0238
不服そうな護衛2人と、何とも言えない顔の第三王女。何と言うか、妙な組み合わせと言うべきか、それとも何かワケアリなのか。まずは護衛の2人にコッソリ【白痴】を使って聞くか。
「そもそも護衛なんだから王女の命が第一なのは当然だが、お前等の立ち位置や守り方を見ていると、むしろ危険に晒してるとしか言えない。それは理解しているか?」
「理解も何も、そもそも貴様等は何様のつもりだ! 我等は殿下の護衛だぞ! 何故、貴様等如きに指図されねばならん。我等のやり方に、いちいち口を出すな!」
「何言ってんだ、コイツ? ……口を出すのは下手だからだ。指図するのは弱いからだ。護衛対象を危険に晒すという頭の悪さはどうにかならないのか?」
「私を子爵家の者と知った上での暴言か、貴様っ!!」
「知らねーよ、そんな事は。子爵家だろうが伯爵家だろうが弱いもんは弱いし、雑魚は雑魚だ。生まれで変わる訳ないだろうが。そもそも、近衛って家柄で決まるのか?」
俺は先ほどから全く喋らないというか、喋ろうとしない方に聞く。口を開かないのが少々気になるんだよなぁ……。何か知ってそうな気がする。ここは深く掘り下げた方が良い結果になりそうだ。
「いえ。近衛の一部では家柄が良いだけの者の受け皿になっていますが、基本的には実力主義です。ただ、彼女の所属は第五騎士団で家柄だけの者となります。私は第二騎士団です」
「なっ!? 家柄だけだと!? 貴様もこの平民どもと同じかっ! 薄汚い血の者どもめ! 高貴な血の者を敬うという事すらしない、卑しき蛮民どもがっ!!」
「何という事を言うのですか!? そのような高慢さを持つ者が、私の護衛だったとは嘆かわしい。一方的に見下し侮辱する。そのような者を蛮族と言うのですっ!!」
「はいはい、ストップ!! 言い合いしてても話は進まないからな。ところで第二騎士団っていうのは、いったいどういう所なんだ? そもそも近衛の編成って、どうなってる?」
「第一騎士団は、団長を始めとする陛下の直轄です。第二は要人警護を担っており、第三は諜報及び情報伝達。第四は王城防衛。そして第五が家柄のみで、通称”掃き溜め”と言います」
「なっ!? な、な……そ、そん……」
「何と言うか、邪魔な奴等を集めて近衛ごっこをさせているだけか……。とはいえ、世の中に出すと面倒臭い連中なんだろうな。それで一箇所に押し込める事にした……と」
「第五騎士団の設立理由は、まさに仰る通りです。放っておくとよからぬ事を企む者どもを、纏めて監視しているのが第五騎士団となります」
「自分が掃き溜めに居る事すら知らなかったんですね、このバカは……。ところで貴女は第二騎士団所属の割には、先ほどの戦いでは邪魔をしていましたね?」
「第五の者があまりに酷かったもので、このままではマズいと思い、第五の者を犠牲にして殿下をお守りできないものかと……」
「………」
「成る程ねぇ。思い出してみると、確かにそんな動き方してたような……。もしかして、第五騎士団の奴等だったところにアンタが捻じ込まれたのかい?」
「仰る通りです。第五の者どもはプライドしかありませんので、不老長寿の方と諍いを起こしかねないのです。騎士団長の命で急遽私が入る事になりました」
「ああ、それでいつもの者とは違っていたのですね。いつもは戦いに慣れていない、見た目だけの者でしたから……」
「そんな奴等じゃあ、王が危ない所に行くなと言う筈だ。家柄だけの役立たずと戦いに行くなんて、自殺行為でしかない。もしかして、戦争の時に居たのも第五騎士団の奴等か?」
「第五の者は戦争に出ても邪魔にしかならない為に、基本は戦争に出されません。出されるとすれば、合法的に始末する為だと言われています」
「ふーん。まあ、一旦王都に帰るか。流石にポンコツが邪魔だし、これなら居ない方がマシだからな。ライブルに言って護衛は君一人にしてもらおう」
「それがいいよ。邪魔な奴の所為で死ぬなんて御免だからね。バカに足を引っ張られて死んだ奴等も多く見てきたけど、自分がそうなる気は無いよ、アタシは」
脱出紋まで三角形の陣形で警戒しながら戻るのだが、第五騎士団の奴がブツブツと独り言をホザいている。気持ちは分からないでもないが、実力なんぞ他と比べれば分かるだろうに。
少なくとも自分達が他より弱い、若しくは落ちこぼれの集まりだという事ぐらい、普通は気付くだろう。それで気付かないって事は、上手く一箇所に固めてるんだろうなぁ……。
バカのプライドを満足させて、自分から牢獄に留まるように仕向けてるって事だ。見事なコントロールだと思うが、気付かれてしまったな俺の所為で……。ライブルに謝っとこう。
王都に帰ってきたが、まだ昼前だった。なので、真っ直ぐに近衛の本部を目指して歩いて行く事にする。貴族街の門は王女の御蔭で簡単に通れた。まあ、王女と一緒に居る以上はね。
王城への門は通るが王城には行かず、横にある近衛の本部へ向かう。ちなみに、王城の東西南北にそれぞれ近衛騎士団の建物があり、本部は王城の直ぐ傍にある。つまり中央だ。
東西南北のどこが第五騎士団かは知らないが、そこは手薄というか無防備に近い気がするんだが大丈夫なのかな? 俺が心配することじゃないが、掃き溜めが役に立つのかねぇ……。
本部に入ったら案内も受けずにドンドン進んで行く。ライブルの部屋は知っているし、ライブルが居るのも分かっている。朝と違って、今は王太子と一緒に居るぞ? どういう事だろう。
普通は王太子の所へ行くもんだろうに。何で王太子がワザワザ近衛の建物に来てるんだ? 入っても大丈夫か分からないし、今は1人じゃないからノックしよう。コンコンコンっとね。
「どうもー。朝来たのに、また来て申し訳ないね。ちょーっと面倒な事が起きてさ、第五騎士団って言ったら分かる……って、その一言で分かるんだな。流石は掃き溜めだ」
「まあ、厄介な連中を押し込めてありますからな。それにしても、何故アルド殿達が掃き溜めの連中の事を? アレは公然の秘密とはいえ、近衛の者以外はあまり知らぬ筈ですが……」
「申し訳ありません! 問われましたので、私がお答え致しました。私は第二騎士団所属の者で、今回騎士団長の命で第三王女殿下の護衛任務についております」
「成る程。ライブルが妹に付けた護衛はそなたか。わざわざここまで来たという事は、何かしらのトラブルがあったという事かな?」
「簡単に言うと、第五の女騎士がポンコツ過ぎてな。逆に第三王女の命が危ないんだよ。戦闘中も邪魔ばかりするし、第三王女が動けない位置取りをするわで、危険過ぎる」
「要するに、あまりにも使えない。いや、使えないどころか居る方が危険という事ですか……。まさか、掃き溜めの連中がそこまで使えぬとは思いませんでした。殿下、申し訳ありませぬ」
「いえ。護衛と共に戦った事などありませんでしたから、ここまでとは知りませんでした。私も、少しは護衛と一緒に戦う方法も学んでおくべきだったのでしょう」
「その辺りは後でな。それで、第五の奴が掃き溜めなのは分かったんだが、さっきも言った通り邪魔なんだよ。だから護衛を第二だけにしてくれないか? そっちの方が守りやすい」
「ふむ。私の方から許可を出しておこう。そもそも第五の者を護衛にしているのは、父上が妹を外に出したくないからなのだ。そろそろ娘離れをしてもらわねば困る」
「そんな理由だったのかい!? 何を考えてるんだか……。プライドの固まりのアホどもを傍に付けたりするから、久しぶりに会った時おかしくなってたんだろうに」
「そういえば、久しぶりに村で会った時には、確かに高慢な部分がありましたね。その後、アルドの威圧を受けて反省していましたが……」
そういや、そんな事もあったな。何か随分前の事に感じるのは、気の所為か?。
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