅貨13枚

 銅貨9枚


 鋼の脇差

 鋼の十手

 鋼の槍

 石斧

 オーク革の鎧

 革と鉄の肘防具

 革と鉄の膝防具

 革と鉄のブーツ


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